僕は所謂「ゆうたプレイヤー」だった。
甘ったれた人間なので他の人に寄生してクエストをクリアしたりしていた。
2乙してしまい、他の人がクリアするまでホームで待機していた事すらあった。
ただ、そんな行いが出来るのはゲームだからだ。
現実では乙=死。
モンハンの世界は甘くないのだ。過酷である。ミラジョヴォヴィッチ以外には。
という訳で絶対にモンハンの世界だけには行きたくないと想いにさせてくれる映画『モンスターハンター』の感想をネタバレありで書いていく。
異世界転移
カプコンの映画と言えばポール監督。そして主演にはミラジョヴォヴィッチ。これはカプコン製のヘリは墜落すると同じぐらい決定事項である。
ミラジョヴォヴィッチと言えばインタビューで、
『モンスターハンター』の脚本を渡された時に 「ポール(監督兼夫)、私にゾンビの次はモンスターと戦えと言うの?他に何か考えられない?」と聞いたが結局は監督と一緒に住んでいるからNOと言い辛い(笑)
と答えており、隙あれば惚気話をしてくる。
そんなミラジョヴォヴィッチ演じるアルテミス含めたアメリカの特殊部隊が砂嵐に巻き込まれてモンハン世界に転移してしまう事から物語が始まる。
えっなんで転移したのって?
最後まで見ても転移理由はフワっとしているから考えるな、感じろ!!
全編通しての「考えるな、感じろ」精神。この言葉を作ったブルース・リーは偉大である。
この異世界転移がゲームで言う所の「キャラクターメイキング」と同じ役割。
即ち、観客がアルテミスに自分を投影するための装置として機能しているとポール監督は考えてそうだけど、流石にミラジョヴォヴィッチに自分を投影できねーわ。ミラジョヴォヴィッチはミラジョヴォヴィッチだわ~。
そして異世界転生したミラジョヴォヴィッチ達に襲い掛かるディアブロス亜種。
(C) Constantin Film Verleih GmbH
死んでいく特殊部隊。器用に頭に付いている角で特殊部隊の腹を刺すディアブロス亜種。
軍の兵器などの現代兵器では全く歯が立たない。
ポール監督曰く
「みんなが知っている物を出さないとモンスターの強さが測りにくい。軍の兵器が通用しないことを見せることで、モンスターの強さを引き立たせられる」
とおっしゃる通り、ディアブロス亜種の無双シーンは結構よかった。
その後、洞穴に逃げ込んだミラジョヴォヴィッチ達は今度はネルスキュラが襲い掛かる。
(C) Constantin Film Verleih GmbH
なんとここでミラジョヴォヴィッチは死んでしまう。
もう一度、言う。
なんとここでミラジョヴォヴィッチは死んでしまう。
わざわざ心臓の音を聞いて死んだ事を確認するシーンすらある。
しかし、次のシーンで
なぜかミラジョヴォヴィッチ復活。
なぜ!!!!!???????
最後まで見ても説明はなし。
ミラジョヴォヴィッチだけゲーム世界の住人で3乙するまで生き返るの??もしかしてネルスキュラの睡眠性の毒で昏倒したのを死んだと勘違いしたのか?特殊部隊がそんなことある?
結局、ミラジョヴォヴィッチ以外の特殊部隊は全滅。
しかも、ネルスキュラが人の身体に卵を産み付け、孵化しながら宿主を殺すというグロシーンとかある。全体的にネルスキュラ戦のホラー感が凄い。「ネルスキュラを出したい」と提案したのも監督自身らしいし、絶対に監督の趣味。モンスターハンターではなく、エイリアン見ているのかなって思ってしまった。
その後はミラジョヴォヴィッチとトニー・ジャーの喧嘩からの珍道中。
(C) Constantin Film Verleih GmbH
ただ、ミラジョヴォヴィッチとトニー・ジャーの喧嘩が意外と長い。
どうせ、雨降って地固まる展開。喧嘩した後は仲良くなるなんて誰でも分かる事なのにやたらと殴り合うし、ナイフで刺したり本気モード。トニー・ジャーが祈っている像をブチ倒すミラジョヴォヴィッチとかやり過ぎである。
こっちは『モンスターハンター』観に来てるんだぞ!?
ただまぁ仲良くなった後のイチャイチャは良かった。
初めて食べるチョコにテンション上がって、それ以来、美味しいモノ食べると「チョコ」と言い出すトニー・ジャー可愛いよ。
初めて見るマジックテープにテンション上がって何度も付けたり剥したりするトニー・ジャー可愛いよ。
ミラジョヴォヴィッチとトニー・ジャーのイチャイチャまでで約60分である。なんだこの映画(困惑)
ミラジョヴォヴィッチは元の世界に戻るために塔を目指すが、そこに行くためにはディアブロス亜種を倒さないと安全にはいけない。
ネルスキュラの毒を利用したりRPG (兵器) を利用したりして、最後は大剣で何とかディアブロス亜種を倒す。因みにミラジョヴォヴィッチは双剣使いだが、双剣はほとんど役に立たない。
その後、トニー・ジャーの幻覚コーナーがあったり、ガレオスのドッキリがあったり、「お肉焼けました」イベントがあったりして、ラスボスであるリオレウス登場。
ここで団長も登場。ミラジョヴォヴィッチの双剣がようやく活躍するのもココ。突進してくるアプケロス(草食)達の除けとして。交通誘導の旗みたいな役割である。
そして団長から明かされるモンスターハンター世界の謎。
昔は現実世界とモンスターハンター世界は行き来できたが、問題が発生し、断絶したらしい。その後、更に問題が発生し、ミラジョヴォヴィッチを何かがモンスターハンター世界に呼んだらしい。
フワっとしている謎の解明である。
本編は雰囲気ある背景イラストで誤魔化しているが、謎の説明が何も出来ていない。
(C) Constantin Film Verleih GmbH
目的の地で始まるリオレウス討伐戦。
ここでもミラジョヴォヴィッチの双剣はほとんど役に立たない。
しかし、ここで急展開が起こる。
ミラジョヴォヴィッチが途中で現実世界に帰ってしまうのだ。
「えーーーーーここで!!!」で戸惑う僕。
そのままミラジョヴォヴィッチは救助に来ていた軍隊のヘリに乗る。
このシーンでカプコン作品を少しでも知っている人は「あっ…」ってなるだろう。
そう、ヘリは墜落する為にあるのだ。
その直後、現実世界にもやってきたリオレウスは次々にヘリを襲い、墜落していく。
何だこの映画(爆笑)
欲を言うなら、砂漠ステージではなく、都心部でビルを破壊しながら戦って欲しかったが予算的に厳しかったのかも、次回作に期待。
戦車含めて全くリオレウスに現代兵器ではダメ—ジを与える事が出来ない。
絶体絶命。
そんな中、軍隊が全滅した後に立ち上がるミラジョヴォヴィッチ。
助太刀に現実世界にやってきた団長とトニー・ジャー。
現代兵器ではダメージを与えられないが、爆破弓ではダメージを与えられる。やはり爆破弓 。爆破弓が強い。
しかし、軍隊ではダメージ与えられなかったのにミラジョヴォヴィッチと戦うとリオレウスが柔らかくなってる気がする。これはマルチだと敵のHPが高くなる仕様だからなのか。
ミラジョヴォヴィッチの機転と爆破弓で何とかリオレウスを倒す。これで現実世界に返れてハッピーと思いきや、今度はゴア・マガラがやってくる。現実世界とモンハン世界の境界が薄れているのだ。
このまま現実世界に返れないと思ったミラジョヴォヴィッチはモンハン世界にカチコミを決めて物語は終わる。
終わった…
続編はよ!!!!
最後に
中国で人種差別だと炎上したらしいラッパーが相棒の白人男性に「俺の膝を見てくれよ」と話しかけ、「いったいどんな膝をしてるんだ?」と聞かれ「チャイ・ニーズ(Chi-nese)」と答えたダジャレのシーン。膝(Knees)と中国人を意味するチャイニーズのニーズ(Nese)という音節をかけたジョークだが、見事なまでにカットされていた。恐らくBD特典とかでも観ることは出来ないだろう。そもそもそんなシーンいらんだろって思ってしまうが。
ミラジョヴォヴィッチが指輪を大事にするシーンとかも伏線かと思いきや、何もなかったり、トニー・ジャーの家族の話もイマイチ必要性が分からなかったり、
モンハンの映画なのに「英雄の証」や「肉焼きのテーマ」などのBGMが流れなかったり、
想像以上に変な映画だったが、変故に一部の人から好かれそうな映画である。
正直、ゲームのモンハンライズの発売日と映画の公開日を合わせたのは完全に失敗な気もするが、モンハンライズを発売日に買う熱心なファンが本作を観ると激怒するか悲しくなりそうな気もするので、ある意味親切なのかもしれない。映画を観ずにゲームしててくれ。頼む。
変にファンが観てしまうと「私が映画モンハンを受け入れられなかった10の理由」というタイトルのnoteが大量生産してしまう気がする。
そんなにモンハンに対して思い入れがない人にはオススメな映画だ。