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映画『バイオレンスアクション』感想。アクション映画なのにアクションシーンが酷い

福田雄一作品を更に水で薄めた感じ

日商簿記2級を目指す専門学校生の菊野ケイ。 一見柔らかな印象とは裏腹に、ケイは殺し屋のアルバイトで指名ナンバーワンの実力の持ち主だった。 どんな強い相手だろうと、構うことなく淡々と仕事をこなしていくケイのもとに、ある日最悪の依頼が舞い込んでくる。

 

『キングダム』『今日から俺は!!』『かぐや様は告らせたい』『弱虫ペダル』『斉木楠雄のΨ難』『暗殺教室』そして『銀魂』など漫画原作を実写映画化する時にこの世には他に女優って存在しないの!?レベルで関わってくる漫画実写界のトップ女優橋本環奈。

その道進んで大丈夫かと言いたくなる橋本環奈が選んだ次なる原作は累計発行部数70万部超え、オンラインアクセス数1,000万PV超える小学館やわらかスピリッツ」で連載中の超人気コミック『バイオレンスアクション』

長らく休載していたが連載も再開した。

 

監督は『おっさんずラブ』『極道主夫』などの人気作品を手がけてきた瑠東東一郎。

コメディ色強めの監督だが、監督曰く「昔からアクション映画が好き」とのこと。

 

本作最大の売りが日本初となる新技術を利用したアクションシーンだろう。

ソニーグループが開発した最先端の “ボリュメトリックキャプチャ技術”
取り囲んだ数十台のカメラで撮影したキャストを3次元デジタルデータに変換することで縦横無尽なカメラワークを実現し迫力のアクションシーンを生み出している。

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↑ここの最後で殴り合っているシーンがボリュメトリックキャプチャ技術。しかしこの技術を利用してるのはここの殴り合いとタイトルバックの二箇所のみ。そんな推すようなことじゃない。

 

全体的にアクションシーンは酷い。

 

最近流行のテレビアニメ『リコリス・リコイル』のようなキュートなガンアクション作品ではある。お互いキック・アスやらジョン・ウィックのハリウッド映画から影響されているのはよく分かるが、完全にアクション面の出来が『リコリス・リコイル』に負けているの今の邦画と日本アニメの差だとまじまじと感じてしまう。

 

例えば銃撃戦で橋本環奈がシュバババと敵の弾丸を避けるシーンがある。撃ち合いで敵の弾丸を避けるの『リコリス・リコイル』でもある。しかし、『リコリス・リコイル』は敵が発砲し、弾丸を避けるまでをきちんと丁寧に描くが本作は雑なCG処理の高速移動かスローモーション演出からの空中舞踊で避けて誤魔化している。空中舞踊なんてなんでそれで弾丸を避けれているか見ていてまるで分からない。

 

実際の人が演じる実写なのにアニメより見ていて納得感出せないの本当に今の邦画って感じだ。

 

 

また、全編の大半がMVみたいな細かいカット割りで編集されていて、場面転換の主張が本当にしつこい。90年代のカラオケムービーである。

血はそこそこ飛ぶものの、見ていて痛みを全く感じない。橋本環奈も全然返り血を浴びないし汚れない。

生々しい暴力ではなく、ポップな感じなのはまだいいが、漫画的表現やカット割りの過剰演出。アクションに緩急つけるためにスローモーションと早回しを交互に入れるのはよくあるけど、流石にアクションシーン全部にそれやられると飽きてしまう。

城田優演じるみちたかくんのアッパーで数人吹き飛ばされるヤクザのシーンなんてどんな顔して観たらいいのか全然分からない。

原作だとアクションシーンも漫画なので当然漫画的表現はあるが

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このシャシャシャといった漫画的表現もそのまま実写でやるので見ていて恥ずかしい。原作漫画がそうだからといって、映画でもCG使ってそのまま表現するのはそれは違うのでは!?と思ってしまう。もっと映画に落とし込んで欲しい。

さらに言うと原作より漫画的表現を多用していて「正気か?」って気持ちになる。

 

 

邦画でも『ベイビーわるきゅーれ』みたいな筋肉同士のぶつかり合いを感じるアクションシーンを見せられ後にこういうペラペラしたアクション見せられてもなと思ってしまう訳で。

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全体的に「あの顔が良い橋本環奈にこんなアクションが!!」の一本勝負なので、橋本環奈目的じゃないと中々辛い映画だと思う。

 

 

最後に

福田雄一作品を更に水で薄めた感じと冒頭で書いたけど、薄めた分、ギャグシーンは福田作品ほどしつこくなくまだ観やすい。

「問題はそんなモンダイ」と言って自分で笑う佐藤二朗の予告シーンは嫌な予感しかなったけど、その後で笑わない連中に静かに切れるシーン含めての演技だったので福田作品佐藤二朗とはまた違った良さはあった。そこ不安視している人は安心していい。

ただ、原作よりナイナイ岡村演じるヅラさんのハゲ弄りが激しかったりして、ギャグも面白いわけではない。福田作品に比べてしつこくないだけ。

あと、原作だと淡々と酷い事が起こり、淡々とアクションシーンがあり、淡々と解決するその淡泊さがよかったのに実写だとどうしてこんなポップ感出てしまうのか、誰か解明して欲しい。

 

文句も多いが、兵頭大樹演じるヤクザも良かったし、何より大東駿介が良かった。

大東駿介の時代来るよ(遅い