ラストシーンが大好きな映画ってあると思う。
僕なら『トリック劇場版 ラストステージ』や『インセプション』、最近なら『ジョジョ・ラビット』などがある。
そして『南極料理人』の終わり方も味わい深い。
『南極料理人』とは堺雅人が料理人として南極に一年間派遣に行き、そこで色々問題が起きたり起きなかったりするヒューマンドラマだ。
最後、南極から帰ってきた堺雅人は家族で遊園地に遊びに出かけ、昼に園内のカフェテリアでハンバーガーをほおばるところで一言、「うまっ」で物語が終わる。
(c)2009「南極料理人」製作委員会
実はこの作品、料理映画の側面があるにも関わらず「うまい」という旨のセリフは最後のこのシーンしかない。
普通に考えるとこのラストシーンは南極隊員という孤独からの解放、そして食事は家族と食べるのが一番という普遍的メッセージなのだろう。
しかし、私はそういうメッセージ要素以外の意味でこのシーンが好きだ。
遊園地で売っているハンバーガーという食べる前から分かる60点ぐらいの美味しさ。
作中でも食べる前から「ベトベト」しているなど如何にも60点ぐらいのハンバーガーを想像できるようになっているが、一口食べると漏れ出す言葉が「うまっ」である。
全然期待してなかった料理を食べてみてると想像以上に美味く、「うまっ」っと感動した経験は誰にでもあると思う。
そう、「うまっ」とはソシャゲでいうガチャで当たったけど全然期待してなかった星一のキャラが意外に便利と判明した時に感じる幸せに似ている。
この「うまっ」について更に掘り下げたい。
突然だが、僕はラーメンが大好きだ。
尼崎に「和海」という滅茶苦茶美味いラーメン屋があるのだが、大学生の時にそこでラーメンを食べて激しく感動した。
ラーメンってこんなに美味しいのかと。
その感動が忘れられなくて、僕の大学時代は勉学ではなくラーメンに捧げた。
ラーメン不毛地帯でもある神戸や大阪。
雑誌やSNSを駆使し、姫路や京都まで足を延ばして、美味しそうな所は大体食べた。
そこで長蛇の列に並び、ようやく食べるラーメン。
確かに美味い。
美味いが、ラーメンを食べても段々と感動しなくなってきていることに気づく。
様々なラーメンを食べ経験値が増え、行列に並ぶことによって自然と上がる自分の中のハードルをなかなか超えられない。
「あ~この味、あそこの店みたいだなぁ~」みたなクソ薄い感想しか出てこない。
僕の語彙力不足問題は置いておいて、ラーメンに対する情熱は薄れていった。
2時間も3時間も並んで意味があるのかと一度悩んでしまうともうダメだ。
これなら近所にあるノー行列のチェーン店のラーメンでもそこそこ満足できるし、そこでいいのではと思ってしまう。
ラーメンは好きだが情熱が無くなり、今に至る。
最近の僕は仕事でストレスが溜まると帰りに銭湯に行き、サウナで身体を整えた後、近くのスシローでサーモンだけたらふく食うルーティンがあった。
ただ仕事のストレスが溜まる日が連日になると毎日サーモンになってしまい、なんで僕はこんなにサーモンを食べないとダメなんだ、罰ゲームなのか?と思ってしまうバグ技をくらい、サーモンがストレスの元凶状態になってしまった。
本末転倒。
そこで気分を変え、「鯛だしあさり塩ラーメン」頼んでみた。
↑見た目は正直美味そうではない。ブログ書く時に改めて写真を見てビックリした、うどんみたいだ。
「うまっ」
回転寿司屋のラーメンということでかなり舐めていた訳だが、これが本当に美味い。
一瞬で完食してしまった。
期待してなかった分、ぶん殴られる。
この一瞬の奇跡。
これこそが僕が求めていたモノであり、『南極料理人』のラストなんだと思う。
地上すれすれのハードルだからこそ、大幅に超えると、その幅量に感動する。
という訳でそのまま「コク旨まぐろ醤油ラーメン」を注文。
うん。まぁまぁである。
やはり調子にのったらダメだ。そもそも二杯も美味しく食べれるほど大食いではない。
ハイローとの出会い。
この「うまっ」現象は食事以外にもありえる。
例えば映画。
昔、『ワンダーウーマン』目的で劇場に来たのに、時間を間違えてしまい、暇が出来てしまったことがあった。
せっかくの映画館だし、ポイントで無償で観れるし、他の映画でも鑑賞するかと思い観たのが『HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY』である。
正直、エグザイルみたいな存在、苦手中の苦手だったし、邦画にも偏見を持っていた。
そもそも1を観ていない。
ただ、その時はたまたまこの映画とだけ時間があったんだ。
面白くなくても0円で観てるし、まぁいいかという軽い気持ちである。
そして観た。
結論から言うとドはまりした。
『HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY』
滅茶苦茶面白かった。
2017年でベストだったと思う。
続けて観た『ワンダーウーマン』が印象に残らないほど、熱狂し、そのまま帰りにGEOでドラマシリーズと映画とCDを借りた。
それから音楽番組を見ても
今までの僕「なーにがハイローじゃ、エグザイルって笑」
今の僕「アイアイ!」
である。
人は偏見をなくし、変わることが出来る。
ありがとうエグザイル。ありがとうハイロー。
ここまで熱狂できたのも、最初の出会いのハードルの低さありきだとも思う。
自己反省の意味でも書くが、このSNS時代、どうしてもTwitterの140文字の感想だと10か0にになりがちで、それを見た人のハードルが上がり、「まぁこんなもんか」になってしまいがち。
映画作品にかこつけて自分の好きな作品との二次創作したり、パワーワードを使っての大喜利したりやりたい放題だが、SNSなんて他人に期待する場ではないので嫌なら自己防衛が大事だ、甘えるな、馬鹿野郎。
対策としては、菅義偉官房長官も言うように「先手先手」があらゆる時に重要でもある。SNSを閉じて作品を観よう!
最後に
この記事を読んだあなたはスシローのラーメンを食べても「うまっ」とはならないだろう。その点に関しては申し訳ない。
ただ、あなただけの「うまっ」を是非探して欲しい。
きっと人生がほんの少し豊かになると思うから(投げやり)
最後に一言。
『南極料理人』見返してみたけど名作だなこれ!