映画館に独りでプリキュア観てたら、予告で『CATS(キャッツ)』の映像が流れた時に「怖い〜」って泣き出した子供が結構いて、そりゃ大人でも不気味と思うから子供が泣くのは仕方ないよなと納得し、こういうのが好きな欧米人の感性ってやっぱり日本人とは違うモノなんだなと思っていたら、「未知のジャンルのポルノ」「恐怖と忍耐のテスト」「犬の誕生以来、猫にとって最悪の出来事」「FBIが劇場に乗り込んできそう」と欧米でも滅茶苦茶酷評されており、お前らも駄目なのかよ!!!とツッコミを入れたくなった問題作『CATS(キャッツ)』の感想をネタバレありで書いていきたい。
概要
全世界累計観客動員数8100万人、日本国内では公演通算1万回突破するなど、1981年のロンドン初演以来、今なお世界中で愛され続けているミュージカルの金字塔『キャッツ』
ノーベル文学賞の受賞履歴を持つイギリスを代表する詩人トマス・スターンズ・エリオットの詩集を元に『オペラ座の怪人』で知られるアンドルー・ロイド・ウェバーが作曲を手掛けた作品が、『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』などで有名なトム・フーバーを監督に映画化。ただ、いざ『キャッツ』が公開されると、それはもう酷評のオンパレード。あまりにも酷評過ぎて、逆に気になった人も多いと思う。
酷評の一番の理由は「不気味さ」
舞台だとメイクと化粧でなるべく猫に似せようとしているのに、映画ではCG処理で「毛並みは猫なのに体型と顔は人間」というアンバランスさがこの恐怖を作っているのだと思う。
あらまし
満月が輝く夜。
若く臆病な白猫ヴィクトリアが人間に捨てられたのはロンドンの片隅にあるごみ捨て場。そこで出会ったのは、人間に飼いならされることを拒み、人生を謳歌する強靭な精神で生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。
今夜は、天上に上がり、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる「舞踏会」の開催日だった。
そこでヴィクトリアは手品師の猫、ぐうたらの猫、天の邪鬼な猫、鉄道猫、お金持ちでグルメな猫、芝居猫、不思議な力を持つ長老猫。
様々な猫に出会い、ヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
しかし、その「舞踏会」でマキャヴィティという神出鬼没で悪事の限りを尽くす雄猫は、自分が選ばれ、天上に上がる為に次々に他の参加者達を捕まえる。
最終的には長老猫を捕まえ、自分を選ぶように脅迫する。
しかし、手品師の猫の魔術で脱出する事が出来た長老猫は最後にやって来たグリアベラの歌に感動し、彼女を選ぶ。
グリアベラは天上に上がり、マキャヴィティの目的は達成出来ず、最後は突然にデッドプールのように第4の壁を越え、 映画を観ている観客に長老猫が正しい猫の飼い方を説明して物語は終わる。
ツイッター感想
『キャッツ』観た。酷評されてるけどネコ好きだからという理由で見ると「猫以外」の存在で死ぬ「ケモナー殺し」の映画でもあるし、全体的に高熱でうなされた時に見る夢のような映像美だけど、だからこそ家で見ると辛いので強制的に映像に集中出来る映画館で観て自分を追い込んで欲しい。意外と良いよ pic.twitter.com/xiifvYFln0
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2020年1月24日
キャラクター紹介
ヴィクトリア (フランチェスカ・ヘイワード)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
不気味。
原作や舞台とは違うのは、本作が彼女目線だという事だ。
舞台ではオープニングから猫たちが客席から登場し、休憩時間も客席で遊んだりする。所謂「観客に向かって物語を伝える形式」で舞台と観客席が一体となっているのだが、本作では猫たちが新参者のヴィクトリアに向けてパフォーマンスを行い、それを観客がスクリーンを通じて観る形式になっている。
そして物語でも新参者であるヴィクトリアという「ジェリクルキャッツ」では異質な存在を固定概念のある社会がどう受け入れるのかがテーマであり、同じく居場所がないグリアベラと心を通わせていく現代的な物語となっている。
ただ、顔が怖いし、バレエシーンも怖い。笑顔も怖く、真顔も怖い。怖い。
グリザベラ(ジェニファー・ハドソン)
↑歌唱力お化け不気味猫©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
不気味。
映画だけ観た人が一番疑問に思うのが天上とは何なんかという事だろう。
端的に言うと「天上に行く=天国に行く」
キャッツはキリスト教ではなく、猫の世界の話だが、キリスト教の精神に基づいている話でもある。キリスト教では、死は神様の元に召されると言う意味で、喜びでもある。そのためには自分の罪を最後に告白する懺悔と神の元に行くための最後のお祈りが必要になるということ。
キリスト的に考えるとグリザベラはマグダラのマリアと同じで買春は罪ではあるけれど、死ぬ間際で真実を話し(歌い)、許されたのだと解釈している。
天上界に召されることは死ぬことでもあるが、同時に新しい命を得たという解釈も出来る。
オールド・デュトロノミー (ジュディ・デンチ)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
ただのジュディ・デンチ。
このキャラクターの名前の元ネタは、『旧約聖書』の『申命記(デュトロノミー)』で120歳まで生きたモーゼから引用されたと言われている。
最後、いきなり第4の壁を超え、スクリーン越しの観客に正しい猫の飼い方を説明する。
内容が猫にはトリュフやキャビアを与えろと言ってきて、庶民では猫飼えない疑惑を発生させ、観客を色々な意味で困惑させる。
猫の飼い方がこの作品で1番重要で伝えたかった事なのかもしれないが、いきなり観客に話しかけるな。
ガス( イアン・マッケラン)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
ただのイアン・マッケラン。
イアン・マッケランに「これでも昔はすごかったんだ。名優とも共演したし、当たり役もあった」と言わせるのがズルい。彼の芝居を観るだけでもこの映画の価値があるのかもしれない。長生きして欲しい。
ミストフェリーズ (ローリー・デヴィッドソン)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
可愛い(錯乱)
後半、手品師というだけで、どこに誘拐されたか分からないジュディ・デンチを呼び出してと真顔で無茶フリされる可愛そうな猫。
そんなどう考えても無茶フリに必死に応えようとする姿が愛おしい。
これに影響されて誘拐された人の親族から手品師に「救って欲しい」と依頼がない事だけを祈る。
ジェニエニドッツ (レベル・ウィルソン)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
不気味。
本作最大のグロシーンである人型ゴキブリの捕食シーンの実行者。
ゴキブリの行進は舞台にもあったが、まさか食べるとは。
ゴキブリも顔は人のため、『GANTZ』や『進撃の巨人』を見ている気分になる。どういう気持ちでこのシーンを作ったのか気になる。
マキャヴィティ (イドリス・エルバ)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
ただの全裸。
イドリス・エルバの良い体を堪能する事が出来る。
影響を受けたのはコナンドイルの『シャーロックホームズ』シリーズでお馴染みモリアーティ教授と言われている。
マンカストラップ (ロビー・フェアチャイルド)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
眼力が凄い。
最後、ジュディ・デンチが観客に訴えるシーンで、隣にいるロビー・フェアチャイルドの目でのリアクションが面白過ぎて、話がイマイチ入ってこないほどである。助演男優賞あるでコレ!
ボンバルリーナ (テイラー・スウィフト)
©UNIVERSAL PICTURES/EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES
ただの テイラー・スウィフト。
元々本人が猫っぽいため、本当にただの テイラー・スウィフトである。結婚したい。
最後に
あまり映画を観ない私の母親もこの映画を観たいと言うほど、『CATS(キャッツ)』は普段映画を観ない層にも有名である。
海外では爆死しており、日本で70億稼がないといけないと見たが、意外と日本ではヒットするのではと思っているが、甘いだろうか。
そもそも劇団四季のチケットは値段が高いのもあって、昔から憧れを持っている人も少なくないだろう。
ただ、正直に言うと、そんな昔からの憧れであった『CATS(キャッツ)』の初体験がこの映画で良いのかと悩む。
確かに意外とキャラクターの不気味さは段々と慣れてくるのだが、 全体的に映画としてうまく落とし込めていないというか、不気味さに慣れてくると今度は眠たくなるストーリー展開と演出の連続で、純粋に一本の映画としてそんなに出来が良くないのではと思ってしまう。
ストーリーは舞台もそんなに変わらないという意見もあるが、やはり演者の生の動きを堪能出来る舞台と違い、スクリーン越しにCG処理された役者の演技を観るのではどうしても受け取り方に大きな差が出てしまう。これはもう映画と舞台というフォーマットの違いなのでどうしようもないが。
私は歳をとった母親に、昔からの憧れだったこの作品をこんな形で体験してガッカリして欲しくないので、劇団四季のチケットをプレゼントしようと思う。
親孝行したい気持ちにさせてくれたこの映画に感謝したい。みんなも親は大事にしよう。
また、劇中で猫たちはマタタビを吸ってハイになっていたが、個人的には観客もハイになっていないと中々観るのが辛い映画だと思うが、逆に言うとハイになっていると滅茶苦茶満足するかもしれない。誰か試して欲しい。責任は取らない。
そして、まさかの天皇皇后両陛下と愛子様がこの映画も観て、絶賛しているという、物凄い付加価値が追加されてしまった。愛子様の感想ブログが読みたい。
愛子様パワーで目指せ!70億!と応援しながらこの記事を終えたい。
最後に一言、
こんなに記憶に残る映画は中々ないよ!
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