TIGER & BARNABYが完結した。完結してしまった。
TVアニメ『TIGER&BUNNY』はこれからも続くかもしれないが、ワイルドタイガーとバーナビーのバディTIGER & BARNABYはシーズン2で完結である。
本音をいうと、もっともっとこのバディを見ていたかった。
"虎徹さんとバーナビーはこれからも、シーズン3も4も5も劇場版も終わりのないバディヒーローやってるんじゃないか"
そんな期待がずっとあった。
第1期の後半から虎徹さんの能力減退の話があって、最終的には無能力者としてヒーロー引退して終わるんじゃないかと僕は不安ながらに思っていた。しかし、その終わりは
"能力を1分しか発動出来なくなった"
"2部でこれからもヒーローとして頑張る"という
「Eternal Immortality.(永久不滅)」ENDである。
そして虎徹さんの
「それに思ったんだ。自分の限界なんて決めるもんじゃないって」
「この先、いつか力が無くなって、皆にバカにされたとしても、いくら恥かいたとしても」
「俺は死ぬまでヒーローを辞めねえ。しがみついてやる」
「いいだろう。1人ぐらい格好悪いヒーローがいたって」
の台詞。
いや、これ終わんねーな!と誰もが思ったハズだ。
何なら劇場版で2部から1部に戻っちゃったよ!TIGER & BARNABYは永久不滅なのである。
その想いでこれまでタイバニを鑑賞してたと思う。どれだけ虎徹さんの能力が衰え、若手に追い抜かれ、立ち止まることがあっても、最終話ではバーナビーの隣にいるという期待と共に。しかし、その期待は終わった。終わってしまったのである。
あのラスト、ミュージアムにタイガー&バーナビーのこれまでの活動年代が刻まれて日付入り額縁はそういう事だと理解した。いや、劇場版とかに続くよ!などの意見もあるかもしれないが、わざわざあのカットを入れた意味を考えるとそれはない気がする。
あ~~~~~~~~~~~~たしかに心の整理は必要。荒れる人がいるのも納得できる。バーナビーだって虎徹さん引退を知ってあんなに大泣きしたんだから、そりゃ、視聴者も泣くよ。こっちだって11年の繋がりがあるんだから。でも、虎徹さん自体は引退を受け入れているような動じなさで。多分ずっとこの日がくるのを覚悟してたんだろなって。本人の代わりに周りが泣くことってあるよね。
でも、正直僕はそこまで悲観的になれなかったのは本作のテーマが「ヒーローの再定義」であり、それに答えることができたからだと思う。
ヒーローって何なんだろうな。
ヒーロー活動が停止になり、契約上、ヒーローとして動く事が出来なくなった虎徹さん達。
基準値とか野良とか、ヒーローの仕事とは何なのか。再び考え直す時が来たのだ。
そして虎徹さんが出した答えが
「ヒーローは極論、強い、弱いは関係ない。困っている人がいたら自分を顧みず前に立っていけるか。市民に自分自身に街を任せられると思ってもらえるか」
言ってしまえばヒーローTVで、カメラの前で戦うだけがヒーローではないということ。
だからこそ、タイガー&バーナビーとしてのヒーロー活動はこれで終わりかもしれないが、
虎徹さんとバーナビーの活躍はこれからも終わらないってこと。それはきっと額縁の外としてのヒーロー。
2人は知っている。哀しいながら現実には「永久不滅」も「無限の力」もないことに。それでもレジェンドのように腐ったりせず、現実を受け入れて必死にもがいて、頑張っていく。共に支え合う相棒と共に。
だからこそ、ずっと泣いていたバーナビーが最後、「アーユーハッピー?」の問いに対して「maybe」なんだと思う。
また、これ以上バーナビーを攻撃しないため、誰かを傷つけないように能力を失ったように見えるし、結果的に虎徹さんが暴走したおかげで、感染症と思われていた差別の元凶であるXの発生原因が人為的なNEXT能力であったと証明できたのも、最後の最後まで自分を顧みないヒーローって感じで好きだ。これが虎徹さんなのだ。
タイガー&バーナビー。1期を経て真の相棒になった2人。
2期ではバディのすれ違いも、喧嘩らしい喧嘩もなく、頭の先からお尻の先まで互いを信頼し、理解した相棒になっていて最高だった。*1
特にタイガースーツinバーナビーが激熱。
能力がなくなったタイガーのスーツを纏い、最後は自分のイメージカラーにスーツを輝かせる。
一緒にパンチやキックをするだけが共闘じゃない。虎徹さんの意志がこうやって引き継がれていくだなって。
また、バーナビーは私生活では植物しか友達いなかったのにホモサピエンスの友達が出来る成長具合である。
あと、2期で僕が心からよかったと思えたのはルナティックの〆方である
ルナティックって非常に繊細で難しいキャラだと思う。
過去の事考えると救われて欲しいけど、深すぎる罪を背負ってユーリが救われていいのかという問題である。
2期では母親の死があり、苦しみに苦しみ抜いた上で自分の意志で正しい行いをし、最後はルナティックとして己の罪を裁いて消える。
1期から続くユーリの生き様としてこの形以外で彼が救われることなんてなかったと思う。これを踏まえてユーリが4期とかで復活するのもそれはそれでいいと思う。
あと、副音声でルナティックの仮面割れた後、ユーリの顔が出るシーンは、逆光でタイガーとバーナビーはユーリの顔が見えてないって補足あったので、ユーリ自身の今までの積み重ねはルナティックに塗り替えられなくてよかった。
最後に
個人的に『タイバニ』って今で言うところの『リコリコ』と同じ箱に入っている。緻密な世界観などが魅力に見せかけて主人公2人の関係性の話だと。虎徹さんとバーナビーの関係性が本作がここまで人気出た1番の理由だと思ってるし、やろうと思えばズルズルといつまでも続ける事も出来た。でも1期から続いた虎徹さんの能力衰退、世代交代、ルナティックの扱い、ヒーローのあり方について目を晒す事なく真面目に落とし前つけた終わり方で、不器用な作劇ながらも僕にはこれしかないと思えた。思えてしまった。悲しいよ。
虎徹さんは僕からしたら中年男性の希望の星なので非NEXTになった彼の活躍をこれからも見たいよ。というか、NEXTから非NEXTになった人なんて早々いないだろうからNEXTと非NEXTを繋げる人になって欲しい。黒幕かと思いきや無能ババァだったHOPEが「役に立つNEXT」としてNEXTの立場を向上させたなら、次はもう一段先の未来として、しがみついて頑張る虎徹さんをいつまでも見ていたい。例え、それがワイルドタイガーのスーツを着てなくても、僕らのヒーローなのだから。
*1:ただ、あんなに引っ張っていた「2人で飲みに行く」約束が最後まで回収されなかったのは気になるし、バーナビーの脚の怪我の件も結局何だったんだとは思う