『ソウル』シリーズと言えばフロムソフトウェアの看板タイトルにして、国内外からの評価も高い『ダークソウル』(『デモンズソウル』『ブラッドボーン』『SEKIRO』)ダークな世界を舞台としたアクションRPG及びアクションアドベンチャーであり、「フロムのゲームは難しい」「マゾゲー」「死にゲー」「ダクソから逃げるな」と言われまくるような、高難易度ゲームの代名詞となっている。
それが昨今、逆張りやマウント勢、一見簡単そうに見えて神プレイ連発する実況者を見て勘違いしてる動画勢の大量発生から「意外と簡単、余裕余裕」みたいな風潮も生まれつつあり、それを聞いて「ほぇ〜言われる程難しくないのか〜」と軽い気持ちで始めると「滅茶苦茶難しいやんけ!!!!」とコントローラーをぶん投げる人が続出してると噂の『ソウル』シリーズ。完全なる罠。
私も去年『SEKIRO』をクリアし、友達からダクソの方が簡単だからセキロクリア出来たなら余裕だよとオススメされて『ダークソウル3 』を王者の風格そのままに始めたのだが、開始3時間ぐらいで
「滅茶苦茶難しいやんけ!!!!」とコントローラーぶん投げそうになってしまいましたね。
完全なる罠。
今回はそんな私がコントローラーをぶん投げそうになるのを我慢しながらだんだんとその魅力にハマってしまった経緯含めて『ダークソウル3 』をクリアするまでに想った事などを書きました。
『SEKIRO』の時から薄々気付いてたけどハッキリ言ってソウルライクは現存するゲームジャンルの中でトップに面白いと思う。
まず『SEKIRO』に比べて圧倒的にノッソリした動きなど、操作が手に馴染むまでは面白さを実感する事が少なく「死にゲーって時間の無駄だし、別の事しようかな」などと想いながら遊んでいたのだが、段々と「自分の戦い方」が分かってくると「面白い」と感じるよりも「熱中」して遊ぶようになっていった。
私が遊んでみて感じたことはパリィは無理ということだ。
パリィとは剣や盾などで敵の攻撃を払い除け、体勢を崩した相手に「致命の一撃」を繰り出すというハイリスクハイリターンな防御手段なのだが、youtubeの動画などでは実況者が「このボスのこの攻撃はパリィが出来ます。はぁい余裕」系で溢れており、いとも容易く出来る印象を与えるのだが、
実際にやるとこのパリィ、滅茶苦茶難しい。
自分のプレイスキルのなさに泣く。
とにかくタイミングがシビアで、敵の攻撃によってパリィタイミングも違うため、ミスる(特に『SEKIRO』の弾きみたいな感覚でやると泣く)
何となく感覚が分かって何回か成功しても、少しズレるともうダメ。泣く。
所詮感覚での習得は感覚で忘れる。
私が滅茶苦茶苦戦したボス法王サリヴァーン(法王なのにライトセイバー二刀流とかいう狂った奴)がどうしても勝てなくて攻略情報を見てみると「最初の攻撃がジャンプ斬りと決まっていてパリィを決めやすいので確実にパリィを決めよう」と書いあって、ナルホド!これは法王に勝ったな!と確信してプレイしてみても10回中6回はパリィをミスる。しかも最初の攻撃をパリィ成功しても勝てたわけじゃではなくそこからがスタートなので途中ミスると「YOU DIED」である。
更に法王サリヴァーンは二刀流だけには飽き足らず途中から質量を持った残像攻撃までしてくるのでまぁ勝てない。50回ぐらい「YOU DIED」を見た。
これで高難易度ではないと言われたら私には高難易度の定義が分からなくなる。
パリィはS級ゲーマーが行うものであり、私のようなB級ゲーマーは例え100%中の100%を出しても届かない領域なのだなと納得し、パリィを捨て、自分の中での立ち回りを見出してから『ダークソウル3 』を遊ぶのを止められないようになってしまった。
私の戦い方、それは「物理カット率100 %の中盾で敵の攻撃を防ぎつつ、直剣でチクチク攻撃を与える」戦法だ(もしかしたら、ダクソプレイヤーには当たり前の戦法なのかもしれない)
動画映え0点の戦い方だが、これが私には合っている。
無論この戦法で確実に勝てるほど『ソウル』シリーズは易しくない。
敵の攻撃を盾で防御すると大幅にスタミナが減少するので連続では受けれないし、盾で防げない攻撃や、属性付きの攻撃により盾越しでも結構ダメージを食らう事もある。
そこは何度も何度も戦い、死に、覚える。
「YOU DIED」の数だけ強くなれる。
「死に覚えゲー」の真髄だと思う。
ただこの戦法はパリィと違って感覚に頼る事が少ないので、死んでいく内に敵の行動パターンを覚え、確実に私の攻撃が敵の喉仏に届き始めている実感が湧いてくる。
敵を倒すには「今、この瞬間の一撃を当てること」、そして「敵の攻撃を盾で防ぐか、ローリングで避けるかの判断」その積み重ね。
そして死闘の先にある「HEIR OF FIRE DESTROYED」
私はサラリーマンを細々とやっているが、仕事上で達成感と嬉しさから「やった‥」と自然に口から出た事なんて一度もない。
一度たりともない。
「やめたい‥」なら毎朝のようにある。
そんな私が法王サリヴァーンを倒した時に自然と口から「やった‥」と漏れてしまった。
これがこのゲームの全てだと思う。
現実では中々味わえない感情の揺らぎ。
比類なき達成感。あふれ出る脳汁。
ゲームって楽しいってなる。
法王サリヴァーンを倒した後は結構順調で、『DARK SOULS』にも慣れたかなと思っていると私的最大の敵が現れる。
「冷たい谷の踊り子」である。
100回は余裕で死んだと思う。
社会人の土曜、日曜というお金より大事な休日を丸々「冷たい谷の踊り子」撃破に費やしてしまった。
1日中コントローラー握っていたし、寝る前はお布団の中でイメージトレーニングしたし、朝起きて一番に「冷たい谷の踊り子」の事を考えてしまう。
恋である。
どうやって「冷たい谷の踊り子」の尻に張り付けるか想像する毎日。
変態である。
人間性を捧げて敵に勝つ。
「冷たい谷の踊り子」を撃破した時、思わず叫んでしまいお隣さんから生まれた初めての「壁ドン」を食らってしまった。
高難易度のゲームは別に『ソウル』シリーズに限った話ではないが、ここまでの達成感を感じられるのはこれ以外に知らない。
やはり『ソウル』シリーズは計算された敵の配置により、難しさに理不尽さが少なく、自分の成長度合いを感じられ、独特なキャラ造形や街並み、グロテスクなモンスターなど極度の緊張感からのボス撃破による解放感、その落差。
そういった要素が宮崎英高により料理され、主人公(=プレイヤー自身)の壁として登場し、何度も何度も挫けそうになりながらも、ぶっ壊すその快感。
クリアした人が記憶を消したもう1度やりたいと願いのも仕方ないと思う。
私も宝箱を開けようとしたらミミックに食われて「YOU DIED」
竜狩りの鎧をもう少しで倒せそうと思ったら崖から落ちてしまい「YOU DIED」
竜狩りの鎧を後一撃で倒せそうなぐらい追い詰めたのに崖から落ちてしまい「YOU DIED」(ギャーと叫んでしまい、人生二度目のお隣さんからの壁ドンを食らう)
兄王子ローリアンを体力ギリギリで倒したと思ったら、まさかの第2戦で「YOU DIED」
「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU DIED」「YOU D…」
クリアした時の感想、『DARK SOULS III』意外と簡単だったなw(冷や汗)
最後に
高難易度ゲームの顔になってしまったので、色々なオタクにも目を付けられ「フロム信者」みたいなレッテルを張られやすくなってしまっている。
しかし、実際に遊んでみると分かる。滅茶苦茶難しいゲームだ。
自力でクリアした人はその心にこのゲームをクリアした事を誇りに感じてしまうのは仕方ない面があると思う。
お節介な機能が付け気味な昨今の中で、こんなある意味プレイヤーを突き放すゲームを世に出して、世間から一定の評価を貰うフロムソフトウェアの狂気と勇気、一生ついていく。
「フロム信者」
人にレッテルを張る人間ではなく、ゲームを遊ぶ側の人間に私はなりたい。
最後に一言。
敵を倒すのに必死でストーリーとか全然分からぬ。