社会の独房から

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ネタバレ『FF14 暁月のフィナーレ』6.0感想。

暁月で一番ショックだったのは、あんなにも何百回と一緒に遊んだリットアティンさんが滅茶苦茶ヒカセンを恨んでいた事。

自分が愉しむだけじゃダメだよとゼノスに言ったアリゼーの言葉が僕に突き刺さる。ごめんよ、リットアティンさん。今度ルレで当たった時は優しいタッチでボタン連打するね。

 

という訳で本題。

「ハイデリン・ゾディアーク編」のラストに当たる『暁月のフィナーレ』である。

序盤はゆったりしてたけど、中盤からのずっとクライマックスは凄かった。

 

月行ったしそろそろ終わりそうかな→嘘、まだ終わらん→ラグナロク登場したしもう終わるのかな→嘘、最終マップあったわ→なんだ(涙)→何なんだコレ(涙)→これはもうMGS4だろ→暁月のフィナーレ!!!!!!!!

って感じ。

確かに吉田のインタビューで

 

「ハイデリン・ゾディアーク編」のラストを迎えるにあたり、RPGを遊んでいったときに「ついに終盤に来た。あと8時間ぐらいでゲームが終わるに違いない」みたいな、あのテンションを拡張1本で作り、そのストーリー体験と自分でキャラクターを操作して冒険していくというところを最高のものに詰め込もうということで、今回は完全フォーカスしています

「現実の月を見たときに想像力がかき立てられるとうれしい」――『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ』の新たなゲーム体験とは?吉田Pインタビュー

 

と確かに言ってたけど、こんなにも丁寧に新生から続くハイデリン・ゾディアークの話を出し惜しみなく、徹底的に終わらせるその覚悟。

完成度が高い「蒼天」や「漆黒」とも違う満足感。FF14はFFテーマパークと言っていたけど、暁月はそれに加えてFF14のテーマパークにもなっていて、ファンサービスの塊、プレイヤーの想像のその先にもなっていたなと。

 

ここからはより詳しく『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ』6.0感想をネタバレありで書いていく。

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命の命題と青い鳥

『暁月のフィナーレ』では命が突き当たる哲学的命題、またはその不安を一通り言語化している。

容赦なく死んでいくモブたち。

戦争、機械化による自己の消失、環境汚染、究極を求め不死にまでなったものの命の価値を失くし自死を求めた者たち。あらゆる理由から滅んでいく星々。

時代に取り残され、自死を選ぶガレマール帝国の将軍。

どうせ最後は「無」になるのだから、生きる事は無駄だと考えるアモン。

そして人生とは苦しみ、絶望の連続。故に終わらせて無に帰してあげるのが「幸せ」ではないか。そんな結論に至ったメーティオン。

「無」とはFFのラスボスである意味恒例ともいえる。「全てを無に帰す」ことが目的だったり、「無」から生えてきたペプシマンとかもいる。

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↑「無」とか言い出す。比較的ポッと出。攻撃演出で星とか破壊する。何か翼生えている。というFFラスボス概念あるあるを制覇している。まさしくFFテーマパークの最後に相応しいラスボスと言えよう。

 

『三体』のように人類が宇宙に発したメッセージが原因で人類が危機に陥るSFはよくあるけど、逆に人類が発したモノが原因で宇宙全体が危機に陥るのは結構珍しいと思う。

 

そんなメーティオンのモチーフは青い鳥。

 

『青い鳥』を要約すると、主人公の兄妹は、幸せの使いである青い鳥を求め、妖精に導かれて思い出の国、幸福の園、未来の国などをめぐるが、どこにも見つからず、目がさめてみると、枕元の鳥かごに青い鳥がいた。幸福は身近にあることを寓意した幻想的な童話劇である。

 

 

本作ではそこに「命の意味とは何か」を問いかける。

メーティオンは星々の長い長い孤独な旅の上、多くの絶望を、多くの苦しみを、多くの死を見て、得た答えが「命に意味などない故に一緒に終わることこそがみんなが等しく幸せになる方法」だったため、滅びをもたらす黒い鳥になってしまった。

 

「命の意味とは何か」

僕も、あなたも誰もが「死」を考える。そんな普遍的悩み。

それに対して『暁月のフィナーレ』はこれまでのヒカセンの旅路、そこで成長したアルフィノたち暁メンバーの信念でもって応える。

人は古代人のように完璧ではない。失敗もするし、沢山の傷も負ったし、自分の1人の力ではどうしようもない事もあった。それでも、彼らは再び立ち上がり、お互いに手を差し伸べ、勇気をわかちあい、背中をおいかけた。

結局できなかったことはある、今でも後悔していることは沢山ある。しかし、それを含めて自分達が人生に刻んできた成長なのだと、だからこそ、これからも歩み続けるのだと。終末に対して豪語する。

 

僕たちプレイヤーは知っている。

長い人で旧から含めて11年。FF14という物語、旅路をヒカセンとして見てきた、体験してきた僕たちだからこそ知っている。

人は死ぬし、どうしようもない悪意も、絶望も沢山ある。

それでも、オルシュファンから託されたコト

第八霊災後の人々から引き継がれたモノ

沢山の想い。受け継がれる意思。

そんな綺麗ごとを信じたくなってしまう。

 

 

長い長い旅の末、ヒカセンの想いを冒険譚を知り、「命の意味の答えはこんなに近くにあったんだ」と嘆くメーティオンに、ヒカセンは「最初からあったわけじゃない。世界はみんなで作ってきたんだ」と。

メテオから始まった、ハイデリンの世界から始まったヒカセンの冒険はこの為にあったのだ。そしてヒカセンは1人の冒険者に戻る。

 

「終末」という漠然とした不安は漠然とした希望でしか払えないのだが、石川夏子を始めとしてFF14の制作チームはここまで物語の力を信じてこれを書き切ったことに感動する。そして映画や漫画と違って、自分で操作し、自分が歩んだ物語だからこそ、そんな漠然として希望でも、確かなモノとして思ってしまう。伝聞ではない己の経験としての物語。それこがMMOの、ゲームの醍醐味だと感じる、そんなFF14だった。

 

 

ヘルメス

公平にするために皆の記憶消しまーす!と言った時は「なんだこいつ」となったものだけど、古代人という目立つことは恥、エルピスの花は常に無垢な白色で、集団から外れることは極力しない画一化された世界で、自分が他の古代人とは異なる考え方で悩むヘルメス。

 

そんな彼が創造生物を管理するにあたってこの種は星を傷つけるからダメ、他と異なる個体だからダメと消されていく様を見続けていたら、「切り捨てられるモノ、それは自分だったかもしれない」と自分自身がのうのうと生きている事に悩むのも理解できる。

 

だからこそ、生きる意味を彼は求めた。

しかし、この問いはゼノスがユルスに言った「現実に納得するための理由を、他者に求めるのは間違っている。そんなもので返ってくる答えは他人の詭弁であり、答えを見出すのは常に自分」が1つの正解だと思うし、それを言ってくれる人がアモンの隣にいたという皮肉。

 

そしてもう1つの答えが、ヒカセンの中にあった。

生きる意味に正解なんてないということ。

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しかし、この答えは画一化の古代人にはたどり着くことが出来ない、多様に溢れる人だからこそ。

 

そしてこれは完全に結果論なんだけど、あのまま古代人の時代が続いていたら他の星々と同様に緩やかな終わりに向かっていただろうし、アーテリスの規模で考えると古代人が滅んで今の人が生まれてくれて良かったのかもしれない。

ただ、ED絵で幸せそうに出てくるなら一発ぐらいアモンじゃなくて、ヘルメスのこと殴らせろ!と思う。

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ゼノス

まさかゼノスがこんな綺麗な着地するとは思わなかったわ。

正直、あんまり好きなキャラクターじゃないし、紅蓮で退場しておけよ……と思ったけど、彼だけが唯一、ヒカセンではなく、冒険者として主人公を捉え続け、そんな彼だからこそできる終わり方だった。

 

ラストの殴り合い宇宙はヒカセンが光の戦士から冒険者に戻るための式事だと思った。

 

どうしても、戦いの規模が大きくなり、誰かを守るため、エオルゼアを守るための戦いが続いたヒカセン。

そんな彼が誰かを守るためではなく、今更倒す必要もない人と思う存分戦うという行為。

 

新しい武器を手に入れテンションが上がり、新技を会得して興奮し、まだ見ぬダンジョン、世界を見て回りたいという飽くなきまでの欲望を思い出す。

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ハイデリン・ゾディアーク編が終わり、これからもFF14を続けるモチベーション、意義を考える中で、純粋に冒険をすることが楽しかったのだと。誰かの為じゃなく純粋に戦いが楽しかったのだと。

風脈を目指し、コンパスをパリンパリンさせ、まだ見ぬ街への走り出すあの高揚感。

光の戦士ではなく1人の冒険者としてこのゲーム自体が楽しかったのだと。

ゼノスにしか出来ない問いかけをしてくる構造は素晴らしいと思う。

そして光の戦士は1人の冒険者になるのだ。

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↑ラストのスクライド展開は僕がララフェル族で賢者だったので、全体的にシュールな対決になってしまった。ただ、まだνガンダムっぽい賢者だったからマシだったけど、これが「チキチキラストの殴り合いシュール対決」だったらララフェル族で白魔導士が優勝だった気がする。


それにしてもゼノスくん、ヒカセンを追いかけて単身星を出て月を超え天の果てまで来てしまうとは……ヒカセンのアカウント乗っ取ったり、やりたい放題である。死んだかどうか不明な立ち位置でいつでも復活できそうだけど、最初では考えられない良い着地したんだから、潔く退場して欲しい。

 

ハイデリン

まず、お前に謝っておきたいことがある。

ハイデリン、絶対コイツ黒幕だわと疑ってすいませんでした。

 

それにしても「停滞」を意味する光のハイデリンなのに脳筋の強化系聖女だった。

ずっと胡散臭い奴だったんだけど、過去編でヴェーネス様という存在を通して、実は最も純粋にヒカセンに近しい人であることが分かり、印象が1番変わった人である。

1番遠くて1番近い人、とアゼムに言わしめる人なのが良くわかる。

 

星海で対峙したとき、「人はもう大丈夫だ、ヴェーネス」って伝える場面。

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頬に涙を流して声もヴェーネスに戻る演出が素晴らしい。彼女は最後の最後に蛮神ではなく古代人になったのだ。

 

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↑討滅戦なのに暁メンバーで戦えるの滅茶苦茶興奮してしまった。エーテルが見えるからか攻撃を的確に避けるヤ・シュトラや、敵の攻撃に当たりまくる阿保の子やんちゃなアリゼーなど、個性が見えて楽しいし、ぼっちプレイヤーな僕にはソロプレイが増えるのは純粋に嬉しい。ラスボス戦でヒーラーなのに5回ぐらい死んでしまって、申し訳なさで一杯になってしまったからね。

 

エメトセルクとヒュトロダエウス

エメトセルクはヒカセンとの戦いで星海に還った後、「忘れているの俺じゃん」と恥ずかしがってそうだし、ヒュトロダエウスがニヤニヤしながらいじりそう。

また、あんだけ偉そうなこと言っておきながら終末を止められなかったり、アーモロート再現までしてしまったエメトセルク……

そんな彼は古代人が滅んだあとは、アーモロートを再現し、そこにアゼムの魂を持つヒカセンを招くなど、恐らく過去の彼からしたら理解の出来ない行動をしてるのが、彼のアシエンとしての人生がどれほど大変で孤独だったのかを如実に表していて辛い。

 

それにしても87IDは新鮮で良かったですね。

最初、ヒュトロダエウスにピクミンしていたらワープしてどっか行きやがって「馬鹿野郎!!!」となったのは僕だ。これだから古代人には人間の気持ちは分からぬ。それに比べてちゃんと歩いて移動してくれるヴェーネス様の素晴らしさよ。ハイデリン最高!

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↑この程度簡単とか言うけど、初見で全然分からずピクミンしたのは僕だ!

 

何でもできるエメトセルクがアシムやヒュトロダエウスとパーティを組む時、アシムに振り回されながら職を色々変え、それを見てニヤニヤするヒュトロダエウスが容易に想像できて楽しい。

 

そして、消える間際に、ヒカセンがまだ見ぬ世界を教え

f:id:Shachiku:20211211161906j:plain「私は見たぞ?」と発破をかけてくるのあまりにズルい。

 

光の戦士後の「冒険者」であるヒカセンに対する何よりの刺激になる言葉である。

「アゼムのクリスタルを持つ者だろう? それくらいは当然見ておけ」

もう、エメトセルクとして再会することはないだろう。それでも拡張15.0ぐらいでまた違った彼と出会えるかもしれない。そんな希望を、FF14を続けていく情熱を持てる別れ方だったと思う。

 

暁のメンバー

ゲームを始めた時、正直彼らに思い入れはなかった。

グリダニアスタートで一番関わっていたイダとパパリモは両方とも暁から抜けちゃうし。

普通のRPGなら常に同行なんだけど、MMOはシステム上バラバラでの行動が多いし。

でも、それでもこんな長い間共に冒険し、漆黒から共にダンジョン攻略も出来るようになり、ドンドン好きになっていった。特に暁月だとウリエンジェが好き。

ウリエンジェが目立つ月でのやり取りとムーンブリタさんの名前の意味である「月の花嫁」の真意が分かるシーン2つとも大好きである。リヴィングウェイと種族の垣根を超えて幸せになって欲しい。

 

エスティニアン。

決める所はビシッと決め、俺の仕事は槍を振り回すことだからという傭兵のような姿勢はカッコイイし、ヒートテックネタや無職ネタをもっているのもズルい。最後のエリアの風脈が雑なのエスティニアンの性格が雑だからって言われてるの笑う。

 

そしてグラハ。水晶公との意識問題が話題になったこともあったけれど、そこにも作中できちんと応えれくれたのは流石。自分とは何か。それは誰にも分からない。だからこそ、過去ではなく今自分が想っていることが大事なのだとグラハは言う。

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そんな彼とまだ見ぬ冒険にいつか行こう……!

 

好きなシーン

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マトシャが赤ちゃん抱えながら走るシーン。人がドンドン死んでいく展開だったので緊張感と絶望感がやばかったし、ヴリトラが助けてきてくれるのも良い。象さんは可愛い声じゃないとダメなルールあるのだろうか、目覚めそう。

 

産まれし者よ聞け。生とはただ美しいものにあらず。

生ける者には苦痛を知り、災難を知り、絶望を知る。

あらゆる辛苦は振りかかり続ける。

焼けた道を行けど褒賞はなく、道の傍らにはいつも、死が口を開いている。

それらはお前を恐れさせ、嘆かせ、苛み、悩ませるだろう。

だが、目を閉じてはならね。かくのごとき生を見据えよ。

お前を打ちのめしている辛苦は、しかし、お前を弱くしてはいない。

ひとつひとつが、焼けた鉄に振り下される鎚に似て

お前を、強き……強き剣と、成すだろう。

 

この詩、滅茶苦茶好きだし、暁月のテーマだよね。

 

システム

本作三大ストレスだった所。

  • ガレマール帝国での少年の尾行サブクエ

急に振り返ったと思ったら高速で戻ってくるな!!馬鹿!!!!となる。

今回同行と尾行がちょいちょいあったけど、尾行はいらないかな。同行も途中で都市転送網利用しても同行者がついてこないのが納得いかない。お前もエーテルライト使えるだろ!!!となる。

  • メーティオンとのかくれんぼ

長くね!!!????となる。半分で良かった。

  • シャーレンで悩んでいる住民を8人探すやつ

多くね!!!????となる。半分で良かった。

 

オマケ

コレクターズBOX同梱のフィギュアの顔がジワジワくる

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最後に

スタッフロールでAnd youではなく、The Warrior of Lightでプレイヤー名が出てくる演出良いよね。

ここまで綺麗に終わってしまったら、これからFF14どうするんだという想いは出てくるけども、多分、明日も、明後日もも、一か月後も、一年後もエオルゼアにログインしていると思う。風呂に入る事や、毎日社畜として働くのと同じで、FF14でのプレイが日常になってしまった。

 

エメトセルクが言うように僕がまだ見ぬ冒険への準備をしながら極の練習もしていきたい。零式も挑戦してみるか……!

 

さてと今日は、何をしようか。

まずは完全に寝不足なので思いっきり寝る!!

 

 

最後に新生から続くラストの文字だけ紹介して終わりたい。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

新生のつづく

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蒼天のつづく

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紅蓮の続く

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漆黒のつづく

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そして暁月のFIN

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この右下、漆黒のED曲「tomorrow and tomorrow」の歌詞なんですよ。

"胸を張れ、友よ
我らの冒険は終わらない”

大好き。ありがとうFF14運営、ありがとう吉田。またよろしく。