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いつもの麻枝准『ヘブンバーンズレッド』感想。【ヘブバン】レビュー

「泣かせるのを前提に話作ってるのが丸見えで下心を感じてしまう作風」

「エキセントリックな性格をしながらも実は暗く悲しい過去があったり、奇怪な障害をもっている登場人物たち」

「無駄にハイテンションなボケとツッコミの応酬で描かれる会話劇」

と言えば皆さんご存知、泣きゲーのパイオニアこと麻枝准である。

 

あまりにも2000年代から変わらないそのノリのまま2010年に『Angel Beats!』2015年に『Charlotte』2020年に『神様になった日』といったアニメが作られては鍵っ子老人会クラブの面々が続々と落命してしまっている状況。

麻枝准はオワコンと言われたりもした。

 

そんな中、『消滅都市』や『アナザーエデン』で有名なWright Flyer Studiosとタッグを組んでリリースされたスマホゲームこそが今回取り上げるドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』である。(以下『ヘブバン』)

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本作も「#齋藤飛鳥もCMで泣いたヘブバン」という宣伝文句だったり、

リリース直前公式生放送中にPVが流れたのを見て声優さんが感涙し、「5分の映像で人の感情弄ぶやん」とか「もはや映画」みたいな温かいコメントが流れたり、

泣きゲーのパイオニアと呼ばれる麻枝准さんの「泣き要素」が全面的に押し出されていて僕のような性格の捻じ曲がったオタクはそれだけで「うげぇ」となってしまう。

 

そして本作を遊んでみて開始5分で分かる。

 

「泣かせるのを前提に話作ってるのが丸見えで下心丸を感じてしまう作風」

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「エキセントリックな性格をしながらも実は暗く悲しい過去があったり、奇怪な障害をもっている登場人物たち」

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「無駄にハイテンションなボケとツッコミの応酬で描かれる会話劇」

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令和の時代になっても、これらの要素は何も変わっていない。なんならガールズバンドと野球要素まである。

いつもの麻枝准といった作風だ。

 

今まで散々「時代遅れ」「古い」「寒い」と叩かれながらも「それでも!!それでも俺にはこれしかねぇ!!!」と何も変わらない原液そのままにスマホにやってきた。(ちなみに今では「古い」とか言われてるけど、そもそも当時から人を選ぶ作風だったと思う。

某あとしまつ映画ではないが、コメディーで話を進めるのは難しい。笑いのツボはそれこそ千差万別だからだ

 

そんな『ヘブバン』だが、僕は意外にどハマりして現地点のラストである第2章まで少し課金しながらクリアしてしまった。駆け抜けた。面白かった。

同時に「合わない」という意見もよく分かる。

 

実際Twitterなどで検索しても「ヘブバン 寒い」「ヘブバン ノリ」といった検索候補が出てくる。

僕はそれに対して「わかってないなあ。これがkeyの良さなのに」なんてマウント合戦するつもりは全くなく、完全な好みの問題である。それ故に鍵っ子老人会クラブのメンバーだけでなく若い人でもノリが合えば好きな人は好きだろう。興味持った人はとりあえず初めてみることをオススメする。

 

ノリは人を選ぶ『ヘブバン』だが、遊べば遊ぶほどスマホゲームとしてよく出来ていることがよく分かる。

競合がひしめき合う激しい競争状態、所謂レッドオーシャンの状況であるスマホゲー界隈でトップを取ってやると殴りこみに来た気概を感じる。

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個人的にソシャゲを遊んでいて1番虚無を感じるタイミングがレベル上げや素材集めの為の「周回」プレイをしている時。

まだオート機能があればマシだが世の中には全てポチポチ操作を求められる化石のようなソシャゲも存在する。

映画とかTwitterを見ながら周回プレイしている時のなんとも言えない義務感。個人的ソシャゲ離れの原因といえる。

そんな中、へブバンではアリーナという経験値稼ぎができるコンテンツを自動周回出来る機能がある。

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これが本当に有能で、アプリを閉じたりタスクキルした状態でも機能してくれる。

寝ている間や仕事中であってもスマホのバッテリーを消費する事なくレベル上げする事が出来るのだ。

 

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↑主人公がボケキャラなので周りのエキセントリックなキャラがツッコミにまわってしまう図

 

 

RPGの醍醐味であるバトルでは、いわゆるターン制のブレイクシステムが採用されている。

 

敵のHPを削るにはDPを完全に削り切ってからでないとダメージが通らない仕様だ。

キャラクターには7種類の役割を持っており、それぞれ得意な戦闘スタイルが違う。

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アタッカー:敵のHPにダメージを与えるのが得意
ブレイカー:敵のDPにダメージを与えるのが得意
ブラスター:BREAK後にダメージ%を大幅に上昇させる
バッファー:味方の支援
デバッファー:敵に弱体効果
ヒーラー:味方の回復
ディフェンダー:敵の攻撃を引きつける

 

これらの組合せで火力出していくゲーム。

最初にデバフとブレイカーが頑張ってる間にアタッカーorブラスターがSP溜めてガードが破れたらブッパしていくのが基本。

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故に6人パーティだが全員に役割があり、交代しながら戦っていく必要がある。

 

低レアでも活躍出来ない事はないが、だれか1人でも死んだらゲームオーバーという設計上、基礎パラが高レアに比べて著しく低い低レアは常に前衛に出すのは大変危険。バフかデバフのワンポイント起用になる。2章の後半辺りから敵の攻撃が強烈になってくるので無課金勢はリセマラ頑張りたい(ちなみにリセマラはアプリ削除せずに出来るため楽な部類)

 

 

また、『ヘブバン』の面白いポイントとして選択肢が沢山ある事が挙げられる。

FGOにも選択肢がちょくちょく出てくるが無意味な選択が多く割と不評だったりする。

ヘブバンが特殊なところは選んだ選択肢によってその後の会話や選択にも微妙な影響を与えている事だろう(ちなみに簡単に過去に戻れるので全てのフラグを回収可能

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流石は『Angel Beats! -1st beat-』の時に選択肢大量に用意し過ぎてユーザーからやり過ぎたろと突っ込まれた上に、デバッグがあまりに地獄すぎて続編作れないと邪推されるぐらい選択肢と分岐用意したkeyである。続編まだかよ。

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↑ここで選んだニックネームによってその後のリアクションや会話に変化が生じる。

 

 

そしてストーリー。

ネタバレは今回書かないが

最初にみんなアホなとこ見せて楽しい日常を過ごさせ、プレイヤーにこの日常をずっと過ごしたいと思わせてから曇らせる、いつもの奴である。

しかし、麻枝准さんの魅力が輝くのはやはりゲームテキストだなと改めて思う。

サブキャラとの会話劇で尺を稼ぎつつ、本筋をじっくりゆっくり進めていく作風。最初はエキセントリックにしか見えないキャラ達にも段々と感情移入していくのでガチャと相性が良い。それゃセルランも上がる訳である。

これがアニメだと尺の問題もあるし、各話30分で見所も作らないといけない。

最初のアホな所と曇らせる所のバランスがアニメだと失敗してしまったような気がする。

 

FGO』だとあんなにも絶賛される奈須きのこ氏が脚本を書いたアニメ『Fate/EXTRA Last Encore』では冒頭から難解な設定モリモリで視聴者を突き放す『サムライ8』みたいな出来だったし、アニメ脚本も小説も出来る虚淵玄が特殊なんだなと思う。

 

改善して欲しいポイント

  • 先に進める為にはプレイヤーランクを上げなければならないが、一番効率が良い「交流」でライフが消費していく。そのライフは1つ回復するのに4時間かかるという「ゲームが始まったばかりでコンテンツ量も少ないのでプレイヤーに急いで先に進めさせたくない」という運営側の思惑が見える設計である。僕は石を割って先に進めたが、流石に4時間はやり過ぎ。
  • ホーム画面から直接アリーナにいかせてくれ。
  • ガチャが渋いのは諦めている。

まぁこれぐらいである。そこそこ人気なのに糞スマホゲーあるあるの開始直後がメンテ祭りがないだけに好感度が高い。

 

最後に

世界は既に滅んでいて残った人間はデジタルコピーを作ってサーバーに保存。

宇宙のバグと呼ばれるキャンサーは実はサーバー内で発生したバグ。主人公の月歌は先の未来で過去を追想している。

みたいな設定を妄想している僕です。

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↑ホーム画面が不穏

 

 

それにしてもスマホゲーム業界では令和の時代に「文学」と「人生」が並び立って人気になるとは誰が思っただろうか。

今年の春は田中ロミオの新作ゲームも出るみたいだし、竜騎士07ひぐらしの新作アニメ作ったし、虚淵玄は相変わらず引っ張りだこだし、テレビゲームでは『フロントミッション』 『クロノクロス』『ライブアライブ』『風のクロノア』『MOTHER2』が発売&配信の状況だし、完全に1990年代~2000年代アゲインである。

 

あとは佐藤 友哉, 舞城王太郎, 西尾 維新などのファウスト組もソシャゲだして同窓会になって欲しい。

 

オワコンオワコン言われた麻枝准さんだが、どれだけ批難されても彼はその作風が自分の「核」だと自認しているなら変える必要はないのだろう(逆に変えてしまうと迷走しそう

スマホゲーなんてプレイヤー人数は多くなくても金持ってる層の財布を握ってしまえばある程度は安定するので、そういう意味でも麻枝准さんとスマホゲーは相性良かったのかもしれない。

これからも僕はちょくちょく日記形式で更新していく予定なのでよろしくお願いします。

 

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↑各キャラと交流すると風呂を共にするイベントがあるが、イラストがない。PC版の発売が待たれる