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『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』感想。ヒロアカ最終回やん!

爆豪というキャラが人気なの奇跡だと思う(あいさつ)

一話でデクをイジメており(しかも結構陰湿)ヒーロー科の生徒になった後も高圧的で短気で偉そう。

しかし、そんな普段はパーフェクト才能マンでツンケン性格クソ煮込みなのにオールマイトにガチで憧れており、見えない所で必死にもがいている。

 

正直に言うと、少年漫画を20年以上読み続けている少年漫画マスターである私はその選球眼にかけて爆豪勝己は『NARUTO』のサスケのようにヴィランに闇落ちすると思ってた(もしくは洗脳される)

なぜなら憧れだったオールマイトに選ばれたのは自分より落ちこぼれだと思っていたデクだからだ。

下から抜かれるかもれない焦りや嫉妬が爆豪勝己を闇落ちさせる。よくある展開だ。

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(C)僕のヒーローアカデミア 10巻

 ただ、そうではなかった。爆豪勝己というキャラはデクという主人公を持ち上げる為の当て馬でも、デクの実力の成長具合を図るための木でもなかった。

もう1人の主人公だったのだ。

彼は確かにオールマイトに選ばれなかった。

だか、だからこそ彼はそこから立ち上がって、かつての憧れすら超えて自分の力で勝っていく。それこそが爆豪勝己

選ばれた者と選ばれなかった者。

最初の個性の力関係、無個性だったデクと強い個性をもったバクゴー。そういう関係性は今は逆転してしまっていてあまりにチートなOFAを持つデクとそうではないバクゴー。

でもそれでも爆豪勝己は腐る事なく、自己研鑽を続ける事が出来る人間なのだ。

少年漫画でここまで湿度の高い関係性も珍しい。

 

そんなデクとバクゴーの本編でも中々観ることが出来ないコンビプレイを堪能できる本作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』の感想をネタバレありで書いていきたい。

「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」オリジナルサウンドトラック

原作 堀越耕平。 監督 長崎健司。 脚本 黒田洋平 アニメ製作 ボンズ

 メインヴィラン ナイン

f:id:Shachiku:20191222102859j:image(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平集英社

映画を観ただけだとこのナインについて理解するのは情報が少なすぎて不可能だと思う。「弱肉強食」連呼する志々雄真みたいなヤツだなという印象ぐらいしか持てない。

個性は最大9つまで持てるとの事だが、奪おうとした細胞活性(B型)とOFAも奪おうとしたので作中は7つ持っていた可能性がある。

  • 気象操作(本来の個性)
  • 爪弾
  • バリア
  • 青い使い魔召喚
  • 衝撃波
  • 個性を見破る
  • 細胞活性(A型)

である。意外と奪った個性は小物が多い印象だが、本来の個性である気象操作が強すぎる割に大技なので、小回りきく個性を選んだ感じに思える。

 

付録のコミックで堀越先生が前作の映画の反省を踏まえて印象に残る敵を考えたと書いていたが、あまりにも描写不足で正直あんまり印象に残らないかな、滅茶苦茶強いなという印象は確かに残ったけど。仲間の狼キメラは堀越先生の獣人ラブを感じられてよかった。

 

バクゴーの扱い。

バクゴーはツンの塊であり、デクにデレない。たまにファンサービスを勘違いした脚本化がバクゴーをデレさせようとするが、解釈違いだやめろ。

それでは本作ではどうだろう。

 

最初のデクのピンチに駆けつける時も、あくまでヴィラン狙いであり、デクには目もくれない。そうだよ、それだよ。それこそがバクゴーだよと唸る展開である。

その後の共闘で、吹き飛んだデクを手に掴んで救った時も、その後デクをぶん投げて武器として利用する。そうだよ、それだよ。それこそがバクゴーだよと唸る展開である。

 

ただ、それでもナインが強すぎるのでピンチになっていくと自然に共闘するカタチになる2人。そんな時でも「くそっ!自分を曲げてデクと共闘までしてんのに!」というセリフが入る。そうだよ、それだよ。バクゴーは「勝つために」最善の行動が出来る男なんだよ。その後も、攻撃するデクと真幌をお姫様だっこして救うバクゴーという本来とは逆の行動もきちんと取れる。

全体を観て、冷静に行動する事が出来るのがバクゴーなんだなと。

OFAの譲渡

初見時、これ映画でやっちゃっていいの!?と驚いた最後の展開。

強すぎるナインに絶体絶命のデクとバクゴー。状況を打破するためには方法は一つしかない。それはデクのOFAをバクゴーに譲渡する事だった。

オールマイトがOFAをデクに譲渡した後の残り火ですら驚異のパワーだったので、理屈としてはデクのOFA火力二人分+バクゴーの本来の火力という確かに強すぎる方法ではある。ただ、それはデクのOFAとデクの夢の消滅に他ならない。

確かに残り火でオールマイトがあんなに強いなら、OFAをどんどん譲渡してヒーロー全員(若しくは1年A組全員)が最終決戦でOFA化もアリだと思ってたんですが、この映画でやったのでそれも無さそうですね(少年漫画マスターとは)

 

最後の戦闘も変な歌をバックに壮絶作画によるスーパーサイヤ人化した戦いが行われている訳ですが、脳内ではこの後どうなっちゃうの!?デクどうなるの!?という疑問で頭がいっぱいである。もっと盛り上がるBGM使えよ。という僅かなツッコミしか頭に出てこない。

 

そして最後、どう落とし前をつけるのかなと思ったら

「奇跡が起こってOFAは完全に譲渡されなかった、因みにバクゴーは記憶もないよ」

 

ズゴー!

 

流石に椅子から転げ落ちそうになった。

今どき、奇跡って。ドキドキ返して。

ただ、特別冊子のインタビューを読むと堀越先生はしっかり理由を考えているようで安心した。今回、OFAに宿る先代達の意思で不成立になったと。

ただ、やはり映画だけだと「OFAの奇跡」で済まされたように見えてしまうのは一本の映画として如何なものかと思ってしまう。

バクゴーの記憶なくなるという展開にするぐらいなら、戦いの後、バクゴーは自分の意思でデクにOFAを突き返して「そんなもん無くても俺はNO.1になるんだよ!」ってキレて欲しかったな。もしくは、映画というパラレル展開なんだから、割り切って、デクはOFAがなくなり無個性のヒーローとして再スタートみたいな終わり方でも良かったと思う。「OFAの奇跡」ってなんだよ。

 

最後に

本作は「1年A組全員活躍」らしく、活躍度度合いはあるものの、本当にみんな活躍していましたね。

特に瀬呂くんです。

f:id:Shachiku:20191222102414j:image(C)僕のヒーローアカデミア 4

全国にいる10人程度の瀬呂ファンのための映画と言っても過言ではない。

殆どスパイダーマンのように活躍する彼はアニメ作画的に動かしやすいのかグリグリ動いて活躍していた。時代は瀬呂くん。

逆に唯一の活躍がカラスだったため、常闇くんが助けてくれたのか勘違いしそうになる口田くんと、OFAの劣化にしかみえない佐藤くん、活躍しそうで全くない葉隠さん。辺りは今作でも残念である。いつか活躍して欲しい。

 

最後になりましたが、これらかデクとバクゴーがどのような関係性になるのか、本作以上の共闘があるのか、ハードルがグイグイ上がり続ける映画だったのは間違いない。

湿度が高い展開に定評がある堀越先生によるこれからのヒロアカが楽しみだ。

 

 

 

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