大手回転寿司チェーン店の寿司を食べて「不味い」となったことは中々ない。
確かに「期待したよりうまくない」「写真と実物が全然違う」「1回食べたら十分」みたいな感想を持つことは多々あるが、100円から200円と大変リーズナブルな価格なので「値段相応かな」と妥協できる味の場合が多い。
それもその筈で、ネタを考えているのは全国から熾烈な社内競争を勝ち登り、回転寿司に人生を捧げた有能な人物ばかりだからだ。
寿司に捧げた情熱と人生。
その叡智の結晶が回転寿司なのだから、そりゃ美味い。私も大好きだ。
そんな中、最近「不味い」とハッキリ思えるネタを食べてしまい、衝撃を受けてしまった。
寿司に情熱と人生を捧げながら、こんな味を創り出せるのか?と混乱してしまう。
新しいネタを選ぶ会議でこれを「アリだな」となった経緯を知りたい。
「これは取締役社長の娘さんが黒の組織に拉致られ、解放の条件として無理やりメニューとして採用した」と私の中のコナン君が推理してしまうほどの味だ。
今回はそんな出会いについて書いていきたい。
「くら寿司」と「わたし」
私は仕事で辛い事があると銭湯に行き、同じ敷地内になる「くら寿司」で晩飯を済ますというのが1つのルーティンになっているのだが、最近は毎日のように辛い事があり、毎日のように「くら寿司」に行っている。そうすると大変な問題に直面する。
「飽きる」のである。
毎日回転寿司。まず食感に飽きる。とろサーモンと焼きはらすが好きなのだが毎日食べてると流石に罰ゲームに感じてくる。
このままではダメだと思い、新メニューに挑戦しようと面白そうなネタを探してみるとあった。
「海の宝石軍艦」
名前だけだと、どんな商品か全くわからない。
100円だし、取り合えず注文する。
カラフルないくらみたいだ。
見た目は全く美味そうではない。
こういうキラキラしている食べ物で美味しかった経験が今までにない。
露骨なまでに「タピオカブームに乗っかかりましたよ」感を感じる。くら寿司でインスタ映え気にする人が来るか。「お湯が出る蛇口を手を洗う場所と勘違いする」みたいなIQ2のネタをしてツイッターの人がキャキャするのが限界だと思う。
嫌な感じはするが、取り合えず一貫食べてみる。
硬い。
良い言い方をすると弾力がある。
いくらのようなプチプチ感を期待するとここで死ぬ。
噛んでも噛んでもゴリゴリしており、なにより噛むほどに味わい深いとかそういった事が一切ない。一切だ。私は今「無」を食べている。
そもそも味がしないのだ。噛んでも噛んでも味がしない。
酢飯と海苔、醤油の味しかしない。しかもこの海の宝石がそれらの味を引き立てるとかそういった事が一切ない。一切だ。
それどころか、この海の宝石の食感が醤油の味を打ち消すという「いてつくはどう」の効果も備えており、虚無さに拍車がかかる。
海の宝石ってどんな味って聞かれると「いてつくはどう」の味って私は答える。
一貫食べた後の「まだ一貫あるのか」感が凄い。
「タピオカブームに乗っかって商品開発したけど、失敗したなにか」って感じがするし、コロナ渦騒動で新しい商品開発が中々出来ないので取り合えず過去の失敗作を採用しました感がある。よく考えると本当に自信があるなら彦摩呂さんをCMに起用して「海の宝石箱や~」ってやると思うのにそういう宣伝を一切してないってことはそういう事だと思う。
調べてみると海藻ビーズという本来はサラダとかにのせる事を想定した無味無臭のモノを軍艦としてシャリの上に乗せているだけのようだ。
そりゃ美味くない(納得)
結局、寿司は食べたいけど口の中にへばりつく「海の宝石軍艦」が気持ち悪くて、そのまま車飛ばしてスシローに行くという生まれて初めての「回転寿司はしご」をしてしまった。スシロー、もはや100円寿司ではないけどネタは美味い。
くら寿司もこれで取締役社長の娘さんが解放されていると嬉しいし、私の舌がバグっているだけで、他の人なら美味しいと感じるかもしれない。是非一度食べてみて欲しい。