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【ネタバレ】映画『マダム・ウェブ』感想。マーベル初の本格ミステリー・サスペンス(本格ミステリー・サスペンス要素はない)

登場人物をピンチにさせる為に愚かな行動を繰り返すのやめよう

 

映画『マダム・ウェブ』が悪い意味で話題沸騰中だ。

きっかけはアグリゲーションサイト、ロッテントマト で13%(2月23日現在)と評論家から受けが悪かったことだ。まぁただ大事なのはオーディエンスの点数である。個人的には単純明快な娯楽作なら批評家レビューはアテにならない事が多い。では『マダム・ウェブ』のオーディエンススコアというと、56%(2月23日現在)とこちらも低い。これはホンモノである。そして興行収入もコケたコケたと笑いモノにされた『モービウス』の半分以下と滅茶苦茶コケている。多分、続編ない。

 

この場合、感想を書くにあたって大きく分けて2パターンに別れることが多い。

・「思ってたよりか悪くなかった」や「ハードル下げたおかげで楽しめた」のように出来が悪いのは一部認めつつ「好き」という感情で擁護派につく。例)賛否両論あるだろうけど大好物です。刺さる人には刺さります。例2)酷評の理由もわかるけど自分は好き。確かに○○などうまくいってない、それでも楽しめた。何故なら~~から始まり、〆は「批評家だからといってあてにならない。大切なのは自分自身がどう感じたか」と書いておけば「作品の出来の悪さを見逃すほど節穴じゃないけどもそれを含めて楽しめる自分」をアピールしつつ文章も綺麗に締まる。オススメ。

・流れに便乗して滅茶苦茶叩く。(賛が多い作品は反発も大きいけど、こういう公開前から厭な流れのある作品は滅茶苦茶叩かれるのを期待する層も大きい)

 

 

どっちにしろ、文章の縦軸がハッキリして書きやすい。

それで、僕はどっちのパターンで今回、ブログを書くかと言うと…

 

 

 

 

 

悩む。

 

いや、面白くはないし、好き度合いも多分来月には「そんな映画もあったな~~」になってるぐらいの気持ちの入れようである。ただ、滅茶苦茶叩こうと思うと肉の筋が歯の間に挟まって喋り辛くなる感じ。60点。

そもそもSSUの狙いが分からない。MCUは映画やドラマで1大クロスオーバー企画をやりたいのが分かるし、DCEUはMCUのマネしたいのが分かる。モンスターユニバースもクロスオーバーしつつゴジラとコングの2大巨頭を戦わせたり共闘させたりしたいのが分かる。

じゃ、SSUは?と言われると「?」となる。ユニバースモノってどうしても1作1作は当たり外れある出来でも、最終的にそれを含めて報われると信じて映画館に行くと思うんです。

それなのにSSUはひたすらスパイダーマンのサブキャラ映画量産してどうする気なのか全然分からない。最終的にアッセンブルする気あるのか全然分からない。スパイダーマンのネームバリュー利用して集金しているようにしか見えず、60点ぐらいの映画を映画館で観て追いついていく必要あるのかって思っちゃう。そりゃ、興行収入も苦戦する。

 

 

本作も確かにクソガキ3人がワチャワチャしているのを観るのは楽しいし、居場所がなかったクソガキ3人と主人公が家族になるのも好き。

キャッチコピーの【マーベル初の本格ミステリー・サスペンス】が完全な嘘というか、本作観て「これはミステリー・サスペンスで売り込もう!」となった経緯を知りたいのは日本の広告が阿呆なだけだから良いとして(良くはない)

予告などで流れたクソガキ3人がコスチューム着て戦うの全部予知夢のみで本編に登場しないのはガッカリだし、3人の活躍らしい活躍は最後に主人公を助けるだけ。クソガキの1人がテコンドーやってるみたいな会話あったから活かされるのかなと思いきや全くない。持っているスケボーに思い入れありそうだったのに破壊された後もその会話はない。3人それぞれの個性が発揮される訳でもないし、3人も必要だったか?合成させて1人で良かったろと思っちゃう。

 

いや、狙いは分かる、シスターフッドを描くにあたってそれぞれに背景を抱える女性たちが連帯すれば、ドラマや個性が作品に深みを与える。しかし、本作では、主人公キャシーがヒーローとなるまでのオリジンを描き、スパイダーマンファンに向けて小ネタを用意し、ヴィランを描き、3人のクソガキの背景と打ち解けるまでのドラマを描く。欲張りセットなのよ。映画よりドラマの方が良かったのでは?と思う。

 

そして、敵が監視カメラなどを掌握していて主人公たちを見つけ追い詰めるというよくあるシチュエーションなのだが、大体敵に居場所がバレる原因がクソガキ3人の行動からなので「ちゃんとしよう!」ってなる。

最終的に味方の家に引きこもる作戦で1週間ぐらい時間を稼ぐことが出来たが、このままだと物語が動かないので、「どうやって外に出すのか」が大事になってくる。本作はどうしたか。同居している妊婦さんが予定より早く子供生まれそう!→なぜか出産に立ち会おう外に出る3人。敵に見つかる。いや、ベンおじに託してお前らは大人しく家におれよ!!!となる。

 

そこまでやって守り通したのに最後まで見てもクソガキ3人がどうやって覚醒したのか本作だけだと不明なのどういうこと!?

やりたいテーマに振り回され過ぎて出来たモノが散漫になるの、作品あるある。

 

そして本作のおもしれー女こと、主人公のキャシー。言うこと聞かない思春期のクソガキ共を守るために必死なのは分かるが、行動が大胆過ぎて面白いのが本作の良い所だろう。車は盗むし、建物は車でバンバン壊す。クソガキ3人を助ける為だったらモブはどれだけ死んでも良いという覚悟ガンギマリなので、助けに来たヘリコプターの操縦者など巻き込まれて死んでるモブが何人もいるけど気にしない。怖い。

 

沢山お金払ってもらって喜んでいたおじさんのタクシーを奪うのはハリウッド映画あるあるなので良いとして、盗んだタクシーいつまで乗っとるねん。とじわじわ面白くなってくる。ペルーから帰って来てもそのタクシー乗ってたの、どこに隠してたんだ…。というか犯人だけでなく警察にも追われているあの絶賛逃亡中のタイミングでペルー行くの、前代未聞では…。

 

 

そもそも防犯カメラや目撃者もいた地下鉄騒動で顔バレしてないの凄いな…。2003年のニューヨークは警察がザルという結論。

そして、最後。何で視力がなくなり足歩けなくなったんだ…。

 

 

本作を語る上でヴィランであるエゼキエル・シムズも忘れてはいけない。

コミックだとスパイダーマン達を育てたりする師匠的なキャラなのだが、こんな扱いである。カーネイジといい、こんな重要なキャラを簡単に処理していいのかSSU。

本作のエゼキエル・シムズの行動原理は死なない事。予知夢で死ぬ夢を見てしまうので、死なない為に滅茶苦茶頑張っている。上記でも書いたように監視カメラを掌握するのだが、入手の仕方がまず頑張っている。

システムが入ったUSBを持つ偉い立場の女性をナンパし、1夜を共にした後に鞄に入ったUSBを奪いパスワードを毒で脅しつつ聞き出すというもの。まず、そんな貴重なシステムをUSBで持ち出しているのも凄いし、そんな状態でナンパされ1夜を楽しんでいるのもセキュリティ意識ガバガバで凄い。僕も社内PC家に持ち帰ることあるけど、万が一考えて呑み屋すらいかず真っすぐに家に帰りますからね。

 

そして、将来自分を殺すだろうクソガキ3人を追い詰めるのも現場は1人で走り回って頑張っている。金持ちなんだから殺し屋雇うとかそんな事は全くしない現場主義のかがみ。

エゼキエル・シムズ自身は超人的な能力があったり、触った相手をジワジワ毒状態にしたり、自分の死ぬ様子だけ未来視があったりするのだが、どれもこれも微妙な能力。

ただ、場を盛り上げるのは得意である。初登場の地下鉄では天井や床下を這って警備員を次々掴んで引っ張っていくのだが、メインキャラは誰一人掴まないという、お決りはちゃんと守るヴィランである。

 

 

最後に

良い所と悪い所を半々ぐらいで書くか~~って思ってたけど9割ぐらい文句になってすまん。書き出したら止まらなかった。凄い。まぁ意外と楽しめたっていう人でも粗は滅茶苦茶あるので「なんだコレ!」って色々言いたくなる映画なのは間違いない。

 

試写会とかあって「悪くないけど〜」的なテンションの映画は大体悪い出来。

今回のブログで伝えたかったことはそれだけです。最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。