"なぜエルサは特別な力を持っているのか?”
これが本作『アナと雪の女王2』の主題なのだが、正直に言うと前作大好きな私でもそんな興味惹かれるテーマではなくて、「前作が超大ヒットしたので後付後付で設定加えました」感がどうしてもあり、最近のディズニーピクサー続編映画である『シュガーラッシュオンライン』と『トイストーリー4』が個人的に鑑賞後とてもモヤモヤしてしまう出来だったので本作が合うかどうかとても気になっていた。
ただ、観てみると
『アナと雪の女王2』観た。
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2019年11月22日
ストーリーとテーマ性を隅っこに置く代わりにエルサのバトルアクションとミュージカル要素がアホみたいに詰め込まれてて、ドラゴンボールの映画とディズニーが悪魔合体したみたいで完全に好みな映画だった。 pic.twitter.com/xysGiXU9qt
好きな映画でした。
続編というよりファンディスクみたいな映画だったけどそこ踏まえても良かった。モヤモヤするような続編があっても良いけど、やっぱりこういうので良いんだよ。例え批評家の評判が良くなくても、ファン優先の作品があっても良いと思う。
そんな『アナと雪の女王2』の感想をネタバレありで書いていきたい。
アナと雪の女王2のあらまし
- 両親の事故から6年経っている為、前作から3年後が舞台。アナ21歳、エルサ24歳で二人とも成人している。
- アレンデールの女王として活躍していたエルサだったが、「真実の愛」を見つけ覚醒したエルサに四大精霊も反応したのか、アレンデールが謎の自然災害に襲われる。
- アレンデールを救うためには「過去の間違いに決着をつけなかればならない」と言われ、エルサ、アナ、クリフトフ、スヴェン、オラフは北方の地へ旅に出る。
- エルサ達は、風の精霊と火の精霊を鎮めると、ノーサンドアとアレンデールの兵士たちに出会い、過去の歴史を聞く。実はエルサ達の母はノーサンドアの住民だった。
- 自然霊とともに生きるノーサンドアとアレンデールが祖父の代に衝突
- 怒った自然霊の力でノーサンドアは30年以上閉じた土地になっている。(エルサがいると入れる)
- 当時の王子(エルサ達の父)を助けたノーサンドアの娘がエルサ達の母。良い事をしたので褒美で自然霊からエルサを授かる。
- 水の精霊とバトルの末、手懐けたエルサは海を渡り全てが記憶された氷河の洞窟がある北の果てアースハランへ行き、真実を知る。実は友好の為に作られたダムは精霊の力を弱めるためエルサの祖父が暗躍したモノであり、その結果、自然は傷づいている。
- そこでエルサは超サイヤ人3化を果たす。
- エルサの氷メール(物理)で真実を知ったアナは、大地の精霊をけしかけて揉め事の発端となったダムを破壊。
- 自然の怒りは収まり、ノーサンドアは開放。アレンデールもエルサの力と自然界の許しをもらい無事。
- エルサは実は第5の精霊で、自然界と人間界を繋ぐ存在だった。
- エルサは女王を引退し、ノーサンドアで自然と共に生きる道を選択。アナが代わりに女王に。クリフトフはアナへの告白が成功し、玉の輿(羨ましい)
「水には記憶がある」が本作のもう一つのテーマ。
変わらないモノはない。今が永遠だと思わず常に備えておき、どうすれば良いのか分からなくなったら、今出来る最善の事を一つ一つ前進するのが大事だとアナはノーサンドアの住民から教わり、実行する。
アレンデールの生活は皆がいて幸せで、そんな日々がずっと変わらない事を望んでいたけど、結局は川の流れのように変わっていくモノである。
ただ、変わっていってしまっても「水には記憶がある」ように人は思い出を思い出す事が出来る。忘れない事が出来る。そしてそんな想いを抱いたまま、一歩一歩前進する事が出来る。それが何よりも大事だと教えてくれる。
本作に出てくるダムはそんな流れる水を塞ぎ止める存在であり、エルサとアナがダムを破壊したのは、変化する事を受け入れる決意の証だと私は感じられた。
エルサ自身、良き王として頑張っていたアレンデールの女王ではなく、ありのままでいられるノーサンドアで暮らす事が出来たのは良かったなと。映画観ていて思ってたけど、あんまり女王をしたいタイプにも見えなかったし。
また、本作の一つの見所がオラフだ。
声優がピエール瀧さんから武内駿輔さんに変わったけど、本当に良かった。ピエール瀧さんが演じたオラフまんまで、変わったと気づかない程だ。
本作はイケメンボイスからモノマネまでオラフの独り芝居が多いのだが、多種多様な声質を見事に演じていて、演技の幅が凄い!ってなる。
音楽
本作は前作以上にミュージカル度が上がっており、「歌うか」「戦うか」の2つの要素でこの映画は構成されている。
ミュージカルしているか、アクションしているか、ミュージカルしながらアクションしているか。こんな流れなのでまぁ眠たくならない。唯一、クリストフによる昔のアメリカンポップスバラードPV風ミュージカルが長過ぎて世代じゃないと眠たくなるぐらいだ。
前作からそうだがクリストフの活躍してそうでそんなに感は本作でも健在だ。
ただ正直、前作の「レット・イット・ゴー」程、キャッチーで人気出そうな曲はなかったなと思う。公式的には『イントゥ・ジ・アンノウン』を推してるけど「レット・イット・ゴー」に似すぎていて個人的にはあんまり。
個人的にはShow Yourselfの方が好き。
Idina Menzel, Evan Rachel Wood - Show Yourself (From "Frozen 2"/Lyric Video)
最後に
日本だけでも興行収入255億円を突破し、世界中で大ヒットした前作からの本作。
価値観のアップデートが大好きなディズニー製作なのでもっとテーマ性とかを押してくるのかと思ったが、そんな事なく。過去作を現代的価値観で否定される事もなく。どちらかと言うと前作ファンがより楽しめるファンディスク的続編だった本作。
色々な続編の形はあるけれど、最近劇薬の様な続編が続いたので本作を鑑賞して、心の底からこういうので良いんだよと思ってしまった。
また、海外でエルサとアナが「同性の恋人」になるのを一部から求められていた事もあり、最後にアナとクリストフがきっちり付き合う流れになるのは少し驚いた。
「真実の愛」は、必ずしも異性間や恋愛をしている人物たちの間にだけ生まれるものではなく、姉妹であるエルサ&アナのように、家族や友人など、お互いを思いやる者同士の間にも存在するが、そういう愛とクリフトフを想う愛って決して対立するモノではないし、共存出来るモノだと想うので、エルサとクリフトフ、スヴェン、オラフ皆それぞれの愛の形を抱きしめながら生きていく。こういう終わり方に私は納得出来る。
最後に一言。
ハンスの扱い悪すぎない!?

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