「種族、国同士の争いから終盤世界滅亡の危機に」「軽いノリな奴ほど抱えてる事情が重い」「敵に一度は捕まるが脱獄する」「ボス『この世界は失敗だ』主人公『それでも必死に生きている人がいるんだ!!!』という問答」「主人公と仲が良いNPCは悲惨な死を遂げる」「ストーリー後半に雪が降る場所が出てくる」「王道なストーリーだが、えげつない展開や設定がある」「多種多様なイケメンと美女の博覧会」
子供の頃からJRPGばかり遊んできたせいで、定期的にそういった栄養素を摂取しないと手が震え、腰が痛み、毎日薄っすら身体が怠い人は沢山いる。震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃症候群である。
一方でゲームハードのスペックが進化し、グラフィック表現は日々ハードルが上がっている。
手を抜いたアニメ風ビジュアルだと「令和になってPS2レベルかよw」と煽られてしまう訳だ。グローバル化で日本らしさが難しい側面もある。
その結果、日本の大作RPGは少なくなっているし、洋ゲーのキャラクターはフォトリアル系が主流で外見で萌えない事が多い。
そんな状況の中、震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃症候群の悪化で苦しんでいる人に是非オススメしたいゲームが発売された。
バンダイナムコエンターテインメントの完全新規RPG『スカーレットネクサス』である。
ディレクターは震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃症候群の界隈で有名な穴吹健児氏。
本作の魅力についてここから書いていきたい。序盤ぐらいまでのネタバレはある。
世界観
本作の舞台となっているのは、中世世界ではなく科学技術が発達した近未来の世界。
とくに脳科学が発達しており、その技術によって登場人物たちは、常人では扱えないようなパワーを秘めた超脳力が使える。
そんな世界に存在する、ニューヒムカという国が『スカーレットネクサス』の舞台となる。そこでは人類の敵である怪異の脅威に晒されていた。
怪異が当たり前に存在する世界ゆえに、怪異がいつ、どこで出てくるかの予測や、どうすれば倒せるのかという研究も進んでいる。ニューヒムカは超脳力を駆使して、怪異に対抗する兵隊を集めた“怪異討伐軍”を結成し、プレイヤーは怪異討伐軍に入隊した新人隊員として、冒険をくり広げていくのが本作のストーリーだ。
怪異により人類の生命が脅かされている状況はかなりエグく描かれている。
なぜなら怪異は人の脳を捕食するからだ。
しかもプレイヤーにとっての脅威は怪異だけではない。主人公が属する怪異討伐軍、そしてニューヒムカ自体が綺麗事では済まされないことを多々やっており、話は二転三転していく。
序盤から鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!鬱展開!を中心として「種族、国同士の争いから終盤世界滅亡の危機に」「軽いノリな奴ほど抱えてる事情が重い」「敵に一度は捕まるが脱獄する」「ボス『この世界は失敗だ」主人公「それでも必死に生きている人がいるんだ!!!』という問答」「主人公と仲が良いNPCは悲惨な死を遂げる」「ストーリー後半に雪が降る場所が出てくる」「王道なストーリーだが、えげつない展開や設定がある」「多種多様なイケメンと美女の博覧会」の展開が続き
「俺は今、JRPGをやっているぞ!!!!」という高まる気持ちが抑えられなくなる。手の震えが治まり、腰の痛みは消え、薄らしんどい日々とのお別れである。
更にそこに宇宙の話や、タイムリープの話も加わって来て
僕「えっ こんなにもJRPGを堪能してもいいですか!!」
バンナム「ああ…しっかり食え」
(もぐ もぐ もぐ)
バンナム「おかわりもいいぞ!」
僕「………」(信じられないといった表情ながら、コントローラーを握り直す)
バンナム「遠慮するな 今までの分食え…」
僕「うめ うめ うめ」
状態である。
本当に今は令和なのか。
最高。
舞台となる「街」の数は少ないものの、ARのような電子看板や注意書きなどのサイバーパンク感と現代風の街並みがミックスされた世界観はなんとも魅力的でカッコイイ。
2人の主人公
ゲームを始めると、まず主人公の選択から入る。
右の男性主人公がニューヒムカ建国の父を祖に持つ名門スメラギ家の次男でありながら怪伐軍に志願し、厳しい訓練に耐えて入隊にこぎつけたユイト・スメラギ。
左の女性主人公が巨大軍事企業のランドール家の養女でありながら超脳力の資質を認められ、怪伐軍にスカウトされて訓練学校を首席で卒業したエリートのカサネ・ランドール。
全く違う道を歩んできた二人が、怪伐軍での出会いを果たすことで、物語は大きく動き始める。
主人公は選択出来るが、ストーリーはほぼ一緒疑惑があったが、これが全く違う。
選んだ主人公の視点で物語が進行していき、お互いのストーリーを補完していくので両方遊んだほうが絶対にいい。
個人的にはユイト編から始める事をオススメする。
カサネ編はレッドストリングスやクナドゲードといった世界観の根本を詳細に教えてくれたり、ユイト編だと中盤で不可解は動きをするカサネの真意がより鮮明に判明する解答編の趣がある。
ユイト編→カサネ編が一番きれいに物語の核心を徐々に判明していく流れになると思う。
ただ、1周約20~30時間ほどかかるし、男性主人公に興味のない人や先にモヤモヤする所の答えを知っておきたい人はカサネ編からやっても全然問題はない。
ここからは個性豊かなキャラクター達に関してもう少し詳細に書いていきたい。
人に優しく鈍感で熱血漢でありながら正義の心を忘れない。
ユイト・スメラギは王道の主人公といった感じだが、性格に歪みがなさ過ぎてかえって人間味が薄い。彼に降り注ぐ不幸の連続も、くよくよせず受け入れる。彼の事を嫌いなるプレイヤーは早々いないと思う。マジで人間味が薄い。
カサネ・ランドール。
最初は努力型のユイトとは真逆の完全無欠秀才タイプかと思いきや、ただのコミュ障だと判明する。
彼女のコミュ障は酷く、中盤では
ユイト「説明してくれ!」
カサネ「ナニモハナスコトナイ」
の繰り返しである。酷い時にはカサネ「ナニモハナスコトナイ」(これは全てあなたの為なの)のようにモノローグと発言が逆逆~!!的な事すらある。ディスコミュニケーションの擬人化。
ユイト編で遊んでいると「なんだこの女」ってドン引きするかもしれないが、安心して欲しい。カサネ編を遊んでも「なんだこの女」ってなる。
逆に言うとカサネ編はカサネの成長を見守るストーリーなのでこれがいいんだ。後半で彼女が積極的に相手を理解しようとする何てこともないシーンで感動してしまう。姉になった気持ちである。あと姉妹愛キャラかと思いきや、意外と異性にほの字になるので百合百合を期待してカサネ編を始めると辛い時があるかも。
他にもあの聖人ユイトを唯一キレさせることが出来る男、シデン。
男のツンデレなんてどこに需要がある。俺にある!!!!
カサネ編だとスカーレットネクサス界のベジータでありながら、ヒロイン。序盤の好感度の低さが嘘になるほどグイグイ好きになっていく。心を開きつつあるツンデレに人間は弱いのだ。
次はルカ。
半パンショタと思いきや、実年齢は40歳を超えるというそのギャップが好き。趣味は筋トレなので「がーんばれ!がーんばれ!」と温かい目で応援したい。
そしてカゲロウ。
飄々とした性格で女好き。しかし、この男、裏がある。どこのゼロスだ。
個人的に一番好きなアラシ。
メディアの前ではキャピキャピしたアイドルでありながら、実は片付けが苦手で怠惰な生活をおくっている。高速移動の能力も滅茶苦茶強くて便利だし、その上、ハッカーとしての腕前もあり、物語でもゲームシステムでも使いやすいキャラである。好き。
敵キャラクターに関しては色々な組織があった割には、名前アリの敵の数が少なく、魅力的な奴が少なかったこと。何度か戦った敵幹部がいつのまにかフェードアウトしたのが残念だった。次回作に期待。
アクションRPG
本作のバトルは、手にした武器と念力攻撃によるスピーディなアクションとなっている。コンボを繋げるほど念力の攻撃威力が増加し大ダメージを与えることができる。
特に面白いのがユイトとカサネが持つ超脳力の念力を使い、マップ上のオブジェクトを敵に投げつけて攻撃する念力攻撃だ。
電車とかモノを敵にぶつけるのは楽しいな#PS5Share, #SCARLETNEXUS pic.twitter.com/828X6UzSB0
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2021年6月26日
念力による攻撃のダメージは高いが、コストとして念力ゲージを消費する。念力ゲージは通常攻撃をヒットさせることで効率よく溜めることができるので、通常攻撃と念力なコンボが基本的な戦術となる。
↑全体的に難易度は高め。特にボス戦は考えて行動しないと殴り合いだと負けてしまう。
また、本作の仲間たちはパーティに加えておくとオートで攻撃してくれるが、SAS(正式名称:ストラグル・アームズ・システム)を利用すると、バトル中に仲間の超脳力を一時的に借りることができる、脳と脳を仮想ケーブルで接続するシステム。という要素で、たとえば仲間の1人であるシデンの発電脳力を借りれば、カサネの通常攻撃に雷の力が宿る。
序盤は出来ることは少ないが、後半になっていくほど爽快感が増して見た目も派手でパズル的要素もあって本当に面白い。
↑透明化など、戦闘以外にも使える能力がある。また育成するとSASを複数発動することも可能。発電能力を得つつ、高速移動するといった戦い方も出来る。
難点は敵の種類が少なく、同じような敵と何度も戦うことになるのが残念。その割には後半になってくるとダンジョンが長い。
他にも行動キャンセル回避行動が出来ないことと、SASは全部で9種類あるが、装備出来るのは全部8種類という1つだけリストラしないとダメなことだろう。大体頑丈能力を持つゲンマがリストラされがち。ストーリーでも影が薄いのに戦闘面でも影が薄い…
あと、クリア後に隠しボスとかダンジョンが欲しかった。
その他
- ストーリーが進行するメインフェイス以外にも合間合間にスタンバイフェイスというのがあり、アジトで仲間と交流する事が出来る。
味方が増えるとアジトが狭くててゴチャゴチャしだすが、それが面白い。アジトを狭くしようと提案した人センスある。また、プレゼントを渡すとそれで遊んでくれたりするのでそこも面白い。
- スキットのようなシステムもあって、ストーリーの補完や仲間との交流ができる。
ただ、敵対してる時にも普通に呼び出されて喫茶店みたいな所で会話してるのは違和感が凄い。
- サブクエストはあるものの
ナビゲーションがほぼ機能してない
報酬がマジでゴミ
達成条件が本当にめんどくさい
とあまり良くない。トロフィー目的でもないと受けなくても良いと思う(一応、クリア後のサブクエは報酬美味しいが)
- イベントはほぼ紙芝居。
イベントシーンは長く、ムービーだと余計に時間がかかって辛そうなので紙芝居で良かった気もするが、動きのあるシーンを紙芝居でやられても迫力が足りず安っぽいのが明確な欠点。
ただ、初めて行く場所でもファストトラベル出来る快適さがあったのが良かった。
最後に
「バンナムだし」様子見をしている人も多いだろう。
その気持ちはとても分かる。バンナムが悪い。
ただ今現在震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃症候群に苦しんでいる人には是非処方したいゲームだ。唯一欠点があるとすれば中二病溢れる技の名前や秘奥義がないことだろう。そこは今度出る本家に期待したい所。
『スカーレットネクサス』は今季からアニメも放送開始する。なんとゲーム内で「アニメ連動企画的なやつもある(正直いらない)
バンナムRPGのアニメ化って某エターニアのトラウマがあるので僕は多分見ないと思うけど、これからも『スカーレットネクサス』は盛り上がっていくと思うので、オススメしたいゲームだ。
そしてまたJRPGが盛り上がってくれると嬉しい。さようなら、震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃症候群になってほしい。