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【たつき、けもフレ2騒動】アニメを「他人を叩く棒」にする鑑賞スタイルの是非【ハグプリ】

今のオタク総ツイッター時代、恐らくこの記事を読んでいるあなたもツイッターをやっていると思うが、アニメや漫画、映画などの鑑賞の前にツイッターを覗いてしまって、ツイッターの情報と感情の津波自分自身も呑まれてしまった経験はないだろうか。

特に荒れがちな作品は擁護側も批判側も声が大きな人が多いのでその作品を観る前にツイッターを見てしまうと、もう素直な気持ちで作品を向かい合うことは限りなく難しくなってしまう。

なぜこんな事が起きてしまうのか。ネットでは信者とアンチと呼ばれる二極化が目立ち、彼らの大きな声が否応なく私たちまで届いてしまうからである。

そう、彼らは自分と作品が向かい合うのではなく、その作品を通り越して他人と殴り合ったり、自己主張するのが目的の鑑賞の仕方をしている。

ここでは具体的にこういった鑑賞のスタイルなどを紹介していく。

 

 

 

 

 

けもフレ2』からみる鑑賞スタイル

乗ってけ! ジャパリビート (通常盤)

 

皆さんご存じ『けものフレンズ2』(以下けもフレ2)は前作の大人気アニメ『けものフレンズ』(以下けもフレ)からの正式な続編である。ただ、前作のヒットの立役者であるたつき監督の降板やKADOKAWAの噂など色々ゴタゴタがあった事もあり、けもフレ2の発表当時からネットは荒れに荒れていた。

 

まず、今の時代にこういう荒れ方をした作品は例え面白くても正当な評価を得るのは時間がかかる。

一度叩いてもよいという雰囲気が蔓延すると、どこまでも残酷になるのがネットである。ツイッターなどのSNSでも市民権を得たかのように声大きく叩いてくるオタクは増えるし、ニコニコ生放送などの放映後アンケートでも「よくなかった」を投票するのに躊躇がなくなるものである。

 

ただ、そういう叩きの声が大きくなればなるほど、それに対抗する勢力が現れる。

逆張り勢」と言われる勢力である。

これは人気作品であったり、所謂覇権と呼ばれる作品、オタク達がネットでも盛り上がっている作品に対して、俺はそうでもないよという自己主張であり、自分の好きな作品には基本大らかなのに、逆張りした作品に対しては滅茶苦茶細かな所まで難癖つけてきたり、盛り上がっているオタク達に聞いてもいないのに大きな声で強い言葉で説教してくる勢力のことである。

この勢力はツイッターというより2chなど掲示板黄金時代によく見たが、ツイッターが特殊なのは「個」として存在し、「アカウント毎に影響力が違う」「仲良しグループが存在する事」だと思うし、また「RT数」という分かりやすい自己顕示欲を満たす数字もあり、オタク総ツイッタラー時代において、他者とは違う自分を演出するのに逆張りは最適とも言える。

まずはなぜオタクはすぐ逆張りしてしまうのかという事について整理したい。

 

1他のオタクに対してマウントを取りたい

 ネットをストレスなく過ごそうと思うなら、流行にのるのが安易な手段だ。ただ、そんな周りが盛り上がれば盛り上がる程、オタクを冷ややかな目でみたり、俺はそんな奴らとは違うという選民意識をもったり、コレの良さが分かっている、流行に流されずに皮肉言っちゃう俺アピール欲を持ちたくなってくるものである。また、人気になればなるほどバカなオタクも目立つ様になり、そのオタクに対する嫌悪感から作品自体に嫌悪感持つパターンも珍しくない。つまり、「その作品のファンが嫌いだからその作品も嫌いになる」のパターンだ(ここまでくると制作側ではどうしようもない)

 

2何らかの新しい事を発見、そして言及したい

オタクがアニメであったり漫画であったり何なりに対しての知識欲を全員持っているし、それで得られた知識を利用して様々な自分の解釈を他人に見てほしいし、共感してほしいという気持ちがある。自分なりの解釈が得られたとき、それは本当に気持ちがいいことであり、さらに認められるのであればなお良い。

一度叩かれ始めた作品は結構な理不尽事でも叩かれるものであり、その理不尽な所をカバーしてあげると多くの人から共感の声を頂けるので一から作品の解釈を考えるより楽に気持ち良くなりやすいという利点がある。

 

3便乗する逆張り

ツイッターなど「個」が存在するネットで特に顕著だが、逆張りするオタクは逆張りオタクと仲良くなるものだし、その横のつながりは月日が経つほど太くなる。さらにフォロワー数や、現実社会での立ち位置、普段からの影響力で仲良しグループ間でも目に見えない上下関係のようなモノが出来ることもあるし、そこまでいかなくてもあの人はタダモノではないという要チェック対象になることがある。その中である人が大きな声で人気作品叩きだしたら、「俺もそれに便乗しようか」や「確かにそれは言えてるかも、俺も便乗しようか」など金魚の糞になるオタクも出てくる。ここまで来るともはや逆張りでないのでは!?という疑問は生じ、また、一人だけで先走って逆張りして今まで仲間だと思ってたメンバーから白い目で見られる事を恐れて他の人が逆張りするまで待って便乗するパターンもある。

 

で『けもフレ2』に話は戻るが、まず多くの逆張り勢が『けもフレ2』開始前に思った事が「調子にのっているたつき監督信者を叩きたいから『けもフレ2」面白くあってくれ~」である。

オタクなので制作陣への他力本願になってしまうのは仕方ない。

実際『けもフレ2』自体の出来はどうなのだろうか。まだ完結していないので何とも言えない事は多いが、個人的には第2話以外はまぁまぁ普通だと思う。今の所別に傑作というわけではない。

このようにイマイチ逆張り勢の思い通りにはいかなかったが、「けもフレ2面白くない!」という主張に対して「そもそもけもフレ自体そんなに面白くなかった」という過去作を持ち出してのどっちもどっち理論がある。

ここまでくるとただの泥沼戦である。

 

色々書いてきたが、『けもフレ2』を叩いている層も擁護している層も作品自体はどうでもいい事に気付く。

批難している人達はたつき監督を追い出した、巨悪の権化だと思っているカドカワけもフレ2の制作陣に対しての嫌悪感であったり、ネットのお祭り感、長いものに巻かれろの精神で「叩いてやる」という気持ちでアニメを観て、「ここ糞!」「ココ最悪!」とインターネットの中で仲間達と作品を叩く正義感に支配されており、「けもフレ2」を観ているのではなく、その後ろにいるカドカワけもフレ2の制作陣しか観ていないし、作品自体はそれらを叩くための棒に過ぎない。

逆張り勢は逆張り勢でけもフレ2自体は他のオタクにマウントとるための道具だったり、自分の解釈を気持ちよくするための棒に過ぎない。

まだ、逆張り勢というのはオタクを叩きたいのであって作品自体が好きではない所もあり、必要以上の強い言葉を使ってオタクを叩く事で反発が生まれ今迄以上に作品が焦土化する事も珍しくないのでファンには辛い所だ。

このような作品を飛び越した空中戦は最近、他にもあったそうHUGっと!プリキュア』(以下ハグプリ)である。

 

 

HUGっと!プリキュア』からみる鑑賞スタイル

HUGっと! プリキュア キャラクターシングル

ハグプリはプリキュアシリーズの一つとして放送されていた作品であり、テーマが「子育て」という事もあり、ジェンダーやポリコレなどを深く意識した作品になっている。

男の子でもプリキュアになったり、最終回では主人公が実際に子供を産んだりしたが、確かにやりたいテーマが先走り、話自体は中盤以降は結構な雑な感じになっていってしまったので残念な感じにもなった。それでもこのタイミングでこのようなテーマの作品を作ったのは偉いと思うし、尊重されていいと思うがテーマがテーマだけにハグプリを声大きく褒め出す人達が出てきた。それだけならいいが、あろう事か他作品持ち出してハグプリと比べて雑に叩き出した人が出てきたのだ。

 

そうなると雑に叩かれたファンは怒るし、そんな雑叩きする人達が褒めるハグプリに対して嫌悪感を持つ人が増える。

また、先ほど述べたような逆張り勢も加わり、ネットでは熱い空中戦が起きた。

叩く常套句は「しゃらくさい」だ。

ただ、正直女児向けアニメに向かっておっさんであるオタクがあれこれ難癖つける図は一体どうなんだという事はここでは置いておく。

 

そして、タダ褒めるというのも技術がいるモノである。ネット、特にツイッターだと基本的に貶す行為は敵を生みやすいので、雑に褒めがちだが雑に褒めれば褒めるほど、反感が生まれ、アンチは増えるモノである。ハグプリも同様にそのテーマが取り上げられ多くの人から持ち上げられると、どうしても雑に褒める層は出てくるモノである。また、ハグプリを他作品を叩く道具にする人など色々な人が出てくる。これはもう人気作品の宿命だとも言えるし、ファン(ファンではない層かも知れない)が作品を終わらせるとも言える。

ただ、作品を通りこしてのインターネットでの空中戦は長期間及んだこともあり、困憊した人も多いと思う。基本的にネットが荒れると本当に辛いのはその作品の純粋なファンだ。

 

 

最後に

ここまで長々と書いてきたが逆張り含めてこういう鑑賞スタイルは昔からあったし、ツイッター特有のものではない。ただ、掲示板などど違い、ツイッターはスレットとかで分かれていないので、話題作の話はどうしても見たくなくても見る事になってしまうし、影響されてしまう。自己防御が難しいツールであるのは間違いないと思う。

そういう波に呑まれない解決策があるのかと言えば、ツイッターだとミュート機能を利用するとかそういう自衛するしかないが、完璧ではない。

意外と俺は波に呑まれず、フラットな気持ちで作品を見ているとか言っている人が端からみたら呑まれきっている光景を何度もみてきたし、そもそも他人の目を気にしたり、作品を通り越していくスタイルが別に悪いことだとは私は思わない。

例えインターネットで「逆張り逆張り逆張り逆張り逆張りし過ぎて本当の自分を見失ってないか」と問われても「逆張りオタクなところまで含めて本当の自分だ」と言い切れるなら好きにしたらいいと思う

 

作品を観ることが目的ではなく、作品を通しての自己表現、自己顕示が目的になってきている鑑賞スタイルはインターネットと相性が良く、これからもそういうオタクを数多く見る事のなるだろう。

なので純粋に作品を楽しみたい人達とはそもそも作品を見る目的が違う事を認識していないと駄目だ

純粋に楽しみたい層は作品を棒にする人達と仲良くなっても辛くなる場面が多くなるだけなので、距離をおく(ミュートにする)事が大切かもしれない。

初めにも書いたが、作品の見方に良いも悪いもない。お金を貰っている訳でもないので、気楽にその波に呑まれるのいいし、自分は違うと逆張りするのもいい。自分なりの自分だけの、自分が一番気持ちの良い鑑賞スタイルを確立していく事が大事だ。ただ、その作品に直接迷惑をかける行為は本当にアカン。

 

特にツイッターだと簡単に制作陣の方々とも関われるが、口の悪いリプを直接送るとかするとそれをスクショされて拡散され、お前が好きな作品にまで迷惑を及ぼす。

 

お前が本当に愛している作品が、お前の軽はずみな行為により多くのアンチを生んでしまう。その緊張感を常に持ちながらネットに生きるべきなんだ(お前がファンを装ったアンチならその手段は昔から有効な手段なので何も言えないが、やり過ぎるとバレるぞ)