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令和でも続く家族のカタチ『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』感想

平成最後のクレヨンしんちゃん映画に、昭和と平成を扱った『オトナ帝国』を下敷きにして、令和、そしてそこから先の時代でも変わらない家族の絆を描いていくぞという意気込みを感じる傑作映画『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』の感想を書いていきます。

映画チラシ クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし

 あらすじ

クレヨンしんちゃん』映画27作品目。オーストラリアの秘境グレートババァブリーフ島で、いまさら初めての新婚旅行をしている野原一家(正直ひろしみたいな普通のサラリーマンでもお金がなくて新婚旅行出来なかったって結構もう絶望的)その夜、突然ひろしが消えた。探しに出かけたしんのすけたちが見たものは、仮面族の村で行われていたド派手な結婚式に参列する、花婿姿のひろし! 宝欲しくば、花婿贈れ、天の指輪輝くとき…。その島には、50年に一度、金環日食の日にお姫様に花婿を差し出すことで、ご褒美としてお宝が得られるという伝説があった。その花婿に選ばれてしまったのが、ひろしだったのだ。まさかの“ひろし”=お宝のカギ! 仮面族vs世界中のトレジャーハンターvs野原一家の超熾烈な三つ巴のひろし争奪戦が勃発してしまう

 

多様性のカタチ

今作の主人公は間違いなくみさえであり、ヒロインはひろし。

今までの映画シリーズって基本的にしんちゃんの危機にひろしとみさえが一緒に助け出すというのがスタンダードで、どうしても父親であるひろしがメインになってしまっていたんですね。

ただ、本作はひろしが不在という危機的状況でみさえが奮起するという話しになっており、それが現代的でとても面白いです。

最近流行の女性の自立とかそいうジェンダー的ではなくてあくまで母親、そして妻として行動していく中で、自立している今作の映画ヒロインであるインディ・ジュンコとはその価値観と違いから対立しながらもお互い認め合い、手を取り合っていく。どちらが偉いとかそういう話ではなく、どちらも良い。そういう多様性の容認が説教臭くなくさらりと描いているのも素晴らしい所だと思います。

 

家族のカタチ

ひろしが捕まり、敵に洗脳されような描写と、みえさもインディ・ジュンコから「ひろしは美人で金持ちであるお姫様を選ぶのでは」というきつい質問のシーンがあり、観客は今までのひろし。即ち映画シリーズなのでどんな危機的状況でも諦めず家族を一番に考えるあのひろし。美人の女に弱いひろし。足が臭いひろし。家族のためサラリーマンとして毎日毎日必死に頑張り、営業であちこち歩きまくり汗をかく、だからこそ足が臭くなるひろし。そんなひろしを知っている観客がみさえやしんちゃんを捨てるわけない事を知っているが、ここでは少し前に洗脳のシーンもあったのでもしかして、でもあのひろしが洗脳に負ける訳ないなど色々考えてしまう中、ついにみさえとひろしが対面する。

 

そして今作一番のショックなシーンであるひろしの口からでるみさえという妻の否定。しんちゃんとの約束の否定。家族の否定。

私もまず予感はあったが本当にそんなシーンをやるとは思わずみさえたちと同じようなショックを受け、意気消沈。

そのままひろしに言われたように元いた場所に帰るみさえ達。あまりにもショックなのに同じようにショックを受けている子供達のことを考え泣き叫ぶこともできないみさえ。史上最強の主婦はこんな時にも子供のことを考える。

そして子供達の目と耳を押さえ、怒りと悲しみを叫び、そこに負の感情を置いてもう1度、ひろしを信じる事にしたみさえ。それを観た観客ももう一度ひろしを信じようという思いが滾ってくる。そうだ、あのひろしが家族を見捨てる訳がないと。

そしてそこからクライマックス。

ひろしも実は家族を守るために嘘をついていた事が分かり、酷いことを言っても追いかけてきたみさえ達、家族をみて号泣。そして家族みんなが合流し、ラスボスのビックコアラ(CV悠木碧)とも和解し、ハッピーエンドで終わる。

 

今までひろしの陰に隠れがちで、守られる立場が多かったみさえがこんなにも妻として母として覚悟をもって頑張る姿は観ていて自然と感動してしまうし、そんなみさえに「誰が母ちゃんを守るの」と子供ながらに母を守りたいと思うしんちゃんに感動する。

家族って独りが頑張るんじゃなくてみんなが頑張り、尊重し、行動する。それが何より大切なんだと教えてくれる。

そんな家族像を平成最後の作品として作られ、そして「令和」に引き継がれていく。

昨今の風潮である共働きの夫婦を起用しないと時代に合わないという批難や。専業主婦は古いとかそういうことではなく、家族全員が必死に生きてお互いを想いながら行動する事こそが大切で、これから先の時代も変わらず尊重される家族像だという事を教えてくれる大切な作品だと思います。

 

最後になりますが、あいみょんのエンドロール曲滅茶苦茶良かったですよね。これ聞いてからファンになりました。あいみょん可愛いよあいみょん