原題は「The Devil Made Me Do It」直訳して「悪魔が私にそうさせた(殺させた)」なのに「悪魔のせいなら、無罪。」というふざけた邦題にしてきてこれからのシリーズが心配になる『死霊館』シリーズの8作目。
総予算1億7800万ドルに対し、総興行収入21億ドルを記録し、マーベル以外で一番成功しているシネマティックユニバースとも言われているのに微妙に日本では影が薄いシリーズでもある。やはり「悪魔」の概念がキリスト文化の馴染みが薄い日本では色々難しいのかもしれない。日本だと悪魔って「恐怖」の対象というより『真・女神転生』シリーズのように「倒すべき敵」のイメージが強過ぎる。
ただ、僕が思う『死霊館』シリーズの魅力は恐怖だけでなく、中二心をくすぐられるカッコよさだと思う。
ネトフリに『死霊館のシスター』が追加されてる!
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2019年7月13日
これホラー映画なんだけど、怖さよりお祈りフォーメイションするシスターVS悪魔のようなカッコよく物理的な除霊バトルが面白いからオススメ pic.twitter.com/ZJ0EEpvXxs
そしてあまりにも恐怖を突き詰めた結果生まれた絵面の面白さ。
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程よい怖さ、カッコイイビジュアル、ホラーの向こう側の笑い。
それらがバランスよく混じり合いエンタメ作品として強度を上げていくのが『死霊館』シリーズだと思う。
ここからはネタバレありでそんなシリーズ最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』の感想を書いていく。
【監督】マイケル・チャベス
1981年、コネチカット州ブルックフィールド。被告人(当時19歳)は家主を刃物で刺し殺害。証言台で被告人は、悪魔に取り憑かれていたことを理由にまっこうから無罪を主張する。姿なき存在を証明するため、心霊研究家ウォーレン夫妻が立ち上がる。
実話
問題の事件が起きたのは1981年2月16日。コネチカット州ブルックフィールドで、造園土木業に従事する19歳のアーニー・ジョンソンが、家主のアラン・ボノを13インチのナイフで複数回刺して殺害。彼も弁護士は「悪魔がそうさせた」と無罪を主張したのだ。
しかし、裁判長は裁判では悪魔憑きの主張は認められないと言い、「非科学的」主張は
法廷を認められない事になった。
結局は弁護士は正当防衛を主張し、10年から20年の不定期刑が言い渡される。ただ、服役態度良好だったため、5年後には釈放された。アーニーは彼女だったデビーと結婚したのだった……
それ以外のカルト話は全て誇張である。OPでこれは実話であるという文字が入るが、実話ベースの誇張10割みたいな話である。
製作のジェームスワンが
『死霊館』ユニバースは最初の2作と明確に違う何かが必要。今までのフォーマットから大きく変えたと言っている通り、VS悪魔要素は薄まっているので少しでも悪魔を観ていたい悪魔崇拝者の方々には不評だろう。
ただこのカルト話が僕の好きなホラー映画の『カルト』要素もあって好きだった。
結局は人間が怖いオチかなと思いきや最終的には悪魔が怖いってオチもいい。
今作のメインはカルトによる「黒魔術」
ウォーレン夫妻VSカルト信者による魔術対戦だが、簡単に人を呪い殺すとか出来ないので最終的には物理が最強である。レベルを上げて物理で倒すのが最適解になるRPGと同じ。
最後に
映画を観終わって素直に
有罪になるんか~いってなった。
そもそも「どうやって悪魔の存在を法廷で証明するのか」という話はほぼない。アーニーを呪い殺そうとするカルトを倒す話なので。
誤解されるタイトルが何もかも悪い。
元々死刑求刑だったのに5年に判決になった理由を語らなかったのがミソで、これが悪魔の仕業だと判明したから5年になりましたって言ってしまうと完全に実話ではなくなってしまうので、そこは誤魔化す。あえて語らない事で観客の想像に任せる。こういうテクニックだけはうまいシリーズである。
久しぶりに神父さんがそこそこ頑張っていてそこもよかった。基本神父はカマセになるか肝心な時にいないシリーズ……
胸焼けするぐらい真っすぐな「愛」がテーマで子供からみんな安心して観れると思うので是非、一度観て欲しい。