どうしてこうなった2022年大賞
左の2人がビリー、右の2人が主人公ジェイド
©︎Netflix
3以降「世界一金をかけた嫁自慢映像」になってしまったポール版バイオや、youtubeでゲームのムービー集詰め合わせを見ているかのような気持ちになった映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ 』など実写映像化に力入れているけど、酷評酷評で終わってしまっているバイオハザード。
それでもアンブレラ社のように諦めないカプコンが次に手掛けるのはNetflixオリジナルのドラマとして配信され、ゲームシリーズの有名なヴィランであるアルバート・ウェスカーに焦点が当てられる。
『スーパーナチュラル』の製作・脚本を手がけたアンドリュー・ダブが指揮を取った本作。
アルバート・ウェスカーとその双子の娘であるビリーとジェイドが、ニューラクーンシティへ引っ越したところから物語が始まる2022年。それからT-ウィルスによるパンデミックが起きた14年後2036年のディストピアが交互に描かれていく。シーズン1は全8話構成。
アンドリュー・ダブは、「ゲームはドラマのバックストーリーです。ゲームの中で起こることはすべてこの世界にも存在しているんです」と過去に説明しており本作が正史であることを示唆している。更にシリーズが続けば最新作の『ヴィレッジ』にも関わるという。
「ゲームを知っていれば、ウェスカーが死んでいることはご存知でしょう。彼は火山の中で、ロケットランチャーで吹き飛ばされましたから」と、2009年が時代背景の『バイオハザード5』でウェスカーが死亡していることも把握していた。
なぜウェスカーが2022年でも生きているのか?どう活躍するのか?シリーズファンもワクワクでネトフリ版実写ドラマ『バイオハザード』を見る訳だが
©︎Netflix
まず画面に出てくるウェスカーが黒人(ランス・レディック)になっていて
「だれだれだれ」の困惑で頭が一杯になってしまう。
ウェスカーといえば「THE・白人」「有害な男らしさの極み」みたいなキャラ造形である。
これが二次創作やドラマオリジナルストーリーなら性別や人種の変更なんてよくあるので気にならないが、わざわざ監督が「これは正史」と示唆する物語で思いっきり人種変えることなんてある!?
しかし、最後まで見ないで決めつけるのはよくない。
『バイオハザード5』で死んでいるハズのウェスカーがなぜ生きているのか?と同様になぜウェスカーがなぜ黒人になっているのか?という疑問にも「答」が用意されているのかもしれない。
そんな希望を胸に最後まで見ることにした。
主人公ジェイドの愚かさにイライラしてしまい、何度も何度も心が折れそうになりながら、次回こそは面白くなる、次回こそは...と願いながら最終回まで見たけれども、全く面白くもならないし、何なら後半になるにつれ更に面白くなくなっていったのを見守りながら完走した。
そして分かった。
ウェスカーが黒人になった理由は特にないことに。
死んだハズのウェスカーが生きていた理由は分かった。本作に出てくるウェスカーは実はクローンなのだ。オリジナルのウェスカーも回想として出てくるが、それはただのブレイドのコスプレをしたランス・レディックである。オリジナルの時点で黒人。
クローンと分かった時点で「もしかして遺伝子操作とかで黒人になった!?」と思わせておいてからのオリジナルを登場させることでその希望を打ち壊す二段構え。
それはそれとしてマルチバースでMCU版『ブレイド』にランス・レディックが登場して欲しい気持ちになる。
黒人になった理由はシーズン2があったらもしかしたら判明するかもしれないが、本作は評論家及び視聴者から滅茶苦茶酷評なので、今のネトフリならほぼ間違いなく打ち切るので続編はないよ。謎は謎のままである。
ここが酷いよ!ネトフリ版実写ドラマ『バイオハザード』
- 相変わらずのアンブレラ
本作の時系列はラクーンシティ消滅後の、株価が滅茶苦茶下がっていて大ピンチのアンブレラ社が「ジョイ」という飲むと鬱がなくなり元気になるという新薬で一発逆転を目指すというストーリーだが、その「ジョイ」にはT-ウィルスも関係している時点でもうダメそう。
- ガバガバセキュリティのアンブレラ
1話でウェスカーの娘であり、ヴィーガンで動物実験反対派であるビリーがジェイドと共に動物実験をしているアンブレラ社に侵入するのだが、ウェスカーが設定しているパスワードが私用と仕事用で同じ為、娘たちに破られるガバガバセキュリティ意識と。アンブレラ社の重要研究施設のハズなのにウェスカーのボイス録音さえあれば中に入れてしまうセキュリティのザルさ。重要施設なのに中に監視カメラもなくどこへでも簡単に行けてしまうザルさ。警備員は新人という都合の良い言い訳。お前らラクーンシティの悲劇から何も学んでないな!?そろそろ警備に金かけるべき。
- 主人公ジェイド
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本作最大のストレス要素はゾンビやアンブレラ社の面々ではなく、主人公のジェイドだろう。冒頭いきなり自分のミスで血を流しゾンビ達に追いかけられる時点で気づくべきだった。本作のトラブルメーカーは主人公ジェイドだといっているのだ(しかもこのシーン、大量のゾンビがいるのにジェイドに近づくと一体ずつしか襲い掛かって来ない都合の良さで本作のリアリティレベルを教えてくれてる)
本作の基本的な流れはジェイドがゾンビやアンブレラ社に襲われてピンチになる→誰かが助けてくれる→助けてくれた人や集団を深掘りすることなく速攻で死んだり崩壊したり見捨てたりして次の場所へを繰り返していく。
特に終盤、仲間との約束を破ってゾンビを仲間達がいる船に連れてきて、アクシデントで仲間が食い殺される展開とか、そのシーンの必要性がないのもあってただジェイドの、黒人女性の好感度を下げようと製作陣が企てているようにしか思えない。しかもアンブレラ社に発信機をつけられていたせいで仲間達全員をピンチに招く展開。更にアンブレラ社に襲われてヤバいから娘に船から降りるように言ったのに自分は船に乗り込んで丘に巨大ワニを放って自分の娘が襲われるというクソみたいなクライマックスの展開。
馬鹿が話を悪化の方へ転がしていくのホラー映画の鉄板とはいえ、それは冒頭で死ぬキャラや無惨に死ぬキャラだからヘイトが集まらない訳で主人公でやるべきじゃない。
それに反比例してアンブレラ社からの刺客である「おデブちゃん」などウェスカー姉妹の周りにいるキャラは魅力的なのに使い捨てでドンドン死んでいく。あのおデブちゃんの外伝が見たい。
- 成長して人種が変わる
子供の時はビリーアイリッシュみたいな見た目をしているビリーだが、成長すると韓国寄りの東アジア人顔になるビリー。
それもそのハズで子供時代を演じているシエナ・アグドンはフィリピン人とヨーロッパ系のハーフだが成長すると韓国とヨーロッパ系のハーフであるアデライン・ルドルフが演じることになる。つまり東南アジア系から東アジア系になるので我々日本人からしたら違和感しかないが、欧米からしたら一緒なのだろう。
ウェスカーの黒人化やビリーの人種変更など、製作陣は生き物を生き物として以外に区別つかないゾンビ目線で本作を作ったのかもしれないが……
- 時系列がコロコロ変わる
本作最大の特徴は2022年と2036年、つまり過去と現代が交互に入れ替わりながら展開していく点だ。しかし、そのせいで圧倒的にテンポが悪く、かといって交互で変わることで視聴者がアッと驚くようなシナジーも皆無である、皆無なのである。普通こういう手法をとるならミスリードを巧みに利用しつつ、最後はパズルが組み上がった時の満足感にも似た爽快感を得られるようにするのだが、そういうのは一切ない。ただただ過去と現代が5分おきぐらいに変わるだけ。ここから盛り上がるぞ!ってタイミングで切り替わるので冷めてしまう。
- チラチラ映るだけのタイラント
- 最後の巨大ワニ戦と安心安全の墜落するヘリコプター。
- 全体的に稚拙
ネトフリ版バイオハザード、ネット環境ないのにビデオ通話しているシーンあって、海外ファンからアンブレラの技術力を褒めたたえられてるな pic.twitter.com/TByOOJEMDp
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2022年7月17日
最後に
vsゾンビが基本的なストーリーになると思ってたらvsアンブレラ社(人間)だった。そのガッカリ感。
というか人種を気にするなら『バイオハザードアウトブレイク』を映画化すればいいんじゃないか。脚本はすでにあるんだし。アウトブレイクには多様なキャストが揃っている。
あと、ポール版バイオの影響なんだろうけど、バイオの映像化ってどうしてもラクーンシティ崩壊など規模が大きくなりすぎる。不気味な屋敷に閉じ込められての脱出劇だけでも十分作品が作れると思うんだよな。ホラー要素強めにして。ゲームでは原点回帰でホラー要素強くなって成功したんだから、実写映画も同じようになって欲しい。
シーズン2は恐らくないので「日本の秋葉原にいるエイダ・ウォンに会え」というクリフハンガーで終わってしまうし、見るのにオススメしない本作だけど、最後の巨大ワニだけ本当に「デカ過ぎるだろ!!!」となるのでそこだけでも見て欲しい。
まぁバイオハザードだとは思わずちょっとバイオ要素パクったB級ゾンビドラマだと思えば楽しめるかもしれない。
しかし、マジでネトフリ実写版の幽遊白書とかワンピースの出来も心配になってしまうな…