社会の独房から

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リア充映画を波で超えたモノ。映画『きみと、波にのれたら』感想。

リア充とアニメの相性って悪くね?

そんな私の考えをぶっ壊すこの映画『きみと、波にのれたら』

正直お話の大筋は予告が全てで、非常に真っ直ぐな作りになっているし、湯浅監督の過去作のような独特な臭みは完全に波に流されており、良くも悪くも非常に綺麗である。

 

しかし、ただのリア充映画に終わらない誰しもが経験する人生の喪失の再生。

それを非常に丁寧に描いており、リア充爆発しなくても良いけど自分より不幸せになって欲しいと常に思っている私のような陰キャでも胸が苦しくなるような物語になっている。正直少し泣いた。そんな映画の感想を書いていく。

映画チラシ きみと、波にのれたら 片寄涼太 川栄李奈 松本穂香 伊藤健太郎(吹替)

 初めに

監督は前作『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭の最高賞を受賞した湯浅監督。

私は『四畳半神話大系』からこの監督を知り、『ピンポン』や『DEVILMAN crybaby

夜は短し歩けよ乙女』などなど。強者揃いの最近のアニメ映画監督の中でもトップクラスに勢いのある人と言っても過言ではない。

脚本は前作の『夜明け告げるルーのうた』から続いてガルパンシリーズなどの脚本も書いている吉田玲子さん。

音楽は半分ぐらいハイローに出演しているGENERATIONS from EXILE TRIBEが担当している。

ここからはネタバレ含みます。

 

序:クソ雑魚バカップルよ永遠に

最初主人公であるひな子の住んでいるマンションが火事になり、消防士である雛罌粟港(あまりにも難し過ぎる名字。結婚してこんな名字になったら泣く)が助けるという運命的で出会い(再会)をする二人。

そしてそのまま痛々し過ぎるバカップルムービーが始まる。恐らくバカップルってこういう事するよねと考える全てが詰まっておりかなり濃密なバカップル時間である。BGMが二人のバカップルカラオケなのも相まってあまりにもバカップル過ぎて、此処まで来ると好きになる、応援したくなる。私みたいな陰キャな大学生活を送ってきた人間がこんなん観ると「ああああああああああああ」って発狂してしまう。これから大学生になるそこの君!大学にはこんな輝かしい生活なんて待ってないからな!この映画を観て勘違いするなよ!大学なんてもっとジメジメしていてフナムシみたいな存在だからな!そこ間違えると大学生活死にたくなるぞ!

 

破:喪失と生死の境界

そんな私もみなと君が死んで「ざまぁぁぁぁぁぁぁ」なんて一切思わなかったです。本当です。あまりにもひな子が不憫で可哀相で辛い展開。ひな子はとうとうみなと君の幻覚見だして、周りの人に変人扱いされて見ていて悲しくなる。ひな子がクスリやっているかの様な発言してもちゃんと友達でいたあの二人の子は偉いですよ。私なら絶対距離置きます。そしてこの映画はここから本番になる。

 

みなと君がいる「水中」とは死後の世界を、「大気中」は生の世界を描いている。

ひな子は死んでしまったみなと君を忘れられず死後の世界である「水中」に釘付けになる。ただ、みなと君の妹である雛罌粟洋子が兄の夢を引き継ごうとする意思を持っている事を知ったり、みなと君の後輩川村山葵の成長を見たり、そしてなりよりも今までみなと君に助けられてばかりだと思っていたが実は昔、ひな子がみなと君の命を救ったヒーローだった事を知り、自分が誰かを助ける事が出来る事を知ったかな子は「水中」ではなく「大気中」でもう一度ちゃんと生きようと決意を改める。

 

そして終盤、ひな子は生と死の境界を越え、「波乗り」をする。

 

急:きみと、波にのれたら

そして終盤、DQN達のせいで大火事になった建物に閉じ込められるかな子と洋子。

ここから本作の最大の目玉である建物からの波乗りによる脱出シークエンスが始まる。

ここで重要なのはみなと君はあくまでひな子が自分の力で切り抜ける事が出来る環境作りしかしていないという事。

建物に広がった火を彼の水が消していき、そしてその波に乗ったひな子が洋子と共に地波乗りで地上を目指す。

命を落とし、「水中」にしか居られなくなってしまった彼は、ひな子に自分に依存するのではなく自分の波に乗って生きて欲しいと願い、そして手助けをした。ひな子はそんな手助けを受けながらも自分の力で波乗りをし、「水中」と「大気中」、「生」と「死」の境に乗り、洋子と共に波のりに成功する。そして自分の中にあるみなと君の死という大きな喪失はそうそう乗り越えられるモノではないし、忘れる事なんて出来る訳もないが、それでも「波にのる」ように前に進む道を選んだという事なんだと思う。

 

最後に

最初にも書いたが本作は非常にまっすぐなお話になっており、意外な展開とかそういうのも全くない。

ひな子がみなと君を救ったという事も観客は初めの初めに何となく分かるので「やっぱりな」以上の感想も出てこないが、それでもそのまっすぐなお話に私の心は感動してしまう。後、ひな子の声優を演じている川栄李奈さんが本当に上手い。本職声優でも普通にやっていけると思う。

個人的にはこのままひな子さんは独身のまま後輩の憧れの格好良い先輩ライフセーバーとして活躍しながらもふとした瞬間、みなと君を思い出し暗くなり、そんな所を一人の後輩(女性)から心配されるそんな展開になって欲しい。

この映画を観てひな子を嫌いになる人なんていないと思うし、幸せになって欲しい。

ただ、これまでの人生、何の努力もしてこなかった陰キャな私にはあまりにも強く優しく輝いた彼女達の物語という大波にのまれて死にたくなってしまったので、陰キャは波にのまれないように踏ん張って鑑賞しろよ!!!

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