社会の独房から

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【ネタバレ】人生で仮面ライダーにほぼ触れなかった人の映画『シン・仮面ライダー』感想

仮面ライダーに触れてこない人生だった。

小さい頃、兄の影響で『真・仮面ライダー 序章』と『仮面ライダーZO』を見た記憶がうっすらあるけど、殆ど覚えていない。ネオ生命体とクモ女のインパクトある見た目に「こわ…」となった記憶しかない。今2人を見直しても「こわ…」となる。何あれ…。

 

大人になってTwitterを始めた頃、映画とかゲームとかアニメに関する発言力のあるオタクをフォローすると高確率でニチアサ実況をしていて、「プリキュアとか東映ヒーロー作品ってもしかして一般的な大人の嗜みなのか…?」と思ったものだけども、会社での世間話や飲み会でのトークにプリキュアとか東映ヒーロー作品の文字なんて一度も出てきた事がないので「やっぱり特殊な嗜みなんだんぁ」と納得するぐらい純粋さを持っていたのも7~8年ぐらい前の話である。そこから現在まで仮面ライダーには触れてこなかったが、どうしても特撮オタクのツイートだけは受動喫煙のように吸ってしまっていた人生だった。

 

例えば

「こんなボンクラトンチキ作品、一般人には楽しめなくてもニチアサライダーで鍛えられている俺ら悪いオタクだからニヤニヤと楽しめるわぁ」とか

「えっ、これの楽しみ方も分からないの?あっ、そっか君は平成ライダーシリーズ見てないから見方が分からないんだね」とか

「日本の実写ドラマならニチアサ特撮の方が出来良いよな」とか

Twitterにいると色々な特撮オタクが生息していることが分かる。僕も面白い作品に触れていきたいと思っているので、何度かニチアサ作品を見ようと思ってけれども、日曜日の朝なんてそんな早く起きれないという致命的な欠点が判明して、挫折。

今なら配信とかあるから便利だね。いつか見ようと思う(見ない

 

結局、ちゃんと見た事あるのって『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer 』と『BLACK SUN』ぐらいである。まぁこの2つで仮面ライダー50年の歴史、積み重ねたものを大体理解できたわガハハハッ

そんな奢りを持ちつつ、庵野秀明監督最新作『シン・仮面ライダー』を観たので感想を書いていきたい。ネタバレあるよ!!!

 



分からん。何も分からん

 

・バイク事故とかで瀕死になった訳じゃないのに勝手に誘拐され、勝手に身体を改造される本郷猛。

緑川博士「本郷くん…前に強くなりたいって言うてたやん」
本郷「え…」
緑川博士「本郷くんなら正義の為に力を使ってくれる!と信じとる」

あまりにも人権を軽視し過ぎている…事前に確認とかないんですか博士。

『メタルマン』って『アイアンマン』のパロディ作品だと思ってたけど、仮面ライダーのパロディだったのか……?

それに怒ることもなく「はい…本郷猛…人類の自由のために戦います」となるのも怖い…。本作の本郷猛、もっと怒っていい所で全然怒らない…。優しいの次元が違う…。

 

・人工知能Kとか高性能AIくだりがよくわからんけどラスボスなんだろうなって思ったらそんなことなかった。というか後半、人工知能どこいった。

悪の組織・SHOCKERの解釈。作品を見てなくても大量の仮面ライダー相手にたった一人で立ち向かおうとするショッカーの雑魚は知っている。

現代では悪の組織を大人向きに真面目に描くのは難しいけれど、どうするのかとワクワクしていたら、創設者は死んで、超高性能AIが報われない変態や異常者を幸せにしようぜ!みたいな組織になっていて怖い。ネット荒らしみたいな人達を救うのが人類の幸福モデルとして正しいんですよってどういう思考回路でそう結論づくのだろう。
まあそういう底抜けの方を埋めていけば確かに幸福の平均は上がってくかもしれないが…。ここら辺の話は面白かったので話の縦軸になってくれたらよかったのに、結局は人類補完計画になってしまったのは残念。庵野秀明監督、誰よりも人類補完計画を擦り続ける。エヴァは完結したんですよ。

 

・浜辺美波の顔面のレベルが凄い

 

・クモオーグ戦で突然増える手下たち。あれはそういうものなの…?

 

・場面展開や編集が大胆過ぎて、ここどこやねん、どこで戦ってんねんと何度もなる。

 

・仮面付けている時の台詞がやたら聞き取り辛い。

 

・仮面ライダーの跳躍力ヤバすぎて笑える。ジオウもブラックサンも変身しても別に身体能力が凄くなった気しなかったから新鮮。よくよく考えるとバッタだもんなぁ。

 

・ソードとか武器使わない仮面ライダーって初めて見た気がする……。

 

・テレレー♪の劇中BGM好きなんだけどブラックサンだけなのか‥

 

・オーグはもっと人間に差別されてたとかそういう描写なくて良いの‥?

 

・血飛沫戦闘良いよね…。というか戦闘はクモオーグ戦がピーク疑惑ある。しかし、こんな顔面潰れて血が飛び散る映画とクレヨンしんちゃんとコラボして、ファミリーに見せる気なのか……。

 

・クモオーグがしつこいぐらい「ルリ子は生け捕り」と言ってるのと後半の展開からSHOCKERのボスは緑川兄なのかなと思ってたけど、そんなことなかったぜ!!なんなら普通にルリ子殺されてて何!?となる。

 

・隠れ家に行く時に後ろでちょこちょこついてくるサイクロン号すごい可愛くて好き。多分お家にあげてもらえないで泣いてるよあいつ。『TRICK』の次郎号を思い出す。

 

・プラーナって結局生命力とかそういう意味なのか…?基本的に会話が???になりがち。

 

・コウモリオーグ戦、結局なんでルリ子が洗脳されていなかったのか分からなかったし、大量にいたルリ子みたいな奴らもなんだったんだ‥というかここら辺のCGでこの映画大丈夫か……と不安になっていった。

 

・「わたし用意周到なの」を流行らしたいのは分かる。

 

・サソリオーグの一連の流れいる?

サソリオーグ「楽しくなってきたわねぇ」の流れからまさか「サソリオーグ殲滅しました」になるとは思わんやん。長澤まさみさんがボコボコにされている所を無表情で眺める竹野内豊さんと斎藤工さんがシュール。

 

・『シンウルトラマン』の時に長澤まさみさんの扱いがセクハラやらなんやらで少し炎上した時に「監督は庵野さんじゃなくて樋口だから」みたいな擁護あったけども、本作観ると庵野さんが監督でもあの炎上騒ぎあった気がする。女性の台詞が全部女性口調だったりするのも相変わらずだなーと思う。

 

・商店街で2人の後ろにゾロゾロ付いてくる住人たちの不穏さ好き。

 

・ハチオーグ戦、実写キューティーハニーとキャシャーンみたいで、懐かしい感じだった。令和だけどな!!!

 

・ハチオーグに洗脳されてる住人達が迫ってきた時に浜辺美波が残った食事を一気に食べるシーン好き。栄養補給は大事。

 

・ハチオーグとルリ子の歪で濃密な百合見せられるのなに。原作通りなの…。

 

・2号との戦いでの舞空術は製作費を感じてしまう。

 

 

・一文字隼人は良い(それ以上の言葉はいらない

 

・一文字隼人の変身ポーズ、『仮面ライダーBLACK SUN』で見た奴だ!!!

 

・どっかで見たアングルどっかで見た線路どっかで見た夕日に照らされた電柱。

 

・浜辺美波、首元にホクロあるの好き。

 

・ルリ子×本郷の関係性は好き。「僕じゃなく僕のプランを信じてくれ」「あなたのプランじゃなくてあなたを信じる」とか「マフラー似合ってたよ、やっぱこれは直接言うわ」とか。

まぁでも映画の尺だから仕方ないけど、ルリ子が本郷にデレるスピードがマッハだったな。

優し過ぎる+5点

コウモリオーグ戦で置いてきたのに助けに来た+10点

ハチオーグ死んで悲しかった時に胸を貸してくれた+100点

臭い+500点

赤いマフラーめっちゃ似合う+1000000000点ぐらいありそう。

 

・なんかどの敵のアジトにもスルッと入ってくな。


・暗いトンネルの中でダブルライダーとショッカーライダーが入り乱れて戦うの、何も見えないし、目のライトの点滅で目がシンドイし、訳がわからない。

 

・人類補完計画を目論むラスボスはプラーナ合気道とカポイエラとコンテンポラリーダンスで戦う森山未來が緑川の兄で仮面ライダー0号という言葉の洪水をワッと浴びせてくるのはやめろ。

 

・緑川兄、超能力連打でこんなん絶対無理やん…からの、思った以上に疲弊しててダメだった。

 

・緑川兄演じる森山未來さんの動きはカッコイイけど、東京オリンピックの開会式思い出して笑えてくるからダメ。

 

・本郷猛、コミュ障なのは良いけど、作戦は事前に報連相しよう!!!

 

・市川実日子さんの登場とか「庵野組」の常連感が「福田組」みたいになってきた。

 

・え~~~~本郷猛って死ぬの!?藤岡弘、さんが死ぬ所なんて想像できないが!!

 

・「人は誰しも絶望を抱えている。その乗り越え方は人それぞれだ」のアドバイスは良い。

 

・ふてくされて自分以外の全てに変様を求めるんじゃなくて自分が変わっていけ世界と相対しろってテーマ性を緑川兄と本郷で説いて。それを継いだ一文字隼人に実行させて観客にみせる構成が巧みだった。

 

・最後、竹野内豊さんと斎藤工さんが名前明かす。「タチバナ」と「タキ」の元ネタ知っているオタクがニヤニヤしそう~~~となった。僕は常に「このシーンには何か意味があるんだろ、庵野」と思いながら観てた。

 

・「ルリ子のプラーナは別の場所に移しときました」ってなに。そんな技術あるの。

 

・本郷の意志を継ぐ展開、だから1人じゃなく2人かと思ったら普通に本郷が仮面から話しかけてきて怖かった。

 

・緑川兄が組織のボスだと思ってたからまだ敵がいるの!?ってなるラスト。

 

・エンディングで怒涛の懐古の歌連打っぽくて笑えた。米津玄師呼んだシン・ウルトラマンはそりゃヒットする。

 

・エンドロールでの

大森南朋

松坂桃李

本郷奏多

仲村トオル

安田顕

の俳優陣にマジで!!!!????となったけど、大森南朋=クモオーグ 松坂桃李=K 本郷奏多=カマキリカメレオン 仲村トオル=本郷父なのかな。安田顕がわからん。

 

・本作、『スラムダンク』の映画みたいに情報隠す宣伝してたのでサプライズあるとは思ってたけど、まさか豪華俳優陣だったとは……。別にそれは宣伝しても良くなか……。もっと「シン・ユニバース」で何かあるのかなと期待してしまった……。

 

・CGはショボいとか、後半になると戦闘が暗いとか文句も多いけど、走りながら変形するサイクロン号とか、仮面ライダーの疾走感はカッコイイので好き。

 

・エピソードごとの起承転結は良かったから全8話くらいで配信したら名作だったと思う。「信じない」と言って速攻デレるルリ子とか「あばよ」と言って即戻ってくる一文字とかそういうのが多かった。

 

 

最後に

 

『シン・仮面ライダー』と『仮面ライダーBLACK SUN』の空気感は似ているので、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer 』の異質さが凄い……。シリーズに統一感なく凹凸とか言ってるけど、凹凸なのお前だけじゃんってなる。

 

それにしても舞台挨拶では「新しい仮面ライダーだからオタク以外の新規勢にも楽しめる!」みたいなこと言ってて冷静になってみると確かに新規でも楽しめる側面はあるだろうし、シン・シリーズで特撮エキスは1番濃いのは間違いないが、首を傾げるだけで特撮ファンが言うほど「庵野の暴走〜w一般人には0点だろ〜」ではないと思う。

なぜなら、要らない情報と知らないお約束が多いだけで本筋は王道だし『シン・ウルトラマン』と違ってラストの展開がファン含めて賛否あるような尖り方もないのでそこそこ楽しめる出来だから。

ただ、本作は仮面ライダーをそれなりに追ってたらここカッケェとかここ良いなぁとかここオマージュとか「仮面ライダーを庵野はこう調理したのか!?」を楽しむ作品になっている気がするので、それを知らないと取りこぼす面白の量の測りたい。

僕は取りこぼしてるので、楽しめるけど今年1の映画!とかそんな熱量が生まれないそこそこな映画になってしまった気がする。もしくは実写というより全体的なアニメ感含めて平凡に面白くないか。

逆に変に知識あるオタクが「何だこれ」って解釈違いで一番困惑したり怒ったりしそう。

まぁ庵野秀明監督は「自分個人がやりたい事ではなく、作品が面白くなる方が重要」と語っているので僕らの事を考えて作ったバランスなのかもしれないが。そうかな、そうかも。確かに仮面ライダー素人の僕でも「これ昔からのファンはたまらんだろ」ってのが徹頭徹尾あってこちらも嬉しくなってしまった所はある。自分は分からなくても人が楽しそうにしているのは良いよね。

 

 

ただ、企画プロデューサーの紀伊さんが「庵野さんをアニメも実写も100億にいかせた最初の男になりたい」と言っているけど、それは難しいと思うな~~~~~~~。そこまで言うならもっと予算上げよう!!

 

個人的には庵野秀明監督が自分の好きなモノをそのまま原液で出力するではなく、庵野秀明監督の好きなモノを再解釈して薄めながら出力してくれる方が好きなので「シン・シリーズ」はここまででオリジナル作品作って欲しい。

 

 

あと、角島大橋ツーリングしたくなった