実写ハガレン2作目は前作からここが変わった
実写ハガレン2作目でも変わらないモノ
圧倒的コスプレ感
荒川弘の世界累計発行部数8000万部の漫画『鋼の錬金術師』が原作で実写映画化したダークファンタジー。シリーズ2作目で完結編の前編。
2017年公開の前作から、まさかまさかの続編である。
前作が原作ファン及び映画好きからお世辞にも評判が良いとはいえず、興行収入も約12億円と成功なのか判断し辛く、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』や『BLEACH』といった他のワーナーの実写映画作品と同じく、明らかに続編を意識した終わり方しているのに全然続編が作られないことから「ネクストるろ剣狙ったけど失敗したワーナー実写映画3選」に勝手に選んでいた本作だが5年越しの続編である。
個人的に邦画の実写映画が発表された時に心配になる作品は4つの要素から判断する事が多い。
「舞台は日本か否か」
「登場人物は日本人が多いか否か」
「ファンタジー要素の量」
「アクション要素の量」
舞台が日本で、登場人物は日本人で、ファンタジー要素がなく、アクション要素がほぼない実写映画はうまくいきやすい。例えば『ちはやふる』
また『るろうに剣心』や『クローズ』『東京リベンジャーズ』などアクション要素があって多少のファンタジー要素があっても舞台が日本なら多少安心できる。
しかし、『鋼の錬金術師』は舞台がアメストリスという架空海外で、登場人物に日本人がおらず、ファンタジー要素が多い上に、錬金術バトルというアクション要素にもファンタジー要素が絡んでくる。考えうる上で邦画の実写映画の中で最悪の相性だと思う。
予算も技術もないのにCG処理やセット、美術の用意が大変そうな漫画の実写化は多分無理である。思っていたより頑張っているというクソみたいな評価以上になる事がほぼない。それではこの実写映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』はどうだったか。 思っていたより頑張っている。
ここからネタバレありで感想書いていく。
原作RTA
前作では原作全27巻の内、1巻から8巻あたりまでを描いているが、完結編2部作で残りの19巻分を描ききるつもりらしい。
前作でも原作RTAしつつ、1本の映画になるように大泉洋やハクロ将軍大幅パワーアップからの映画オリジナル展開で〆たが、そこが原作ファンには不評でもあった。
制作陣も流石に反省したのか、本作では原作のストーリーを再構成しながらも大きな改変することなく、RTAのスピードでグルングルン進んでいく。
「復讐者スカー」というタイトル通り、前作では存在を抹消されていたスカーがメインである。
冒頭もスカーが銀の錬金術師(ジョリオ・コマンチ)と戦うところから始まる(なんのこだわりも感じられない「復讐者スカー」のタイトルフォントに注目だ)
そして列車の中でエルリック兄弟がリン・ヤオと初遭遇。同じくその列車でリン・ヤオとエンヴィーが初遭遇からの顔見せ終わったので即刻画面から退場。
スカーによる国家錬金術師連続殺害事件を受けてエルリック兄弟に警備がつけられた矢先、メイ・チャンと初遭遇。メイ・チャンがエドワードを「チビ」扱いしたことにより、追いかけっこが発生。メイ・チャンが助けを求めたのまさかまさかのスカー。そしてエルリック兄弟VSスカー戦。オートメイルの腕を破壊されたエドワードはリゼンブールに向かい、そこでホーエンハイムと会う。その後エドワードはホーエンハイムの助言からクセルクセスへと向かい、イシュヴァールの生き残りに出会う…という展開の速さ。
余韻も何もない完全なダイジェストである。
その中で取捨選択があるので「この名シーンがない」とか「好きだったこの台詞がない」は無限にある。原作を読もう。
映画化した意味を問いたくなる程の原作に忠実な本作が、最期だけはオリジナルのセリフや行動がある。
「復讐の連鎖」を止めたウィンリィ。そしてスカーがそんなウィンリィを守るために盾になろうとしたりして、まぁ「復讐者スカー」としての物語の始まりと終わりまで描き切ったんじゃないだろうか。
細かな所
- 前作のエド腋毛問題は解決
『鋼の錬金術師 復讐者スカー』観た。前作の「エドの脇毛黒色でボーボー問題」が本作では完全に脇毛を剃っていて、山田涼介くんのハガレンに対する、エドに対する並々ならぬ覚悟を感じる事が出来て泣きそうだった。是非大きなスクリーンでツルツルの脇を見て欲しい pic.twitter.com/TEudCOysUl
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2022年5月20日 - 登場時間自体は短いものの、アレックス・山本耕史・ルイ・アームストロング少佐が面白すぎた。絶対に山本耕史じゃなくてもっと他に適任者いたと思うが。筋肉はCGでいいと判断し、山本耕史を採用した人が一番の豪腕だよ。
(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師 2&3」製作委員会
荒川先生の本作の見どころ1位がフー爺さんの「腕ないのか」だったんだけど、原作と違ってフー爺さんも普通にその辺にいたハズなんだよな。リンのピンチなんだからエンヴィーとの追いかけっこやめてお前も参戦しろよって話。
ランファンはリンを自分の腕をぶった切ってまで死守して、さらにグラトニーを捕まえるキーマンにもなったんだから、ビンタして勝手に泣いてんじゃないよって話。そもそもお前はエンヴィー取り逃しているじゃないか。まぁでもランファン演じる黒島結菜さんは滅茶苦茶良かったですね。傷口治療している時に絶叫している姿にファンになった。評判悪いけど、朝ドラの『ちむどんどん』見ようかな。渡邊リン・ヤオも良かったですね。
- 寺田心くんは寺田心くんだった
- 全体的にコスプレ感凄いけど、マスタング大佐の部下たちのコスプレ感とふざけているようにしか見えない演技が滅茶苦茶恥ずかしかった。登場させた意味もよく分からないし…
- 台本読んでもまったく絵をイメージできず、原作まで読む舘ひろし。キングブラッドレイが似合っているわ。完結編でのアクションも楽しみ。
最後に
まさかエド達がグラトニーに飲まれてエンヴィーが正体見せたところでクソデカto be continuedの文字。そして次回の予告編を見せられエンドロール。前後編とはいえ仮にも1本の映画なんだからもうすこし区切りの良い所で終わって欲しかった。
それにしてもグリード、スロウス、プライドは未登場(グリードは出てこないかもしれない)
そしてエンヴィー、グラトニー、スロウス、プライド、キングブラッドレイ、お父様が健在の状態なんだけど、後半でこれ解決するのか!?終わりまでやれるのか!?と心配になる。そしてあんなにハマり役の山田演じるキンブリーは回想だけなのか!?
恐らく後編は未だかつて見たこともないほどのソードマスターヤマト展開になると思う。