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PS4/Switch『Angry Alligator ワニワニ大冒険』レビュー。ワニファーストのゲーム

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 昨年の干支は鰐でしたが、ワニ作者の『鬼滅の刃遊郭編が始まったり、『100日後に死ぬワニ』が公開されたり、まさしく2021年は鰐の年と言えるでしょう。

 

そんな縁なのか、近所のゲームショップで購入したPS4タイトルが4本入って1万円の福袋の中身が『ONE PIECE 海賊無双4』『モンスターハンターワールド:アイスボーン』『The Last of Us Part II』『Angry Alligator ワニワニ大冒険』です。

他がろくでもないゲームばかりだったのでワニに縁を感じたので、このゲームを初めてみる事にしました。

この『Angry Alligator ワニワニ大冒険』を調べてみると発売日が2021年12月2日で

 

え、12月発売のゲームがもう福袋の中に入っているの!?

 

という若干の危惧はありましたが、まぁコンビニとかでよくある過剰発注の可能性もありますので、やる前から不安になっても仕方ありません。今年は寅年。虎のような勢いで駆け抜けていきたい所存です。という訳で新年早々にクリアまでゲロを吐き、頭痛に悩まされながら駆け抜けましたのでレビューを書いていきたいと思います。

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【メーカー】Go Game Pte Ltd 【定価】¥4,180 【ハード】PS4,Switch

 

概要

プレイヤーは小さな赤ちゃんワニとなり、可愛い鳥や可愛いシカ、さらには可愛いクマなどの道行く動物たちや汚らわしい人間どもを食べながら立派な巨大ワニに成長していくオープンワールドゲーム。

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クリアだけなら4~5時間ほどで出来る4180円とは思えないボリュームだが、これから書く理由により4~5時間が丁度いい長さだった。オープンワールドゲームってボリュームが凄い事になりがちだけど、この短さは助かる。

 

序盤が鬼門

本作で一番の鬼門は最初の1時間だろう。これを乗り切ればクリアしたようもの。

なぜなら、本作は「ワニになる」というコンセプトなので、元来我々ホモ・サピエンスが持つ「動き」「視線」を全くしてくれない。その齟齬が「酔い」に繋がる。漫画やアニメで偶にあるサイボーグに魂が移ってしまい、慣れるまでうまく身体が動かせない展開を疑似体験できる。

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カメラは自分の操作キャラであるワニを背後にとらえた3人称視点だが、視点の高さがワニに合わせているため、常に匍匐前進のようなカメラ位置でとても低く、それだけ酔う。

 

そして本作はお腹減る=HPが減るというシステムなので、常にHPが減り続ける。

そのために常に可愛いカエルや可愛い蟹、可愛いクマや汚らわしい人間どもを食べ続けなければならないのだが、常に匍匐前進のようなものなので、

小回りが効かず、旋回が思ったような動作せず、視界も悪い。

この3重苦でワニに慣れるまでフラストレーションがかなり溜まってしまう。

ワニのゲームだからワニ第一主義なのは理解できるが、もう少しホモ・サピエンス向けにもチューニングしてくれたら嬉しかった。

 

 

また、ワニなので視線が常に下なのだが、本作最強の敵であり、MAPを巡回しているドローンは空にいるため近くにいても気づかない。「チロチロチロ」という安っぽいBGMが流れだしたら全力で逃げないと、ハチの巣にされてしまう。

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僕は5回ぐらい死んだ。草むらで隠れたら回避出来るが、草むらがあんまりないという罠。こんなにも森林伐採を恨んだことはない。

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↑中盤で高速移動ができ、崖や家などオブジェクトを無視して直進出来るメガブースターが手に入るのだが、それでも逃げ切れるかは五分五分

 

カメラも問題がある。視点位置をデフォルトに戻す事が出来なかったり、ブレブレだったり、勝手に動いたり、カメラの挙動が思い通りにいかずかなり辛い。

難がある操作性とカメラでプレイヤーのHP(やる気)をじわじわ減らしてくる。

出来の悪いゲームによくある進行不可になるバ多発のような爆発的なHPの減りはないが、毒沼の上でタップダンスするぐらいのじわじわとしたHPの減りようである。

 

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そして本作一番の難所がチュートリアルを終わった後の最初の目標である「ワイスクロコ(長老ワニの名前)のトーテムに行け」という奴。

 

目標地点はゲロを吐き、頭痛に悩まされながらも行く事が出来るが、問題は「ワイスクロコのトーテム」に到着しても何も起きないということ。

 

????????????????????????????となる。

 

上の地図の通り、目的地が大まかな〇でしかないので、トーテムの近くの家とか入れるのか試したり、他に何か目標を達しないとダメなのか色々試すのだが何も起きない。

ここまで来る途中で可愛いカエルや可愛い蟹を食べたりしたので、フラグ管理がおかしくなったのか不安になったりする。ただでさえここまで来る過程で体調が悪くなっているのにグルグル目的地周りを何度も行ったり来たりするでますます酔ってくる。このゲームは人気ではないようで、ネットで情報を探っても攻略情報など何も出てこない。

詰んだ、やり直しか……と絶望しながらボタン連打していると

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突然お使いクエスト出しながら登場してくるワイズクロコ!!そして速攻で去っていく。

 

どうやらトーテムの前ぐらいでPS4なら△ボタンを押して待機してないとダメだったらしい。マジで教えて欲しかった。

あと、普通にバグでワイズクロコが引きこもって出てこないことあるので、その時は素直にやり直そう。

 

おめでとう、ここまでクリア出来たなら後は代わり映えしない「生き物を食べてレベル上げ」「アイテムの回収」「味気ないボス戦」の繰り返しでゲームクリア出来る。

 

味気ない物語とゲーム性

 

オープンワールドの魅力の1つに、何処へでも行ける事がよくあげられる。

フィールドは遠景までしっかりと描写されており、その壮大な風景に見とれたり、遠くに見える街が徐々に大きくなっていくのは、オープンワールドの醍醐味を覚える瞬間である。

しかし、本作は「ミニゲーム」「トーテム」「テレポート用の下水道」「汚らわしい人間どものキャンプ場」ぐらいしかオブジェクトがなく、そもそもMAPが狭い為にオープンワールドの楽しさを味わうことが出来なかった。また、ワニ視線で低いので地面ばかり見えて遠くの風景はほぼ見れない。

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↑いい景色撮ろうと頑張った奴

 

物語を進んでいくと囮のワニを出せたり、汚らわしい人間どもの注意を引く音楽を流せたり、尻尾攻撃でオブジェクトを破壊出来たり、メガブースターで高速移動出来たりするが、ワニ自体がそんな物利用しなくても強くなるので、メガブースター以外要らない。

ワニはレベルが上がるごとに身体も大きくなりレベル15前後ぐらいで地上で負けなしの強さになっていくのだ。

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序盤では汚らわしい人間どものキックに勝てなくてゲームオーバーになったりもしたが、レベルが上がると一口で殺せるようになるし、3,4人相手でも問題なく殺せる。ワニになって人を殺したい願望がある人にはオススメ出来るゲームになっている。

 

ただ、物語を進めるのに推奨の数値までレベルを上げないと進めない仕様なのだが、引き延ばしのためか、段々と推奨レベルが上がっていき怠くなってくる。ここが本作第二の鬼門だと思う。

 

そしてVSサメ戦。

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海中でのサメVSワニという、最高のカード。B級映画好きには堪らない展開だが、この戦いがやたら「塩試合」

移動速度がほぼ同じなのでメガブースター使わない限り追いつく事が出来ず、海の中では上下移動もできるため、相手に丁度良くぶつかるようにここだけやたら繊細な移動スティック操作が求められる。

メガブースターを切らしてしまったら、相手は同じ所をグルグル周回しているだけなので、待ち伏せして、一撃を加えて、また待ち伏せの繰り返し。相手のサメはグルグル周回してるだけの無害なんだからほっとけよという気持ちになってくる。

 

サメを倒したら、ラスボスを弱体化させるためアンテナ電柱を破壊する謎の展開があったり、

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ストーリーはクリアした後もよく分からない奴だった。ここらへんは翻訳の適当さもあり安い海外のゲームだなぁといった印象。

 

最後に

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見た目以外に効果は特にない装備があったり、ワニ好きには堪らないゲームじゃなかろうか。

 

興味をもった人は是非最初の一時間ぐらい我慢して遊んで欲しい。酔いも段々慣れる。ワニが僕らにチューニングするのではなく、ワニに僕らホモ・サピエンスがチューニングしていくのだ。どこまでもワニファーストなゲームが本作ともいえる。

 

1000円ぐらいのインディーズゲームならここまでよく作ったな~と思わなくもないけど、定価で4,180円は正気か?と思ってしまうし、これと『ONE PIECE 海賊無双4』『モンスターハンターワールド:アイスボーン』『The Last of Us Part II』を福袋に入れて1万円で発売したあのゲームショップ正気か?