三大人気作だけど結末を知らない漫画
(『犬夜叉』もランクインしてたけど、続編である『半妖の夜叉姫』が放送されて結末を知った人も多いので卒業)(僕の脳内調べ)
特に『銀魂』は彼が登場する回にハズれなしと言われた将ちゃんが退場する「将軍暗殺篇」に端を発する「さらば真選組篇」、「烙陽決戦篇」、そして大トリにあたる「銀ノ魂篇」とこれまでとは一線を画するシリアスな展開が続き、物語上重要な伏線の回収が相次いで完結に向かったものの、『ONE PIECE』のように2年後が舞台になったりしてこれまだまだ終わらねーなって思っている中、2018年8月20日に発売された週刊少年ジャンプ38号で
「銀魂」あと5話で完結!
と告知された。
100%終わる終わる詐欺じゃん……と多くのファンが思っただろう。
僕もこんなん「よっしゃあああツッ!THE ENDォォ!!」しない限り終わらないじゃんと思ってた。
(C)「タカヤ-夜明けの炎刃王-」
案の定「ページ数が足りん」という展開になり、「俺達の戦いはジャンプGIGAからだァァ‼」と銀時が叫んで終わるという、安定安心の「終わる終わる詐欺」で週刊少年ジャンプからは突き抜けたのだった…
(C)『銀魂 』77巻
「最終回の向こう側」であるジャンプGIGAでも終わらず「銀魂公式アプリ」で完結するという事態に。
『銀魂 THE FINAL』のラストでの3年Z組銀八先生コーナーで原作者の空知先生が、こういった終盤のグダグダ騒動について「SEKIROやってました」と釈明しており、納得しましたね。葦名弦一郎相手なら仕方ない。(SEKIROネタ、あんまり劇場で伝わらず滑り気味だったのが悲しくなった)
ここら辺のグダグダな紆余曲折の展開や、ギャグが好きなのにシリアス一辺倒になって読まなくなった層、そもそも77巻まで続く話の長さに脱落した人などがいて『銀魂』の最終回知らないという人も多いだろう。僕も単行本で一気に読むと楽しいけど、毎週毎週ジャンプで読むのは辛い時があった。
そんな三大人気作だけど結末を知らない漫画から卒業できるきっかけになるだろう映画『銀魂 THE FINAL』の感想をネタバレありで書いていきたい。
【原作】空知英秋【 監督、脚本】宮脇千鶴 【原作】空知英秋
【監修】藤田陽一【キャラクターデザイン、総作画監督】竹内進二
【主題歌】SPYAIR「轍~Wadachi~」【挿入歌】DOES「道楽心情」
【アニメーション制作】BN Pictures
あらすじ
地球滅亡までのカウントダウンが迫る中、かつての盟友である銀時、高杉、桂は、それぞれの思いを胸に奔走する。そんな銀時たちの前に立ちはだかったのは、星の生命力“アルタナ”のエネルギーで生まれた魔人、虚(うつろ)。長い年月をかけて生まれ変わりを繰り返してきた不老不死の化け物、その中でつかの間に現れた人格が、かつて松下村塾を開き、幼い銀時たちを教え導いた師匠・吉田松陽だった…。
銀時たちを援護するべく、新八と神楽、さらには真選組やかぶき町の面々、かつてのライバルたちも立ち上がる。
巨大化してゆく虚の力。己の命をかけて対峙する高杉。
ぼろぼろになった銀時が最後に見たものとは…!銀時は果たして、すべてを終わらせることができるのか…!
予習は必須
今回の『銀魂 THE FINAL』は原作の77巻、つまり最終巻のジャンプGIGAの移籍した時同様にドラゴンボールオマージュ展開からそのまま忠実な形で完結まで映像化されている。
一応、今までのあらすじはあるけれど、それだけだと完璧には楽しめないし分からない点も多いと思う。100%楽しみたい人は77巻のジャンプで連載してた分まで読んで欲しい。少なくとも登場人物は網羅してないと銀時のピンチに登場するキャラクターの時に「だれだれだれだれだれ」「????????」って混乱すると思う。
あとアルタナと虚という本作の重要な設定について、「そういうモノ」で流せる人なら問題ないがハッキリ分からないと喉仏に骨が刺さったような違和感を感じる人は予習はいると思う。個人的一番分かりやすかった空知先生による解説を引用する。
(C)『銀魂 』66巻
『銀魂』って名前だけ知っているけど全然詳しくない人がこの映画を観るのはMCU全然知らない人がいきなり『アベンジャーズ エンドゲーム』を観るようなもの。
『鬼滅の刃』で「無限列車編」だけ観た人が「無限城編The Final/The Beginning」の前後編映画を観るようなもの。
それはそれで楽しめるかもしれない。
奇跡は起こらない
今回の『銀魂 THE FINAL』の中心、そして『銀魂』という作品を通してあるのは、やはり銀時と高杉2人の物語、その因縁とすれ違い。
銀時達はかつて捕まった松陽を助けようと奮闘したが、桂と高杉が幕府側に捕縛され、銀時は「仲間を斬るか師を斬るか」の選択を迫られる。
銀時は松陽が寛政の大獄で捕縛される時に交わした「皆を守る」という約束を守る為、松陽の首を斬った。
高杉は自分が捕まった事で松陽先生を死なせた事だけでなく、友であった銀時に、処刑という行為をさせてしまった事を後悔してきた。
銀時は先生を殺した事、高杉との「師を守る」という約束を守れなかった事に苦しんできた。
この2人は侍として互いに大切な人を失い大切なものを護れなかった者同士、いわば「もう一人の自分」であり、万事屋として吞気のように生きているように見える銀時。その一方で世界を赦せない高杉とすれ違っているようにも見えるが、「俺にはお前が お前には俺がいる」という高杉の言葉に表せるように、お互いの痛みを誰よりも理解して、その上で戦っていた。
そして『銀魂 THE FINAL』
紙切れみたいな厚さになる高杉を筆頭に作画が怪しい所があったり、
スターウォーズかな?って思うぐらいぶら下がり演出があったりしたけれど
銀時と高杉、そして桂について熱く描かれている。
高杉はそのほぼ不死身になった身体を利用し、またはそれ以上に「自らを犠牲にする戦術」を何度も使うし、一方の銀時はかつて松陽先生と約束した「仲間をみんなを護ってあげてくださいね、約束…ですよ」を守るため、友のため、そんな高杉を「護ろう」とする。
最後、虚に身体を支配された高杉と銀時の最後の戦いが始まる。
ここで凄いのは「銀時対虚」というよくあるラスボス戦の中で、「銀時と高杉対虚」と「銀時対高杉」を同時に演出している事だと思う。
虚に身体を支配されながらも意志は途絶えず、高杉は銀時に刀が当たらないように虚の邪魔をする。
銀時が護りたかったのは高杉で、高杉が護りたかったのも銀時だった。
そして虚との戦いの中で高杉との思い出が、戦いがリフレインしていく。
その中で銀時は虚に勝つ。
これは奇跡じゃない。
何回も何回も銀時と高杉が喧嘩して
何回も何回も闘って勝って負けて
何回も何回も後悔して落ち込んで悩んで
その歴史。
虚は銀時の戦い方を知らないが
銀時は虚の中にいる高杉との戦いを熟知している。
なぜなら高杉247勝 銀時246勝するぐらい長い長い喧嘩の歴史があったからだ。
その差。
だからこそ勝てたのだ。
倒れる高杉に駆け寄る銀時。
高杉の片目が潰れた時に見た最後の光景が師を斬り、哀しく虚ろな目をしていた銀時だった。
右目も閉じる時にそんな顔は見たくないと告げる高杉。
それを聞いて「地獄で首洗って待ってな高杉」と泣きそうになりながらも笑う銀時。
なんだこの関係。
そして屋形船で酒を酌み交わす幻想シーン…
まさか銀時は高杉と桜舞う屋形船で二人きりで飲みたかったとは思わなかった。
そして幻ですら酒を断る高杉。ブレない男である。
交わりそうで交わらないもどかしさ
仲良くなりそうで仲良くなれない不器用さ
それでもあのシーンで少しは銀さんの望みが叶ったようで僕は嬉しかった。
最後に
漫画は完結しているけれど、映画は所謂お祭りのようなモノで、15年という長い長い年月を共に駆けてきた作品の終わりをみんなで楽しむようなもん。15年なんて人生の一部で割り切るには大きすぎる。身体をゴリラに支配されるようで怖いが、みんなでウホウホ楽しみたい。
特にラストのギャグパートはこんなご時世だから我慢しそうになるけど、マスク越しでも飛沫が出そうになるぐらい笑い声が聞こえる劇場は今しか味わえない経験だと思う。
終わりそうで終わらないグダグダさも含めて銀魂らしい良い映画だったと思う。
最後に一言。
『だんでらいおん』もアニメ化して欲しい!!!!!!!!!して欲しくない!!??