人生で1度も『ヒルナンデス』の南原さんで笑った事がない。
いや、『ヒルナンデス』に関係なく南原さんでロケ以外に笑った記憶がないが正しいのかもしれない。
『ヒルナンデス!』とは日本テレビ系の12時から放送しているお昼の情報番組だ。
(C)日本テレビ
裏の『バイキング』の坂上忍が嫌いだからという消極的理由で『ヒルナンデス』を見ているが、大体南原さんが滑っている。
調子が良い時は番組開始1秒で滑ってるし、5分の間に3回ぐらい滑る。
「1984年に発売された腕時計についてる機能とは」というクイズに
「未来の自分と喋れる」と解答してスタジオ全体が微妙な空気になったのは有名だが、
これが珍しいのではなく、日常なのが南原さんの凄いところだ。
お昼の番組なのに南原さん以外が笑いを狙い過ぎなのかもしれない。笑いより安心感が重要なのかもしれない。ただ、南原さんは体張って笑いを取りに行こうとして滑っているから安心感は全くない。ハラハラする。
また、確かに今は「笑い」より「好感度」が重要な時代だ。
南原さんの優しさは見ていて伝わってくる。
本当に良い人なんだろう。
ただ、笑いを取ろうとして雑に後輩芸人達に「無茶振り」をして後輩諸共全体的に滑るという事は多々ある。
また逆に後輩からのネタ振りも真面目過ぎてキャッチ出来ない事も多い。
有名な所では
レイザーラモンRGが「この画像のレスラーはミル・マスカラスとドス・カラスのどっちでしょう?」というクイズを出す
↓
「二択と思わせといて実は全然違うレスラー」というオチ
↓
南原さん、プロレス詳しすぎて正解してしまう
↓
レイザーラモンRGさん、ダダ滑り
悲劇である
意図せず人を傷つけてしまうタイプなのかもしれない。
あと、企画がぐだりだすと露骨に機嫌が悪くなる、文化祭の準備を怠る学生にガチ切れする委員長タイプなので、生放送のバラエティー番組に向いているのか疑問に思ってしまう。
しかし、手を抜いているのではなく、全力で頑張っているので悪く言えない。
そんな『ヒルナンデス!』で南原さんが滑る。そんな日常。それが日本のお昼の時間だった。
そんな『ヒルナンデス!』に異変が起こった。
月曜レギュラーの森三中・黒沢かずこさんが新型コロナウイルス陽性と診断されたのを受け、レギュラー陣が日テレ局内ロビーからのテレワーク出演が決まったのだ。
番組が始まると南原さん1人だけがスタジオに映る光景は悔しいが面白い。
— 社畜@はてなブログ (@vGCxzofgajr0BQc) 2020年4月17日
ニュース番組でもなんでもないのにこんな状況でも番組を続けようとするスタッフの気概に感動してしまう。
慣れないテレワークの中、出演者によっては微妙にカメラの画質が悪かったりするのがリアルだ。
テレビ番組ってこういう緊急事態だと、どこもニュースニュースになってしまう。
それはまぁ仕方ないんだけど、チャンネルをどこ回しても同じようなニュースばかりな状況にウンザリするのも事実。ぽぽぽぽーんのcmで頭がぽぽぽぽーん現象だ。
そんな時、『ヒルナンデス!』みたいなしょうもない内容でしょうもない事をしょうもない人たちがやるというのは貴重だ。
普段、僕たちが馬鹿にしているモノこそ非日常の時に真価が問われる。
私も在宅勤務になったので今まで目を背けていた『ヒルナンデス!』ともう一度向き合う事にした。
それで分かった事がある。
スタジオに1人でも南原さんは滑っているという事だ。
笑いのピークは2020年4月6日の放送の南原さん初めてのスタジオで1人だけの冒頭であり、それ以降はいつも通り滑っている。
そこにあるのは確かな日常だ。
滑る事で日常を思い出させてくれる芸人なんて南原さんしかない。
テレワーク出演している他のメンバーとますます(もともとかもしれない)足並みが揃わなくなって、リカバリーできないぐらい滑っているし、南原さんの無茶振りはより強度な無茶振りとなっている。
中華料理チェーン店「バーミヤン」の「こればかり食べられたら困るメニューベスト10』を当てるコーナーがあったが、普通に考えて原価が高いとかそんな理由だと思いきや、ランキングに入る理由が「製造ラインが忙しくパニックになる」「洗い物が大変」「辛いものが続くと調理担当者の目がやられる」などただのリアルな愚痴になっており、当然そんな理由だと思わない出演者の予想は悉く外れる。
アナウンサーが動きでヒントを伝えるが、「可愛さ」優先した動きでヒントになっておらす、グダグダする。南原さんも段々キレて雰囲気が悪くなり見ていて居た堪れないまま、20分ぐらいが経ち、10問中4問ぐらいしか当てられず、時間切れ。
「バーミヤン」も誰も得しない結果になってしまった。
これこそ 『ヒルナンデス!』
これが今では珍しくなってしまった日常だ。
僕たちが失くしてしまった日常だ。
「コロナ禍」になっても変わらない。
誰も傷つかないが誰も得しない。
いつもの『ヒルナンデス!』を見ている気持ちにさせてくれる。
南原さん1人おかしいと思っていたけど、スタッフ含めて全員どこかおかしい。
例え、この先「非常事態宣言」が続いたとしても『ヒルナンデス!』はこのまま変わらず続けて欲しい。
南原さんが喋っては滑り。
動いては滑り。
クイズに答えては滑り。
無茶振りしては滑る。
それを見て「滑ってるな~」と思うその瞬間こそ、完全になる日常であり、かけがえのないモノなのかもしれない。
『ヒルナンデス!』の南原さんで爆笑が起きるその時、「コロナ禍」を超える人類史上希にみる非日常になるのだろう。そんな日が来ない事をただ祈る。