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「M-1グランプリ2022」感想。ウエストランド井口「お笑いは今まで何も良いことがなかったやつの復讐劇なんだよ」

どうも、ワールドカップを見ている時はサッカー評論家、M-1を見ている時はウザいお笑い評論家になる社畜です。

 

2020年大会で「お笑いは今まで何も良いことがなかったやつの復讐劇なんだよ」と言ってたウエストランド井口が2022年大会で優勝して最後に「自分の人生なんですけど、初めて主役になれた気がします」と言ってたのはドラマがあるというか、人生の勝ち組でなかった存在が勝つという展開に弱いです。

 

良くも悪くも終わった後の空気見ていると「毒舌漫才、悪口漫才はアリかナシか」の話題一色になっているのでその衝撃度がよく分かる。

確かに「誰も傷つかない笑い」がぺこぱが出てミルクボーイが優勝した伝説の2019年大会の時にブームになって、毒舌系は最近では少なくともM-1で中々受けなかった風潮があったのは間違いない。その中で優勝出来たのは松本人志さんが評した「窮屈な時代だけどキャラクターとテクニックさえあれば毒舌漫才もまだまだ受け入れられる」に尽きるだろう。井口さんの身長も小さくて歯もガチャガチャの小物感から出てくるキャラクター性と、悪口自体を笑うのではなく、井口さんの歪み凝り固まった偏見さを笑うように誘導するテクニックなのだろう。「ウエストランドのネタで笑ってる奴は共犯」この富澤さんのコメントが全てだと思う。

ちなみにウエストランドが喧嘩売ったモノ

・恋愛映画
・YouTuber
・お笑い評論家
路上ミュージシャン
・アイドル
・役者
・田舎
・笑いにメッセージ込めるお笑い芸人
・フライヤー

・大阪の笑い
・R-1
M-1(特にアナザーストーリー)

1本目はウエストランドや審査員に関係のない所の悪口だったけど、2本目は全方向の殴りで良かったと思う。人に優しい笑いでも人に厳しい笑いでも優勝出来るのがM-1なんだと。

2020年大会でウエストランドのネタを観たCreepy NutsのDJ松永がラジオで「俺、もうあそこ魂が乗っかりすぎていた。マジでブルース。ブルースかつヒップホップだった」と言わしめるようにその悪口に魂が乗るかどうかの問題だと思う。即ち、好み。僕はTwitterという悪口の巣にあまりにも長い間居すぎて感覚がマヒっているのかもしれない。否定できない。滅茶苦茶乗れてしまった。「M-1にはあるけどR-1にはない」でその後の悪口が容易に想像出来たのとM-1の悪口で爆笑してしまった。

 

あと優勝まで出来たのはウエストランドの順番がトリで不利だなって思ってたら、毒舌漫才で「トリからトップバッター」の連続で勢いが強くなったので、やっぱり王者は運もあるよなって。

アナザーストーリーで泣きながらご両親に優勝報告する井口さんを見れると思うとワクワクする。

ウエストランド【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順10〉M-1グランプリ2022 - YouTube

ウエストランド【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順1〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

 

カベポスター

カベポスター【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順1〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

賞レースとかで何回か見たことある大声大会ネタだけど、何回見ても面白い。

今回から審査員の山田邦子さんが84点でM-1壊しにかかっている空気が流れたけど、最終的には得点のバラツキがすごかっただけで山田邦子さんがいなくても順位が変わらなかったので、盤石なM-1システムには関係なかったのが面白い。ただ、山田邦子さんの点数は良くてもコメントが滅茶苦茶だった気がする。

上沼恵美子VSマヂカルラブリーみたいに山田邦子さんへのリベンジを誓ったカベポスターがいつか優勝したらアツいな。

 

 

真空ジェシカ

真空ジェシカ【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順2〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

六法全書の同人誌」「俺でなきゃ見逃しちゃうね」「韓国の受験生」「派遣のニューウェーブ」「年金もらいすぎて卑屈」年齢層が高い審査員に合わないだろう僕たち向けのワード選びが本当に好き。一生M-1で優勝できない気もするけど、そのままでいって欲しい。ネタが掲示板のノリみたいだよね。

 

 

オズワルド

オズワルド【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順3〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

敗者復活戦と同じネタなのに細かい所を変えて2回ともウケが良いのは凄いけど、優勝するなら去年だったよな~~~~~って感じだ!このまま和牛コースになってしまいそうだけど笑い飯コースになって欲しい。

 

 

ロングコートダディ

ロングコートダディ【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順4〉M-1グランプリ2022 - YouTube

ロングコートダディ【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順2〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

M-1グランプリをマラソン大会と勘違いしてるコンビによる笑い飯を彷彿とさせるダブルボケスタイル。「コント師にしかできない漫才」で見ていて画がイメージできる。

お味噌汁持ってるやつの「楽しみやなぁ」とか「マジックテープのやつにしたらよかったぁ」などの細かい大喜利1つ1つがハマってた。

2本目のタイムマシンの遠山の金さんだと思ったらワクチン接種が笑ってしまってだめだった。

 

 

さや香

さや香【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順5〉M-1グランプリ2022 - YouTube

さや香【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順3〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

今では逆に数少ない王道漫才を極めてM-1に帰ってきた。

か!ら!あ!げ!4!も好きだったからここまで活躍したのは嬉しい。

1本目の『若くして免許返納する男』が完璧で一番笑ったのは間違いない。「佐賀は出れるけど入られへん」は真理だと思うけど、ウエストランドと一緒で誰かは傷ついているのは間違いない。でも、それでも面白いのは面白いのだ。

 

 

男性ブランコ

男性ブランコ【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順6〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

浦井さんが死にまくる漫才だけど、浦井さんの死に方、めっちゃ好き。刑事ドラマにも出てほしいよ~~~~~~~~。もう1本見たかったよ~~~~~~~。千鳥の大悟さんが浦井さんは志村けんのコント出来るタイプって評してたけど、本当にそう。

最初に音符を運びだした時に「えっ本当に運ぶの!?」と驚いてしまった。

穏やかで上品な感じでこういうタイプの漫才するのが卑怯。ダブル浅間山荘とかいうワード。

 

 

ダイヤモンド

ダイヤモンド【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順7〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

今回、残念ながら最下位だったコンビ。まったく予想外のネタと奇想天外なワードセンスを放り込んでくるから好きだけど、審査員にはうまくハマらなった感じ。審査員の点数見ている時の野澤さんの表情が優勝。

 

 

ヨネダ2000

ヨネダ2000【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順8〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

 

あと10回以上M-1に出れる、見れるのが嬉しい。

なんでこんな発想が思いつくんだ。

松本人志「最初からずっとなにしてるかわかりませんでした」
中川礼二「なんでこのネタしたん?」
の審査員コメントも分かるけど、それを踏まえて最高。M-1もTHE Wもキングオブコントも優勝して欲しい。

 

 

キュウ

キュウ【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順9〉M-1グランプリ2022 - YouTube

 

 

塙さんが「ことごとくハマってなかった」の評してたけど、本当になんか今回のM-1の空気ではなかった。笑いって残酷である。

 

キュウ(タイタン)「大田さんの事務所だから点数低いんでしょ」

松本人志「そう(ナイスフォロー)」

ウエストランドの点数で松本人志が高得点&最終審査で ウエストランド(タイタン)を選ぶの、こう、何というか残酷。

 

 

最後に

ウエストランド、持たざるもの、下から上に対する毒舌だったから面白かったけど、「M-1グランプリ2022」優勝、漫才師の頂点という肩書をもった後だと、個人的には毒舌はただの弱い者イジメに見えてしまうから笑えない。そういう所はある。