「俺はぁぁぁ! ここのぉぉぉ! 王だっ!」
映画館行く度に藤原竜也のこの絶叫を聞かされる日々からようやく解放されました。
結構、映画館行くタイプだったのですが、毎回「俺はぁぁぁ! ここのぉぉぉ! 王だっ!」って聞かされるのも今となっては良い思い出です。
そんな嫌になるほど聞いてたハズなのに最近まで「オーナーだっ!」って言ってるものと認識していました。「王だっ!」だったんですね、勘違いしてすいません。
監督は『さくらん』や『ヘルタースケルター』などで話題になったフォトグラファー出身である蜷川実花さん。原作はホラー小説家・平山夢明の小説です。
この小説をどう二時間に納め、映像化するのだろうかとワクワクと不安が同居していたのですが、実際に観てみるとまぁやっぱり二時間に納めるのは無理!って感じでした。
それでは感想書いていきます。
5那由他3兆点のキャラクターとビジュアル
本作の最大の魅力であるキャラクター達を紹介していきます。
ボンベロ(藤原竜也)
(C)2019 「Diner ダイナー」製作委員会
殺し屋専門のダイナー(食堂)に、王のように君臨する孤高のシェフ。
元は凄腕の殺し屋だったが、殺し屋達を束ねる組織のトップ=デルモニコにその料理の腕を見込まれ、殺し屋からは足を洗うことに。
演じるのは映画では必ず絶叫する事でおなじみの藤原竜也さん。
本作では後半、激しい銃撃戦になりますが、そこでまるでジョンマクレーン刑事のような死なない不死身の男だと言うことが判明します。マジで死なない。今撃たれたよね!?ってシーンが3,4回あるがそれでも死なない。主人公補正の塊のような現象は段々笑えてくるので是非見て欲しいです。
オオバカナコ(玉城ティナ)
(C)2019 「Diner ダイナー」製作委員会
可愛いは正義
監督も分かっているのかやたら太ももが映るシーンが多い。
原作では20代後半で生き残るための狡猾さも持ち合わせている人物なのですが、ここら辺の人物像が結構アレンジされています。
ただ、玉城ティナは可愛いし可愛い。
冒頭で誰からも必要とされてない、何も出来ないと絶望を噛みしめているオオバカナコに対していやそんな美貌をもっていてその悩みは無理があるやろ!というツッコミが出たりしますが可愛いからOK
途中、オオバカナコの所為で人が死んだりするのに急に前向きな事言い出して演出の奇抜さもあって頭の中に?がでます。
でも、可愛いからOK
玉城ティナファンは観て損はしない映画です。
スキン(窪田正孝)
(C)2019 「Diner ダイナー」製作委員会
過去最強に格好いい見た目の窪田正孝
ばりばりジョーカーを意識しているような見た目で、中身も本当にジョーカーだし、窪田正孝で早く和製ジョーカーの映画作って欲しいですね。
また、原作のスキンをそのまま3次元に落とし込んだような存在感も素晴らしく、何より内なるトラウマを抱えている人間を演じるのが本当に巧いです。
そしてあることで一気に狂気を爆発させるシーンも、ギャップの嵐で素晴らしい。
キッド(本郷奏多)
(C)2019 「Diner ダイナー」製作委員会
途中、あまりにも上手い藤原竜也のモノマネ聞いてびっくりしたけど、流石に本人が声だした訳じゃないよね?調べたけど情報がどこにも出てこなかった。。。
一見幼い子供のような可愛らしい姿をしていますが、それは仕事(=殺し)のために全身整形やホルモン注射を施し、骨格にまで手を加えた結果らしい。ここまでの子供を演じられる本郷奏多が怖い。彼のこれから悪役を極めて欲しい。
無礼図(真矢みき)
『Diner ダイナー』は確かに殺し屋の数は多いのに、どいつもこいつもクレイジーな顔してキャハハ演技しながら銃を乱射したり、仕事をする奴が多くて俳優陣の変顔選手権みたいになってるけどその分、真矢ミキさんと宝塚組のクールな異彩が際立つから好きだよ pic.twitter.com/RTbE4hAjCE
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2019年7月6日
恐らく本作で一番美味しい役所だと思います。
他にも土屋アンナや小栗旬など滅茶苦茶魅力的なのに出てきては直ぐ死んでしまうというキャラの大渋滞を起こしており、藤原竜也と玉城ティナ以外の推し目的で観に行く人はここで退場か~とショック受けるかもしれないので注意が必要ですね。
0点なアクションと演出
令和にもなってマトリックスリスペクトなアクションシーンを真顔でやるとは思わなかったわ!
アクションシーンが意外と少ないのですが、その分最終局面で激しいアクションシーンがあります。ただ、まー全体的に見辛いし、アレです。横っ飛びしながらの銃撃で目の前の相手に一撃も当たらないの逆に凄いです。背後で流れるBGMのチョイスも相まって段々と笑えてきます。
演出も冒頭からオオバカナコの独白から始まるのですが、街の中でたたずむのオオバカナコの周りをサラリーマンたちが歩きます。そこで急にサラリーマンがストップしてビックリすると前のめりで一回のけぞって反動付けて再び歩くという演出。
また、オオバカナコの過去振り返るシーンでは演劇のような演出も多様されます。全体的にくどい。本当にくどい。恐らく好きな人は好きそうだけど、私はあんまりでした。
監督が織りなす一枚画の素晴らしさに動きがついていけていない感じがします。
ただ本当に一枚の画は美しく格好良いのが多いので、漫画の『BLEACH』的かもしれません。
極限な状況での愛
ここからネタバレあります。ご注意お願いします。
本作のストーリーの根幹にはオオバカナコの人生見つめ直しの他にボンベロとの愛があります。
ボンベロの彼女に対する接し方は、奴隷でも扱うかのようなものであり、2人の間にあったのは完全なる主従関係でした。
しかし、極限の状態で料理を通して少しずつ自分の居場所を、自分のやりたい事に気づき始めたオオバカナコはただの奴隷ではなく、自分の意思で働くようになっていきます。そんな意思を見たボンベロも彼女を認め出します。
そして最後にそんな絶体絶命な時に料理教えてるの!?というシリアスな笑いを通して料理の仕方を伝授し、ボンベロはオオバカナコを解放し、オオバカナコは結果的に自分の意思でダイナーを離れます。また、再会する事を祈りながら。
原作のラストではカナコとボンベロの再会を描くことはないんですが、映画版では明確に2人の再会を描いています。
原作の『Diner ダイナー』という作品では2人がお互いに好意を寄せていることを視覚的に仄めかす描写はありませんでした。でもだからこそ読者は全体から二人の関係を読み解く事が出来ます。ただ、映画ではキスします。100%の恋愛です。
ここら辺は人によっては解釈違いが凄くて、拒絶する人も出てくるかも知れません。
この映画を一番見てはいけない層は原作好きな気がします。
ただ、最後の再会がメキシコの死者祭(死者が蘇る日)での出来事みたいなのであのボンベロは幻想といった解釈も出来ると思います。それならどう考えても死んだハズの犬の菊千代が生きていたように見えるのも納得出来ます。
最後に
殺し屋の話なのに意外とグロテスクな描写も少ないのでお子様でも安心して見れると思います(責任はとらない)
脚本的にも演出的にもかなりアレな内容だったんですが、何とか映画として楽しめる事が出来たのはキャスト陣の熱演と魅力のおかげだと思います。彼らは本当に凄かった。
最後に一言言って終わります。
きゅうり一本挟まったあのハンバーガー一体何!?