スマホの充電は怠らずしろ!!!

「マクロス」シリーズや「アクエリオン」シリーズなど多くのテレビアニメーションの原作・監督を手がけてきた河森正治による初のオリジナル劇場長編作品。意外に初なんだって印象だが初で最後になる可能性も多分に含んでそうなそんな映画である。
内向的な主人公前澤栞がスマホの中に閉じ込められてしまい、もう1人の自分SHIORIが栞の身体を乗っ取り栞とは真逆な自由奔放で性格で1億いいねを目指そうと行動していく…といった話で誰しもがデジタルデトックスが出来ずスマホに依存しSNSでの承認欲求と誹謗中傷の中で他人からの”いいね”より自分自身を”いいね”するのが大切だよねと力強いメッセージを全部台詞で説明してくれる。メッセージ性が強いのは良いのだが「えっ!?そうなの!??」「そうだったの!!??」「今のなに!!??」「何だコレ」な設定開示と展開がずっと続く2時間で戸惑いが凄い。勢いだけは本当に凄い。
中盤まではまだフワフワしているだけでやりたい事は分かるけどなぁって感じだったけど終盤、敵が急に
「バーチャリオン、戦闘システム、オン!!!」みたいな事を言い出すとスマホ世界でコンテナとの合体シークエンスからのアクエリオンみたいな巨大ロボット出てきた時は「これロボットものだったの!!??」とビビった。何も調べずに鑑賞した僕が悪いの重々承知だか本当にビビった。
今度やる谷口悟朗監督最新作の『パリに咲くエトワール』もパリが舞台の可愛らしいキービジュアルなのに「メカデザイン」「メカ作画監督」がいて界隈をざわつかせて谷口悟朗監督から「ロボット出てきませんよ」と言われても実際に観るまでは信用できない感じになっているが、まさかここでこれ巨大ロボット要素あるんだ!?という特殊ジャンルのアニメ映画を先に見る事になるとは、2026年どうなってるんだ…。
確かに敵が中盤「どんな車乗ってんねん…」と思うぐらい独創的な車乗ってたけど思い出してみると明らかに『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』のアスラーダなんだよな。そこからアクエリオンの操縦車になっての巨大ロボ対決。まぁでもロボット同士の戦闘は新鮮味の欠片もない手癖で作りましたみたいなもんだったし必殺技も完全に無限拳だったのもファンサービスと言えば聞こえはいいが擦り過ぎだろ…と思ってしまう所はある。無限拳でいいねと低評価表現したら面白くね?と気づいた人は脳汁出てそう。
この巨大ロボット要素なくても話は全然成立するの『果てしなきスカーレット』のミュージカルシーンみたいなもんだよな。
それにしても敵がきもい。おっさんなのだが高校生のSHIORIと高級ホテルの部屋で2人きりになっている所をみられて「こいつの脳はテストステロンに支配されている」と言われていて凄かった。あいつはおっさんなのに女子高生にチンポ立ってる変態野郎だ!!!をちょっとオシャレに言われている。完全に「俺といれば芸能人になれるよ」と甘い言葉に騙されて滅茶苦茶になる子供にしか見えない。ここのホテルシーンが一番緊張感あったし「女子高生に何してんだ!」と後頭部を瓶で叩く同級生の山田が輝いていた。山田のことをまじでただのモブだと思っていたので終盤にギアが上がっていく中で山田の不器用ながら好きな女の子のために頑張っていく姿は良かった。最後にオチのように背負い投げされたのも良かった。報われて欲しい。
山田が思っていた以上に活躍するのとは逆に思っていた以上に本編に絡まったのが栞の幼なじみの倉科希星だろう。重要そうな役割なのにそんな事なかった。
子供の頃、栞と希星は一緒に踊ってみた動画を撮ってネットにアップして栞はこれで有名人になるかもと期待していたが15いいねしか付かず逆に希星はバズった事から自信をなくしたのが栞の自信のなさのルーツになっているのだが、まず一言いいですか
何も育ててないアカウントでいきなりの15いいねは将来有望過ぎる。
まぁでも分かる。ネットにアップする時、特に最初って「これバズったらどうしよう」って期待と不安が入り混じるのは避けられないので普通に万バズとか期待してしまう。それで15いいねだとやっぱりガッカリしてしまうし同じ動画を撮ったもう一人はバズってると余計に。や~~~~でも同じ動画ならそれぞれの垢で運用するんじゃなくて2人組でやれよ!!!!!とか思っちゃうけどそれは大人の意見である。でも結局はバズった希星の方もコメント欄に「栞が可愛い」が多くてそれがトラウマでコンプレックスだったことが分かり、結局は双方向コミュニケーション不足だったことが判明する。や~~~~それぞれの垢が運用するんじゃなくて2人組でやれよ!!!!!
中盤までは栞と同じく希星もスマホの中に入ったと思われていたが、実際はそんな事はまるでなく、ただ家に引きこもってただけで、黒魔術をこじらせて自分でスマホを壊していたのを見て栞たちが勘違いしてました~~~展開の強引さが凄い。
最初、栞と希星の女女の関係性なのかなと思いきや後半失速して栞と山田の男女の関係性がラストスパートで急に追い越していく感じだった。
もう1つの人格であるSHIORIを切り捨てるのではなく「これも私」となるのは良かった。ポジティブな人格、ネガティブな人格。人は場面や環境、気分で様々な一面がある。大切なのは「どちらか一方に振り切らない」という選択だ。ネガを押し込めたり、過剰な高揚に逃げたりせず、両方を持ったままそんな自分を認め一歩一歩着実に歩くことが大事なんだなって。
細かな所
・冒頭から派手に階段から滑り落ちところ、あまりにもギャグシーンなのに栞が過去に柔道やってて受け身とったから無事ですって展開、無理があり過ぎる。
.ネットに悪意しかない感じは細田守監督作品を思い出すが、あれよりもネットに救いがない。
・全体的に声は酷い。栞の声を新しい学校のリーダーズのSUZUKAさんが演じているが、演技どうこうじゃなくて声がカッスカス。特に叫ぶと「カッスカスやな…」となる。歌のシーンは良かったからウタシステムでも良かったのでは。名前すらない脇役の声がやたら豪華な本場声優陣のめっちゃ良い声でビビる。
・LINEのスタンプたちが出てくるのだが、おぱんちゅうさぎやポプテピピックのポプ子とピピ美とか実在しるキャラクター達が登場するのは楽しい。もうちょっと彼らも活躍してくれたらもっと燃えたのに。
・アンチコメントをした人間のアカウントをゴミ箱に入れると物理的にゴミ箱ロケットで飛ばされるの好き
・敵が「4G,5Gと電波が進化するほど人の脳に悪い影響を及ぼすようになっていた」みたいな事言い出した時、緊張感走ったよね。
・1億いいねが集まったらSHIORIが栞の身体を乗っ取れる設定、素直に何で?となる。
・ラスト、あの後どうやっても栞は日常に戻れなくね?希星と喫茶店やる話もう少し触れても良かったのでは
・スマホの充電が0になったら自分が消滅してしまってヤバいってずっと言ってるのにスマホの充電無くなり過ぎだと思う。6年目のスマホばりに充電が減っていく。スマホの世界では電気が通っていないなら分かるけど、普通にコンセントあって充電できるんだから移動時間以外は充電するぐらいの危機意識を持てよ!!!
最後に
2026年冒頭からこんな映画観れて今年は良い年になれそうです。展開が分かっている原作付きのアニメ映画よりこういうどれだけトンチキでもどれだけ?????となる映画でも劇場オリジナル映画の方が好きなので、是非観て河森監督の次回作が映画館で観れたら良いな。
