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原作を5話までしか読んでない人の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』感想

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を鑑賞するにあたって、原作を無料期間中に5話まで読んで知っている手持ちのカード

  • 影山の(高い運動能力、反射、自分の身体を操るセンス、そして勝利への執着、それらを持っていながら)を内心で思いながら「お前は3年間何やってたんだ!?」を口に出しちゃったりする、人間関係クソ下手くそからくる言葉足らずなコミュニケーション能力
  • 影山は将来闇落ちしそうな陰のある天才クールタイプだと思ってたけど先輩に「日向と協力するなら1人でバレーしたい」と本音を言って日向から「お前何なの?実はバカなの?」と言われたりセッターやりたい理由が「支配者っぽくて1番かっこいいから」なの、ストレートな熱量持つバレー馬鹿の子という真実
  • 日向はチビだけど運動能力が馬鹿高いし、ボールに対する執念が凄いこと
  • 日向の中学の友達の泉君と関向君、他のクラブに入っているのに練習はちょくちょく手伝ってくれるし助っ人としてバレー部の試合出てくれるし、何より影山が日向に酷い事(誤解)を言ったら日向の代わりに怒ってくれるし、友達想いのめっちゃ良い子達ということ
  • 中学生時代、影山は日向の「最強の敵」だったが、同じチームになったことで「最強の味方」になる可能性
  • 烏野には美人のマネージャーがいる
  • 菅原さんは性格は温厚で後輩の面倒も性格もよく察しも良くこんな先輩が欲しかった2024年NO1
  • 田中先輩は熱くて良い先輩。ただ、NTRモノでネトリ役やりそうな顔してて苦手
  • バレーボール男子世界ランク1位ブラジル代表チーム、ベルナルド・レゼンデ監督
  • ツッキーは性格悪い

 

この10枚しかない。

これでハイキュー終盤の試合、多分『スラムダンク』でいうところの山王戦みたいな試合を見るのは不安は残る。

また、僕にバレーの知識があればよいのだが、全くない。『高校生家族』で知った年齢が高すぎる人はバレーの高校生大会に本来は参加できないって事ぐらい。

バレーの唯一の思い出は昨年、人生初めての合コンに参加したら女性陣が日本男子バレーボールファンで、その日はバレーの試合の日で、合コン会場が大きなテレビある所だったから、女性はテレビに釘付けで日本が点を入れるたびに発狂して隣に座ってる僕を思いっきり殴ってくる奇行を初めてパリオリンピック出場決定の瞬間僕の背中を思いっきり殴って思いっきり吐いた思い出しかない。

 

そんな僕が今回、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を観た

 

 

 

 

 

良かった…

 

 

 

 

 

滅茶苦茶良かった…

 

 

 

 

永遠に見ていたい試合。永遠に見ていたいのに終わりがある試合。一生続いて欲しいラリー。

最高 ありがとう また見たい。

エンドロール中、満員の劇場、四方八方から聞こえてくるすすり泣き。声を殺して静かに泣く行為のハズが重なり合いまるで合唱かのように聞こえるの初めて経験した…

 

ここからはネタバレありで書いていきたい。

 

 

ハイキュー初見でも問題なし、お前はいますぐ劇場へ行け

コナン映画みたいに冒頭で日向が「これまでのハイキュー」みたいなコーナーは一切ない。ただ、烏野高校と音駒高校のスタメン選手の顔と名前は教えてくれるし、何より本作のメインぽい日向と研磨の関係性はその出会いから描いてくれるので「なるほどねこの2人がライバルなんだな、これまでも戦ってきた2校なんだな」と最低限の描写で大まかな本作の枠組みがスッと入ってくる。バレーのルール分からなくても1つ1つにリアクションがあるので「あっ、何かよくわからないけどカッコええフォーメーション決めてる」「なんか点が入った」ぐらいの認識でも楽しい。あと景気よく点数がポンポン入っていくのも良い。

あとはもう、凄いクオリティで描かれるアニメーションの気持ちよさと共に白熱のバレーの試合を観るという体験だけでも、滅茶苦茶面白い。

 

 

本作を観て何よりビックリしたの、烏野、そして日向の敵である研磨と黒尾目線の描写が多いこと。

普通、「日向たちが強敵相手にどう戦うのか」そういう試合運びで展開していくじゃん。いや、本作でも研磨の策略に日向が本来の動きが出来なくてそれをどう攻略していくかっていう展開は勿論あるんだけども、それを踏まえても研磨達の物語にもなっていて、それ故に「敗者の物語」になっているのが好みど真ん中で良いなって。

「試合」なので勝者と敗者が必ず出てくるのだけども、敗者だからって今までの過程に意味がなかったという事では決してなく。彼らがバレーに注ぎ込んだ情熱や想いや練習や友情や後悔や青春、それら全てを肯定してくれる。そんな映画になってると思うんです。

 

 

だからこそ、烏野高校のメンバーだけじゃく、音駒高校のメンバーも好きになる。特に黒尾。本作観て黒尾好きにならない人いるーーーーー!?

 

黒尾に誘われてバレーを始めた研磨。ゲーム好きで体育会系の中では異質っぽい雰囲気なのにあそこまでチームメイトと馴染んでいるの、黒尾が受け入れられるように土俵を作ったのが分かるし、彼がどれだけ研磨の事を気にかけていたのかって思う。僕も隠キャだけど中学時代テニス部に入って上下関係などで精神病みそうになった。個人競技ですらそうなのだから、バレーボールなんて団体競技だと特にである。

黒尾はライバル校のツッキーにも色々アドバイスしている描写もあったし、子供の頃からバレーの楽しさに夢中だった黒尾は才能はあるけどどこまでバレーが好きなのか分からない人に「バレーは面白い」と思ってもらえるように色々努力してきたのが分かる。それ故にツッキーに「極、たまに面白いです」と言ってもらったり、研磨の「たのしい」を引き出して絶叫する日向とそれをみて感慨深そうにしてる黒尾の構図の良さね。「間違いじゃなかった」と絶対に報われているじゃん。

試合には負けたけど「バレーの楽しさを知った」という肯定。「バレーの楽しさを知ってもらった」という肯定。様々な肯定があって。試合の勝敗が全てというそんな貧相な価値観じゃないあらゆる良さが詰まった試合。

 

 

 

そして登場人物みんな良い子だし、関係も良好でビックリする。

 

味方は元不良軍団で口が悪かったり、チーム内は良好でも相手チームとはバリバリで殺すか殺されるか、スポーツというルールがないとほぼ喧嘩みたいな試合で汚い言葉が行き交う試合と思いきや、お互いに切磋琢磨し、相手が良いプレイしたなら悔しさもありつつも「かっこいいー!」と言い、何なら回想で相手チームに助言して強化するのを手伝ったりする描写があるの、凄いなってなる。「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…勝つのが好きなんだよォォッ!」とは真逆の考え方。

バレーの試合って考えると、繋ぐ競技で、その繋ぐ相手は仲間だけじゃなくて、相手がいないとプレー出来ないっていう当たり前の話だった。独りだと何も出来ない。中学生時代の日向が望んでいたバレーの試合とは繋ぐこと。繋ぎ続けること。

 

みんなバレーが大好きで、最高の仲間と、最高のライバルと、最高の試合を、いつまでもプレイし合いたいという欲望に忠実で、バレーという競技を心の底から楽しんでいるのが本当に最高!!!!

 

細かな所

 

  • まずはツッキーの話していいですか?良い?ありがとう。僕が知っているツッキーは煽るのが好きで、バレーは「たかが部活」とやる気もなさそうで、無駄に熱いのが嫌いという、5話までで1番共感できる登場人物だった。そこから顔の良ささとスタイルの良さと身長と運動能力と筋肉とバレーに対する想いと努力の継続能力を差し引いて卑屈さを足したらほぼ僕です。基本的にハイキューの登場人物って初登場からあまり変わってないイメージあるけど、そんなツッキーが黒尾達と一緒に練習して(他校の選手とそんな事あるの!?)煽り癖は変わらず、性格の悪さも多分変わっておらず、でも今バレーに熱くなり、楽しそうにプレイしているの、ズルい。5話以降で一体なにがあったんだ…。
  • ツッキーの金魚の糞みたいなポジションだと思ってた山口くんがなんかやたらサーブで活躍しているのに驚く…。お前…月島さんの舎弟として動くけど、月島さんが影山に負けて幻滅してバレーやめてフェードアウトするとばかり思っていた…それでツッキーが覚醒するイベになるとばかり。
  • 菅原さんなんか性格変わってない…?なんか頭打った?それとも双子の弟…?
  • 烏野に知らんちょんまげおっさんとキクイタダキがおる
  • 音駒に田中の2Pカラーみたいなのおらん?
  • 音駒に弱虫ペダルに出てきそうな奴おらん?
  • 音駒の負けを望んでいたカップルあれなに…?
  • ちょくちょく映るブツブツ言う怪しい女は一体何なんだ…コワ…
  • 烏野の応援団長みたいな女性好き
  • 影山と日向の互いに信頼だけがある関係性好き。影山は言葉によるコミュニケーションは苦手だけども、プレーで悠然と語るの好きだし、それに応える日向も好き
  • というか、ハイキューのアニメを初めてしっかり見たけど、声優が漫画で読んだ通の声出しててビックリする。日向は日向の声だし、影山は影山の声出し、研磨は研磨の声出し、黒尾は黒尾の声なんだけども、中村悠一ってだけで少し笑っちゃった。
  • 次の試合あるんだ…?次の相手はアレか?日向が子供の頃テレビで見てた小さな巨人本人か、その子孫ってパターンだな。

 

 

最後に

最後、ラリーが続いたことにより汗がついたボール。全員、全員が最高のプレーをして、長く長く長く続いたラリー。その中で、この全員の汗のついたボールは誰かの手で滑るのは当然だったのではないか。それがたまたま研磨で、烏野の25点目だった。最後、誰も研磨を責める人がいないのも良い。拾ったって意味ないのにみんなボールに手を伸ばしていたのが良い。

黒尾たちの高校バレーは終わり、研磨たちの高校バレーは続く。

コート上の殆どの選手は敗者になる。それでも彼らはバレーを続けていく。バレーに懸けた全てを出して、それが青春って言われたら、青春って最高じゃん!と言わざるを得ない。

 

とりあえず僕は5話以降を読もうと思います。