今回紹介するのはテレビ東京60周年を節目としてを11月18日に開催された式典「祓除」(ふつじょ)である。
「祓除」(ふつじょ)とは穢れや禍などを除くことを意味し、これまでに人々のあいだで穢れや禍とみなされてきた映像や物品を無害化するための式典らしい。
確かにテレビ局というのはその性質上、心霊映像や人々の様々な不幸などお蔵入り映像含めて「よくないモノ」が集まってしまう、ことがある。それを60年という節目にお祓いをして新しいスタートをきろうという企画に見える。見えるが…。というイベント。
実際に横浜赤レンガ倉庫で開催され、チケットは即完売したが、筆者は配信で見る事が出来た。約60分、有料でチケット代は1000円だ。
テレ東60祭@なぜか横浜赤レンガ 祓除 | PIA LIVE STREAM(ぴあライブストリーム)
企画内容だけでもかなり怪しいが、関わっている布陣を見ると分かる人には分かる。その本気具合がよく分かる面子だ。
『このテープもってないですか?』『Aマッソのがんばれ奥様ッソ』を手がけたテレビ東京の大森時生、『フェイクドキュメンタリーQ』の寺内康太郎、『かわいそ笑』『6』『瘤談』の梨、『近畿地方のある場所について』の背筋が参加している。
事前番組がテレビ東京のYouTubeで公開もしている。本編を見る前に是非、一度こちらを見て欲しい。
正直、筆者もそこそこホラーマニアであり、フェイクドキュメンタリー作品も色々見てきたので「祓除」のやりたいことは見る前から察する事ができた。
最近流行の穢れを払うと見せかけて視聴者を巻き込む系の作品だと。
厄除けではなく厄を拡散する。
ネトフリで配信された台湾ホラー作品の『呪詛』や本作にも参加している背筋著の『近畿地方のある場所について』なども視聴者や読者を厭な気持ちさせる作品だったように本作もそうであると。
実際に式典を見て、ハッキリ言うと実際にそういうイベントだったと思う。だったと思うが、見終わった後にモヤモヤというかただ困惑しかない。何なんだろうコレ…→祓除です。
そう、祓除なのである。いやなんだんだ…。
本作が斬新なのは事前にチケットを購入した観客も現地で参加したライブ配信イベントだということだろう。夏じゃなくてこのクソ寒い中でこの不気味なイベントを金出して見に行っている物好きな客が沢山いるのだ。
ライブ中継もしている生のイベントで司会者と事前番組にも登場した祓除師のよしぴよがテレビ東京に投稿された映像や過去のお蔵入りを解説したり祓除したりするのだが、このよしぴよの頼りなさが凄い。
一見、鈴木もぐらに見えるよしぴよだが、映像を見ても「そうとも言えるしそうとも言えないかもしれません」みたいな要領を得ないことしか言わない。
司会者「幽霊の可能性がありますか?」
よしぴよ「可能性もありますね…」
司会者「ただの人である可能性もありますか?」
よしぴよ「その可能性もありますね…」
白石晃士作品ならカマセ犬になりそうな頼りないよしぴよだが、不安げに見守っている観客は段々と調和しチャンネルを合わせていくことになり…心の中で「終わるな 終わるな」と千鳥ノブが叫びながらイベントは終わっていく。
1つ1つの映像はよく出来ているし、よしぴよを演じている俳優の方は生放送の演技とは思えない役が憑依しているような演技だし、ラストはこれで終わるのか···と困惑まじりの不完全燃焼なイベントだが、そのモヤモヤ含めて後味悪く楽しめる。色々と考察できる作りになっているし、1000円で不穏な気持ちになれるのコスパが良い!
最後に
Twitterなどで「拡散してください!」と宣伝していた本作だが、ちょうど池田大作氏の死去とバッテングしてしまい、創価学会系のトレンドの中で祓除の拡散が違和感なくなってるのが本当に奇跡というか、目立たずに不運というか。
ホラーといってもスプラッター要素や扉がドーンみたいな驚き系でもない湿度の高い系ホラー、全体的にフェイクドキュメンタリーQみたいな作品なので是非一度見て欲しいが、答え合わせはないのでそういうのがハッキリしないの苦手な人には全然オススメ出来ない。1000円の価値があるかどうか全然分からない。
ただ考察系の作品なので、流行っている「今」見ることをお勧めするし、是非見てあなたも調和されて欲しい。
約1時間半のイベントに見えるが、実際に始まるのは29:46からなのでそこまで飛ばしても問題ない。
それにしてもこれを60周年記念の一つとして出すテレビ東京が一番怖い…。
テレ東60祭@なぜか横浜赤レンガ 祓除 | PIA LIVE STREAM(ぴあライブストリーム)