「だってお前はまだ生きてるんだろ!!!」の絶叫セリフからミスチルの主題歌が「生きろ〜」って被せてくる予告CMを映画館で何度も何度も見せられ死にたくなった映画ファンを大量に生んだ作品。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」の絶叫と共に「絶望と復讐の連鎖ー」のテロップ流してくる邦画仕草、あまりにもTwitterにいるオタクを殺しに来ている。
ただ、安心して欲しい。
本編だと「蛇甘平原での信の初陣」がメインパートであり、このコロナ渦でどうやってここまで人を用意したんだ!?と驚く戦場アクションが内容の8割をしめている。
逆に言うと原作では蛇甘平原の後に描かれる羌瘣の過去編があることと、「お前はまだ生きてるんだろ!!!」の奮い立たせるオリジナルパートぐらいしかドラマ要素がない。見ていて魔法陣グルグルの ギップルが「クッサー!」と言いながら登場しそうなシーンは予告編が全てというか、合計で10分もないので予告CM見て死にたくなったオタクにこそ見て欲しい映画になっていると思う。
というかあの本編で感動全振りの予告作れる人凄いと思う。確かに馬での戦車隊で喜ぶ人より「お前はまだ生きてるんだろ!!!」のシーン見て興味出てくる人の方が多そうだもんな。そっちに向けて予告CM作るのも納得できる。
コロナ渦における撮影
2019年に中国でロケハンだけは済ましていたけど、コロナ渦の影響で中国でロケする事が出来なくなり、日本人スタッフですら中国に行けなくなってしまった。普通だったらコロナでイタリア撮影を諦めた実写版ハガレンのように街も機関車も含めて全編ほぼグリーンバックでの撮影で済ませる。しかし、キングダム2が凄いのは絵コンテを用意し、日本と中国でワンカットずつ仕分けしながら撮影し、合成という手法をとったこと。例えば100頭を超す馬によるダイナミックな馬術アクションシーンは中国で現地スタッフが撮影し、それを巨大なグリーンバックで合成させる。これが本当に凄くて違和感なく圧倒的なスケール感を出すことに成功している。邦画でもここまで出来るんだって感動する。
しかもパンフレットを読むとスタッフとエキストラ合わせて1000人以上参加しているのに、徹底的な検温消毒検査体制を構築し、病院とも提携。感染症対策を徹底的に行い、1年にもわたる撮影の中でコロナ感染者が0だったらしい。
ここまでの撮影や美術、CG、海外連携、そしてコロナ対策、クオリティコントロールが出来ているの「邦画の希望」と言っていいだろう。
そして本作の見どころの一つが馬である。
上記でも書いたように中国での100頭を超す集団で戦場を駆ける構図も凄いし、動いていない時の足踏みも身震いも全くしない馬さんもいい。
エンドロールに「ホースチーム」と「騎馬隊」がクレジットされてて馬のスペシャリストたちが多数参加しているのが分かる。
そして山崎賢人も実際に走っている馬に飛び乗ったり、ほとんど本人で撮影するという本格っぷりである。
明らか馬さんが何頭もピュ~と吹き飛んだり倒れたけどエンドロールで「この映画の製作に際し動物への危害は加えられていません」の文字あったので安心した。安心して欲しい。
細かな所
- 羌瘣のトーンタンタン描写、実写版るろうに剣心の宗次郎 のよる「縮地」みたいな動きだったけど、片足で少し飛ぶ所ですらワイヤーアクション地味に使っていて何度も何度もフワっと飛ぶ感じが見ていて恥ずかしくなってきてしまった。その後の殺陣は最高。
- 清野菜名さんの象姉の発音が「少年」にしか聞こえなくてオネショタものかなって思った人多そう
- 吉沢亮はずっと目力半端ない。
- 大沢たかおの王騎将軍は1に引き続き、ものすごい迫力と異色のオーラで出番は多くないものの、インパクトが凄い。長澤まさみの出番ないのは残念だけど、原作を不必要に変えれないから仕方ない。遠くでピンボケしていても長澤まさみとわかるシーンがあって笑った。
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本作のMVPは縛虎申だろう。開戦前に味方から特攻好きのイカれた将軍と噂されたりするし、かませ犬みたいな存在だと思ってしまうが、無謀な人物と思えた彼は命の大切さを誰よりも理解していて、命を懸けるべきタイミングを分かっていたのだと終盤分かる。これこそが「戦」であり「将軍」というモノ。反面、良い人ではあるが、無能感が強くなった壁との相対化が凄い。ただ己が強ければよいと思っていた信が、この戦いを通じてさらに内面的に成長し、自分が足りないモノを知る。その過程がよく描かれていた。
- 秦が魏に攻め込まれたから領地を奪い返すぞ!というストーリーで1つの合戦だけで終わるのだが、観客が飽きないように戦う場所やシチュエーションがテンポよく変わっていくため、見ていて飽きない。
- 信の「待たせたな」から始まり「待ってろよ」で終わる構図が綺麗。
最後に
エンドクレジット後の映像は『キングダム3』の発表。
監督曰く4までは制作が決定していてそのあとは興行収入次第らしい。
現在コミックスは65巻まで出ているキングダムだが、個人的には一番面白かった所が1から合従軍侵攻編ぐらいだったので、そこ実写でやってくれるのは大変有難いし、この座組なら名作が確定しているといって過言ではない。しかし、3ではみんな大好き王騎に辛いことが起こりそうだ。
最後に
最後に出てきた渕さんが原作まんまで笑った