社会の独房から

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「NHKプロフェッショナル庵野秀明監督」とかいうシンエヴァ解答編について

庵野監督はあまり表舞台に出てこない人だ。

特にテレビ出演なんて宮崎駿監督のドキュメンタリー番組の時にちらりと数分映る程度しか知らない。

僕が想像する庵野監督像はどうしても島本和彦先生による『アオイホノオ』漫画兼ドラマになってしまう。あの変わり者のオタクである。そして今回、4年間に及ぶ密着取材を行ったNHKプロフェッショナル 仕事の流儀』を見て思ったのは一つ。

庵野監督!変わり者のオタク!!!!!

ということ。流石、島本和彦先生。嘘がない。

今回はそんなドキュメント番組の感想を書いていきたい。

本記事は『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』のネタバレ要素があります。ご注意ください。

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冒頭のナレーションで「この男に安易に手を出すべきではなかった」というナレーションが流れて、そんな始まり方する密着取材ある!?と驚いたが、最後まで見たら分かる。そのナレーションに嘘はなかったと。

庵野監督、兎に角、現場を振り回す。

  • スタッフから「たまに見るぐらい」と言われるほど現場に来ない時があったり、
  • メインスタッフが必死に構想を練っているのにろくに参加しなかったり
  • スタッフですら読めない発作的衝動があったり(そんな庵野監督の発作的な衝動、その刃はいつしか私たち(NHK)にも向けられていたというホラー要素)
  • 取材をしているNHKスタッフに「庵野自身を撮影するより庵野監督に振り回される周りのスタッフの表情を撮った方が良い」とダメ出ししたり(このダメ出し自体は的確)
  • 撮影しているNHKスタッフに「ここ、アイデアあったら言ってください」と言って来たり
  • 締め切りも近いのに「脚本からやり直す」と言って、実際にやり直したり
  • 妻の安野モヨコさんに黙ってサッポロポテトを食べたり
  • 「自分で最初から全部やると自分で全部やったほうがよくなってしまう。それ以上のものは出てこない。自分の外にあるものを表現したい」という名言を吐きながら結局は発作的衝動を起こして自分でやってしまったり(スタッフから「作品が説教臭い」と言われたら手直しするバランス感覚はある)
  • そんな事しながら「このままだと間に合わない、作り上げる事が大事」とスタッフに言ったり(普通なら間に合わない状況にさせてる上司本人にそんな事を言われたらぶん殴りたくなると思う)
  • 4年間付き合ったスタッフに対して最後の最後に「プロフェッショナルってタイトル嫌いなんですよ」とブチかまして番組を終わらせたり

『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』を実際に観たハズなのに「この映画、本当に完成するのか?」と不安になってしまう内容で終始ハラハラしてしまった。

ただ、庵野監督とガイナックスの関係を思うと

このヤバすぎる現場で完成まで会社や資金を成り立つ環境を作り上げ、こんなヤバい現場でもついてきてくれるスタッフを呼び込んだのが庵野監督自身だから、何も言えない。本当に良かったと感動するしかない。

 

そしてシンエヴァ解答編としてのプロフェッショナル

安野モヨコさんの「みんながいなくなっても私はいなくならない」発言は
マリの「どこに居ても必ず迎えに行くから、待ってなよワンコくん」とどうしても被ってしまう。

これはやはり安野モヨコ=マリ説が決定的になったかなと。


庵野監督=シンジ。

庵野監督が全力疾走で宇部新川駅の階段を上っていくシーンなんてまんまラストである(全体的にスタッフがシンエヴァ見てから撮影したの?と言いたくなるようなカットが多数あった)

そしてシンジ以外にも寡黙なところはレイだし、時に自分のかわいさを利用する所はアスカで、目的のために現場のスタッフに無茶ぶりしながらも結果を出すのはミサトであり、奥さんに支えて貰う繊細な男はゲンドウ。「エヴァの登場人物は庵野の分身」という解釈はOKっぽい。綺麗なモノは綺麗なだけだから面白くない。欠ける事が大事。

だからこその腕だけエヴァンゲリオン

そして庵野監督要素が少ないマリだからこそ、シンジ(庵野監督)を救う事が出来たと。

 

 そして一部にあった「庵野監督が大人になったから、シンエヴァという話が出来た」という話は嘘だった。何も大人になってないぞこの男。宇宙人だ。

 

最後に

シンエヴァが綺麗に終わる事が出来たのは義務感と締め切りがあったおかげ。やはり締め切り。締め切りが何よりも大事。

そして平気で殺害宣言するネットは怖い。

 

卒業

本当に庵野監督はエヴァを卒業するらしい。

お疲れ様でした。

庵野監督のエヴァが終わるだけで、エヴァ自体は続いたらどうしよう。その時はその時考えよう。

 

そして「NHKプロフェッショナル」

放送前はネタバレ要素あります!!という注意があったけれど、作品の展開を知れるとかそういうネタバレ要素は殆どなかった。

どちらかと言うと番組自体がシンエヴァぽいというか。

番組の本質(テーマ)がシンエヴァと同じというか。

シンエヴァを見た後にこの番組を見てその後に再びシンエヴァを見るのが一番正解な気がする。僕は明日の仕事帰りでも『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』観に行こうと思う。

 

最初はよくある密着取材だったけれど、カメラワークなどがドンドンエヴァに侵食されていき、「シンエヴァってこういうこと?」という映画を観た人にだけ生まれるかすかな疑問に応えてくれる。まさしく解答編。

NHKはこれを3時間の尺に伸ばしてBD化して!!!!!!!(これが言いたかっただけ)

 

監督不行届 (FEEL COMICS)

監督不行届 (FEEL COMICS)