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『映画 賭󠄀ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』感想。顔芸は良いが今更ダークナイトのジョーカーはきつい

『賭󠄀ケグルイ』の映画1作目を観て思わず感動して泣いたって、映画好きの同僚に話したら「え~ッあんなんで泣くの、お前」とドン引き&見下されて僕は激怒した。

 

泣くだろ!!!!

学校の中でカースト最下位の連中が、一斉蜂起して立ち上がるシーンに!!!!

泣くだろ!!!!

人は誰かに救ってもらうのではなく、自分で自分を救うんだというシーンに!!!!

泣くだろ!!!!

子役の頃からクッキンアイドルと活躍していた可愛い可愛い福原遥さんが今までのイメージをぶち壊すあんなにも見事な顔芸が出来る程成長したことに!!!!

 

そんな事を内心思いつつ、「泣くは言い過ぎたかな、はは」と愛想笑いしながら、リアルでは映画の話をしないことを決意した。

 

そして待望の『賭󠄀ケグルイ』の映画2作目。

映画 賭󠄀ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット

本作は元々4月29日に公開予定だったが、緊急事態宣言を受けて2度にわたる延期を繰り返しながらようやく6月1日に公開された。

今回は本作の感想をネタバレありで書いていくよ。

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概要

『賭󠄀ケグルイ』の魅力は顔芸である。

ギャンブル作品ではあるが、ギャンブル要素は刺身についてくる大根のつま。刺身は顔芸である。

表情筋どうなっているの!?と言いたくなるような若手俳優たちの顔芸こそが最大の魅力である。もう一度言う。表情筋どうなっているの!?

f:id:Shachiku:20210602210217j:plain(C)2019 河本ほむら尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

 

 

『映画 賭ケグルイ』は、月刊「ガンガンJOKER」という比較的マイナーで雑誌に連載されながらもシリーズ累計600万部を突破した原作・河本ほむら、作画・尚村透による人気漫画が原作。ギャンブルの強さで生徒の階級が決まるという頭狂った私立百花王学園を舞台に、一癖も二癖もあるキャラクターたちの戦いが描かれている。

『映画 賭󠄀ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』は劇場版1作目と同じで原作の世界観はそのままに完全オリジナルストーリーが展開される。

そう、実写版の『賭ケグルイ』では原作の世界観が忠実に実写で再現されているのだ。

原作の大きな魅力である顔芸!

普段は容姿端麗なのに、いざ勝負で敗北した時の 苦渋に歪むあの表情!!

冷静沈着なのにふとした瞬間に出てくる狂気溢れる笑顔!!!

それらを若手俳優たちが熱演しており、特にギャンブル狂の主人公・蛇喰夢子役を演じる浜辺美波はあんなに病弱な役ばかりしていた人がここまでやるの!?と驚くほどだ。

そしてもう一人の主人公といって過言ではない森川葵が演じる早乙女 芽亜里。

f:id:Shachiku:20210602211808j:plain(C)河本ほむら尚村透SQUARE ENIX・ドラマ「賭ケグルイ」製作委員会・MBS.

無知な僕は『賭ケグルイ』で森川葵を知ったが、彼女はヤバい(遅い)
ポジション的には最初に蛇喰夢子に負けたヤムチャ的立ち位置なのに、その存在感のデカさで納得のベジータポジションを確立している。隙あれば蛇喰夢子以上に彼女を見ていたいと思ってしまう魅力がある。

他にも中村ゆりかや松田るかなど、他のドラマ以上に役者自身の魅力や可愛さが爆発しており、出演者みんなWINになるすごい作品となっている。

 

そんなメンバーに今回新たに参戦したのが、ジャニーズWEST藤井流星が演じる最強最悪のヴィラン、視鬼神真玄。

f:id:Shachiku:20210602213805j:plain(C)河本ほむら尚村透SQUARE ENIX(C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

今更ダークナイトのジョーカーはきつい

ダークナイト』のジョーカーや『スター・トレック』のカーンをモチーフに

次に何を言い出すか、し出すか分からない狂人。という役なのだが、正直小物感が消えない。

早乙女芽亜里を人質にとってビデオカメラ越しに蛇喰夢子を挑発するシーンなんてまんま『ダークナイト』で観たやつ。あと口を手で隠すのはジャレッド・レト版のジョーカーにしか見えない。

令和にもなって狂人キャラだから『ダークナイト』のジョーカーを参考にしよう!というのが安直過ぎて観ていて辛い所がある。

何よりも『ダークナイト』のジョーカーはヒース・レジャーが完璧すぎて他の誰が演じても劣化にしかならない問題がある。

ダークナイト』のジョーカーが魅力的なのは分かるし、マネしたくなるのもよく分かる。特に多感な時期にあのジョーカーを見てしまうともうダメ。狂人=ジョーカーというイメージは一生消えなくなる。一種の呪いと同じ。

僕も家の中で「オッホwフィーヒャヒャヒャww」みたいな笑い方や動きをマネしたことはあるが、人前ではしない。狂人ではなく『ダークナイト』のジョーカーのモノマネをしていると勘づかれそうだからだ。恥ずかしい。

ただ、今作がうまいのは視鬼神真玄は「狂人のフリをしているまともな人」という存在である事が中盤で判明することだ。

家の中でジョーカーのモノマネをしていた僕と同じような人間なのである。

計画を立て、事前準備を念入りにして、ギャンブルが開始した時にはすでに自分の勝ちが決まった状態にしておく下準備の鬼のような存在。下準備は真面目なのにテレビ放送中は放送事故を起こしまくる平野レミみたいなキャラなのである。あの奇妙な動きもジョーカーではなく平野レミだと思えれば新鮮なのかもしれない。

 

この視鬼神真玄、困ったことにギャンブルをしない。ギャンブル作品なのにギャンブルをしないのだ。

VS芽亜里戦では芽亜里の正義感や思いやりの心を利用して、芽亜里が勝てば対戦相手の家畜の命が消えると吹っ掛けて、芽亜里が自分から敗けを選ぶように仕向けたり、VS夢子戦では芽亜里を殺すと脅して夢子に敗けを選ばせようとしたりする。

 

ギャンブル作品なのに相手プレイヤーを脅して勝つとか、もはや何でもアリやん!ってツッコミもしたくもなるが、少し前に『鉄鍋のジャン』という料理対決なのに控室で自分はガスマスクかぶって味覚をマヒさせる毒香を炊いたりする敵が出てくる漫画を読んだところなのでこのぐらいは許容範囲。対決は勝つのが大事。

 

 

そして最後の視鬼神VS桃喰綺羅莉VS蛇喰夢子戦ではロシアンルーレット対決。

そのロシアンルーレットも視鬼神が弾をすり替えており、自分には弾が当たらないという古典的イカサマ。結局、視鬼神はあんなに狂人のフリをしていても全然狂人ではなく、それどころか小物で姑息で勝ち確でないと舞台にも上がれないような小心者でしかない。そりゃ、ジョーカーのモノマネをする訳である。仮面をかぶるしかない。

それ故に本物の狂人である会長、桃喰綺羅莉から「あなた、つまらないのよ」と言われてしまう。

このロシアンルーレット、頭脳戦も駆け引きもほぼなく桃喰綺羅莉と蛇喰夢子は運で勝っただけだが、最終盤で視鬼神が自分が撃たれる時に、本物の銃弾で撃たれるのが判明した瞬間怯えだして、今までのジョーカー的演技が消え命乞いをするようになる人間味溢れだした本当の彼自身の姿。

偽物と本物。

それまで同じ条件で引き金を引いていた桃喰綺羅莉と蛇喰夢子の狂人さがより鮮明に分かる演出は良かった。

 

視鬼神は2年間休学になっていた。

ロシアンルーレットの時に視鬼神は桃喰綺羅莉から「寂しかったのね」って言われる。

視鬼神は自分でも知っている。己の存在価値は百花王学園の中にしかないことを。

蛇喰夢子もこう言う

「私たちはここ(学園の外)から出たら塵のように消えてなくなる」

彼らには百花王学園という社会の中でギャンブルすることこそが存在理由の全てであり、存在価値である。

勝って勝って勝って勝って勝たないといけない。現代社会と同じ構図がそこにはあり、ギャンブルとして狂人にはなれない視鬼神の唯一の勝ち方が自分の弱さを隠し、偽りの仮面をかぶり、他人を脅して勝つしか手段を持たなかったのかもしれない。

そういう人は世の中にはいる。

 

最後に

シーズン3の製作ほぼ決定だと受け取めていいですか英勉監督!!って終わり方でしたね、楽しみ。

 

芽亜里の急に歌うよ~♪のミュージカルシーンは面白かったし、中川大志の開拓長のリーダー役はイケメンの無駄使いで好きだし、田中圭の贅沢な使い方も良かった。

 

ストーリーの進行上、仕方ないのかもしれないけれど生徒会で蛇喰夢子が止まらないので視鬼神を呼びましたっていうシーン。視鬼神を呼ぶ前に目の前に最強にして最凶の会長が座っているのにまずそこに相談しないんだっていう疑問が出てしまってダメだった。最凶なのに座りっぱなしの会長。それが池田エライザなんだよね。

 

序盤で蛇喰夢子が変顔しながら「体育祭嫌です」みたいな事言うが、僕のような傾聴力がない人間はイルカの鳴き声にしか聞こえず、「ピィーピィーピッ」「ピィーピィーピッ」が頭にこびり付く感じだった。字幕上映もして欲しい。

 

劇場版1作目の方が個人的には好きだけど、シリーズ初見でも楽しめるのはこちらだと思う。

 

最後に浜辺美波さんはよくエゴサをするという情報を聞いたので愛のメッセージを書いてこの記事を終えたい。

 

浜辺美波っていう名前がもうずるいですよね。浜辺を洗う美しい波ですからね。

好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

 

わーわー書きましたが、僕からは以上です。さようなら。