「なんで現実で嫌という程人類と関わっているのにゲームの世界でもホモサピエンスを操作して人類と関わらないとダメなんだ…?滅びろ人類」と常日頃思っていた僕には待望の人類が登場しないケモノ系オープンワールドアクションRPG『バイオミュータント』
「ケモノ」「オープンワールド」「ポストアポカリプス」というワードに心躍りながら調べてみるとメタスコアで62点(ユーザースコアは7.1点)という心不安になる数字が出てくるケモノ系オープンワールドアクションRPG『バイオミュータント』
今回はそんな本作のレビューを書いていくよ。
概要
『Just Cause』シリーズを手がけたStefan Ljungqvistさんが設立したExperiment 101が6年以上の歳月を掛けて開発した。文明崩壊後の世界を舞台にしたオープンワールド・アクションRPG。
大地は病み、生命の樹はその根から弱り死にかけている。種族は分断し対立。混迷する世界を探索し、その運命を決める者は、果たして救世主か、それとも世界をさらなる闇に突き落とす破壊者か……
「お前は物事をあせりすぎる」
『バイオミュータント』の導入部分が本当に面白くない。
ゲームにおいて出来る事が少ない序盤が面白くないのはあるあるかもしれないが、『バイオミュータント』の序盤はyoutubeで宮迫博之の動画を見ている方が面白いんじゃね?と思ってしまう程にはつまらない。
オープンワールドなのにほぼ一本道を強制させられ、この世の終わりのような日本語翻訳で読めるけど理解が出来ない言葉と専門用語のラッシュによる長々とした会話パートがあり、キチンと設定したハズなのに新海誠監督に影響された大学生が撮影した写真のような眩しい世界を歩く。
質素で爽快感がなく、技出す時のくそダサフォントでのバトルがあり、最終的には何も感情移入出来ない回想シーンを見せられる。オープン要素どこ…?ってなる。
↑選択肢で滅茶苦茶ひねくれた性格の主人公にもなれる。
ここでこのゲームを買った事を後悔する人も出てくるんだろう。焦る必要はない。お前もいずれ分かる時が来よう。このゲームの面白さに。
↑クソださ字幕は設定で消せるので安心していい
3時間ぐらい遊ぶとようやくチュートリアルが終わり、世界を自由に歩き回れ、主人公を成長させていくことでアクションの触り心地がみるみる変化していき、また、自分だけのカッコイイ装備をクラフトができる。
その結果、アポカリプス×ケモノ×装備によるフォトモードが最高に楽しくなってくる。
ここからは更に詳しく説明していきたい。
ワクワクしかしねェーよ
恐らく『バイオミュータント』に興味を持った人の理由の9割が文明が崩壊した後の世界を舞台にケモノになって自由に冒険することだと思う。
本作はその1点において100億点あるといっても過言ではない。
まず世界観が素晴らしい。
人類によって取り返しのつかないレベルまで汚染された世界で産まれたミュータントたち。
この世界の人間たちは遥か昔に地球を脱出しており、過去の文明は自然に飲まれ朽ち果てている。主人公は文明の名残を利用しつつ逞しく生きるミュータントの一人であり、部族(トライブ)間の抗争や、世界を支える生命の樹を食い尽くそうとするワールドイーターとの戦いに身を投じていく。
グラフィックは決して最先端ではないが、 繁茂する植物と愚か人類の残り香である壊れた建物が不思議に調和する。そんな自然の再生力に飲み込まれつつある世界は何とはかなくも美しい光景。
幻想的かつ神秘的な廃墟、その耽美な世界観が本作の最大の魅力ともいえる。
オープンワールドの醍醐味とも言える寄り道も楽しい。
目の前にある全てが僕の行ける道なのだ。
気になる所に行くとサブクエが始まったり、宝箱があったりして本来の目的地に全然辿り着かない。
この建物の中は何があるんだろう。
長く伸びた線路の先には?森の奥には?海の向こうの建物、あれは何?マンホールの先の地下には何が?
好奇心が止まらない。世界探索という意味では良くできたゲームになっている。
↑世界観を表すアートも結構あって見ていて飽きない。
序盤は主人公や乗り物の移動速度が微妙に遅くてイライラしてしまう事もあるが、ファストトラベルが細かくあるのもポイントが高い。
他にも主人公がどれだけ高い所から落下してもノーダメージだったりするのも快適さがある。ただ馬のような生き物に乗って落下しても当然ノーダメージなのだが、乗り物の脚がグニャて痛々しい感じになるのが精神的に辛い。ごめんね(ただ懲りずにまた落下する)
また、ゲームを進めて主人公の相棒となるバッタ型のロボ「オートマトン」の追加能力であるグライダーを手に入れると、飛び降りた際に滑空で少し飛んでいけたりと、冒険はドンドン快適になっていく。
そしてメインストーリーを進めることで解禁されていく二足歩行の巨大ロボット、メクトン!
巨大ロボットVS巨大怪獣戦という最高の戦いもある。
河の上を移動出来る小型ボード、グーグライド!
イマイチ存在理由が分からない手の乗り物、メカフィングロ!
新しい乗り物で行動範囲が広がったりして探索が飽きない。
そして何より本作では人類が1人も出てこない。
敵も味方もケモノだけである。
それが良い。それだけが良い。
その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要がある 少し長くなるぞ
ゲームを開始して最初に行うキャラメイキングでは、遺伝子を操作して生命力や腕力などのステータスを決定していくのだが、ステータスの伸ばし具合によって主人公の体格や顔の様子も連動して変化していく。
悩ましい所だが、後からステータスは強化できるので見た目で選んで問題ない。7割不細工2割普通1割かっこかわいい感じだ。
本作はどのトライブ(部族)と協力関係を結んで世界を救うか?
という選択でストーリーが分岐していく。これに付随する形で、選択肢によって「光」と「闇」の属性が変わっていく。ただ、何度も書いているが日本語翻訳が壊滅的でどっちが光のポイントになるのか分からない選択肢が多いが、選択肢の右を選べば「光」左が「闇」と覚えておけば基本的に問題ない。現状、ストーリーはあってないようなもの。日本語翻訳が壊滅的なのはそうだが、アメリカのレビューなどを読んでもナレーション過多でストーリーが分からないという酷評が目立つので、翻訳以前の問題である。
↑主人公の幼少期からの思い入れのある武器を「若者向け武器」とローカライズされてしまう。
また、台詞回しがイチイチ難しかったり、定期的に相棒であるオートマトンから「これは遠足ではない。本番だ」と謎のセリフを投げかけられたり、「ここにはピンがない、ポンだけだ」という謎のセリフでダメ出しされたり、何もかも謎である。
↑※の後の文字とか本来は表に出てはいけないだろう
ストーリーは忘れよう。本作はやはり、アポカリプス×ケモノ×装備によるフォトモードである。
『バイオミュータント』に建築要素は無いが、アイテムをひたすらに集めまくるゲームである。『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』のように所持数制限や武器が壊れるといった心配もない。
自分が創造したケモノに自分好みの装備をドンドン装着させる事が出来るのだ。
残念ながら、フォトモードは凝った仕様では無く、出来るのはカメラ移動と被写界深度の調整だけだ。
しかし、場所と装備を変えてカメラを回せば、撮影に夢中になってしまう。俺のケモノの最高のショットを撮りたい!とメラメラ燃えてくる。
冒険する度に新しい撮影場所が見つかるし、新しい場所では新しいアイテムをゲット出来て、装備の選択肢が増えて行く。その連鎖。
インスタやTwitterで動物の写真をアップしまくる人間の気持ちが完全に理解できる。
拙者、お前の中に勇を見た
バトルでは近接攻撃と遠距離攻撃、そしてサイキックを使い分けて戦う。
ただ、バトルに関してはバランスは良くない。純粋にライフル系が強過ぎる。
クラスにデッドアイを選んだ人はシャープシューターという両手持ちの銃が与えるダメージを2倍にするというぶっ壊れを取得できるため、敵が見る見るうちに溶けていく。
また、結構な序盤でゲット出来る最高レアのこれまたぶっ壊れライフルを使いだすともう止まらない。
中ボスなんて30秒で倒せるし、ラスボスもこれだけあればいいと言える。難易度ハードにしても余裕である。
逆に近接は不遇である。大型のボスは予備動作がほぼない攻撃をしてくるのでパリィが難しいわりに与えるダメージが大きい訳ではなく、縛り以外に近接をメインにする意味がない。
ただ、本作は『ダークソウル』のように戦いにバランスが求められるようなゲームでもないし、オンライン要素もないのでぶっ壊れがあるのは悪くない。自分で戦い方を縛ってプレイしていくのも楽しみの1つともいえる。
クソゲーかどうかオレが決めることにするよ
魅力的なキャラクターは多いが、会話がナレーターに処理されてしまうからイマイチNPCに愛着が湧かず
読めるけど読めない日本語は頭が痛くなってくるので僕はまず日本語字幕英語音声に変更した。
また固有名詞のラッシュも辛い。
例えば、銃の事を”ピューピュー”と呼んだりして、その説明も特にないので理解できるまで時間がかかる。
敵の種類は少なく、攻撃パターンも少ない。
致命的なバグはないが、細かなバグは多いなど
『バイオミュータント』は発売前にあったあの異常なまでの期待値に届くことは無かった。あの異常なまでの持ち上げは何だったのか逆に気になる。
それでも廃墟が連なる世界観の出来の良さは確かなものであり、写真を撮りたくなる作品であるのは間違いない。
恐らく、ローカライズなど細かなアプデがこれから大量にあると思うので、ストーリーを楽しみたい人はアプデ待ちでもいいかもしれない。
最後に、僕のモフモフコレクションで終わりたいと思う。最後まで読んで頂きありがとうございました。