家でプレイステーションしてますか?(あいさつ)
日本ではプレイステーションではなくニンテンドースイッチの『あつまれどうぶつの森』が大流行してるけど、こっちもラクーンシティというほぼ無人島のようになってしまった街を彷徨いながら、犬とかクリーチャーみたいな人外とコミュニケーションを楽しむゲームですからね、大体どうぶつの森と言える。
本作『バイオハザード RE:3』は1999年に発売された『バイオハザード3』のリメイク作となっている。
ただ『バイオハザード RE:2』でもそうだったが、映像が綺麗になっているだけではなく、TPS(3人称視点)になっていたり、UIなどの進化の他にも、ストーリー、演出の一部変更やMAPが変わっている。
そんな五臓六腑が見える版どうぶつの森こと『バイオハザード RE:3』のレビュー書いていきたい。
オリジナルからの変更点
『バイオハザード RE:3』の最大の問題点としてよく「ボリューム不足」が上げられる。
私も初見でクリアした時は7時間ほどだった。上手い人では4時間ぐらいだろう。
ただ、オリジナルも10時間もかからない程度でクリアできるのである意味本家に忠実と言えるのかもしれない。
↑カプコン製のヘリコプターは今も昔も様式美
また『RE:2』はオリジナルから時計塔などストーリーをカットし過ぎ問題だが、攻略チャートで大雑把に確認すると
オリジナル
- アップダウン
- 警察署
- ダウンタウン
- 時計塔
- 病院
- 公園
- 廃工場
RE:3
- ジルの家
- アップダウン
- 地下鉄
- ダウンタウン
- 下水道
- 警察署
- 病院
- 地下研究所
となっており、これだけ見るとカットは確かにあるが代わりもあるのでそこまで酷いとは思えない。
一応 『RE:3』もボス戦の場として申し訳ない程度に時計塔っぽい所もある。
クリア後のお楽しみミニゲームであった「マーセナリーズ」という装備が違う3人の傭兵から1人選んで目的地までたどり着くモードはなく、『鬼滅の刃』が同ジャンルのソシャゲを出すことが決まったぐらい最近流行の1対4の非対称対戦ゲームである『レジスタンス』が同梱されている。
「ライブセレクション」という選択肢で物語が変わるモードもなく一本道。
ここも賛否両論あると思うが、オリジナルでは選択肢があることによって一部ルートでキャラが情緒不安定にしか見えないといった問題が発生していたのも事実である。
一本道になることにより、齟齬なくジェットコースターのような展開を楽しむことが出来る。
↑彼の名前はカルロス。本作のもう一人の主人公で、滅茶苦茶良い奴だが、どう見ても斎藤工さんにしか見えないのでゲームに集中できない。
(C)日本タレント名鑑
他にも問題はある。
上記のインタビューで
「バイオ1」と「バイオ2」は密室の恐怖がコンセプトだったんですが,「バイオ3」はそこを拡大して,もっと広いフィールドでの恐怖体験がコンセプトとして掲げられました。
と語っており、半オープンワールド化したラクーンシティを遊べるのかと思いきや、全くそんな事はなかった。全然である。ほどんど館モノである。
ダウンタウンとかもそこら中に乗り捨てられた車が綺麗に並んで道を塞いでおり、「広さ」とはと哲学を考えてしまう。
キャラの性格や行動なども変わっており「S.T.R.A.S.なんか入らなきゃよかったってな!」で有名なブラッドなど脇役は基本出番が減っている。
本作はオリジナルとは別物だと考えてもらっていいかもしれない。
↑ブルースウィリスではない
『RE:2』よりアクション性が増し増しに
前作『RE:2』が評判良かった要素にゲームデザインの凄さがあるだろう。
敵数は決して多くはないがその分やたらと固く、しぶとい。
その結果、プレイヤーに勝てないと思わせ、「逃げる」という選択肢を与える。
そこから生まれる「恐怖」体験。
では『RE:3』はどうだろうか。
オリジナル版にもあった「緊急回避」が目玉だろう。
通常時は好きな方向へステップするだけだが、敵から攻撃を受ける直前でステップの動作をすることで攻撃を回避することができる。また、成功すればカウンター攻撃ができる。
『RE:2』では出来ることが少なすぎるという不満は確かにあったので、ゲームバランスは大幅に変わっている。
ただ、この「緊急回避」はタイミングがシビアで、ネメシスみたいなボス戦だと予備動作が大きく簡単だが、雑魚になると「えっ!これ失敗するのか!」という事が多い。うまく避けたつもりでもダイソンの掃除機のようにゾンビに吸い込まれる事がある。
↑カルロスパンチは滅茶苦茶強い。準主役になったことへの感謝の正拳突き
また、『RE:2』は弾数がギリギリという緊張感があり、弾数を計算しながらゾンビを倒すか逃げるかという選択肢が常に頭の片隅にあり、初見だと特にドンパチゲームではなかった。
しかし、本作ではガンパウダーを道中で結構な量拾えるし、ボス戦前のセーブ部屋でもアイテムを拾えたり、ボス戦中でも余る程の結構な弾薬をゲット出来るし、何より主人公が前作より頑丈だ。
その結果「逃げる」という選択肢は前作ほどない。ドンパチドンパチだ。
1つの部屋に4体以上ゾンビが登場することもあるが、緊急回避で無理やり通るより一体一体始末していった方が安定する。
また、ナイフは劣化しない代わりに大幅に性能が劣化しており、ほとんど使えない。ナイフ縛りする人は頑張ってくれ。
正直、前作ほどゲームデザインが逸脱といった感じはしない。
前作のように巧みさを堪能するのではなく、遊園地的楽しさがあるのでこれはこれで満足できる。
前作がイマイチだった人ほど楽しめるかもしれない。
そしてバイオ3と言えば「追跡者」ことネメシスだろう。
『RE:2』で タイラントが追跡者顔負けのストーカーになっており、それ以上のストーカーとしてプレイヤーに恐怖を与えられるかどうかネメシスへのプレッシャーは大きかっただろう。
個人的にはそのハードルを越えることが出来なかったというのが本音だ。
タイラントは勝てない強敵という感じだったが、ネメシスはどちらかと言うとステージギミックやイベントになっており、追われている感覚が薄い。
↑ジルを握りつぶさないネメシス
ジルを触手プレイしたり、直接掴んでいるんだからそのまま潰せばいいのに放り投げたりする。
ジル以外は容赦なく殺すのに、ターゲットであるジルに対してはプロレスの試合を見せられている気分になる。
アンブレラ社員がネメシスの培養管に24時間プロレスラーの試合を見せたのかもしれない。
それに加えてネメシスがロケットランチャー撃ってるのに無線でお喋りするジルとか見ていると余裕ではと思ってしまう。
全体的に演出が悪いのかもしれない。
『RE:2』と同じREエンジン使っているのにここまでゲームデザインが変わっている事に不思議に思って調べてみると本作は開発にカプコン以外にもM-TWO Incという新会社(調べたけど、どんな実績がある会社なのかは分からなかった。プラチナゲームズを退社した三並達也さんの会社ではという噂はある)などが関わっている外注との事なのでそこらへんの違いがあるのかもしれない。
怖くはない
本作はバイオハザードシリーズの原点回帰を目指した『7』や前作『RE:2』に比べてもホラー度は薄い。遊んでいて「恐怖」を感じることはほぼなかった。
ネメシスやゾンビへの恐怖よりもスタッフのジルへの異常性癖に恐怖を感じることの方が多い。
バイオハザードでリョナ表現はある種のお決りなのだが、本作でもバリバリである。
ゾンビや化け物に食われるのは当たり前で、何度も触手に首を絞められたり、口から直接寄生虫を植え付けられたり、お腹の中で寄生虫が育ち、皮膚を破ってきたりする。
他にもアパートから落とされて、ビルの屋上から落とされて、地下鉄から落とされたり、ニコライから落とされたり、ロケットランチャーで至近距離で吹っ飛ばされたりする。
↑こんなにも下水道が似合う女性もいない
そんなスタッフからの求愛を一手に受けつつも、闘志が折れる事なく、自分より何倍もデカい化け物相手に力強く啖呵切る所などイケメン過ぎて惚れてしまう。
ゾンビゲームというよりヒーロー作品である。
発売前からリメイクのジルが美人かどうかみたいな論争があったが、やればわかる。
可愛いとか美人とかそういう次元ではない。ただただジルの事を好きになる。
最後に
ストーリーも密接に『RE:2』と関わっており、警察署のシャワー室に穴が開いている理由などが本作で分かる。というよりやはり『RE:2』とこれで二本で一作のストーリーだとやはり思ってしまうので、『RE:2』買ってない人はまずそちらからやって欲しい。
1つだけ文句を言いたいことがあって、作中で明らかにヘイトを集めるキャラが何人かいるのだが、プレイヤー自身の手で殺せない奴がいるのがイライラしてしまう。
ゲームの中ぐらい嫌いな奴は殺させてくれ。
あと、パズルは簡略化されてるけど難しくないか?私が馬鹿なだけかもしれない。
最後の最後に一言
どれだけ未知のウイルスが危険で蔓延しても、核ミサイルで汚染地域ごと消滅させれば解決するらしいから、これで安心して明日から家でプレイステーションできるね。
↑本作の癒し枠