この映画の最大の見どころはエンドロールに流れる美術協力の多さと豪華さ。
『モンスターハンター』『バイオハザード』『ストーリーファイター』『戦国BASARA』『けものフレンズ』『コードギアス』『はたらく細胞』『ラブライブ』『鬼灯の冷徹』『とらドラ!』『文豪ストレイドッグス』『リゼロ』『ガルパン』『ポプテピピック』『おそ松さん』『ご注文はうさぎですか』、CAPCON、ニトロプラス、セガ、バンプレスト、、サンライズ、C2機関、バンナム、キングレコード、コエテク。
また、『FGO』や『デレマス』などもあり、これらの作品がコスプレやらグッズで作中で出てくるため、ファンは意外と楽しめるかもしれない。
私はイマイチ楽しめなかったけどな!!
そんな本作の感想をネタバレありで書いていく。
福田雄一にミュージカルは難しい
監督、脚本は今一番、日本のインターネットをざわざわさせることが多い監督でもある福田雄一。
実写『銀魂』の大ヒットから『斉木楠雄のΨ難』や『今日から俺は!!』など実写映画を撮る事が多いが、福田雄一色が強すぎて、原作ファンから怒られることは少なくない。
『銀魂』の時とかはまだ原作を尊重している感じはあったものの、個人的には『今日から俺は!!』があまりにも原作の良さをまるっと消していて、福田雄一怪しいなと思っていたが、本作でもまぁ~原作ファンが一番楽しめない出来になっていたのは間違いない。
実写化問題は難しく、「作品それ自体のクオリティ」と「実写化としてのクオリティ」が微妙に別問題であるため、ファンの間でも意見が違うことは多い。
例えば、実写ドラマの『ゆるキャン△』ではアニメをまるでそのまま実写したかのような作り方が原作ファンから大好評だが、個人的にはそれならアニメみたらええやんと思ってしまう。
この溝はおそらく埋まることはない。
では本作はどうなのだろうか。
この話をするためにはまず原作の話をしないといけない。
原作はふじた先生による漫画『ヲタクに恋は難しい』である。
この作品の魅力は人それぞれではあるが、個人的には主人公カップルと「最恐2トップ」と呼ばれる樺倉、小柳カップルとの掛け合いだと思っていたので、映画では4人揃うシーンが最後だけなのが悲しかった。
確かに原作と尺がある映画では物語が変わるのは仕方ないし、納得も出来るが、本作では原作カットした代わりに入るのが「ミュージカル」要素である。
この本作オリジナルである「ミュージカル」要素が約120分の中で70分ぐらいある。
これのせいで物語が犠牲になっており、ま~薄い。
佐藤二朗のいつもの「俺面白いだろう」ネタから始まるという考えうる最悪の掴みからスタートする本作だが、そのあとに始まる挨拶代わりのミュージカルシーンが割と良い。
OPの代わりかなと思っていたら、何か物語が進む度に挟まるミュージカルシーンの連続。
えっ待って、このミュージカルシーンいる?と戸惑ってしまう。しかも、微妙に長いやつも多い。予告でもミュージカル要素はあったが、まさかここまでがっつりミュージカルとは思わなかった。
ただ、本筋の物語を止めてミュージカルシーンが開始するので、テンポが死んでいる。
分断されていると言ってもいい。トランプ政権のような映画だ。
ミュージカル丸々カットしても物語には支障がない作りになっており、ますますミュージカルいる?って気持ちになる。ミュージカルが物語に落とし込めていない所が多い。
しかも、何よりこのミュージカル。別に出来が良い訳ではない。
確かにミュージカル劇出身の高畑充希さんの歌唱力や、菜々緒さんの胸が揺れるミュージカルシーンも最高だったし、斎藤工さんはすべてが最高で良かったし、意外と本作ではムロツヨシも佐藤二朗とは違って悪ノリが最低限で面白かったのだが、演者の動きがバタついていたりして、監督本人が言うように『ラ・ラ・ランド』に影響され、『ラ・ラ・ランド』みたいな感じになっているが、当然ながら『ラ・ラ・ランド』のクオリティでは全くないので、虚無である。
コメディシーンは役者の熱演と福田雄一節が相まって劇場が笑いで包まれるが、ミュージカルシーンで静まりかえる。
意味があるミュージカルではなく、ミュージカルやりたくて強引にミュージカルって感じになっており、本編とミュージカルの境がシームレスではなくミュージカルで曲始まる時と終わる時の繋ぎが下手くそに感じてしまう。
ミュージカル映画って当たり前だがミュージカルの出来が全てなのに、何というか全体的に安っぽくドン・キホーテ版ラ・ラ・ランドって感じだ(色々失礼)
オタク的演出
『ヲタクに恋は難しい』観た。
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2020年2月7日
ミュージカルオタク映画というお正月に実家に帰省して両親がいる前で、テレビから2次元色濃い目のソシャゲcmが流れた時のような何とも言えない羞恥心と気まずさが五臓六腑に染み渡り1人内心「はわわ」ってなっちゃう奴が2時間続くような新感覚エンタメ映画でした。90点 pic.twitter.com/ig0OlI8dEU
本作のオタク要素は
- いつの時代だニコニコ動画風の字幕演出
- いつの時代だ「藁」
- 心の壁をATフィールドで表現する
- 碇ゲンドウモノマネ
- ドラクエのゲーム画面演出
- 声優ライブに行きたくなくなる内田真礼のライブのオタ芸。
- 内田真礼のライブ後の自宅で山崎賢人が着ていた服がデレマスの神崎蘭子(CV内田真礼)だったのは良い
- マシュコスの人かわいい
- 「戦争なのよね」の元ネタを知らないという無駄にリアリティあるオタク
などなど、オタク的要素が多い。
製作にフジテレビが関わってるが、フジが考えるオタクのイメージが電車男から全く変わっていないのが分かってよかった。藁って何。
全体的にこのオタク要素、笑える人には笑えるんだろうけど、私は結構辛かった。
なぜなんだろうと考えると、私はオタク活動に一定の「恥らい」の精神を持っているからだと思う。
逆にオタク活動に誇りを持っている人がこの映画を観ると馬鹿にされていると思って怒るかもしれないし、オタク活動に楽しさしか持ってない人は思いっきり笑えるのもかもしれない。
この映画はもしかしたらオタク自身を映す鏡なのかもしれませんね(投げやり)
最後に
物語は別々の趣味を持つオタクが付き合い、オタク趣味的すれ違い、仲直りをするだけだ。
恋愛映画ってみんなそんなモノと言われたらそうだが…
また、本作ではゲームオタクである山﨑賢人だが、本作では恋愛に現を抜かし、あんまりゲームをしない。一日10時間ゲームをする本田翼を見習え。
一日10時間APEX遊ぶ本田翼さん、ハッキリ言って結婚してほしい #ぐるナイ pic.twitter.com/yxMeplpwfb
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2020年1月30日
オタクはそもそも恋愛以前に人生が難しい。
私なんか恋人どころか友達すらほぼいないどころか、1日の中で他人と喋らないことも多い。当たり前だが、仕事もボロボロである。
この先、生きていけるのだろうか心配である。誰か養ってほしい。こっちはいつでもジョーカーになるぞ。
おそらくこの映画のターゲットは私のような存在ではなく、インスタとかでハッシュタグ乱用しながら、「意外と俺オタク」アピールしている層なのだと思う。圧倒的に正しいマーケティングだ。私もツイッターランドではなく、早くインスタが似合う男になりたい。
はぁー恋人ほしい。
ただの愚痴になってしまったが、最後に一言。
斎藤工は真剣な顔していても面白いからズルいよね。
賀来賢人の顔芸も好きよ。
佐藤二朗のシーンは丸々カットしても良いのでは。