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『FANTASIAN(ファンタジアン)』感想「さようなら、全てのテラバトル」

FFシリーズの生みの親である坂口博信が本気で挑んだスマートフォン向けRPGテラバトル』の熱狂を未だに忘れられない。

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パスドラや白猫の人気が少し落ち着いた2014年の10月9日にサービス開始され、ダウンロードスターターというDL数によって著名人が参加したり、イベントが開催されるお祭り感も新鮮で楽しかった。

はさみ将棋というシンプルでありながら奥深いゲーム性

藤坂公彦による魅力的なキャラクター達(ソシャゲで初めて画集を買った)

いきなり30章もある大ボリュームの本編。

植松伸夫松野泰己皆葉英夫鈴木央、大島直人、柴田亜美コザキユースケ加山雄三天野喜孝伊藤賢治下村陽子崎元仁光田康典岡部啓一、ヨコオタロウという豪華過ぎるクリエイター陣。

恐らく僕の人生で一番ソシャゲにハマっていた時だと思う。

公式生放送は毎回見てたし、グッズ購入と坂口さんと写真を撮る為に京都で開催されている「BitSummit 4th」にもわざわざ行って楽しんだ。

ゲームだけには留まらない熱狂を肌身で感じたのだ。

でも、その熱狂は長くは続かなかった。

あまりにも追加コンテンツが来るペースが遅すぎたのだ。

これが運営型ゲームの難しい所なのかもしれない。

サービス開始して二週間後ぐらいに始まった最初のイベント「バハムート降臨」は簡単過ぎて歯ごたえがなく、それが終わればまた長い長い虚無時間。

「忙しい社会人には丁度いいペース」と自分を騙しだまし遊んでいた。

メインストーリーも2014年のサービス開始から30章あったものの、2020年のサービス終了時は34章という運営する気のなさ。

当初、戦闘やガチャ被りをするとスキルブーストが溜まっていき100%になるとガチャからそのキャラが出なくなるという優しい設計だったが、新キャラが全然増えないので、廃課金達はガチャを次々卒業して、最終的にやる事なくなり『テラバトル』ごと引退していった。流石に坂口氏もヤバいと思ったのかラック要素の追加など、ガチャ卒業出来なくする要素の後だし追加。

大してイベントもなく育てたキャラを使う所もないのに早々に「Zクラス」というインフレしていってしまう戸惑い。

PVP」という糞要素の追加。

 

サービス開始時、テラバトルは少人数スタッフで作っていて凄い!と思っていたが、気持ちが離れるごとに、やっぱり運営型ゲームで少人数は無理があると思うようになっていった。

 

そしてその反省を踏まえてリリースされた続編『テラバトル2』

これが本当に酷かった。

サービス開始から非常に多くのバグ。マグネットシステムの不備、ウリにしていたフィールドマップがただの面倒、思ったよりガバっと切り替わらない「ガバシステム」、渋いガチャ、前作に比べて戦闘時などの操作性が大幅に劣化。

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約1年でサービス終了してしまった。

 

その後もまんま『クラッシュ・ロワイヤル』である『テラウォーズ』を作って半年でサービス終了。

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ダウンロードスターターの公約であったCS版『テラバトル』も来る気配がない。

テラバトルで芽吹き、テラバトル2で燃え上がり、テラウォーズで空気になってしまった。

テラバトルというコンテンツは終わってしまったのだ。

でも、それでも坂口博信は終わらない。

次はAppleと手を組んだ。

『FANTASIAN』

まさかの「Apple Arcade」専用ゲーム。

Xbox 360の『ブルードラゴン』だったり、Wiiの 『ラストストーリー』だったり、微妙に遊び辛い環境でゲーム出しがちなミストウォーカーの最新作である。

本作は『テラバトル』での反省点を汲んでいる。

「運営型のゲームは、ストーリーを楽しませるというよりはゲームを楽しませる『サービス』です。それはそれでいいのですが、やはり僕としてはストーリーを語ることにこだわりたい。キャラクターが大事だと思っているんです。彼らの生き方や物語性といった部分ですね。一旦は私も別の形にそれましたが、『終わりのあるゲーム』に戻ってこれてうれしいです。やっぱり、しっくりきますよ(笑)」(坂口氏)

坂口博信が語る新作「FANTASIAN」と「Apple Arcade」。「ストーリーとキャラクターのゲーム」への原点回帰 - Engadget 日本版

 

テラバトル』は終わってしまったが、『テラバトル』の血肉を感じられる最後のゲームかもしれない。

そんな『FANTASIAN』はこのあとも【後編】のリリースが控えているが、ひとまず【前編】を終えた段階での感想を書いていきたい。

 

 

あらすじ

本作は世界が複数存在する「多元宇宙」を舞台に、主人公のレオアが冒険を繰り広げるストーリー。レオアはある出来事のせいで記憶喪失に陥っており、何も知らないプレイヤーと同じ目線で登場人物と出会ったり、世界の秘密や秩序と混沌、自分の父親などについて知っていく。

 

キャラクター

  • レオア

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本作の主人公。シーフ。

記憶喪失前は仕事の出来るキザ野郎だったが、今はポンコツムーブきめまくりで周りから呆れられる事多数。

女の子に振り回されるの可愛いし、女性の着替えを見ると困り顔するのも可愛いし、白髪に黒いカチューシャ装備も可愛い。

前編のストーリーではレオアくんは記憶を取り戻すために自分の秘密基地などに向かうが、道中で過去に自分が仕掛けた罠という罠全てに引っかかって戦闘が始まるのがやたらと多い。

「どうやって過去のレオアはこんな強力なモンスター捕まえたの!?」って言いたくなるようなボス戦も多く、可愛くなかったら許されなかった存在。可愛いから許す。

 

  • キーナ

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本作のヒロインその1。白魔導士

辺境の街・エンの西に広がる森の中で育った少女。子供の頃に占い師オーウェンに拾われた為、両親を知らない。強い魔力を生まれながらに持っており、彼女の生まれの秘密が物語に大きな影響を及ぼす。全体的にエアリスっぽい。

ずっと田舎にいたため、街中などに行くとテンション上がるのが可愛い。

 

  • シャルル

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ヒロインその2。黒魔導士

民衆から敬愛されている、 次代の女王。

恐らくヒロイン人気投票したら1位になりそうなキャラ。

勝ち気なお嬢様として登場する彼女は、記憶喪失前のレオアに淡い恋心を抱きながらも、過去にデートをすっぽかされた恨みも持っている(レオアは最低)

同時に王女でありながら民衆に寄り添い、人望も厚い。ただ、親父は王様なのに下着泥棒のクズ野郎なのが悲しいところ。

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FF7と言えば、クラウドとエアリスが仲間達から外れて廃墟感ある所を二人きりで冒険して仲良くなっていくシーンが有名だが、本作では同じシチュエーションにキーナとシャルルが冒険する事になるので、レオア×キーナorシャルルと見せかけてキーナ×シャルルが本命という事はFF通の僕からすると分かり切ったこと。

 

  • ジニクル

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面倒見のいい性格と腕っぷしで、ビブラ王国中に名高い豪華客船・ウズラ号の船長。

かつてレオアの父親・バナードとともに旅をしていた時期もある剛腕系のおじさま。

最近までFF14やっていたのでランシード将軍に見えて仕方なかった。

 

  • エズ

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発明を得意とする少年。

最初女の子かなと思っていたけど、男の子だった。可愛いからどっちでも良い。

生足、身の丈まである大きい武器、アホ毛、生意気だけど実はイイ子とショタポイントを荒稼ぎしている。

シャルルの事が好きそうなのでショタモノを色々妄想出来て楽しい。

 

  • チクッタ&ハクッタ

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心と感情が芽生えたロボットたち。

FF7ケットシー的コメディキャラで癒し。最後は「手のひらを太陽に」歌いながら自爆して欲しい。

 

  • バウリカ

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混沌の世界でひとり生きてきた研究者。

異常なまでのヒゲ(坂口博信ではない)好き。そもそも前編では彼女が仲間に加わるのが最終盤な為、ヒゲ(坂口博信ではない)好きという印象しか持てない。ただ、異様で異常なまでにヒゲ(坂口博信ではない)好きなんだ。これだけは覚えて帰ってくれ。

 


ジオラマ

本作の最大の特徴であろうジオラマ

訪れることになる全ての背景は2Dグラフィックや3Dグラフィックによって描き込まれたものではなく、手作りのジオラマをスキャンして作っている。

家の中の調度品も全て、狂気を感じるくらいディテール豊かに作られている。
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ジオラマがベースにあるからこその質感や空気感が漂う世界。その中をCGで描かれたキャラクターが自由に走り回っていて、唯一無二の感覚になる。

固定のカメラワークが鬱陶しく感じることもあるが、怪しいところは宝箱がきちんと置いてあるという探索するプレイヤーを裏切らない構造は流石坂口博信である。

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↑『テラバトル』ネタやFFネタ、他にも小ネタ満載なのも探索が楽しくなる。


ジオラマだからゲームが面白くなる

といった演出などは皆無だが、「これもジオラマなの!?」という新鮮な驚きとフォトリアルとはまた違う温かみと違和感を交互に感じる背景は魅力的だ。ロマンがそこにはある。

 

バトル

本作の戦闘要素はオーソドックスなターン制だが、攻撃の軌道を細かく調整できる「エイミングシステム」が搭載されている。

攻撃する軌道を調整し、範囲攻撃のスキルや貫通能力がある攻撃スキルを使えば連鎖的に敵を倒す事が出来る。

軌道には直線だけではなく曲線もあり、細かな修正で1体でも多くの敵にダメージを与えられるため、「どの軌道だと一度の攻撃で多くのモンスターを攻撃できるか」を考えるのは楽しく、多くの敵を倒すことができた時の達成感もある。

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↑一度に大勢の敵と戦う時の爽快感が気持ちいい。

 

また、ランダムエンカウントする敵を異空間に入れてまとめて掃討できる「ディメンジョン・システム」は画期的。

RPGはどうしても雑魚戦が面倒になってくるという悩みを持つ人も多いだろう。

本作では「雑魚戦という面倒ごとは全部後回し」の精神でダンジョン探索中に雑魚との戦いを後回しにして、プレイ中にかかる余計なストレスを軽減することができるわけだ。

これによってマップを探索したい時は探索だけできて、バトルしたい時にはバトルだけを楽しめる。

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↑ただ、攻撃の軌道がモンスター優先ではなく距離でしかないので、モンスターを攻撃したかったのに近場の攻撃力アップなどの補助ターゲットに照準が行ってしまって攻撃してしまう事がある。脳死のボタン連打してると無駄に時間がかかる。

 

そしてボス戦。

本作のボス戦は脳死で戦っていると全滅は免れない難易度で歯応えがある。

味方パーティーの想定レベルから計算されているであろう戦いはなんとも絶妙。流石坂口博信

ボスごとに攻略法が用意されており、戦闘中などに流れるヒントから自分で「気づき」弱点をつければバトルが格段に楽になって勝機が見えてくる。

死闘を味わう事が出来る緊張感が何とも楽しい。

 

うーんとなった所。

  • 操作性

画面タッチによる操作性はハッキリ言って良くない。

僕はiPhone SE(第2世代)とiPad(第7世代)の二刀流で遊んでいたけれど、iPhone SE(第2世代)のような小さな画面で繊細なジオラマ背景をタッチするのはどうしても誤操作する。

ダンジョンだとそのせいで余計なエンカウントが生じ、さらにストレス。

Dual Shock4などのコントローラーを使おう。

 

  • サブクエの受注場所、報告場所を忘れる

数多くの他のRPGのようにサブクエが本作でも存在し、マップでどこで受注出来るが確認出来るが、問題は建物の中にいる人のサブクエは確認する術がないこと。

そのため、大体ここら辺かなぁという所全ての建物の中に入り住人に話しかけないといけない。ここはマジで後編で修正して欲しいところ。

 

  • オートセーブ機能

これは『ファンタジアン』の問題ではないけど一応書く。

本作はセーブポイントでセーブするか、チェックポイントまでいかないとセーブされない。ソシャゲで慣れ親しんだオートセーブが完備していないのだ。そしてスマートフォンで遊ぶゲームは端末によってアプリが落ちることがある。それは仕方ない。

僕の場合だとiPad(第7世代)だと4.5回。iPhone SE(第2世代)で2回ほど落ちたのだが、その落ちたタイミングがボス戦の終盤、15分ぐらい殴りあっている時に落ちた時は最悪だった。やり直しである。

「クソがっ!」ってなってしまうし、対策も新しい端末を買うぐらいしか出来ない。変な緊張感が常にあった。

 

これも『ファンタジアン』の問題ではないけどムカついたので一応書く。

 上記でも書いたように僕はiPhone SE(第2世代)とiPad(第7世代)で交互に端末を変えながら遊んでいた。データはiCloudで同期してくれるので常に最新のデータで遊ぶ事が出来るのだが、たまにうまく同期出来ていない時がある。例えば1回目iPhone→2回目iPad→3回目iPhoneだと3回目iPhoneの時に2回目iPadと同期がとれなくて1回目iPhoneのデータをロードしてしまうと、今度はiPadを立ち上げてもこちらでも2回目iPadのデータではなく、1回目iPhoneのデータに上書きされてしまい2回目iPadが丸ごと消えてしまう。そうなると復元不可。1回目iPhoneからやり直しである。これは中々萎える。

端末を変えながら遊ぶ人は「つづきから」ではなく、セーブデータの時間などを確認できる「ロード」を選ぶ事を強くオススメする。

 

  • Apple Arcade」問題

すまない、これも『ファンタジアン』の問題ではない。

前編は正直、凄い中途半端な所で終わった。後編は2021年の後期らしい。それは良いのだが、後編が始まるまで「Apple Arcade」解約してもセーブデータが残っているのか問題がある。一応規約には

何らかの理由で Apple Arcade のサブスクリプションを解約した場合、再びサブスクリプションに登録すれば、以前と同じゲームプレイデータを見ることができます。あまり時間が経ちすぎると、再登録の時点で、一部のゲームのセーブデータが残っていない場合があります。

Apple Arcade のサブスクリプションの登録を解除すると、Apple Arcade のゲームをデバイスにダウンロード済みでもプレイできなくなります。不要な場合は削除するか、または、プレイを続けるにはサブスクリプションの再登録をしてください。

お使いのすべてのデバイスで Apple Arcade のゲームプレイデータにアクセスする - Apple サポート

と書いてあり、多分大丈夫だと思うが微妙である。

気になる人は後編が出てから一気にやってもいいかもしれない。

Apple Arcadeは月額600円なので加入続けてもいいけど、最近はディズニープラスにも入ったし、U-NEXTも考えていたり、サブスク破産ありえる状況なので辛い。誰かお金ちょうだい。

 

  • 前編のラストダンジョンに行くと戻れない

ストーリー進めて後からサブクエ受けようと思っていたが、前編のラストダンジョンに行くとそこまで戻れない。ラストダンジョン行く前にセーブデータ分けた方がいいかも。

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後編に向けて

音楽は全部植松伸夫さん。これだけでもやる価値がある。

 

懐かしい手触りだけど、新鮮でワクワクもある。FF VIを当時の仲間たちとプレイしてみて自分の原点を思い出したという坂口氏。

本作ではオーソドックスなRPGで、ランダムエンカウントで、ターン式のバトル。

そんなゲームスタイルは古風だが、同時にエイミングシステムやディメンジョン・システムといった唯一無二の創意工夫もある。

古風と新風の混ざり合い。それが魅力なのだろう。

前編では物足りない所もあるが、後半はFF6と同じでゲーム内の世界を自由に探索していく構成になっているらしいので楽しみだ。

 

さようなら

 

テラバトル』は終了してしまったけど、いつまでもテラバトルロスを感じている人は大勢いる。

そんな人達がウダウダ人生を生きるのではなく、『ファンタジアン』を遊ぶ事によって「そうか…そこにいたのかテラバトル…」と成仏できるそんな作品になってくれたらいいなと思う。

 

さようなら、全てのテラバトル

 

 

 

 そんな事言いながら、こっそりテラバトル3待ってるよ。