『XXXHOLiC』を実写映画にします!→僕「おーーー!!」
四月一日君尋を神木隆之介、壱原侑子を柴咲コウが演じます!→僕「ええやん!!!」
監督は蜷川実花!→僕「……ああ……」
創作集団CLAMPの大ヒットコミック『xxxHOLiC』を蜷川実花監督が実写映画化。蜷川実花監督といえば令和にもなってマトリックスリスペクトなアクションシーンを真顔でやった『Diner ダイナー』とか、ビジュアルが100点なのに原作再現度が-100点だった『Diner ダイナー』とかで有名なフォトグラファー畑出身の映画監督。
彼女の作品は鮮やかな原色を使った独特の色彩美、極彩色の世界観が魅力だろう。
しかし、写真家として評価されていても、映画監督としてイマイチ評価されていないのは映像としての動き、ストーリーの流れが描けていないのが大きい。
原色をふんだんに利用した独特で圧巻な画作りをしているのが蜷川実花作品の特徴だが、静止画レベルでは見栄えが良くとも、映画としての見せ方はイマイチで映像として見ると、もうダメ。それが蜷川実花。
そんな蜷川実花監督が構想10年と熱望してきた企画が『xxxHOLiC』の実写化。
人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が見えてしまう男子高校生・四月一日君尋。その能力のせいで孤独な人生を歩んできた彼は、能力を消し去って普通の生活を送りたいと願っていた。そんなある日、一匹の蝶に導かれて不思議な“ミセ”にたどり着いた彼は、妖しく美しい女主人・壱原侑子に出会う物語。
『xxxHOLiC』は同じ時期に連載していた別のCLAMP作品『ツバサ』の物語がリンクしているのだが、流石にそこの要素は映画ではオミットされている。
出来栄え
監督の名前を見て想像してた世界観から1ミリもズレがなかった相変わらず蜷川監督ビジュアルの極地。劇場を後にした時にいつもより比喩表現ではなく本当に眩しく感じる現実。
本作ではもはや映画ではなく舞台を見ているかのような演出も多い。特にひまわりが過去の回想するシーンなんてまんま舞台演出である。パンフレットを読むとそこには理由があると感じた。
上記でも『xxxHOLiC』の実写化企画は10年構想と書いたが、脚本が難航し企画はストップしていた時期があった。しかし、文化勲章に叙されるほどの舞台演出家である父・蜷川幸雄の死に影響され、再び本作に挑戦した経緯があると書いてる。もしかしたら蜷川実花監督の「舞台」への想いも入った作品なのかもしれない(映画じゃなくて舞台をやれは正論なので言うのやめてください)
ストーリー。
正直『Diner ダイナー』よりマシだけど、原作をかなり駆け足でなぞっていて全体的に印象が薄い。まさか四月一日が店主になるところまでやると思ってなかったからビックリだが。
キャラ造形は原作からほぼ別物。
原作では結構コミカルな四月一日も映画では暗い。最初から百目鬼&ひまわりがセットだし、四月一日はマジで暗すぎて百目鬼&ひまわり以外誰とも関わってなかったのマジぼっち。その割には何回かお話してご飯を一緒に食べただけの仲であるひまわりの為に命がけの行動をとる四月一日、ぼっちあるある過ぎて辛い。そしてそんな四月一日を救うために身体に消えない傷を負う百目鬼&ひまわり。ぼっち達の慰め合いって感じで身に覚えあるので辛すぎる。僕は「ぼっちの習性」で納得したけど、原作読まずに映画を観た人が「なんでこの3人は命を懸けるほど仲良くなってんだ?」と疑問に思うぐらい納得力ある関係性とエピソードを描けてないのはダメだと思う。
そして4月1日ループ展開。原作にあったパラレルワールドは描かない代わりに四月一日の成長の試練として同じ日を繰り返すというタイムリープ展開。蜷川実花監督のアイディアらしい。
「運命は決まってる」と思考停止になった四月一日が自分の運命を諦めて同じ毎日を送る事になる。
しかし、四月一日は自分を犠牲にひまわりを救おうとしたら逆に自分の為に百目鬼&ひまわりが身体に消えない傷を負っていた事を知り、「ヒトを助ける為に自分を犠牲にすることがどれ程、相手を傷つけるか」を身をもって知る。
そして「選択することで運命は変えられる」と未来を明日を選ぶという展開。
良い展開だけど、タイムリープもので停滞していた主人公が未来を選ぶ展開で打破するのありきたりで陳腐だなぁ~って。オタクは初めて見たタイムリープモノを親と認識するらしいけど、令和にもなって僕の親である『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と比べて何も進化してない。
それにしても侑子さんの「卵焼き美味しぃ」を何度も聞く事になりトラウマになりかける人出てきそうだ。ていうかループで四月一日と百目鬼が滅茶苦茶仲良くなってて何!?となる。チョコバナナを食べさせ合うのただの恋人では!?
本作最大の敵であり、原作とはほぼ別物、女郎蜘蛛。
最初誰が演じているか分からなかったけど、吉岡里帆じゃねコイツって中盤でなって、やっぱり吉岡里帆だコイツ!!とアハ体験になったのは良かった。そしてこの吉岡里帆が滅茶苦茶セクシー。
SM嬢のような恰好しているし、吉岡里帆のASMRみたいな事する。原作の雰囲気ぶち壊してない?と思わなくもないけどエロいからOK(AV見たかのような感想)吉岡里帆ファンは兎に角必見。
初日舞台挨拶を見てたけど、セクシー指導があったらしく、「ずっとセクシーとか色気ってヒップとかバストとかウエストだと思っていたんですけど、デコルテなんだということをこの現場で教わりました」と目を輝かせ「女性の皆さん、デコルテらしいので、そこを意識するとかなり色気がアップすると教えていただきました」とアドバイスしていた吉岡里帆が印象的だった。僕も最近『ゴールデンカムイ』を読み返していて谷垣のデコルテに魅了されたから、その意見には納得である。
最後に
柴咲コウはずっと美しいし、神木キュンは可愛いくて最後はもはや雅。
松村北斗くんの乳首が美しいし、声もイケメン。玉城ティナの目力は凄いし、
出番は一瞬なのに橋本愛さん美人過ぎてビビって(個人的に橋本愛さんのビジュアル全盛期『告白』を超えた)
東京オリンピック開催式のダンスみたいな動きする趣里さんも魅力的。
キャストとビジュアルだけが良かったといういつもの蜷川実花映画だった