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TV番組『飯沼一家に謝罪します』3話の淡々ババァがヤバすぎた話

今回紹介するのは23日から4夜連続でテレビ東京で放送された『飯沼一家に謝罪します』

クリスマスの夜にカップルがふとテレビをつけると滅茶苦茶怖いハワイ旅行のシーンでトラウマ植え付けられたりしているかもしれない番組である。

 

皆さんは2004年に放送された詳細不明の番組『飯沼一家』をご存知だろうか。

 

 

 

「私は矢代 誠太郎という者です。これからこの時間をお借りして飯沼一家に謝罪します」

と語り、謝罪からはじまるテレビ番組。矢代という男はこう続ける。

「テレビ番組での賞金獲得のため運気を上げるよう飯沼一家に依頼された私は、研究も兼ねて一家に儀式を執り行ったが、予期せぬ不運を招いてしまった」と。そして「四十九日の裁き」を受けると言い、階段を上っていく所で番組は終わる。

 

ただただ1人の男性の謝罪だけで終わるという現代でこそ求められてそうな時代の先取りしているこの奇妙な番組は今では都市伝説化している。

そんな番組を深掘りしていくため、当時の関係者に取材していくのが本作『飯沼一家に謝罪します』

 

 

まぁ、もうみんな知っているとは思うが本作は年末恒例企画であり『イシナガキクエを探しています』に続くテレビ東京の『TXQ FICTION』シリーズ第2弾となるフェイクドキュメンタリー番組である。

『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』などを手掛け、昨今のフェイクドキュメンタリーブーム(!?)を起こした大森時生(テレビ東京)、『ゾゾゾ』『フェイクドキュメンタリーQ』の皆口大地、『フェイクドキュメンタリーQ』『心霊マスターテープ』の寺内康太郎、第2回日本ホラー映画大賞を受賞し、来年1月24日(金)から『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の劇場公開が決定している近藤亮太といういつもの豪華メンバーが参加している。

 

 

この布陣が手掛ける前作の『イシナガキクエを探しています』は全体的に不気味で所々滅茶苦茶怖かったけど、同時に考察勢を盛り上げるためか「含み」だけが肥大化して全話見てもあまりにも何もかも視聴者の想像と考察にお任せし過ぎというか、フワッとし過ぎていて考察の余地すらなく妄想しか出来ないというか「何も分からん!!」状態で終わってしまうし、何よりも最終的にこれもう「特別公開捜索番組」じゃなくね?と感じてしまい個人的にはイマイチだった。

それに対して本作はバランスが本当に良い。「何も分からん!」って訳ではなく「もしかしてこうか?」って仮説は出てくるけどしかしそのどれも確定ではないその塩梅が丁度よく感じる。そして何よりもドキュメンタリー番組に対して真摯に向き合っていて、導線もちゃんとしていて分かりやすい。「放送禁止」シリーズの精神的後継が完成したって感じだ。

 

 

こういうフェイクドキュメンタリー番組って『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』のヒットから増えたけど、同時に「恒例」となってしまって、あの当時のような新鮮さは失ったようにも思える。

ヨッ!待ってました概念って恐怖や不安から一番遠いけど飢餓ではなく一杯食べて満腹になりたいホラー好きのジレンマである。

『飯沼一家に謝罪します』も縦軸は番組関係者のインタビューで話が進行していくのだが、名探偵津田に出演した人が出て来たり、長ったらしい割に所々現実に引き戻されたりしてうーーーーんと思っていた。

ただ

ただである。3話のラストにあるババァがでてくるのだが、そのババァが平然とさらっと淡々と番組の根幹に関わるとんでもないことを言ってのけ、見ている我々が「????????待って待って待って???????」と銀魂大好き女子オタクみたいな気持ちを初めて経験することになる。

そして見た事がある急な階段を出てきた時の「ワッワァワァ」

そしてラストもホラーあるある「投げ出す」のでなく「謝罪」というテーマに対してホラーとして筋が通ったオチでもあるのも嬉しい。

 

予想していない角度から予期せぬ衝撃こそが1番テンション上がる。

これからもこの布陣の番組を見ていきたいと思えるそんな番組である。

 

TXQ FICTION 12月23日(月)放送分 飯沼一家に謝罪します(1)|ドラマ|見逃し無料配信はTVer!人気の動画見放題