社会の独房から

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キングオブコント2021感想。空気階段の伝説と愛。

今年から松本人志以外の審査員が一新されることになり、誰が審査員になるのかを引っ張っていたので「審査員が主役かよ!」とツッコまれていたりしたけど、蓋を上げてみたら過去最高の盛り上がりだったキングオブコント2021の感想を言っていきたい。取り敢えず浜田のテンションは冒頭からおかしかったと思う。

 

蛙亭 461点6位

実験体No.164

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キングオブコント2021開幕緑ゲロ吐きスタートという前代未聞さ。

キングオブコントに限らず、お笑いの賞レースのトップバッターってどうしても基準にされてしまうから難しいのだが、今回の得点が全体的にインフレしているのはその基準となった蛙亭が滅茶苦茶面白かったからに他ならないだろう。

最初は緑のゲロを吐くキモいホムンクルス誕生のネタでも、少しずつ感情を知り、信頼関係を構築し、最終的に研究員の母性開花オチに持っていくは唯一無二。滅茶苦茶面白かった。

かまいたちの山内も言っていたけど最初の中野の登場シーンで観客がもっとドン引きしてくれた方が、後々の展開考えると落差で良かったのだろうけど、中野がもう何をしても可愛いと言われるスター性を持ってしまったので難しそうだ。

蛙亭のネタって世界観がウリで基本的にシュールだったり、ホラーテイストあったりして中々賞レースでは苦戦しそうなイメージあったけれど、今回の爆発力を見るとそれは完全に杞憂だったなと反省。

 

2ジェラードン 462点5位

角刈りガール

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蛙亭で濃いネタ見た後に続いてのジェラードンの濃いネタドン!!!で今回のキングオブコントの流れが決まったかもしれない。エリナちゃん、何か見てると段々可愛くなっていくから性癖歪む。展開ではなくキャラクターの濃ゆさ全振りみたいなネタだが、ここまで濃いとやはり強いし、秋山が好きなのも分かる。

ただ、今年はキャラクターの濃ゆさと物語性の両方を求められるハイレベルな大会だったのが敗因か。「恋かな?」「そうだろ」のくだりが恋を否定しない優しいツッコミで好き。

 

男性ブランコ  472点3位

ボトルメール

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今年のキングオブコントは、「男性ブランコ」を知れたのが一番の収穫だった気がする。

最初はジェラードンと似た系統の女装コントで被ったと思ったけど、不細工な彼女を否定するどころが完全に恋に落ち、途中でそれまでの会話が「こういう人が理想」という妄想だったという意外な展開に持っていくところも上手い。そしてそこからの「言うてるばーいかい」の爆発。

 

ボトルメールの相手が千原ジュニア千原ジュニアなのに21歳→実は妄想→妄想通りの千原ジュニア登場でガッツポーズ→「言うてるばーいかい」という展開の連続は凄いモノみたと感動してしまった。

取り敢えず男性ブランコはもっと長いコントも観たいのでライブ行きたい。

あとyoutubeのサムネとかが無駄にオシャレ。

4うるとらブギーズ 460点7位

迷子センター

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コントって色々な事出来るんだなって感動すらしてしまうネタ。

キングオブコントではちょっと力み過ぎていて前半の掴みの部分があまりにも聞き取り辛かったのが難点だが、後半の勢いで押し切られてた所を改めて読み直すと滅茶苦茶面白いって展開は凄い。八木の笑いを堪える演技がうますぎる。

 

ニッポンの社長 463点4位

バッティングセンター

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「こんなおっさんいそう」感が天才。

おっさんがボールに当たり続けるだけという賛否別れそうな馬鹿馬鹿しいネタではあるが、僕は大好き。確かに頭にデッドボールはテレビで笑えるギリギリだと思うが、最後のおっさんが口だけではなく本物の人だと分かる時の爆発力が凄い。ある意味変化球のリズムネタ。

 

6そいつどいつ 456点8位

パック

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ラヴィットで鬼のようにスベってたそいつどいつだけどネタは本当に面白い。

笑いとホラーは紙一重というが、まさかここまでホラー寄りのコントが来るとは思わなかった。怖くて面白い。恐らくキングオブコント歴史上一番の高さを使ったネタでもある。包丁研いだあたりから世界観に負けた。

「あなたのせいでキレイになれませんでした~」とか、市川の女性役が上手で特に声が可愛い。好き。

ホラー好きとしては最後がドッキリ展開だと分かる展開は個人的には微妙。

 

7ニューヨーク 453点10位

結婚式

去年が準優勝だったので今年の本命とされていたが、最下位だった。去年に比べてニューヨークが面白くなくなった訳ではなく、去年と今年のキングオブコントのレベルの差が出ているだけな気もする。伝説の回だった2019年の『M-1』でもニューヨーク最下位だったね……。マヂカルラブリーも低かったし、やはり仕事が忙しいと賞レースは難しいのだろう。

1本目が女上司でもよかった気がする。

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結婚式も良かったが、やはり今年は他があまりにも濃くて薄味に感じてしまったのは事実。

ただ、最下位芸というかトークが面白かったので今度もM-1も楽しみ。ここまできたらどうにかこうにかR-1かW-1にも出場して逆三冠王になって欲しい気持ちもある。

ラヴィットでのニューヨークは輝いているよ……

 

8  ザ・マミィ 476点2位

度肝を抜かれたネタ。

割とセンシティブなヤバいおじさんキャラだが、偏見を向けられる側が「多少の偏見は持てよ」と言う勇気と悪意がまず凄い。

ヤバいおじさんはあまりにも偏見を受けた世界に居すぎて偏見を持つことが当然だと思っている。そんな絶望な世界から希望が見えてくる展開をコントで面白さと共にやるからそれはもう偉業なんよ。

そして最後はまさかのミュージカルで谷川俊太郎氏の「春に」の合唱。まさかキングオブコント谷川俊太郎氏が関わるなんて誰が思ったことか。

 

9  空気階段 486点1位

火事

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キングオブコント史上最高得点になったコント。歴史に名が残る奴。

順番も神ががっていて偏見を描いたザ・マミィの後に偏見を持たれるような見た目でも己の中に正義を宿して行動するコントの流れが素晴らしい。

「SMプレイ中に火事場に残されたドM警察官&消防士」という明日のラヴィットとかで「それでは最高得点を獲得したネタをもう一度」みたいな流れには絶対ならないネタなのも好き。

小峠が言っていた見るからに下ネタなのに下ネタほとんどなしで面白いの一体何だろうと思ったけど、やはり今は下ネタよりキャラクター性と予想の裏切り展開が笑える時代なんだろなと。そしてその流れを知ってるから空気階段は面白い。

 

この表情。

 

コメントも良くて、2019年に最下位になった空気階段かたまりが敗退コメントで「お笑いのある世界に生まれてきてよかったです」と言っていたけど、今回歴代最高得点を叩き出して「ちょっと、あの、生まれてきた意味ありますね」とハードSMの恰好しながらコメントするのが本当に物語性があっていい。こんなにカッコイイハードSMの見た目ないよ。

 

10マヂカルラブリー 455点9位

R-1、Mー1、そしてKOCの三冠になったら地上界では闘う場所がなくなって、「魔界編」に突入する予定だった野田クリだが、来年以降にお預け。そして映画『模倣犯』の最後みたいにピースしながら首が吹き飛ぶ予定も来年以降にお預け。

松本が言った「つり革とやってる事は変わらない」が本質だと思う。漫才だと意外性があるネタけど、コントだとそうでもないのも難しい。ただ、野田クリの形態模写のキレキレさが凄い。あと空気階段の爆発の直後だったという不運もある。笑い疲れてた。

マヂカルラブリーのANN好きなので次回何を言うか楽しみ。

 

ファイナルステージ

キングオブコントの構成上、どうしても1本目の方に面白いネタを持ってくるので2本目は落ち着く。

男性ブランコの「袋」463点

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ビニール袋有料という社会問題というか小泉進次郎ネタである。

3円しか手持ちがない中、大きいレジ袋をくれた友人に対して「Lサイズのレジ袋は5円じゃないの…」と感激する姿などキレキレで大好きなネタだ。

「あなた、もしかして。私がけちったレジ袋ですか?」「図らずもスクワットをさせてしまった」などワードセンスの塊である。現代の一場面を切り取り、笑いにするコントってすごい。

 

ザ・マミィ2本目459点

半沢直樹っぽい展開が永遠続くがオチが読めてしまいうーん。1本目が強過ぎた。

 

空気階段 メガトンパンチマン474点

先にもぐらという醜い姿(酷い)を見せておいてから満を辞して出てくるメガトンパンチマンが小さくて可愛い奴という面白さと同時に「小学生の時に書いたモノ」という要素に説得力を持たせる構成が上手いし、醜い姿の自分ではメガトンパンチマンに相応しくないと敵役を演じるもぐらの哀愁さが凄い。

 

優勝は空気階段

もぐらの借金が550万から50万に減ってよかったし、忘れられてたと思っていた「サイコゥサイコゥサイコゥ」を聞くことが出来て踊り場リスナーとして感動が止まらない。本当に良かった。

 

今年のキングオブコントはヤバい人ネタが多かったが、ただ笑いものして終わるのではなく、否定だけするのではなく受け入れ、救いがあり、人間の愛に溢れたネタが多かったと思う。

2019年のM-1で誰も傷つかない笑いがブームになったが、今年のキングオブコントでは母性愛、家族愛、異性愛、コント愛、コンビ愛、谷川俊太郎愛、そんな様々な愛のカタチがあった大会だった。お笑いって本当に日々進化しているのを実感する。

 

そしてキャラクター性。

漫画やアニメでもどれだけ「推し」と呼ばれるキャラクターを生み出すかが人気を左右する時代になっているが、同じ流れがコントにも来ていると感じた。

分かりやすく、世の中の見え辛い場所の解像度を上げ、何よりも愛されるそんなキャラクターを生み出せるかどうか。言うは易く行うは難しである。

 

 

審査員は松本人志以外一新されたが、小峠や飯塚など言語化能力が上手い人も多くてそこの不満がなくなったのも大きい。「僕は好きだけどな~」みたいなこのブログ並みの言語化能力の審査員が去年まではいた。誰とは言わない。

 

間違いなく2021年キングオブコントは伝説の回だったと思う。2位以下の点数が僅差過ぎて誰がファイナルステージ勝ち上がってもおかしくなかった。

 

キングオブコントで優勝しても売れないと言われ続けてきたが、ここまで実力者が集まってくると話は変わってくると思う。これからのコントには期待出来る。そんな希望を持てる大会だった。

 

最後に一言

何だかんだいってMVPはバイキング西村かもしれない