一箇所どころか全部分からんわ
SNSなどみてもやたら評判が良い本作。
「黒沢清が詰まってる」とか「黒沢清の最高傑作かも」みたいな感想まであるので何だかんだ今まで黒沢清作品を観たことがない僕は「じゃ、黒沢清の美味しい所だけ頂きますか」と映画『Chime』を観た。
何も分からなかった。
えっ
ゾクゾクしている間になんか終わったんだけど…
ある日、チャイムのような音が聞こえるという生徒が教室で驚くべき行動に出てから、松岡の周囲で次々と異変が起こっていく。
物語はこのあらすじが全てっていうか…物語の起承転結の起承だけで終わってしまったような感覚。主人公の人がいつ階段から滑り落ち軽トラに轢かれて四肢がバラバラになるのか不安になりながら観ているとヌルっといつの間にか終わってしまったような感じ。
この映画を堂々と世に出せる黒沢清のハート、強過ぎないか?
初黒沢清作品観ての黒沢清の印象、図々しくハートが強いなんだけど…
いや、分かるよ。ホラーって結局は「わからない」が恐怖の源であり、幽霊のバックボーンとかが判明していくとその恐怖が薄まっていくの。同時に映画として成立させるためには物語が必要でそこに恐怖シーンの羅列だけだと観客も疲れちゃうからしょうもない人間ドラマとか入れがちなの。だから1時間半ぐらいの尺で恐怖シーンと人間ドラマのバランス調整にみんな苦戦するんだけども、本作は上映時間を45分と短くすることで恐怖シーンの羅列だけでギリギリ観客が疲れないようにしている。それはそれとして何の話なのかはさっぱりわからなかった。
何というか「自分でも何であんな事をしたのかわからない。でも、あの時はそうしてしまった」ことって誰でもあると思う。それを頭の中でなにかが命令してくると解釈してしまう恐怖。インサイドヘッドか?
本当にずっと意味不明なんだけど、退屈か?と言われたらそんな事は全くなく。劇伴も相まって画面に映るモノには何も異常ではないのに観ている僕らは異常だと思い不安に駆られるその恐怖。次、何が起こるのだろうと不安と共にゾクゾクしてしまうその緊張感。
というか、家族団らんの食事シーンで急に大量の空き缶を捨てに行く奥さんが一番怖かった。あの大量の空き缶なに?ゴミを空き缶に変える能力者なのか?次の神を決めるために世界中の奥さんを戦わせる能力者バトルモノだったのかもしれない。
あと、ホラー映画における料理シーンの緊張感は異常。
最後に
「黒沢清が詰まってる」という感想から勝手に『仮面ライダージオウ Over Quartzer』やエンドゲームだと思って観てしまった僕が悪かった。そういう感じではなかったっぽい。それはそれとして黒沢清作品に興味でてきたので少しずつ観ていこうと思いました。