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ネタバレあり『エターナルズ』感想。ポストクレジット解説。

アカデミー賞作品賞を受賞した『ノマドランド』監督のクロエ・ジャオ氏のMCU作品。

そんな『エターナルズ』だが、北米での評論家レビューはかなり評価が割れている。

 

北米大手批評家レビューサイトRotten Tomatoesでは、ここから更に下がり続け、今現在(11月5日)では51%と、MCUの映画作品の中では最も低い数値となってしまった。

確かに、これまでのマーベル映画と雰囲気が違うので、おそらく賛否はあると思う。しかし個人的には面白かった。

ここからは解説と感想をネタバレありで書いていきたい

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あらすじ

半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの尽力により復活した。しかしその際に生じた強大なエネルギーは、新たな脅威を生み出していた。地球に迫る大きな危機に立ち向かうべく、7000年に渡って密かに人類を見守り続けてきた10人の守護者・エターナルズが集結する。

 

登場人物紹介

イカリス:リチャード・マッデン

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眼から強力な光線を発したり空を飛んだりするので、作中ではスーパーマンと間違われていたが、やってることは『ザ・ボーイズ』のホームランダーである。

味方の時は微妙な活躍なのに敵になると強くなる嫌なキャラでもある。

序盤でイカリス×セルシのセックスシーンやいきなり食われて死ぬ一般地球人のシーンがあって、これまでのMCUとが違う感をバリバリ出していて良かったですね。

最後、罪の意識からか「太陽に接近しすぎて」死ぬのは名前の元ネタとなったギリシア神話の再現。

イーカロスは蜜蝋で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死を迎えた。 イーカロスの物語は人間の傲慢さやテクノロジーを批判する神話として有名である。

クロエ監督もイカリスの事を究極のスーパーヒーローとして描いたと言っているが、究極のスーパーヒーロー故の傲慢さが出てしまった結果ともいえる。

 

セルシ:ジェンマ・チェン

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セルシは物質を変換する力を持っている。実質の主人公。

彼女はイギリスで学校の先生になり、イカリスと分かれた後はデーン・ウィットマンという普通の人間(普通の人間ではなかった)の彼氏がいる。

ジェンマ・チェンさんがインタビューでセルシがイカリスとデーン・ウィットマンとどっちが付き合うのかワクワクするでしょうみたいな事言ってたけど、個人的には心の底からどうでもよかった。

慈悲深く、完璧な存在ではない人間を愛する、そんな王道さゆえに10人いるキャラの中でも薄い感じになってしまったと思う。

 

キンゴ:クメイル・ナンジアニ

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キンゴはインドでボリウッドスターになった手からエネルギー弾をだす。参考にしたのは霊丸らしい。

まさかの最終戦には参加しないという衝撃。「おれはこんな戦いには降りさせてもらうぜ」からの味方大ピンチに駆けつけて「やれやれ、スターを忘れられたら困るぜ☆」の王道展開だと思っていたのに、こういうヒーロー映画らしくない所が本作が賛否別れる原因だろう。本人意思の結果、最終決戦に参加しなくてもいい。それこそ多様性(なんでもそれらしく〆れる便利ワードである。ぺこぱみたい)

 

スプライト:リア・マクヒュー

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 幻影を生み出す能力者。少女のような見た目のために人間に子ども扱いされ、不満を抱いている。

本作は不老が一つのテーマ。不老であるエターナルズは限りある人生の中で謳歌する人間と関わっていく中で「瞬間瞬間」を生きることの尊さ、「永遠じゃねえ、MUGENだ」の精神を学び変わっていく。そしてスプライトは不老をやめ、大人になる選択をするのだ。

メタ的に考えると子役は『エターナルズ2』までに成長して不老キャラが難しい問題を解決するためにも人間になる必要があったのだろう。

それはそれとして「私、子供だから恋愛が出来ない」的な発言をするが、

いや、お前は別に近代的人間観に縛られなくても良くね?

お前別に人間じゃないんだし、お前らの名前の由来になった神様連中なんて子供とか関係なしで恋愛してるぞ。7000年も生きてたんだから、昔だったら彼氏の1人や2人普通に出来ただろ

って言ってやりたい。

確かに近代では14歳の少女と付き合う男性は犯罪なので中々難しいかもしれないが、そもそもお前の好きな相手は同じ人間ではないイカリスなんだから問題ないだろ。私、子供だから……って引く必要ないだろ!!とは言いたい。『エターナルズ』は出てくるキャラは人間じゃないのに、どいつもこいつも精神が人間なのが、傲慢な人間第一主義の人間が創ってそうな作品だなと思ってしまう。

 

ファストス:ブライアン・タイリー・ヘンリー

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チームの頭脳を担うファストスは、発明の天才。

彼の技術提供があり、人類は驚異的な速度で技術革新していくのだが、その結果が広島の原爆投下なのは日本人として思うところがあるだろう。そしてそのシーンがエセ日本ではなく実在感あるのは流石クロエ・ジャオ監督だろう。

人類に絶望していた彼だったが、最愛のパートナーを見つけ、子供を授かる。本作の名前アリの人間がどいつもこいつもいい奴なのは、ミクロの視点だとみんな良い奴という意味かもしれない。そしてファストスの同性同士のキスシーンがあるため、厳しい国では『エターナルズ』が上映禁止になったりしている。そうなるのは分かっていながら本作にOKを出したディズニーは今回偉いと思う。

 

ドルイグ:バリー・コーガン

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人の心を操ることができる。

劇中で、ドルイグが人間全員を操ることをしなかった理由が「それでは多様性が失われてしまうから」なのは印象深いだろう。

ドルイグのやる気があれば地球人類全てをドルイグの思想のもとに動かし、戦争などの争いをなくすことができる。

しかし、そんな人間の愚かさ、怒り、弱さといった一見いらないように見える要素も多様性として大事なモノだと本作では問いかける。

ヒーローではなく同じ人類として地球人と関わってきた者は、時に絶望もするけれど、それでも愛を知る。そこがヒーローとしてしか関わってこなかったイカリスとの違いなのだろう。

 

マッカリ:ローレン・リドロフ

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マッカリは耳が聞こえないが、高速で移動できる。わざわざ耳が聞こえない状態で設計したセレスティアルズの意図は不明。

マッカリが人間であれば、なぜ聴覚障害なのかという説明は不要。ただ、マッカリは人間ではなく、セレスティアルズがなぜ聴覚障害のマシーンが創られたのか、その理由は作中であって欲しかった。人間を導く必要があるなら耳が聞こえた方が絶対に得策だからだ。

そりゃ、理由は色々考えられる。

エターナルズの記憶集めも目的の一つみたいなので、聴覚障害者に対して人類がどのように対応するのかのデータを欲しかったのかもしれない。

それでも、これらはあくまで想像でしかないので、なぜセレスティアルズが多様な存在を生んでいるのか。これは『エターナルズ3』までには答え出して欲しいよ。

それにしても対イカリス戦は良かった。『ジャスティス・リーグ』で見たかったスーパーマン対フラッシュがそこにはあった。早すぎてスロー演出にならないのも良いのね。

 

ギルガメッシュ:ドン・リー

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マ・ドンソクがギルガメッシュな時点でズルい。

 

ギルガメッシュはエターナルズのなかで一番の力持ち。

最初の登場シーンからセナと手と手を取りあう2人。

セナが不安定になるたびに手を合わせるギルガメッシュ・・・これが愛なんだよ。

「remember」がセナとギルガメッシュのキーワードでありながら、エターナルズにとっても忘れないでいることはセレスティアルズへの抵抗でもあって。

それにしてもマ・ドンソクに変な衣装させたらそれだけで面白いとハリウッドにもバレてしまった感がある。

ここで退場は勿体なさ過ぎるよ~~~

 

セナ:アンジェリーナ・ジョリー

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自分の頭で想像した武器を生み出す能力を持っている。

本作では多種多様な愛が描かれてたけど、ギルガメッシュとの愛とも友情ともとれる関係……良いよね。

 

アジャク:サルマ・ハエック

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 癒しの能力を持ち、精神的支柱としてエターナルズを導いてきた。回復キャラが真っ先に死んだらダメ。

 

セレスティアルズ

遥か昔、何もない空間にセレスティアルズノリーダー、エリシェムが現れ、その手からエネルギーが溢れ出てビックバンが起きた。宇宙誕生である。

f:id:Shachiku:20211105203020j:plain(C)Marvel Studios 2021

 

エターナルズは実はセレスティアルズが作った高度に発達したロボットだった。

セレスティアルズは新しく出来た惑星に自分達の卵を植え付ける。セレスティアルズの成長の栄養となるのは惑星上の知的生命体で、エターナルズの役目はセレスティアルズの失敗作であるデヴィアンツが知的生命体を殺さないよう駆除することだったのだ。

そして新しいセレスティアルズの誕生とともに惑星が壊れるが、新しいセレスティアルズはそこから銀河を生み、生命を創り出す。これの循環こそがセレスティアルズの真の目的だった。

サノスの指パッチンを黙って見過ごしていたのも、無限の命がある彼にとって一時的に人類が半分になろうとも、いずれ数は元に戻ることを知っていたからだろう。

 

それにしてもエターナルズに出自と目的を隠くさずに自分の存在意義を理解させて行動させた方が良いに決まっているのに秘密にしてプログラムした意味も分からないし、本作を観ただけではセレスティアルズの周りがあまりにも不明瞭過ぎてモヤモヤしてしまう人が出てしまうのは仕方ない気がする。ここら辺が1作で終わらないシリーズモノの弱点。

 

ポストクレジット

2つある。

 

1つはエターナルズの宇宙船でピップ・ザ・トロールが現れエロス/スターフォックスを紹介するシーン。

原作コミックでエロス/スターフォックスはタイタンに移住したエターナルズの子孫で、サノスの弟。元々の名はエロン(Eron)だったが、5歳にして異性への興味をもっていたことからエロスに改名された経緯を持つ。

原作ではピップとスターフォックスのコンビはサノスの暴走を止めるため、征服者カーンの技術を盗んで時空を駆け巡る内容になっている。

サノス死後のMCUではどのような活躍をするのだろうか。

 

2つ目は

ブラックナイト登場
デーンはセルシを救うため、剣を掴むかどうか悩む。すると、彼に話しかける声が聞こえ始める。

 

原作ではデーンの家は過去に何人もブラック・ナイトと呼ばれるヒーローを送り出してきた家系だった。

彼らの魔法の剣は古代の隕石・スターストーンから魔術師・マーリンが作ったエボニー・ブレード。

MCUでデーン・ウィットマンが将来ブラック・ナイトとして活躍するのだろうか。

 

そして最後に声をかけたのはなんと単独映画が決まっているブレイドらしい。まじか!!!

www.fandom.com

 

ポストクレジットの2つともアメコミを読んでないと「??????」で終わるのはどうなんだ問題はあると思う。

 

最後に

最後ら辺のシーンとかEOEを思い浮かべた人も多そうだ。なんとなくだけど、クロエ・ジャオ監督はエヴァも好きそうな気もするし。

 

ヒーロー映画として観ると

皆を守ってくれてありがとうエターナルズ!

頑張れ頑張れエターナルズ!

という気持ちは全然湧かなかったので、ヒーロー映画としてはやはり微妙と言わざるを得ない。ただ、クロエ・ジャオ監督作品だと思って過去作と比べながら観ると楽しめると思う。

 

 

マーベル、ディズニーらしい多様性あふれる作品なので、嫌いな人は嫌いだろう(小泉構文)

まぁでも、最近のMCUのスコアが軒並み高過ぎて、評論家がディズニーに府度してるんじゃね疑惑もあったので、ガチなのが判明したのは良かったんじゃないですかね。