社会の独房から

映画やゲーム、漫画など。

ネトフリ『ウェンズデー』感想。ウェンズデーが社会性を獲得すると僕は血の涙を流す

アダムスファミリーというよりティムバートンによるウェンズデーを主人公したハリーポッター二次創作

 

映画やドラマを見ていて「この俳優はこの役をする為に生まれてきたのでは!?」とエゴイスティックに考えてしまうことがある。貴様もあるだろう。それぐらいドンピシャだと思ってしまうことは映像体験における1つの醍醐味であり、そういう作品に1人でも、脇役でもいいから出会えた時は例え作品自体はどれだけクソでも「いい作品に出会えたな」と思ってしまう訳だが、Netflix『ウェンズデー』ではジェナ・オルテガが演じるウェンズデー*1と、彼女と寮で同じ部屋に住む事になるイーニッド・シンクレア役を演じるエマ・マイヤーズの2人が完璧なビジュアルをしており、これだけで勝利である。

1+1=2 文句をいう事が出来ない完璧で美しい「解」である。

1人でも俳優と役がドンピシャがあれば満足する。しかし、それが2つならば完全になる勝利。そんなノーベル賞とれる計算式をティムバートンは生み出し、僕たちはただただひれ伏すしかない。『ウェンズデー』はそんな作品である。

 

 

 

映画版『アダムスファミリー』とは別

『ウェンズデー』は16歳に成長したウェンズデーが、弟をイジメる野蛮な人間相手にピラニアを放って病院送りしたことから、母モーティシアの母校である「ネヴァーモア学園」に編入することから物語は始まる。「のけ者」と呼ばれる吸血鬼や人狼、セイレーンなど癖がある人達しかいない全寮制の学園でのウェンズデーの学園生活と、近隣の街の住民も絡む殺人事件の謎解きがストーリーの縦軸である。

 

 

ここで注意がある。ニコール・フジェールがウェンズデーを演じていた映画版がお気に入りだったり思い入れが強い人が本作を観ると「解釈違い」で頭痛がするかもしれない。用法・用量は必ず守ろう。

まずアダムス家の倫理観が凄く凄く平凡である。手榴弾を河に投げたり、拷問することはあるが、平凡な一般の家族である。

家族以外には極悪非道かつ悪魔のような存在であり、常人には理解できないぶっ飛んだ倫理観を持つアダムスファミリーが、悪魔みたいな人間を常識外の方法で倒すことは本作ではやらない。学校のルールは破りながら司法を守り犯人を捕まえるミステリー。コナン君の方がウェンズデーよりよっぽど司法破っている。

ゴメズとモーティシアの夫妻はビジュアルだけでなく、性格もかなり改変されており、登場シーンの少なさも相まって娘思いの一般家庭の親御さん以上の感想が出てこない。また、パグズリーが学校で一方的に虐められていて本人はやり返したりしないのも僕は違うと思う。他にもウェンズデーがフェンシングで防具無しでやろうとかイキってたのに普通に負けて笑った&モヤるみたいな細かな解釈違いは無数にある。

しかし、そんな解釈違いなど喉に刺さったほんの小さな小骨。大量の旨味成分でそこまで気にならないのが『ウェンズデー』なのである。なぜなら主人公のウェンズデーが滅茶苦茶、滅茶苦茶に可愛いからだ。

 

 

ウェンズデーが可愛い。そしてウェンズデーが可愛い。

本作は約60分×8本のドラマだが、60分中少なくとも50分はウェンズデーが可愛い。ほぼほぼ出ずっぱりで常に可愛い。主人公と言いながら登場シーンがやたら短い、海老の天ぷらを頼んだけど衣がクソデカいだけで海老が小指サイズなドラマも存在するが、本作はそんなことはない。可愛いがクソでかい。

毎話猫ちゃんやメイド服になったり服装が変わってどれもバリバリ似合っていて目が飽きない。映像作品で目が飽きないって本当に大事。

弾くチェロの姿に、キレキレのダンスシーン。どれもこれも最高。

顔が滅茶苦茶良い人が滅茶苦茶似合う役で滅茶苦茶最高の演技をする。これ以上ない……これ以上ないのである……

 

更にただ可愛いだけでなく、僕のような承認欲求モンスターをバッサリ切ったり

 

黒衣装が劇中で「インスタの加工みたい」って悪口を言われても気にしないその精神力。あくまでも孤高であり、他人とは溝はあるが、「他人に自分の価値を決めさせない才能は大事 」「日陰の花ほど美しい」と言わしめるウェンズデー。そして何よりも理不尽には徹底的に対抗する彼女の姿は人間の中の人間なのである。

そんなウェンズデーと対極な存在であり、故に近い存在であるイーニッドも最高である。社交的で友達が多く、SNSなども積極的に活用するいわゆる陽キャであるイーニッドと、陰キャであるウェンズデー。『ぼっち・ざ・ろっく!』でいうところの喜多×山田みたいな関係性といえばわかりやすいかもしれないが、『ウェンズデー』を観ている層は『ぼっち・ざ・ろっく!』を見てない気しかしないので全然伝わっていないかもしれない。(伝われ!)『ウェンズデー』は実質『ぼっち・ざ・ろっく!』と言いたかったけど、流石に言い過ぎなので自重する。『ウェンズデー』は実質『ぼっち・ざ・ろっく!』

また、ハンドや校長先生など脇も魅力的である。もちろんユージーンというパーティで誰とも踊れない陰キャ男子という貴様らみたいなキャラも出てくるので安心して欲しい。僕は女友達20000000000000人いるから違う。

 

 

悔やむならば、ウェンズデーが後半での成長に伴いどんどん角が丸くなってしまうことだろう。後藤ひとりの成長をみて寂しくなるようにウェンズデーが社会性を獲得していくのは少し寂しい。いつまでも孤高でいて欲しいというわがまま。

1人だと寂しいとか言い出すし、好きな人が出来てキスまでしてしまうし、これがファーストキスとか言い出して映画版の陰キャの具現化みたいな男子が成仏できない。

信頼できる仲間達との達成感まで味わってしまうと次は文化祭とか仕切る子になってしまわないか友達のいない陰キャの僕は不安である。

視聴者の中にはウェンズデーがみんなに好かれすぎているのが違和感あると思う人もいるかもしれないが、ウェンズデーだからで全て解決する。これ以上納得ある答えはない。このまま学園でハーレム築いて欲しい。

 

 

ネトフリネトフリネトフリ

ネトフリは続編にシビアである。

僕が応援していた『カウボーイビバップ』も『バイオハザード』もあんなにクリフハンガーしながら打ち切りになってしまった。

www.shachikudayo.com

www.shachikudayo.com

 

僕が許せないことは3つ。

長々とやる癖にクリフハンガーで終わるドラマとクリフハンガーで終わりながら続きを出さないドラマと福田雄一である。

今度やる『ワンピース』と『幽遊白書』のドラマもシーズン1で終わると僕は睨んでいる。

『ウェンズデー』は一応綺麗に終わるので続編がないと言われても納得はするが、納得できないので是非みんな見て続編にGoが出て欲しい。その時は

ティムバートンが全話監督しろ。お願いします。

 

しかし、このまま続編が出るとウェンズデーがますます社会性を獲得していってしまう。シーズン8ぐらいになるとクラブでDJをし、湘南乃風流しながらドフラミンゴの恰好をしているウェンズデーを目撃してしまう時がくるかもしれない。その時、僕はどんな表情したらいいのか分からない。殺してくれ。

 

 

 

*1: アイアンマン3で副大統領の娘やってた子がこんなに大きくなって一方的お父さんの僕は『X エックス』観てビックリしたよ