社会の独房から

映画やゲーム、漫画など。

2022年に発売された1巻&短編集で面白かった、オススメする漫画25選

2022年も終わりそうなので読んだ漫画の中で今年単行本1巻が出たばかりの「個人的これから来る(た)!」漫画を紹介していこうと思う。

 

 

鍋に弾丸を受けながら

「二次元を摂取しすぎで世界の全てが美少女に見える作者が世界中の危険地帯グルメを堪能する」という狂気的な企画。孤独のグルメ的漫画も多いけどここまで来たのか……行き着くとまで行き着いた感がある。

 

f:id:Shachiku:20221224112115j:image

 

原作者にして釣り人である青木潤太朗が体験した危険地域のグルメ……時にメキシコに、時にシカゴに、時にはブラジルに……といった感じで様々な国の中でも身の危険を感じる地域を訪問し、そこの名物を食べていく。出てくる料理はどれもこれも美味しそうだが、実際に行くわけにもいかないので一生食べる機会がなく、殆どファンタジー世界の料理と一緒である。

これもカズオ・イシグロが言う「縦の旅行」の1種だよなって思う。僕には横の旅行しか出来ないと思うのでこういう旅が出来る人には憧れの感情を持つ。漫画を通して分かりやすく、美味しそうに、屈強な男達が美少女化されてマイルドに、この世界の解像度がほんの少し上がる、そんな漫画だ。

 

 

光が死んだ夏

ヤングエースUPで連載中の漫画作品。作者はモクモクれん。

山で行方不明になっていた親友が帰ってきた。恐ろしい何かになって…さまざまな怪事件を体験する姿を描いた青春ホラー漫画。

「次にくるマンガ大賞2022」Webマンガ部門でGlobal特別賞を受賞。「このマンガがすごい!2023」オトコ編では第1位に選ばれたりしている超話題作なので知っている人も多いだろう。田舎町の因習モノで不気味なんだけど、その中には男同士の巨大感情のブロマンスがある。

次がどう展開するのか分からない不気味さが常にある。

 

モクモクれん:実は、ホラーを控えめにしているんです。本当はもっと怖いの描きたいなって思う時もありますが、ひたすら怖くするよりも「くるぞくるぞくるぞ……」みたいに感情に訴えかけるものを描きたいと思っていて。あと、その感情に訴えかける点では、ホラーとブロマンスってちょっと似ているんじゃないのかなと。

ホラーとブロマンスは親和性が高い|Real Sound|リアルサウンド ブック

 

モクモクれん先生が元々BL作家ということもあり、本作もBLじゃね論争は常にあるが、先生自身はジャンルは読んだ人に委ねると言っているので自分で決めてくれ。僕は読んだ時、超ど真ん中のBLじゃん!となった。

間違いなく映画化やアニメ化する作品だと思うので、話題を喰うのが大好きな人にもオススメだ。

 

 

追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~

「面白いシーン大体原作にない」という評判が広まる原作者に失礼な異色のコミカライズ。

 

追放されたキャラが実は最強だったのよくあるパターンなのだが、本作は独特の風味が癖るになる。トップバリュー商品なのであまり期待せず食べたら意外とかなり美味かった的な漫画だ。

 

ただTwitterで『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』とフルで作名を書くと140文字が殆ど埋まってしまう問題もある。ここはブログなので何回『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』と書いても大丈夫なのが流石ブログ。やっててよかったブログ。そして離れていく読者。ごめんて。

 

 

漫画読んだことなくてもこの顔を見たことある人も結構いると思う。序盤は結構原作通り真面目だけど途中辺りから業務用餅先生が好き放題して面白くなっていく。ちなみに修正されている単行本よりwebで読むほうをオススメする。

seiga.nicovideo.jp

 

 

異世界ありがとう

人生に疲れたおっさんが2人が飲み会の最中に意識を失い、気づけば異世界に女の子の体で立っている……という異世界転生(?)モノ。一人はお調子者で、一人はクールな感じ。二人はこの異世界を――― 楽しむことに決めた。RPGゲームにおいて、魔王を倒すことではなく、魔王を倒しにいく旅そのものを楽しむのと同じように、コメディ基調の漫画。

 

転生に詳しい2人のやりとりが面白いメタ漫画の側面をもつ。チート能力はなさそうだけど、なんとか楽しみたい2人。派手な冒険活劇ではなく、食事や物資や下の処理など、異世界で生活を確立していく比較的リアルで淡々と進むと思ったら急展開で引き込まれる。

 

 

日本三國

文明崩壊後の近未来、「大和」「武凰」「聖夷」の三つの国が覇権を争う三国時代になった日本を再統一すべく1人の青年が立ち上がっていく物語。1話読んだ時は『ファイアパンチ』みたいだったけど、少年漫画やコードギアスなら不思議な女性から与えられた特殊能力やらでのし上がっていくところをこの『日本三國』では弁論と知識、そして

媚びなど 売る必要性があるんなら、そんなもんいくらでも売ったります。

じゃけど、日本時代から根強く残る この糞みたいな同調圧力には、殴られようが、斬られようが、殺されようが、儂は絶対に屈しません。

強い決意と覚悟で困難を切り開いていくところが見どころだ。

 

 

地元最高!

金!暴力!ドラッグ!に満ちている最高の漫画。漫画家・usagi氏が2021年にTwitter上で連載開始して大人気となった。内容は「地元で暮らす女子の日常」だが、他の日常系と一線を画すのは、そのアウトローぶりだろう。

主人公のシャネルちゃんは先輩に仕事を紹介されるが、それは違法植物の栽培で……という物語。「地元から一歩も外に出たことのない少女達が、無知ゆえにどれだけ不幸な目に遭おうとも「地元最高!」と言い続ける漫画」として紹介されているし、可愛い絵柄から中身は北野武映画みたいな内容である。地元しか知らない。故に地元最高!

絵柄は可愛いけど中身は露悪的なの『ちいかわ』といい最近の流行(ちいかわと一緒にすると怒られそう)

 

 

生徒会にも穴はある!

内申点のために生徒会に入ることになった主人公が癖が強い生徒会メンバーに振り回されながら学園生活を過ごしていく少しエロいコメディ4コマ作品。略し方「生穴る」なのがキレキレというよりギリギリ。

 『生徒会役員共』の後を継ぐ週刊少年マガジンの下ネタ枠でもあるので一部層から目を付けられているのか、公式がTwitterでイラストをアップすると「女は自宅で洗濯ばさみで髪を止めない」と炎上したり色々話題になってる漫画。ちなみに漫画に興味が出て作者のTwitterをフォローすると漫画に出てくる登場人物のスケベ絵を堪能できるぞ。

 

登場人物の中ではとくに小さくて大きい陸奥こまろが人気になっている。

「かわいそうはかわいい」みたいに守ってあげたい人とイジメたい人の人気を一身に受けている。個人的には生徒会長と主人公のカップリングが一番好き。

 

 

スーパーの裏でヤニ吸うふたり

「次にくるマンガ大賞 2022」Webマンガ部門の1位を獲得した漫画。

サラリーマンの佐々木と、彼が通うスーパーの店員・山田さん、謎めいた女性・田山の物語。社畜街道をひた走る佐々木は、山田さんの笑顔を心の支えに生きてきた。偶然山田さんを見かけなかったある日、佐々木はスーパーの裏で、田山と名乗る奇抜な服装をした女性と出会い、言葉を交わすようになり……という展開。ピュアな想いを訴えるおっさんが兎に角可愛い。基本的に2人の些細な会話芸でニヤニヤできてしまう、Twitter発らしい良い意味での軽さが読んでて爽快だ。

 

 

ババンババンバンバンパイア

「汚れなき18歳の童貞の血が一番美味!」という嗜好の銭湯で住み込みで働く450歳の吸血鬼が、銭湯の跡取り息子を最高に美味しい18歳童貞に仕上げようと奮闘するBL(ブラッディラブコメ)

跡取り息子が高校で彼女が出来そうになるのをなんとか邪魔しようとするが、裏目にでたり、空回ってる所とかユーモアあって笑っちゃう。分かりやすく言うとハンターハンターでのヒソカとゴンのラブコメみたいな関係性の漫画。いや、ごめん少し違うかも。

奥嶋先生の描く表情がどれもこれも魅力的で、何も起きない漫画だけど読み飽きない。

 

 

正反対な君と僕

空気を読んじゃう元気女子・鈴木が惹かれたのは、自分の意見をはっきり言える物静か男子・谷くんだった……現代的ラブコメ漫画。

前作の『氷の城壁』は4人視点で、誰しもが持っている苦しみや悩み、コンプレックス、他人から見た自分と自分が思う理想の自分のギャップ、思春期のグチャグチャな全ての感情を難解な言葉を使わずに、しかし丁寧に描いていて、心がキュンキュンしながら共感しまくる超傑作の恋愛漫画を描いた阿賀沢紅茶先生がジャンプ+で連載している。読者の層が微妙に違ってそうなのに阿賀沢紅茶先生を引っ張って来れるジャンプ+が今、一番勢いある証拠ともいえるだろう。

男性向け漫画だと読者に媚びるためか処女厨の気持ち悪い思想が出てきて読んでて微妙な感情になる事があるけど、本作はジャンプ+の漫画でありながら「今これから目の前の人と真摯に向き合おうと思ったら、それはもう純愛(ピュア)」という台詞から処女厨批判まであって、新しい風がジャンプ+から来ているのが分かる。

 

 

私の胎の中の化け物

優等生で学校の委員長である千夏がこのクソッタレの世界の中で自分の中に抑え込んでいた悪意に気付き、さらけ出していく物語。兎に角主人公の悪い顔が素晴らしく、「悪い顔からしか得られない養分」を2022年はこの漫画から得ていた。

ただの胸糞残忍なサイコパス漫画なだけでなく、千夏が壊す対象は、「セクハラクソ担任」や「いじめっ子」だったりでスカッと要素もある。壊すまでの追い込み方もスリリングで引き込まれる。これから千夏がどんなヤバい化け物になっていくのか楽しみ。

 

 

ゴクシンカ

「この男 手塚冷士…実はほぼカタギの男である!!」

顔が怖いだけの普通のサラリーマン手塚がヤクザにスカウトされ、口車に乗せられてあれよあれよと話が進む巻き込まれ系漫画。

 飲食店で店員のおばちゃんにオーダー忘れられたり間違えられたりしたけど指摘できなかった事がきっかけに念能力みたいな力に目覚める。それ以降も手塚は様々なトラウマに遭遇したり思い出したりしながら、それらの横暴を自らのものに変える力で極道として進化していく、これが「ゴクシンカ」

世の中にある圧倒的理不尽。そんな中で「自分の都合を相手に押し付ける」ことに目覚める手塚を見ていると応援したくなるそんな漫画。ピエール手塚先生なら『ひとでなしのエチカ』もおすすめ。

 

 

これ描いて死ね

『金剛寺さんは面倒くさい』で有名なとよ田 みのる先生の漫画。コミティア会場で漫画は“読む”だけではなく“描く”ことも出来るんだ!!と知った女子高生が主人公。

「漫画は嘘」「漫画は時間の浪費」

そう言う担任の先生に主人公は返答する。

「漫画は嘘じゃないよ」

これは漫画愛、創作愛の漫画である。

先生兼同好会の顧問になった手島先生が本当に良いキャラ。自分がかつて夢見た漫画家への希望とその挫折を味わったからこそ出来る夢見る生徒たちへの対応に厳しさと優しが見えてこの漫画に深みを与えている。「真摯に気持ちを乗せた表現は人間そのもの。そこに優劣はありません。その気持ちは同じ気持ちを持つ誰かの脳を揺らします」はまさに漫画に限らず全ての表現する者に肝に銘じたい。

 

また主人公のライバルとして登場する石龍さんなど魅力的な人物も増えこれから目を離せない。著者の強烈な「漫画愛」と「漫画の可能性を信じる意思」を覗き見るだけでも面白い。

 

 

ルリドラゴン

連載再開待ってます!!!!!

ジャンプで連載している漫画。

高校生の青木ルリは、ある朝目覚めると突然頭にツノが生えていた。実は父親が龍だったのだ。しかし、だからといって戦闘展開になる訳ではなく、凄い異種交配した母親とほのぼの会話したり、学校でゆるっとJKしたりするドラゴンガールゆるゆり漫画。特に眞藤 雅興先生による女の子の口の中が魅力的。僕はフェチに目覚めた。しかし、残念ながら休載となり、現在でも連載開始のアナウンスは全くない。令和のハンターハンターになりそうだが、僕は連載再開待ってます!!!!!

週刊連載が無理なら月刊誌でもジャンプ+で不定期でも待ってます。

 

 

守れ!しゅごまる

まもって守護月天!みたいなタイトルだが関係ない。

謎の暗殺者に狙われている跡取り娘のさなぎを守るため、ボディーガードを務める10歳の少年・しゅごまるの奮闘を描くギャグ漫画。

『恋するワンピース』で暴れるだけ暴れた伊原大貴先生の新作。ただ、残念ながら本作は全26話で打ち切りになってしまった。連載開始して凄いスピードでジャンプの後ろの方に載っていたので「ヤバそう……」と多くの人が思ってそのまま実際に終わってしまった。この記事は別に「なぜ打ち切りになったのか」を面白おかしく語る気はない。打ち切りになったものの、僕は個人的にオススメしているからここでピックアップしている。好きだ。この漫画が連載開始してから毎週アンケートでこの漫画を推してたのに終わってしまった……。「はぁ(*´Д`)『守れ!しゅごまる』なんてオススメするのかよ!コイツの感性信用できね~~」と思われても知ったことではない。オススメするぞ!!丸々一話遊戯王のデュエルしてて笑ったり、『遊☆戯☆王』ネタがやたら多いので好きな人ならクスっと出来るだろう。

えっ?それならVジャンプで連載してた方が層があって良かったのでは!?って……。それは……うん……でも伊原大貴先生が週刊少年ジャンプで連載すること自体が嬉しい。

個人的には伊原大貴先生は『伊原20days』の頃からのファンだったので、思い入れが強い。ただ、笑いのツボって人それぞれなのでギャグ漫画って本当に難しいと思う。次回作は伊原大貴先生の描きたいものを描いて欲しい。

 

 

劇光仮面

『シグルイ』や『覚悟のススメ』で強烈なインパクトを残した山口貴由先生の新作は現代劇である『劇光仮面』

特撮美術研究会で青春の血潮をたぎらせた六人の若者がいた。それから数年、メンバーはそれぞれの道を歩む。そしてリーダー格だった切通の告別式で再び再会する。そんな中で特撮に対してな並々ならぬモノを持つ実相寺。彼は友人の弔いとして何かを為そうとしていた。しかし、それは何なのか……という物語。

正直1巻の時点だとやってることは面倒くさい特オタがやべぇコスプレしてるだけなのに、その行間に、その感情に負けて読み応えが凄い。特に序盤の方なんて厄介で極まった特撮オタクを特に何が起きる訳でもなくただただ描写してるだけなのに凄く面白い。こち亀の両さんがオタクとして面倒くさい回と似ているかもしれない。

 

 

ようきなやつら

『鬼死ね』『メイコの遊び場』の奇才・岡田索雲が放つ妖怪読切集。タイトルは『ようきなやつら』だが全然陽気じゃない。個人的オススメ収録作の「忍耐サトリくん」は幽遊白書知ってるとより楽しめるかもしれない。そして「追燈」は読んでいて言葉を失う話なので1人でも多くの人に読んでもらいたい……。

 

 

星をつくる兵器と満天の星 ~中村朝 連作集~

殺人鬼の息子として生きる青年赤井柊の魂の彷徨を描く「アップルピエタ」、地表から遠く離れた天空で敵を迎撃し続ける生命兵器ギイの孤独な戦いを描く「足長ギイの帰還」、泥沼化した戦争の最中に出会った生命兵器テツと盲目の少女マハが辿る運命を描く表題作「星をつくる兵器と満天の星」他、多数の描き下ろしを収録しておくる「生きる兵器」達を描いた近未来SFクロニクル。

 

"この作品はフィクションです。作品の性質上、倫理的に問題があると感じられる内容を一部含みますが、あくまで創作であり、現実とは完全に異なるという事をあらかじめご了承ください。"(原文)

 

でもそれを受け入れられるたら、滅茶苦茶面白い!!!!

クローンや遺伝子弄り、人体改造など生命倫理に思いっきり噛んでくるシナリオが見どころのSFである。

 

 

隣のお姉さんが好き

映画が大好きな美人で明るい心愛さんは、お隣に住む3つ年上のお姉さん。 彼女に片想い中の少年はオススメ映画を教えてもらうことを口実に、お姉さんと毎週水曜日2人で会って一緒に映画を観る事に……歳の差ラブコメ漫画。『好きな子がめがねを忘れた』『ペーパーブレイバー』の藤近小梅先生新作。

少年はお姉さんに夢中だけど、お姉さんの方は脈ナシじゃね?って雰囲気を感じる関係性は内心では相思相愛が主流の昨今のラブコメとしては結構珍しいと思う。お姉さんが少年ではなく少年の兄と仲良さそうに話をしているシーンでシュンとしちゃう。

ニヤニヤしてしまう微笑ましさとモゾモゾする不透明さ。その両方がバランスよく混ざっていて面白い。
めげない少年と気持ちが変化するお姉さん。『水曜日のダウンタウン』でクロちゃんが恋人出来たように常にグイグイ行く男性がモテる疑惑が僕の中にはある。来年は参考にしたい。

 

 

ケイヤクシマイ

早藤香沙音はファミレスで働くアオヤマさんに会いに行くことを生きがいにしている。ある日、香沙音は雨の中で佇むアオヤマさんを助けることに。すると彼女は唐突に姉妹契約をもちかけてきて――。

夢でフラれてはじまる百合

どこにでもいる女子高生・月詩と、クールで美人だけどどこか隙の多い女の子・陽花は幼馴染。ずっと一緒にいた二人、これからもそんな日々が続くと思っていた……。陽花に告白してフラれる夢を月詩が見るまでは――。

 

甘々百合漫画2022大賞

2022年の百合マンガ界で大活躍した百作家といえばヒジキ先生だろう。こればかりは間違いない。自身も美人でありながら美少女が推しのOLが下心と戦いながら女子高生と姉妹契約を結んで暮らすことになる『ケイヤクシマイ』、「もしかして私、相手のことが好きかも!?」から始まり、今までは気にしてなかった些細な事にドキドキしてしまったりだとか、思わせぶりな態度にもやもやしてしまったりだとか、超王道の百合展開を描く『夢でフラれてはじまる百合』2作とも読んでいてニヤニヤが止まらない、仕事で辛い時とかに読みたい、世界を救う漫画。超オススメ。

 

 

君が好きを分かるまで

ごさいじ先生の男性向け成人コミックス。はてなブログは文化的社会的側面が主眼ではないアダルト禁止だし、グーグルアドセンスの広告利用しているのでアダルトコンテンツのリンク張れないしで、ここで紹介するか悩んだが、いや!この漫画を紹介しないのは嘘!!と思い、こうやって書いている。

性愛込みでの少年少女の感情が丁寧に描かれており、読んでるこっちは落ち着きながら感情が揺れ動く変な感覚になる。「身体を交えて、心を交わして、少しずつ好きを知ってゆく」のキャッチコピーが本当にその通り。特に前後編作「アマイアイマイ」がオススメ。

 

 

ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ

寂れた港町に暮らし、ポルトガルの国民歌謡『ファド』の歌手を目指す女子高生・吉川ロカ。頼りがいのある友人や音楽教師、心優しい地元の人々に支えられながら、その才能を開花させていく……。

2022年この漫画をベストにすると周りから一目置かれる漫画大賞

吉川ロカというシリーズは、朝日新聞に毎日連載されている「ののちゃん」の中に挟み込まれるような形で綴られていった「連載内連載」だった。しかし、吉川ロカシリーズは新聞内では「完結」してしまった。

いしいひさいち先生はこのシリーズに思い入れは強かったようで、その後も色々な所で新作が公開され、ついには自費出版本として発売された。漫画界のレジェンドが自費出版で出すというのもインパクトが高い。

自費出版のためアマゾンなどでは購入できず特設サイトを経由しなといけない。

ROCA販売特設サイト

自費出版だったもののTBSラジオの番組『アフター6ジャンクション』「カルチャー・トーク」で矢部太郎さんが本作を紹介したりなど、「面白いモノは広がる」を地で行く漫画だろう。

70歳を超えるいしいひさいち先生が、いつもの芸風を保持しつつも新境地を描き、多くの漫画家や評論家、ファンから驚きと絶賛を勝ち取ったのだ。

 

 

さよなら絵梨

私が死ぬまでを撮ってほしい――病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。

チェンソーマンがアニメでも漫画でも世界中で大人気な藤本タツキ先生による短編。

前の『ルックバック』がSNS含めてあまりにも話題になり過ぎて論争みたいになったのは記憶に新しい。まぁ殆どの人は『さよなら絵梨』読んでいるので紹介なども不要だとは思うが、藤本タツキ先生が描く女性はどうしてあんなに魅力的なのか。めっちゃ好き。

あと、他の作品でもラストで爆発が起きると「なんで爆発させた?」というTwitterでスクショ流れるのが様式美になりましたよね。

 

タコピーの原罪

複雑な家庭事情と学校でのいじめに苛まれる少女しずかとタコ型地球外生命体タコピーの交流譚。

 

連載開始した2021年の12月から2022年で一番話題になった漫画といえば本作で間違いないだろう。ここから「わ、わかんないっピ…」「タコピー鬼つええ!」などのネットミームが誕生した。

正直僕は逆張りが発動して話題になってた時は読んでなかったのだが、落ち着いた後に読んでも滅茶苦茶面白かった。あと、タコピーの原罪が流行したからタコピーみたいな漫画量産されたらどうしようみたいな心配も見受けられたが、今の所それほど流行ってはないみたい。どちからと言うと『ちいかわ』の方が影響力ありそう。

作者のタイザン5先生は週刊少年ジャンプで『一ノ瀬家の大罪』を連載しているが、今のところ「油断させて‥溜めて溜めて……来るぞ来るぞ‥胸糞展開来るぞ‥ほら来た!」っていうタコピーと同じような流れなのに『一ノ瀬家の大罪』にはタコピーみたいなクッションがいないので余計辛い状況である。タコピー、お前だったのか。いつも胸糞をネタに変えてたのは。

 

 

最後に

『さよなら絵梨』と『タコピーの原罪』はオススメというより2022年の漫画を語る上で外せない2作だったので入れた。

 

単行本化してないのなら『外面の良い幼馴染』も良かった。2022年は成人向け乙女向け漫画は成人男性が読んでも楽しめることを知れて世界が広がった。

 

2022年は新刊が発売されると出来るだけ購入するようにしていたが、漫画は本当に信じられない程の量が毎月発売するし、webだけの連載も増えてきて流石に出来るだけ購入は無理な気がしてきた。来年どうするかは不明。

個人的に心配していることは週刊少年ジャンプでハンターハンターが冨樫先生の体調を理由にとうとう卒業して、ワンピースや呪術廻戦、ヒロアカが終盤らしいので、いよいよ読むものが少なくなりそうな気がする。今は『SAKAMOTO DAYS』と『あかね噺』の2大新人が引っ張っているけど、2023年に心震えるような漫画が連載されると嬉しいな。

あなたのオススメ漫画も教えてください。最後まで読んで頂きましてありがとうございました。