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この世に黒歴史なんて存在しない。シリーズ総決算『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』レビュー

妖怪ウォッチシリーズと言えば、2014年頃に「妖怪メダル」が大人気となり、どこに行っても売り切れとなる状態が続いたことで、広くその人気が認知されることとなったレベルファイブによるコンテンツだ。ただ、2018年から開始したアニメ新シリーズの「シャドウサイド」で主役が変わり、妖怪も怖くなり、ここから迷走していると言われだした。ちなみにこの「シャドウサイド」はもう終了しており、今はケータくんが主役に戻っている。

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↑シャドウサイドのジバニャンただただ怖い。

 

映画も最初は78億以上の興行収入を叩き出して、あのスターウォーズ新作と興行収入で良い勝負もしていたが、過去編となった『妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』では内容自体は良かったのに12億程度に落ち着いてしまった。

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正直、「妖怪ウォッチシリーズ」はシリーズ展開が本当に下手で、今まで迷走したモノを黒歴史として無かった事にする選択肢もあったはずだが、日野社長は新作ゲーム『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』でそれらすべて肯定した上で、更にその先に行こうとする事に完全に成功し、今までの作品や、それを観てきたり遊んできたファンの存在を肯定し、またシリーズを追ってきた事を感謝されてるようで、どうしようもなく優しい気持ちになれるそんな素晴らしい作品になったと思う。

前置きが長くなりましたが、そんなシリーズ総決算である『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』の感想書いていく。

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 ノスタルジーでありながらハイクオリティな日本の街の探索

今までのシリーズと一番変わった点はやはり、対応ハードが3DSからSwitchになったことで大幅にグラフィクがアニメ調になり、一部イベントシーンではもはやアニメと勘違いしてしまうほどだ。

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↑今作もジバニャンは大変可愛いが、相変わらずゲームだと後半霊気が消える

 

そして何より、そんなグラフィクの進化による恩恵が貰えるのがフィールド探索である。探索したり買い物をしてみると、ますます身近でリアリティあるだけではなく、暖かい空気で僕たちを包んでくれる事がわかる。過去作品と同様に、コンビニやパン屋やラーメン屋など、日本のどこかにありそうな街がそこにはある。

僕たちは自転車や徒歩でその街を自由奔放に移動する事が出来る。子供が楽しめるだけではなく、大人もあの時体験した一夏のノスタルジーを感じることができるだろう。また、街の探索には沢山の遊び要素が詰まっている。

分かりにくい場所に隠された「宝箱」「ミツマタマーク」「写真のポイント」

サーチすることで見つかる「妖怪」「妖気汚染」「アークのトビラ」

いたる所に落ちている「食べ物」(拾って食べて大丈夫なのか心配になる奴は多い)

そして、数多く用意された「サブクエスト」

フィールドには数え切れないほどの遊び要素が詰まっていて夏休みを満喫出来る。

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 今回、街並は広く、また、現在、過去、未来、異世界と移動出来る範囲が多く迷いそうなものだが、目的地へのナビゲーションを、「ナビワン」という青い子犬の霊体が案内してくれる。次の目的地がわからなくなった場合は、このナビワンについていけば、たいていの場合簡単に進行するし、「オート」機能を使えばコントローラーに触れている必要すらない。楽ちんだ。他ゲームと安易な比較はしてはいけないが、僕が同時にやっていた『じんるいのみなさまへ』でこのオート機能本当に欲しかった。本当に欲しかった。

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しかし、この子犬、完璧という訳ではなく「特定のアイテムを持ってこい」的なクエストになると空中を見つめ、動かなくなってしまう。

そしてプレイヤーもどこにそのアイテムがあるのかなんて把握している訳ないので大変迷ってしまう。基本的にユーザーに優しいこのゲーム、所々ユーザーを突き放すので中々困惑する。

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また、「うんがい鏡」というワープ機能もあるが、「うんがい鏡」が設置されている所しかワープ出来ない不便さがあり、「うんがい鏡」を設置している所が絶妙に少なく、歩きを強制される。ここらへん地味に辛い。

アクションRPCになった戦闘システム

作品を重ねる毎に戦闘システムが変化していく「妖怪ウォッチ」シリーズ。

今作では同じレベルファイブ作品である『二ノ国II レヴァナントキングダム』と同じような戦闘システムはアクションRPGになっている。

フィールドは戦闘時も範囲内であれば自由に移動することが可能で、ボタンを押すことで敵に直接攻撃したり、回避する事が出来る。と言うか殆ど『二ノ国II レヴァナントキングダム』と変わらない。また、指示するだけだった妖怪ウォッチ使い(=プレイヤー)も、戦闘に参加するようになった。

妖怪ウォッチ使いは最大6人で、それぞれ個性が違うので使い分けながら戦うのが勝利へのコツだ。ちなみにケータくんはつらぬきスパイラルで遠距離から攻撃するのがとても強い。

妖怪集め

本作では妖怪を集める手段はガチャなど複数用意されているが、ストーリーを進めるだけならば、イベントで入手できる妖怪のみでエンディングまでクリアは可能だ(というかストーリーでゲット出来る妖怪が強い)レベル上げの必要性も特に感じることはなかったし、装備品を揃えたりウォッチスキルの割り振りが不十分でも問題ない。難易度は全体的に低いのでゲームがニガテな人にもお勧め出来る。

今作の新要素に「魂カツ」というシステムが導入されている。

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魂カツでは、集めた妖怪の魂と交換で妖怪たちを仲間にできるシステムだ。魂にはレア度に応じて白・赤・金の3種類があり、これらは主に戦闘で収集する必要がある。戦闘で倒した妖怪が一定確率で「こんすい」状態になり、この状態の妖怪を時間内に「魂スイトール」すると、3種類の魂のうち1種類の魂を吸い取ることができる。

ただ、これが非常に面倒で、レアな妖怪はそもそも戦闘のチャンスが少なく、例え戦っても「魂スイトール」出来るとは限らない。更に何度も何度も戦う必要があるため、何時間もかかる事がある。戦闘自体はオートに出来るが、オートだと「魂スイトール」をしてくれないという不便仕様なのも辛い。

また、ポケモンシリーズでも言えるが、初Switchなので今まで600種類以上いた妖怪の数も今作では100種類ほどに留まっており、代わり映えしない妖怪との戦闘が何度もある。ただ、どの妖怪も細かく作られており、一つ一つの動きを観ているだけでも結構楽しい。格好いい妖怪はより格好良く。可愛い妖怪はより可愛く。不気味な妖怪はより不気味になっている。これからのシリーズ展開に注目だ。

 

シリーズ総決算のストーリー

本作はストーリーはケータの視点から始まるが、今まで独立していた「シャドウサイド」の時代や「映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS」の時代に行き来する事が出来、交わる事がなかったキャラクター達が遂に交わるのが最大の売りだ。オールスターである。集結したウォッチ使いたちがそれぞれ活躍しながら世界の危機を救う様子は、最初は街に流れる噂の解決というスケールなのだが、ドンドン盛り上がっていきスケールも拡大し、最終的に世界を救っていく。時間モノなので、未来で過去に女性に告白しなかった事を悔やんでいる男性の為に過去に戻り勇気を与え、未来に戻るとその女性と結婚しているというタイムパラドックスを普通に起こすが、連鎖反応によって宇宙連続体が崩れて、宇宙全体が破壊されてしまったり、破壊は一部だけにとどまり、我々の銀河だけ爆発する事に済むかもしれん的なドクが心配するような事は特に起きない(ネタは古くない)

 

映画では90分という枠では登場人物の心情など消化不良感が残った「映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS」も、今作を遊ぶ事で色々知ること出来てもう一度映画を見たくなる。また、「シャドウサイド」は今作のメインだと言っても過言では無く、キャラ一人一人深い掘り下げがあり、最初はなんだこいつら美味しいところばっかり奪いやがって、早くケータくん出せよと思っていた心もまぁこいつらも別に悪くないなと思うようになったし、ケータくんも本作では後半ある人物の加入でずっとニヤケっぱなしである。ケータ君自身はあんまりストーリーに絡んで来ない感あるが、滅茶苦茶幸せそうなのでOKです。

最後に

妖怪ウォッチシリーズも何だかんだ長いシリーズとなり、試行錯誤もあり、一見迷走しているようにも見えたが、本作でシリーズを遊んできてよかったという優しい気持ちになるし、シリーズ初見の人にも登竜門的立ち位置でも面白い絶妙なバランスのゲームになっていると思う。難点があるとすればちょくちょくフリーズする事と、ロードが少し長くてもしかしてフリーズしているのではと心配してしまうことだ。ここら辺はアプデで早めに直して欲しい所。また、クリア後のやりこみ要素が今までのシリーズに比べて少なめだが、予告でもある通り、これからも新規エピソードが配信されるらしいのでその点も楽しみだ。

今までは妖魔界などの横軸の移動が自由だったのに加えて本作では未来と過去の縦軸の移動も自由になり、もはや何でもありの圧倒的に自由な世界観となった妖怪ウォッチシリーズ、これからどのような物語を見せてくれるのか、展開が楽しみだ。

 

夜、家を飛びだして自転車で駆け巡るあの感覚は昔を思い出して少し泣けてくるので是非、1度遊んでもらいたい。

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