2020年、コロナ渦により映画館含むエンタメ業界は大ピンチ。
そこに現る救世主は鬼滅の…だけではない。
7月という映画館も席数の上限が50%だったり、飲食禁止だったりと厳しい状況の中、興行収入50億突破した『今日から俺は!!劇場版』もまさしく救世主と言えるだろう。
しかもこの『今日から俺は!!劇場版』の興行収入は地味に日本において2020年の実写映画No. 1である。これは邦画だけでなく、洋画を含んでのNo. 1なのである。
それ以外にも実写映画『銀魂』シリーズの大ヒットなど、まさしく日本映画界における最大のヒットメーカーの1人である福田雄一監督だが、残念なことにネットを見ている限りでは評判が良いとは言えない。
『鬼滅の刃』などの時代に愛されし人気作品はハマらないと「老化によりアンテナが劣化した人」「おっさん化」みたいに揶揄されてしまうし、叩くようなものなら、ファンの人から「おんどりゃー!!!」と叩き返される事を覚悟しなければならない。
しかし、福田雄一作品は違う。
ハマらなくも全く焦る必要はないし、「老化によりアンテナが劣化した人」「おっさん化」みたいに揶揄されることもない。「俺は福田雄一作品嫌い」と堂々宣言しても「だよねーwww」「分かるww俺もwww」「草」と全肯定されるだろう。
あらゆるネット住民(主語デカ)が下に見ている福田雄一作品。
現実ではウィナーだが、ネットではルーザー
そんなコンテンツはたまにあり、僕の好きな漫画『ONE PIECE』もそういう気があるので勝手にシンパシーを感じてしまった。
当ブログでは福田雄一作品を応援します!!!!(宣言)
という訳で、前置きが長くなってしまったが、そんな福田雄一監督の最新作『新解釈・三國志』を感想をネタバレありで書いていきたい。
恐らくこのブログを読んでいる人の中には『新解釈・三國志』を叩いて欲しいみたいな気持ちでこれを読んでいるのかもしれないし、私もブログを初めて1年以上経つので福田雄一作品は激しく叩いた方が需要があるのも知っている。
ただ、残念ながら当ブログでは福田雄一完全応援モードになっているのでそうはならない。滅茶苦茶好意的に感想を書く。それでも良いよって人だけ読んで欲しい。
©2020映画『新解釈・三國志』製作委員会
あらすじ
『新解釈・三國志』とは?今から1800年前。中華統一を巡り三国【魏・蜀・呉】が群雄割拠していた時代。民の平穏を願い、のちに英雄と呼ばれる一人の男・劉備が立ち上がった。激動の乱世を経て、物語はやがて[魏軍80万]vs[蜀・呉連合軍3万]という、圧倒的兵力差が激突する「赤壁の戦い」に突入していく!———という超有名歴史エンターテイメント「三國志」を“脚本・監督:福田雄一流の新たな解釈”で描く、完全オリジナル映画
笑えない
冒頭は桃園結義のシーンなのだが
劉備、張飛、関羽の三人で「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、同年、同月、同日に死せん事を願わん……」と言っている最中に劉備が止まる。
張飛「何で最後まで言わないの!?」
劉備「嫌だよ!同年同日に死ぬとか無理があるよ~」
関羽「戦で戦ってれば一緒に死ぬから!」
劉備「分からないよ!?関ちゃんが病気にかかって余命いくつとか宣言されても同じ日に死ななきゃならないでしょ!?嫌だよぉ~!」
という件をグダグダと永遠やる。
これで笑える人はこの映画に向いているので観に行って方が良い。
僕は笑えなかった。
あと、渡辺直美さんに対して「時代考証的美女」と言ったり、深夜ドラマ的ノリが続くので「ルッキズム!時代遅れ—」と憤る人も向いてない。
残念ながら他の所もあんまり笑えない…というか殆ど笑えない。たまにクスッと笑える所があるかな程度である。そもそもよくよく考えると僕は福田雄一作品で爆笑した思い出がないのでこれが通常運転と言えば通常運転かもしれないが、『ガキ使』のハズレ回を見ている時のような「無」を感じてしまう。本作が『ガキ使』と違うのは映画館という映像を観ることを強いられた環境の中なので、「クソ」とか言いながらTwitterで実況したり、本を読み始める事も出来ずに、ただただポップコーンを口に入れる動作しか出来ない所だろう。
本作は三國志という元々の歴史的な史実と登場人物、文脈を知っている人がそれを裏切られ、GAPを感じ、「ズレ」が発生し、笑いを生もうとしている。
「旧解釈あっての新解釈」な笑いなのである。
それ故に絶世の美女と呼ばれた貂蝉を渡辺直美さんや、ぼやき倒す劉備演じる大泉洋さんなど良かったところもあったけれど、結局は福田雄一のいつもの芸能人たちによる内輪ノリ的お笑いシーンばかりになってしまい、「グダグダしているな~」という感想になってしまう。
あとムロツヨシ演じる諸葛孔明が実は運が良いだけの愛妻家無能で、策士のところは全て妻である黄夫人(橋本環奈)が考えていたという新解釈であったり、ズレの「笑い」は「怒り」とも紙一重な所があるから、三國志大好きな人には許せない所もあるかもしれない。
そして「赤壁の戦い」以外の「黄巾の乱」や「虎牢関の戦い」「長坂の戦い」などはアクションには力は入っているものの全体的にダイジェストになっており、話についていけない所があると思う。全体的にPS2時代の三國無双みがある。
あと、「えっち」発言が多かったり、全体的に深夜ドラマのノリなので家族で観に行くと凍るかもしれない。
結果的に三國志ファンも三國志知らない人もそんなに楽しめない作品になってしまった。
あと、最終的に劉備が仁徳と義を重んじ、戦を嫌い、平和を愛し、そこに暮らす民の笑顔が見たいというありがちなキャラになってしまったのはズラして欲しかった(ラストで民の笑顔が見たいって言ってたのにエンドロール後に再放送で同じ事を言い出した時は苦笑してしまった)
©2020映画『新解釈・三國志』製作委員会
↑福田作品初出演となるがんちゃん。ナルシスト的キャラなのだが、実写映画『キングダム』で王騎を演じた大沢たかおにしか見えない演技で笑ってしまう。
コロナ渦が流行りだす前に撮ったのだろう疫病における「マスクしているから大丈夫!」や「マスクは菌を通す!」みたいなやり取りは時勢の流れもありニヤニヤ出来るし、広瀬すずさんの使い方も意外性があってよかったり、岡田健史くんを阿保キャラで採用するのは、岡田健史くん出演で5分に1回のペースで頭おかしい人達が頭おかしい事していく頭おかしい大渋滞引き起こしてて観てて頭おかしくなっていくで有名なドラマ『中学聖日記』が好きだった僕も納得のチョイスだったと思う。
「福田組」と呼ばれるぐらいにズブズブになってしまうと個人的には友達の友達たちによる内輪ノリのような疎外感がある笑いになってしまうが、初起用の俳優陣とかは新鮮さもあり、役者の新しい一面が見れたりして結構当たりが多いと思う。ここら辺は流石福田雄一。
歴史と福田雄一
三國志とは魏・蜀・呉の覇権争いなので、最終的にはどれかが中華統一するのかなと思いきや、そうはならないと知り驚く人もいるだろう。
私もそうだ。
この『猛将伝』は『真・三國無双2』の追加版のようなゲームであり、単体で買ってしまうとストーリーモードが 呂布、貂蝉、董卓、張角、袁紹、孟獲、祝融の6人だけであり、初めてクリアしたのが張角だったので、黄巾党が長坂の戦いで袁紹を倒し、赤壁の戦いで曹操を倒し、夷陵の戦いで劉備を倒し、最終的には黄巾党が中華統一を成し遂げたとばかりに思っていたので、史実を知ってビックリしてしまった。
歴史をモチーフにした作品は「これが本当の史実です!」と言わない限り、歴史公証などかなり緩くてもそれがメインでない限り許して貰いやすいコンテンツだろう。
三國志も、曹操が女の子になってアヘアへになったり、劉備が痴女になっても今更本気で怒る人は早々いない。懐が相当に深いコンテンツなのだ。
そして福田雄一作品と言えば「原作クラッシャー」としての一面もある。
『今日から俺は!!』や『ヲタクに恋は難しい』、『シャザム』の声優問題など、原作ファンから怒られが発生することは多々ある。
インタビューなどで原作を読んでなかったと発言するなど、「原作愛」を感じられない所も炎上の要因だと思うが、自分の好きな作品が福田雄一によって実写化させられるのが罰ゲームだと捉える人すらいる。
そこで歴史である。
福田雄一と言えば『新解釈・日本史』といい、かなりの歴史好きであり、上記のように歴史というコンテンツはかなり懐が深いので「原作クラッシャー」で怒る人も少ない(原作とは)
相性抜群である。
『新解釈・戦国時代』(出演ムロツヨシ、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈)
『新解釈・アーサー王物語』(出演ムロツヨシ、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈)
『新解釈・インド神話』(出演ムロツヨシ、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈)
いくらでも作れるし、その時代の歴史好きの人が少し苦虫を食い潰したような顔をするだけで済む。
そして最終的には『新解釈・Fate/stay night』(出演ムロツヨシ、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈)という福田雄一作品のオールスターモノで大ヒット間違いなしである。
間違いなし!!!(念押し)
最後に
これからも福田雄一は作品を作り続けるし、ネットでは炎上が続くのだろう。
それでも、当ブログでは福田雄一作品を応援します!!!!(宣言)
今回も頑張って好意的に感想を書こうと思ったが、難しかった。福田雄一監督の次回作までにはもっともっと文章力や語彙力を鍛えて、どんな暴投も華麗にキャッチし、あたかもストライクど真ん中かのように審判を騙すキャッチャーの僕はなりたい。