「俺はオタクだけどガルパンおじさんじゃないよ」
大洗鹿島線で水戸から大洗に電車で向かっている途中、隣でオタク達が楽しそうに話しているのが聞こえる。確かにガルパンオタク以外にも多種多様な人々が大洗に向かっているよなと納得していると、大洗に電車がついたので先ほどのガルパンおじさんじゃないよおじさん達が素早く立ち上がり僕の前を通り過ぎる時、僕は見た。見たんだ、そのおじさんが秋山優花里のシャツを着ていることに。
「ガルパンおじさんじゃね~~か」
そう、茨城県大洗町で冬の味覚、アンコウを堪能できる「大洗あんこう祭」に4年ぶり「ガールズ&パンツァー(以下ガルパン)」のイベントが戻ってきた。
関西から関東に一時的に移住することになって絶対に行きたかった所、大洗。
こういう事書くと僕の事も「ガルパンおじさん」なのかなと思う人も多いかもしれないが、それは間違い。『ガールズ&パンツァー最終章』4話をまだ観れていない僕が「ガルパンおじさん」を自称するなんておこがましいにも程がある。ただただミーハーなオタクなので沢山人が集まるイベントには行ってみたいだけ、光に誘引されて飛来する不快な虫みたいな人間なのである。
という訳で品川から水戸への特急券を買い、ついでに東京山手線から大洗駅までの乗車券も購入。日帰り旅行。しかし、これは失敗したと思った。人生初の茨城県なんだしついでに水戸観光しようと思ってたのに大洗駅までの乗車券買ってしまうと途中下車出来ない。しかししかし、結果的にこの判断は間違っていなかった。何故なら大洗を観光するだけで1日が終わってしまって水戸に寄る暇なんてなかったからだ。それだけ大洗は観光名所だった。
大洗駅を降りると大洗女子学園の面々とゴジラが歓迎してくれる。 西住家に飼われている犬みたいなポジションのゴジラにじわじわくる。
駅前にでると、おしゃれ着こなしマーベル小僧が出迎えてくれる町、大洗。ガルパン、ゴジラ、マーベルと駅周辺だけで人気オタクコンテンツを制覇している。
本来なら祭りの会場であるひたちなかエネルギーロジテック大洗マリンタワー前芝生広場に向かうべきなのだが、道中でオタク達がゾロゾロ並んでいる所が気になってそちらに足を延ばす。
豊年屋機工部。
人がわらわら集まっていたけど、結局何の店か分からなかった。
そのまま商店街を歩くことにすると、ワンちゃんを見つける。
可愛い~~~。
戦車という人を殺すモノとトイプードルという愛玩犬の組み合わせがたまらない。まじで来年は犬を飼うぞ。
商店街を歩いていくとバスにイラストが貼ってあったり、痛車が並んでいたり、異様な光景を目にする。まさしく、お祭りって感じだ。
そのまま歩いていると行列になっているお店を見つける。
本来の名前は魚忠(ちゅう心)。あんこう祭に合わせてガルパン作中で登場した魚剣の名前に店名を変えているのが微笑ましい。店の前ではあんこう汁を売っている。
あんこう汁。
それこそガルパンと大洗に影響され、関西にいた時にスーパーに売っているあんこうを買って鍋にしたことあるけど、正直美味しくなかった。ただの骨があって食べ辛い味の薄い魚って感じである。だから、食べる前はあまり期待してなかった。どうせ大したことないって。期待半分不安半分で並ぶ。大洗に来たので折角なら思い出づくりである。
出来上がったあんこう汁を1口飲んでみる。
お…美味しい。美味しい!!!
家で作ったあんこう鍋と全然違う…味に深みがある。旨味成分しかない汁が冷えた体に染み渡る。というかあんこうの色々な身が滅茶苦茶入っていてこれが500円は安い…。
「大洗、初めてきたけど、めちゃくちゃ良いところなのでは?」と内心で今回の旅の勝利を確信する。
食べ終え体がポカポカしながら商店街を歩いていると駐車場に戦車が数台置いていたり、子供が戦車に乗っている所を親がニコニコと写真撮っていたり、思ってた以上に老若男女問わずみんな楽しんでいるお祭りである。もっとおじさん臭いと思っていた。
そのまま歩き続けると今度はだんご屋を見つけたので買ってみることにする。
「味の店 たかはし」
帰ってから調べてみると有名な店らしい。美味しいし何よりも安い。
生地はふわふわ、モチモチの柔らかい食感でぺろりと食べてまった。そして一緒に買った甘酒も滅茶苦茶甘くておいしかった。あまり甘酒を飲んでこなかったけれども、人生で一番美味かった甘酒。
その後も休憩所に寄ったり
やたら並んでいる喫茶店を素通りしたりした。
そんなこんなで会場に着くとちょうど仮面ライダーガッチャードの劇が行われていた。
僕はニチアサ見てないので素通りしたけど、後ろで「みんな~ガッチャードが大変!
頑張れ~~って声援してあげて」というアナウンスと共に子供達が「頑張れ~~」って言っているのは微笑ましかった。
まぁ僕は大人になってしまったのでそんな事よりもまず飯である。腹が減った。
あんこうカレーを食べ
もう一度あんこう汁を飲む。
あんこう汁美味しかったけれども、正直魚忠で食べたあんこう汁の方が美味しかったな…ってなってしまった。まぁ屋台なので仕方ない。
お腹もいい感じに膨れてきたので歩いて大洗磯前神社に向かうことにする。
ここの階段、鬼のような階段の数と傾斜でヒィヒィ言いながら登る。
しかし、登り切った後に見る光景は絶景である。
そりゃ、初詣人気出るわなって。
そしてここでもガルパンである。
あんこう祭の期間のみなのか1年中なのか分からないけれども、どこに行ってもガルパンである。ここまで1つのアニメが町と同化しているの、他にあるのだろうか。ガルパンが大洗を盛り上げ、大洗がガルパンを盛り上げる。理想的な相乗効果に見える。
そろそろ銭湯に行こうとする途中で蟹の店を見つけたので入る。
450円で山盛りに積まれたカニ汁食べれるの凄い。実もたっぷり入っている。それにしても完全に過食である。
途中でオタクの店に寄りつつ
目的地のスーパー銭湯、潮騒の湯へ。
歩いて25分ぐらいかかって疲れた…。
中もガルパンである。露天風呂も海が見え塩分強めで体がポカポカ。車で来ることを想定しているのだろうかロッカーが全部小さい事以外本当に良いスーパー銭湯でした。
帰りの特急の時間になってきたので納豆を買いつつ、駅へ向かう。ありがとう大洗。
初めて来た大洗あんこう祭。
何と言っていいか難しいが、ちょうどいいと思う。
程よい活気がありつつも鬱陶しい程人がおらずちょうどいいぐらいの混雑で、何食べても美味しく、値段もぼったくり感は薄い。本当にちょうどいい。東京では考えられないお祭りだと思う。関西に戻ると大洗に行くことは難しくなるけれども、また行きたいな。今度は旅館に泊まってあんこう鍋食べてみたいな。そう思えるお祭りだした。