Ado、めっちゃ歌う。
前作の『スタンピード』がオールスター勢揃いの所謂「お祭り」映画(notオマツリ男爵)だった。
「お祭り」映画(notオマツリ男爵)は話題性が凄いが、その分一度でもやってしまうと次もオールスターを求められてしまう諸刃の剣でもある。
しかし、ワンピースには『スタンピード』の時にはタイミング的に出せなかった「四皇」があるのだ。
何よりもシャンクス。
尾田先生は「ワンピースの終わりが近づくとシャンクスの活躍増える」と明言していた訳だが、原作が最終章に入るこのタイミングで『FILM RED』という「赤髪のシャンクス」の名を冠する映画が公開されるのはバッチリだといえる。
そして何よりシャンクス。
第1話から登場しているのに20年以上の歴史を持つワンピースにおいてまともな戦闘シーンがないせいで格闘ゲームが出ても初代グランドバトルから変わらず「失せろ!」の一本勝負なのがネタにされたり、
四皇になるほどの存在なのに1話で近海の主やヒグマを覇王色で倒せなかったり、
youtubeなど考察動画で「シャンクスは2人いる」「シャンクスは複数人」「シャンクスは人間兵器」みたいのがバズったりしたりして、
シャンクスが少しでも登場するだけでネットがざわつくという唯一無二の存在感を良い意味でも悪い意味でも出してしまっている。
みんな大好きシャンクスがメインの映画、そりゃ見るよという気持ちで映画館に向かったわけだが、「無」から沸いてきたシャンクスの娘こと、ウタが歌うシーンが長い。
観る前からワンピースの映画なのにウタの歌シーンの声優adoのMVが主になりそうな嫌な予感はあったが、中盤ぐらいまでほぼほぼadoのMVである。
約120分の映画で全7曲。そのうちの2曲をフルで歌うのでウタワールドに引きこまれなかったら中々辛い所もある。ただ、1曲目の「新時代」以外は歌のバックでストーリーも進むので世間で叩かれているほどではない。
しかし、製作陣は製作の初期段階からウタというキャラクターに長年付き添い、愛着も湧いているみたいだけど、映画本編で初めてそのキャラに出会う身としては「なんだこのメンヘラは……」感や、「いや、それよりシャンクス早くだせよ」感は拭いきれない。
正直、谷口監督でもダメだったか……と僕は思ってたわけですが、後半で赤髪海賊団が出てきたぐらいからテンションは最高潮。
なぜならこのシャンクス、1話の登場から約25年間、それまでの合計活動量の10倍くらいのアクションをこの映画で浴びせてくるのである。
大丈夫!?そんな急に動いて2日後に筋肉痛にならない!?と心配になる程。
映画を見る前はシャンクスは回想にチラッと出てくる程度かなと侮っていた。こんなにも出番あるとは思ってなかった。
原作の都合上、ルフィとシャンクス、ウソップとヤソップは面と向かってまだ出会えない。ならどうするか。現実世界と仮想現実に分かれて、それぞれお互いを感じなが活躍するという手法。観客が見たいものを見せるけど原作は尊重する最高の一手。
一般市民にボコボコ殴られるシャンクスの時点で感動してしまったし、剣技出しまくっているのに「お前もしかしてネーミングセンス無いのか?」と思うぐらい技名が出てこないシャンクスにじわじわくる。麦わらの一味を見習え。
劇場特典の40億巻にも書いてあったシャンクス自身がゴッドバレー事件中にロジャーが奪った財宝に紛れ込んでいた赤子という設定が判明する。フィアーランド家。
これ、シャンクスが天竜人の末裔だった説ほぼほぼ確定だと思う。シャンクス=天竜人で笑ってしまうイメージが頭にわく人もいるだろうが、考察動画が全部悪い。
そしてウタという存在。
大海賊時代において、一般市民は生きているだけで地獄である。
それはインペルダウン副署長のハンニャバルの台詞からもうかがえる。
何を...貴様らシャバで悪名揚げただけの.........
”海賊”に”謀反人”.........!!!
何が兄貴を助けるだ!! 社会のゴミが綺麗事抜かすな!!!
貴様らが海へ出て存在するだけで...!!!
庶民は愛する者を失う恐怖で 夜も眠れない!!!
か弱き人々にご安心頂く為に 凶悪な犯罪者達を閉じ込めておく ここは地獄の大砦!!!
それが破れちゃ この世は恐怖のドン底じゃろうがィ!!!
出さんと言ったら一歩も出さん!!!
確かに世界政府もクソである。
ルフィたちがアウトローなので物語上、反権力、反権威の理由付けが描かれているが思いっきりディストピアである。天竜人という腐れがいる時点で詰んでいる世界である。
海賊は本来は悪であり一般市民つまり弱者の敵。それなのに海賊がある意味ヒーローに見えてしまうのは世界の方が歪んでしまっているから。
ただ、そんな世界でも好き放題に強奪する海賊が存在する以上、一般市民が海賊にも恐れを、世界に対して憎悪を抱くのも仕方がない。
なぜならワンピースの世界は弱者にとってあまりにも辛い場所だから。
故にウタはそんな世界に「新時代」を目指す。弱者のために。
自分の過去の過ちを知りながらも、誰もが幸福に生きれる世界を目指す。
今話題のカルトっぽい話だけど、人は「救い」を求め、ウタは自分なりの答えで導こうとする。
結果的にウタの計画は失敗するが、「新時代」を誓い合ったルフィは生きている。
そしてルフィはラストで改めて宣言する
「海賊王におれはなる!!」と。
恐らくウタが死んだことを見聞色で知っているだろうルフィ。
それでも彼は立ち止まらず、この歪で狂った世界を終わらせ、「自由」の新時代を目指す。
ウタの意思を継いで。
恐らくこれが、未だ謎に包まれているルフィの「夢の果て」に関係しているのは間違いない。
エースに「心残りは……一つある…お前の—“夢の果て”を見れねェ事だ…… …だけどお前なら必ずやれる……!!! おれの弟だ……!!!」と言わしめたこの「夢の果て」は世界を大きく巻き込むのだろう。
細かな所
- 妹萌を全て受けるブリュレ。ヒロインである。サンジくんとの絡みも最高
尾田先生、「挑戦をやめるなら死んだ方がましだ」といって実際に前章で見事な妹萌を描き、ワノ国編ではわがままでブラコンな姉うるティだけでも勝利してたのに、ヤマトという僕っ娘腋見せキャラまで出てきたの、あらゆる性癖に挑戦していく向上心の塊過ぎる… pic.twitter.com/y3ycf3lVa7
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2020年7月5日
- 皆に指示するコビー。実力、指揮能力含めてモクモクさん超えたのでは
- ブルーノを可愛いと思う時が来るとは
- ラッキールゥの技がグランドバトルでみたやつ。
- 谷口監督「(活躍させて)予想外に楽しかったのはブリュレかな。ブリュレは今回の4大ヒロインの1人です。ウタ、ナミ、ロビン、ブリュレですから」と公言するヒロイン、ブリュレ。
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- 前作の『スタンピード』から引き続いて大活躍のウソップ。ワノ国では微妙な活躍だけど、時間が短い映画だとルフィ以外の戦闘員より補助役の方が活躍させやすいとかあるのかも。
- モモンガ中将の微妙に活躍する度合いもプロの領域に入ってきた気がする。
- シャンクス、見聞殺しで未来を見せない力を持つこと判明したけど、これって未来みえるルフィとの戦いフラグもたってない?
- シャンクスの顔、原作絵は好きだけどアニメは何か違う気がする。
- ワンピースフィルムRED、「ワンピースらしさが薄い」と言われるのが納得いかないというか、別にワンピースって巨悪に対してルフィがぶち切れながら殴る事じゃなくて、互いの信念のぶつかり合いだと思っているので、ルフィと真逆な信念を持つウタとのぶつかり合いはワンピースらしいと思う
- シャンクスのフーシャ村にいた時の懸賞金額が10億4000万ってちらっと映ったけど、この時代から大海賊だったシャンクスに喧嘩うるヒグマって何なんだよ!!!!
- ヤソップが追撃者の異名を持つほどの見聞色持ちなのが判明したけど、それに対して煙幕で逃げるヒグマって何なんだよ!!!!
最後に
ワンピース、約25年以上も連載しているとそれぐらい長い期間アンチ活動している人もいるわけで。
特にワンピースは長い間オタクから嫌われていたコンテンツでもあるので、そんな長い期間アンチ活動しながら育まれてきた人なんてもはや怪異の一種になっていると思う。www.shachikudayo.com
レビューサイトとかも色々工作し放題なので、低評価みたいなのも半信半疑の心を常に持って、興行収入バトルなんて不毛な事はせず、自分の目で、自分の耳で実際に鑑賞して欲しい。それだけが言いたい。
僕は好き。好き好き大好き愛してる。