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無能イケメン筋肉とエイリアンの化学反応。映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』感想

「知ってる? スティーヴン・スピルバーグシルヴェスター・スタローンデニス・ロッドマンもみんな地球人じゃなくエイリアンらしいよ」

そんな無茶苦茶で愛おしい世界観の構築に成功し、大ヒットシリーズとなった『メン・イン・ブラック』シリーズ。

私も子供の頃に映画館で観てドハマリしたし、友達や先生が実はエイリアンなのではと疑い、油断すると食べられるのではと独り泣き叫んだ思い出がある。

そんな子供心に暗い闇を与えたと同時に黒いサングラスとブラックスーツに身を包み、地球上に生息するエイリアンによる犯罪や侵略行為を監視、取り締まりを任務にし、最先端なテクノロジーを駆使する最高機密機関「メン・イン・ブラック」(MIB)の格好良さに酔いしれた。憧れた。

 

そんなシリーズ最新作『メン・イン・ブラック:インターナショナル』の感想をネタバレ全開で書いていく。

ポスター/スチール写真 A4 パターン12 メン・イン・ブラック インターナショナル 光沢プリント

 

クリス・ヘムズワースの残念イケメン筋肉無能先輩

今作の主人公の一人エージェントHを演じるクリス・ヘムズワース

アベンジャーズ』シリーズでソーという「イケメン筋肉王子様」を演じたり、リメイク版『ゴーストバスターズ』で「頭のネジを吹っ飛んだ残念イケメン筋肉」を演じたりしてきたが、本作ではエージェントHという「残念イケメン無能先輩」を演じる。

予告を見る限りでは新人エージェントであるMの頼れる先輩役なのかなと思っていたら裏切られる。確かに頼れる一面もあるが、それ以上に無能な側面だったり、失敗などを繰り返してダメだなコイツ感を惜しみなく出してくる。

序盤で「エージェントHが変わったから信用するな」という発言がある。普通に考えて、何かしらエージェントHにトラウマ的な事が起こったのか、それとも実は中身は宇宙人になってしまったのか、実は悪い奴なのかなど色々考えるが、最後ら辺になるとこいつタダの馬鹿で無能だから裏切る事ねーわという謎の安心感が出てくる。

恐らく「エージェントHが変わったから信用するな」というのはエージェントHが記憶を上書きされ偽りの英雄になっているのが起因していると思われるが、まぁわかり辛い。

そして本作ではそんな作られた英雄だったエージェントHが真の英雄になるまでの物語とも言える(でも彼がトップになったロンドン支社の未来が心配)

 

出来る女テッサ・トンプソン

本作のもう一人の主人公エージェントMを演じるテッサ・トンプソン

子供の頃にエイリアンと出会い、MIBという組織を知った彼女は、妄想癖があると他人に笑われながらもMIBに憧れ、MIBに入るために有能でありながらも一般的な幸せに見向きもせず、みじめと言われる生活をしている。

子供の頃、『メン・イン・ブラック』シリーズを観た人は1度はMIBに憧れる。ただ、普通の人はMIBになるという夢を諦めて現実というツマラナイモノに囚われる。

ただ、彼女は違う。諦めずMIBの一員になったのだ。この時点で私たちの夢を具現化してくれた彼女は100点満点の造形である。

そして、MIBの新人という事で本作の世界観を視聴者に説明する舞台装置でもあるが、エイリアンや、未知のテクノロジーを観ても、困惑より楽しさ、夢が叶った事への嬉しさから出てくる表情が今までのシリーズと違って新鮮である。

 

伝説の英雄、エージェントHとコンビになるが、「あれっこのエージェントHって実は無能じゃね」という真相が段々と分かっていき、態度が変わっていくのも楽しい。ソー無能なのである。

そして中盤、子供の頃にあったエイリアンが成長して出てくるが、正直、ここでその伏線つかうの!?という困惑が強かった。まさか、一番最初に出てきてどう考えても再登場あるなと思っていたエイリアンの伏線をこんな使い方するとは思わなかった。しかも出番もこれだけだし。一体何なんだ。普通、序盤で出てくる伏線って最後に回収するのがお決まりじゃなかったのか(確かに最序盤の伏線は最後に回収されたけど!)

まぁ、私が重要な伏線だと思っていたのは、ただ彼女がMIBに興味持たせるための展開であって、あのエイリアンは一種のおまけだったのだなと思う。彼女は子供の頃にエイリアンにあったお陰で、エイリアンに対して好意的になっているし、あの兵士のエイリアンを仲間にするのもそういう積み重ねのお陰だと思うと悪くはない。

 

恐らく彼女は最終的にエージェントHより立場は上になるんだとなという事は容易に想像出来る。

 

最後に

本作は正気、盛り上がるシーンも少なくて、評論家の評価が低いのもよく分かるし、かといって今までのシリーズファンが好きになる奴かと言えば、そういう訳でもない。

最後に裏切り者が判明するが、あまりにも分かり易過ぎて、笑ってしまう。「そうだろーな」という反応してしまうし、意外性も少ない。100人いたら1000人当てれると思う。そして最大の不満は1のビー玉や、2のロッカーのような壮大すぎる宇宙空間映像が最後になかった事。これは頑張って入れて欲しかった。

 

ただ、クリス・ヘムズワースの魅力は十二分に発揮されているし、テッサ・トンプソンも良い。

ソーとヴァルキリーとは違う二人の関係性、段々とエージェントHが無能だとわかり、エージェントMがまるで先輩かのように見えてくるのも面白い。しかし、やはり、面白い面白くない以前に全体的に無味無臭過ぎて、3日ぐらいで内容忘れてそうなニューラライザー型映画だという事は否定出来ない。

 

最後に、一言だけ言わせてくれないか。

 

 ドナルド・グローヴァーが実はエイリアンだったっていう人選渋すぎないか