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ネタバレあり『Tales of ARISE(テイルズオブアライズ)』感想。オレンジグミの大切さを知るRPG

「んほぉ〜この声優たまんねぇ〜」という『テイルズオブゼスティリア』馬場Pが制作現場でこのようなやり取りを行ったのではないかという妄想がコピペ化し、広大なネットの海に放流されたり、

テイルズ オブ ベルセリア』から5年間、新作CS向けテイルズオブシリーズ新作が作られなかったり、

スマホ向けでテイルズオブの新作やお祭りゲームが濫造されたり、

そもそもバンナムに対するゲーマーの好感度や信頼度が著しく低い時があったりして、

 

テイルズはオワコンと言われた。

ネットでどれだけ叩いたり馬鹿にしてもいい対象になってしまい、ファンには冬の時代である。

 

私は自分の小遣いで初めて買ったゲームが『テイルズ オブ デスティニー』でそれ以降のシリーズも大体遊んだ僕にとってテイルズオブシリーズは中々思い入れのある作品であり、Twitterを覗くたびにこいつらま~た雑語りでテイルズ叩いてるよとやれやれ、私はTwitterを閉じた。

 

そんなテイルズオブに待望の新作である『Tales of ARISE(テイルズオブアライズ)』の感想を書いていきたい。出来るだけネタバレに配慮しようと思ったが我慢できなかったところもあるので核心は触れないようにしているがネタバレ込みで書く。2回目の○○ぐらいまでは思いっきり書く。まだ遊んでない人は読む前に取り敢えず遊んで欲しい。

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概要

自然あふれる豊かな大地に覆われた星・ダナは隣り合うもうひとつの星・レナのことを「死者が住まう地」として崇めていた。

300年前、ダナはレナから突然の侵攻を受ける。科学や魔法が発達したレナに対し、科学力はほとんどなく魔法も使えないダナは圧倒的な力の差で敗北し、ダナの人々はレナによる終わりなき隷属を強いられることになる。

ある日、ダナの青年・アルフェンは同族から追われるレナの少女・シオンと出会う。痛みを失ったダナの青年と他者に痛みをもたらすレナの少女の思いがけない邂逅は、ふたつの星の運命を揺るがす物語の始まりに過ぎなかった

 

まずは魅力的なキャラクターを紹介していこうと思う。

パーティは

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奴隷……!、ハラペコツンデレ姫、典型的劣等民族ダナ人、脇腹チラ男、黒レナッパリ、織田nonの6人である。

 

それぞれ詳しく書いていく。

奴隷……?奴隷……!俺は奴隷じゃない!!!

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本名、アルフェン。

最初は顔全体が仮面で覆われており、「鉄仮面」と呼ばれていた。そんな仮面つけていてどうやって飯食ってるんだ問題はスゴ技で解決しているらしい。真面目に考えるな……!感じろ……!!あと、仮面が半分付いている状態のアルフェンが一番カッコイイと思う。

 

このアルフェン、主人公として好感度が滅茶苦茶高い。

特に最近のテイルズシリーズが自己犠牲ばっかりだったのもあって、世界を救うには自己犠牲が必要だって展開になっても「そんな犠牲を出したら意味ないだろ!」って真っ向から切り返すアルフェンに私は心底シビレたよ。主人公はこうじゃねえとな!ってなる。「慣れる必要がどこにある」というどこぞの不死身キャラみたいな事言った時は流石に苦笑してしまったが。

 

見ているだけも痛々しい握ってるだけで腕が焦げるほど熱い炎の剣に対してアルフェンの痛覚が戻った後どうするんだろう?もしかしてもう使えない?とか思ってたら、痛いし熱いけど王の力で戦闘中は我慢するとか言って解決したのは笑った。すまない、お言葉に甘えて戦闘中にバリバリ炎の剣使ってしまうわ。真面目に考えるな……!感じろ……!!

 

鈍感系主人公ではあるが、最初から最後までシオン一筋で遊んでいて気持ちがいい。

その証拠に、終盤ぐらいになるとアルフェンの目の前でシオンが戦闘不能になった時の雄叫びがガチである。
「仲間を奪ったなァァァ!!!」と叫んだり、「ぅああああああああああ!!!!」と本編中以上に凄く激昂する。すまない、僕のプレイスキルが下手で……

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↑素顔になってから眼鏡がよく似合う。

ハラペコツンデレ

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本名、シオン。

今は令和だぞ!!!って言いたくなるぐらいのハラペコツンデレ姫属性である。

そのハラペコ具合は本物で、飯を食った後にアルフェンが

「腹は膨れたか?」って聞いて

「ええ、もう充分よ」

「まぁあれだけ食べたらな……」と言った後にシオンの「腹八分にしておいたわ」宣言「え」ってなるアルフェンと私。

他にも野宿で晩飯を食い、アルフェンと会話したあと、「私はもう一食食べた後に寝るわ」という聞きなれないセリフを何度も聞くことになる。

食い意地も凄くて、レシピ発見する度に試せ試せって言ってくるし、その関連のサブイベが滅茶苦茶多い。何なんだこいつは。

 

ツンデレではあるが、終盤は殆どデレである。ラストダンジョンで大型エネミーと戦っている最中にアルフェンと二人の世界作る。無敵か。

終盤戦闘、アルフェンが力尽きるとシオンが「私を置いていかないで……!」と切実に言うが心苦しい。すまない、アルフェンは自身のHPを減らすことで強力な技を放つフラムエッジを多用してしまって油断するとすぐ死んでしまうの……

 

このシオン、ビジュアルも滅茶苦茶可愛い。こういう可愛い女の子を見るとJRPGだなぁってニコニコしちゃう。

ただ、アニメのクオリティが良くないあおりを受けてしまっている。

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何か違う。

3Dグラフィックが進化して滅茶苦茶出来が良いのもあってアニメのクオリティの低さが目立つ。

 

若い子にはジブリより知名度がありそうなufotable制作にも関わらずのこの出来である。製作費を渋ったのか、納期が短かったのか、ufotableは実はバンナムが嫌いだからか知らないがアニメパートになるとテンション下がるのは初めての経験である。特に最後の最後のあのシーンとか3Dグラフィックで見たかった。富沢Pがインタビューで

全編を3Dで描くこともできはしますが、それではファンは喜ばないだろうと思ったんですね

と言ってたけど、これからのシリーズはOP以外は3Dグラフィックだけでもいいと思う。

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↑眼鏡がよく似合う。

 

典型的劣等民族ダナ人

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本名、リンウェル

本来はレナの人間にしか使えない星霊術を行使できる。所謂魔法使い係。

テイルズと言えば差別問題である。本作で言えば世界最高民族レナ人と劣等民族ダナ人と2つの種族の壁がテーマだが、仲間パーティにおける劣等民族ダナ人代表がリンウェルである。

それ故に中盤でリンウェルの想いが爆発するが、本作は「相手を赦す」こともテーマの為に昨今のSNSでは嫌悪されそうな展開が続くし、「茶番は終わったかえ」と煽られ、私も「ほんとソレ!!」って敵と同調したりする。でも私は後半のリンウェルの可愛さ考えると、そんな展開も赦すよ。

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↑眼鏡がよく似合う。

脇腹チラ男

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本名、ロウ

アルフェンとリオンのカップルが甘々イチャイチャしているのに対してシオンとリンウェルの初々しい関係も好き。

特に終盤のロウはリンウェルのことかなり意識している。
野宿スキットでリンウェルのことを頭撫でたくなるとかなんとか言い出してて「あま~~~っ」となる。

 

パーティが打ち解ける前はギスギスする事が多い会話の中で率先してボケようとする(天然要素もある)し、リンウェルにいじられてるし、街中で可愛い子がいると目で追いかけてリンウェルに𠮟られたりするムードメーカーである。ギャルゲーにおける主人公の悪友みたいなポジション。ただ、戦闘だと自分で操作しない限りパーティから外しがち。

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↑眼鏡がよく似合う。

黒レナッパリ

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本名、テュオハリム様。声と顔が良いだけの赤ちゃん。

ダナ人に理解があるレナッパリではあるが、所詮レナッパリなので随所随所にダナ人への差別意識を感じられる発言がある。そこを乗り越えるストーリーである。

悲鳴がトラウマなので悲鳴が起きない国造りしていたため、無意識に遠ざけていたモノが沢山あり、それ故に部下の謀反にも気づけなかったし、恐らく他国からも舐められていたのだが、結果的に彼が作ったヴィスキントにおけるレナとダナの絆だけは嘘ではなかったのは良かったよね……

あと、テュオハリム様が加入したぐらいからその天然さが爆発してスキットが面白くなった。

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↑眼鏡がよく似合う。

織田non

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本名、キサラ。背中が開いているのは身軽になるかららしい。そうか……?

テュオハリム様に仕えている、ダナの女性兵士。

お母さんキャラと妹キャラと釣りキチ三平を内包している珍しいやつ。

キサラが泣き叫ぶとテュオハリム様も負けじに叫んだシーン、笑ってしまったのは私だけかもしれない。

 

個人的には本作で好きなセリフがテュオハリム様に対して言った「償えませんよ」って言葉。

テイルズオブシリーズって過去にやましい事をしたキャラクターが多くてすぐ償おうとしがちだけど、過去の行いは償えないんだよな。それでも自分の行いは忘れずに生きている人の為に変えていく必要があるだけで。

 

戦闘中の会話で

テュオハリム「決めたまえ!」
キサラ「だぁああ」

~戦闘終了後~
キサラ「決めました!」
テュオハリム「ああ、信じていた」

決めました(報告)のキサラさん、可愛くて好き。

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↑眼鏡がよく似合う。

ヴォルラーンさん

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完全にネタバレだけどこいつも語りたい。

最大の敵であり、ギャグキャラという高度な存在である(CV速水奨

ぶっちゃけフード被っている時が敵としてのピークである。2周目だと初登場シーンのシスロディアでの狼狩りが意味不明で笑えてくるのはズルい。

格好つけすぎて阿保にしか見えない氷の椅子のシーンでギャグキャラとしての存在感が増し増しになってしまった。

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↑痛覚なくてもお尻ビジョビジョになるよ。

 

攫ったシオンの服をひん剥いて闇落ちワンピースに着替えさせたり、そのシオンは城のわりと早い所に放置していたり、全体的に行動の指針がアルフェンに対する嫌がらせなのが何とも。

こんなもので私を縛り付けられると思うな→結局繋がれてるまま爆発に巻き込まれるシーンとか笑ってはいけないテイルズオブである。

その後の乱入シーンもネタ感が凄い。発売前の『Tales of ARISE(テイルズオブアライズ)』海外レビューで本作はFFシリーズのFF7になる作品だろうという評価があったが、本作のFF7要素はヴォルラーンさんのセフィロスしぐさが8割ぐらい占めてそうだ。

 

 

富沢Pがインタビューで新規ファンを獲得しつつ既存ファンに支持されているテイルズ オブらしさとは「キャラクターを愛し、クリア後も彼らのことを応援したくなるような魅力的なキャラクターの構築とゲーム体験」と言ってて、その意味ではアライズはテイルズらしさの塊だった。出来る事なら彼らの物語の続きが見たい。

アルフェンとシオンの子供が主人公で既にアルフェンは死んでいる。主人公はヒロインを、世界を救うため時代を超えて冒険する。仮面をつけたヴォルラーンさんも味方として再登場。そんな『Tales of ARISE2』運命を解き放つRPG2。そんな事しなくていいからイチャイチャ具合見せてくれるだけでもいい。

 

DLCについて

キャンプ画面でドーンと出てくるDLCボタン。確かに雰囲気台無しである。

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本作は終始金欠、回復アイテム不足、スキルポイント不足、敵の強さ(硬さ)に悩まされる調整をしている。

特にシリーズお馴染みのオレンジグミの値段。

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過去作:100~200ガルド
今作 :3000ガルド

いや、買えねーわ!!

 

サブクエでなんかデカい敵が現れてきたから倒してきて!という依頼があって、倒すのにオレンジグミとライフボトル合わせて1万ぐらい使ってしまうものの「ありがとう!報酬ね!」がたったの3000ギルだけで俺は奴隷じゃない!!!!!!!!ってなったのは何度もあった。その割にはダンジョンでCP使わせようとしてくるギミックも多数あってああああああああ!ってなる。

 

マップ上に落ちてるオレンジグミやライフボトルに感謝した事なんか今までのテイルズシリーズないしアップルグミが上限超えますがよろしいですか?が出てきてわざわざ1個使ってから回収したテイルズとか今回が初めてである。そこら辺のアクセサリよりオレンジグミ拾った方が嬉しいのである。

そういう意味ではピーチグミ落としてくれるレナ兵だーい好き。15個以上持てるようにして。

 

 

確かにDLCに誘導している感じはするが、しなくてもクリアできる難易度ではある。どうしてもクリア出来ない人はデメリットないので誇りを捨て素直に難易度下げましょう。

 

ここら辺は久しぶりのシリーズ復活で赤字にならないようにバンナムが保険をかけたのだと邪推してしまう。ただ、シリーズ最速で100万本出荷の大ヒットしているのでこれからの新作でDLC誘導が減ってくれると嬉しい。あと、グミと金欠不足は奴隷感あって世界観にはあってたよ。奴隷……?奴隷……!俺は奴隷じゃない!!!

 

その他

  • ボス戦は確かに硬い。ボスだけなら良いけど、ラストダンジョンの大型の雑魚は硬くてブーストストライクも撃てなくて経験値も美味しくないの3重苦で辛い。
  • ただ、100コンボとか決まるとボコボコにしている感じで気持ちが良いし(敵のHPは中々減らないが)兎に角エフェクトが派手なので画面が凄い事になるのも令和っぽいな~っなる(なんでも令和で片づけるな)
  • 魔法を使ったのが敵か味方かエフェクトでは分からないのは罠
  • リニューアル後の最初の1作だから仕方ないのかもしれないが、敵の種類が本当に少ない。色違いばかり。
  • マップにパズル的な要素皆無なの珍しい。個人的にはいらないが。
  • 本作だけに限らないけど、狭い通路前に雑魚敵はどうなんだろう。シンボルエンカウントの意味~~~ってなる。
  • 昇降機のカギ探し過ぎじゃない!?
  • 恐らくトランプ政権時にシナリオ書いていたのだろう。「壁」を連呼しているの少し笑う。環境問題だったり、時事ネタを積極的に取り込んでくるRPGこそがテイルズオブだと思っているので、壁を壊そう!!!と言っているシーンを見ると「私は今、テイルズオブシリーズを遊んでいる!!」って気持ちが強くなる。
  • 大体60時間ぐらいでクリア出来た。満足。

 

最後に

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↑新作を待っていたファンたち

個人的な感想としては、もしかしてもう最新作は出ないのかもしれないと思っていたテイルズオブがPS5という最新のハードでも満足できるグラフィックと過去作のテイルズオブのシステム流用で終わらない変わろうとする意志を感じられる出来で発売されただけでも嬉しい。

バンナムはゲーマーから色々言われがちだが、今年発売された同社の『スカーレットネクサス』も良かったし

www.shachikudayo.com

 

変わったな~って感じがする。

先日セガが「取り戻そう、真のロールプレイングゲームを、スマートフォンで」という

dengekionline.com

キャッチコピーを見て「何言ってんだこいつ」と思った所なのでRPG栄養素を摂取できて良かった。出来るなら3年に1度ぐらいのペースで新作が出てくれるようになると嬉しいが。

 

リニューアル1作目って滅茶苦茶大事だと思う。

墓場から出てきたと思ったらそのまま墓場に戻るIPが大量にある時代に、富沢Pは新規も取り込みつつ既存ファンにも受け入れてもらう。そんな高難度のことをやりきったと思うので、是非一度遊んでみて欲しい