映画『帰ってきたあぶない刑事』感想。タカ＆ユージの日常で描いて欲しいこと

どっちがセクシーでどっちがダンディーだよ。どう見ても両方共だろ。

まだ10歳にもなっていなかった頃『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』を祖母に連れられて塚口サンサン劇場で観てそのままさんさんタウン3番館の屋上遊園地で遊んだ記憶がある。パンダの乗り物乗ってる僕の隣で祖母が「やっぱり田中文男なのよ。田中文男。ユージやタカじゃダメ」とベンカル過激派発言連発してた怖い思い出。もしかしたら存在しない記憶かもしれないが。

僕の『あぶない刑事』の思い出はそれぐらいしかない。TVシリーズがあったなんて知らなかったし、どちらかと言うと『踊る大捜査線』世代なので「刑事が発砲しまくるなんてリアリティねえ～～～ハーレーで走りつつショットガンぶっ放すなんて始末書を超えてクビだよクビ」と蔑んでいた厭なガキだった。

しかし、今なら分かる。事件は会議室で起きている訳じゃないし刑事は発砲しまくった方が面白い。走り、殴り合い、カーアクションに派手なドンパチや車の転倒、そして爆発。そんな現実なんて知るかという荒唐無稽なエンタメこそ血沸き立ち心舞い踊るのだ。

そして本作最大の見所『あぶない刑事』にあるタカとユージ、2人の関係性。

普通、バディものって言ったら「正反対の性格を持つ２人」「初対面の相性は最低最悪」「喧嘩も度々する」「キレやすい熱血漢の方がキレて暴走する冷静派をなだめて止める展開」とかあると思うじゃん！本作には全くないのである。いや、長い『あぶない刑事』の歴史の間にユージとタカにもそういう時期があったかもしれないが、２人一緒に年齢を重ねていった本作はもはやそういう次元ではない。

では、バディとして何をしているかと1言でいうとずっとイチャイチャしているのである。

イチャイチャ。

2人のイケオジのイチャイチャを2時間ぐらいずっと、冒頭からエンドロール入る直前まで見せられる。

最高か？

2人はタイプも考え方も似てて阿吽の呼吸で行動するし、普段から一緒に住むぐらいめちゃくちゃ仲が良い。それを見た若い子が指でハートマークを作りながら「2人は愛し合ってるの？」と聞く。タカとユージはそれを否定せずに「愛かどうかはわからないが、こいつの為なら命を捨てられる」と答えるの、何。

そして２人とも70歳超えてるのにサングラスにスーツが似合いすぎる。僕が同じ格好しても少し痩せた金正恩にしかならない。

というか昔の映像も流れたけど、タカもユージも昔から凄いイケメンだけど今の方が魅力的説すらある。

年を重ねれば体は衰えるのは当然、それを受け入れたうえで根っこの部分は変わってない。

もう毎回カッコつけるタカと毎回お茶目なユージ。素敵。

今どきの若者は…ではなく若手刑事のために老体に鞭打ってでも命がけで囮になったり、昔の良さがなくなったと嘆くのではなく「今の横浜も悪くない」と優しく見守ってるタカとユージが理想のシワの増え方だろ。僕は絶対に70歳とかになると「今時のTwitterは人情がないの～～昔は最低限のルールがあってだな」と悪態ついてそれを「おじいちゃんもうTwitterなんてないでしょ」って呆れられたい。

というかユージ、70代であんな脚が上がるってやばくないか？僕も家に帰ってから真似たけど普通に股関節に重大なダメージを受けたんだが。今も股間節の痛みに耐えながらキーボードをうっているんだが。

ストーリーは意味不明。

ちゃんと見ていたハズなのにカジノ建設を狙う敵がなんであんな爆発にこだわったのは1つも理解できなかった。前世はメタルギアソリッド2のファットマンか？

歌手で昔の恋人みたいな人も出てきたけど、これは本作からの人なのか往年のファンならニヤニヤできる人なのか最後まで分からなかった。

ただまぁ、こまけぇこたぁいいんだよ！を地で行く作品なのでどうでもいいのである。本作におけるストーリーなんて刺身に添えられている黄色い花の味ぐらいどうでもいい。タカ＆ユージを無理させない程度にアクションさせつつイチャイチャさせてくれたら何でもいいのである。そういう意味では本作のストーリーは100点といってもいい。シリーズ完全初見でも問題なし。

正直、浅野温子さんの扱いだけはあまりにも雑過ぎて困惑する。シリーズお馴染みのやり取りなのかもしれないが、お決りを知らないので時代的に色々怒られないか不安になる。初めて見る吉本新喜劇もこんな感じなのかもしれない。