『科捜研の女』について聞くと
「あ、あの日本版CSI:科学捜査班みたいなドラマでしょ」と言われ
「いやいやいや!『CSI:科学捜査班』より『科捜研の女』の方が1年早いから!あっちがラスベガス版科捜研の女(男)だから!」と返答し。
「あ、あの沢口靖子が何年たっても演技力向上しないドラマ!」と言われ
「馬鹿野郎!!!あの変わらない完璧な演技が癖になるんだよ!!!アカデミー賞主演女優賞モンだ!!!!!」と返答する日々。
20年以上も続く超人気ドラマでありながら、同じテレ朝ドラマの『相棒』と違って視聴者層の高齢化激しいせいか同世代の人と中々『科捜研の女』について話す機会がなく悶々としていた毎日。ここに来てまさかの映画化である。
「世界同時多発不審死事件発生」という京都にある一介の科学捜査研究所でどうこう出来るレベルじゃないだろう…!!!というTVドラマを予算大目で映画化した時に発生するお祭り規模感しか搾取出来ない栄養素がある。
という訳で感想を言っていく。ある程度ネタバレもあるよ。
意外と規模は大きくない
冒頭
1枚の紅葉がひらひらと舞って、マリコさんの肩に止まるシーン。
ここでまず「ねっちょり」時間かけて明らかにCGの紅葉が舞っていく。
終盤の展開の為に今が「秋」の時期だと高齢化が進んでいる科捜研ファンにも気づいてもらう露骨過ぎる伏線で観客誰一人取り残さない名シーンだ。そして、ねっちょり描くことでこれは時間カツカツのTVドラマではなく、109分もある映画だと科捜研ファンの観客に意識を変えさせる大事なシーンでもある。
1枚の紅葉でここまでの意味を持たせる映画が今まであっただろうか。否ない。
落ちてきた紅葉を手にしたのが伊東四朗さん。そのままマリコを食事に誘おうとナンパする伊東さん。伊藤さんはかつて『おかしな刑事』コラボで『科捜研の女』に出演した事はあるが、どうやらこの伊東四朗さんは別人らしい。20年以上も続くドラマなので俳優さんの使いまわしは当然ある。ポケモンで言うなら個体が違う伊東四朗さんだ、そういう『科捜研の女』らしさで冒頭から観客を殴ってくれる喜び(因みに土門刑事役としてマリコの相棒となっている内藤剛志さんも初期はプロファイラー・武藤という別個体が存在している)
そして他の科捜研メンバーの日常紹介コーナー。
風間トオルさん演じる宇佐見さんは介護している母と時間を過ごす(余談だが、僕の親が『はみだし刑事情熱系』が好きで一緒に毎週見ていたので風間トオルさんには並々ならぬ想いがある。いつまでも俳優として活躍して欲しい)
また亜美と木島が会話しているシーンがいい!この2人が大学時代の先輩後輩の関係だと思い出させてくれる。そもそも木島の紹介で亜美は科捜研に入ったよなーと。歴史が科捜研の歴史がマジマジと感じさせる。
そして相馬、まさかカナダで家を買ったとは。永住する気なのか!?
新旧科捜研メンバーが入り混じって仲良くしている姿だけでこの映画、10億点だった…
しかし、ここで事件が発生。いきなり女性科学者が屋上から転落死する。
転落する直前に「助けて!殺される!」と叫んでいたことからマリコたちは事件性を疑うが、それを裏付ける証拠は発見されなかった。
そんな中、土門刑事は被害者が死ぬ前に「ダイエット菌」と呼ばれる細菌の研究について東京の微生物学者・佐々木蔵之介が演じる加賀野の元を訪れていた事を突き止める。
この佐々木蔵之介は人類の為に科学の発展に寄与したいと考えながらも一方でその大義の為なら多少の犠牲は仕方ないと考える科学者だ。
「私の中の科学は人を救うためにのみ存在する。それ以上でもそれ以下でもありません」という信念を持つマリコとは似ているようで対極に位置する敵だろう。まぁそんなテーマ性は薄いが。
しかし、この佐々木蔵之介、見るからに怪しい。
まるで怪しい大学施設で、どうみても若い阿佐ヶ谷姉妹を被検体にし、『透明人間』のドラマで出てきたようなラボを利用し、のどチンこ赤ちゃんの僕には絶対に飲めない大きなカプセルを飲ませる。こんなん絶対に犯人である。しかし、あまりにも犯人が明らか過ぎる為かミスリード要因も何人かいて、徹頭徹尾全員怪しいようで怪しくない。特に警察に向かって「お前捜査やめろ!」と正々堂々言ってくる女性研究員の逆に犯人じゃない感が凄かった。
土門刑事と蒲原刑事がそんな佐々木蔵之介をイジメるから、その捜査態度が問題になってしまう。
やり過ぎたなぁと反省する蒲原刑事とは反対に、過去に何回も処分受けてきた土門刑事の堂々とした姿。お前は少し反省しろ!!!
ここから登場する過去メンバー達。
マリコの元旦那が登場。マリコが「拓也!」って皆がいる前で元旦那を下の名前で呼び捨てにするシーン、それを柱の影で盗み聞いている土門刑事。最高だった…。2人の関係はどうなるの。
頼れよって元旦那に名刺を渡されたマリコが、15分後にお願いしてくるとは想像もつかなかっただろうな。マリコはそういう事をする。
『科捜研の女』20年以上の歴史、それはマリコのコネ作りの時間でもある。
警察庁幹部である元夫のコネ。
科学監査官である父のコネ。
現SPring-8の技官であり、元京都府警科学捜査研究所の所長のコネ。
警察協力受難者協力会のコネ。
カナダの科学捜査センターへのコネ。
それをマリコは臆することなく、徹底的にムチャ振りし、利用するので無敵である。佐々木蔵之介が勝てるわけない。最強の敵(笑)
無理を通して人脈で道理を蹴っ飛ばす。絆こそが俺の力だ!!!
現代のソラくんがここにいた。
それにしても「世界同時多発不審死事件発生」といっても死亡者4人なので思っていたより規模は大きくなかった印象。やはりこの時代に菌がまき散らかされてしまって京都大被害とかはタイムリー過ぎて無理だから仕方ないかもしれないが。
色々書いたが、テレレッテッテッテーテーの科捜研のテーマが鳴ってCMがなく、マリコたちが活躍するだけで100000000億点である。
最後に
必ず ホシを挙げる!!
に爆笑したら笑ったのが僕だけで恥ずかしかった。若干棒読みだったのも捜査一課長みたいで最高だったのに。
それにしても1年ぶっ通しの放送もして、映画化にもなってこれからの『科捜研の女』はどうなるのだろうか。やる事全部やったので終わります!!!みたいな事にだけはならないで欲しい。
世間では『相棒』『科捜研の女』『捜査一課長』『刑事7人』『特捜9』のスマブラ的な奴を期待している人もいるけど、個人的にはそんな事しなくてもいいからこれから後20年、30年も『科捜研の女』をいつも通り放送して、白髪混じりで皺が目立つようになったマリコが変わらず破天荒で無茶しまくるそんな『科捜研の女』がいつまでも見ていたい。